吉祥寺JazzSyndicate

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2018年03月

【Disc Review】“Templanza” (2010-2012) Francesca Ancarola

“Templanza” (2010-2012) Francesca Ancarola


Francesca Ancarola (voice, guitar)
Carlos Aguirre (keyboards, piano) Federico Dannemann, Simón Schriever (guitar) Antonio Restucci (guitar, mandolim) Rodrigo Galarce (bass) Carlos Cortés (drums, percussion) Oscar Arce (percussion) Claudio Rubio (sax) Christián Gutierrez (cello)
Teco Cardoso (sax) Léa Freire (flute) Andrés Beeuwsaert (keyboards) Fernando Demarco (bass) Edu Ribeiro (drums) and others



 チリの女性ボーカリストFrancesca Ancarolaの現代フォルクローレ、あるいは南米ポップス。

 Carlos AguirreのレーベルShagrada Medraから。
 少々アバンギャルド風味、ロック風味もあった前作“Lonquen” (2010)から毒気が抜けて、アコースティックな現代フォルクローレの色合いが強くなった感じでしょうか。
 全体のサウンドを含めて華やか系、ボーカルも少々強い系でありつつも、明るく穏やかな方向に振れたイメージ。
 ジャジーですがポップス度も高め。
 オリジナル曲中心、全てキャッチーなメロディ揃い。
 1980年代のAORやブリティッシュソウルのムードでしょうかね?
 ・・・と思っていたら、マンドリンやらガットギターやらチェロやらが鳴り出して、やはりアルゼンチンと共通する音の流れ。
 ブラジル、サンパウロ系とも繋がっているようで、タイトル曲はゲストで参加している“Arraial” (2017) Vento em Madeira のLéa Freireのセンチメンタルなメロディ。
 確かにAndre Mehmariあたりとも繋がる空気感です。
 それとCarlos Aguirreの雰囲気、さらにスパニッシュテイストを混ぜて、ポップス方向に振った感じ。
 ジャケットのムードと同様に、少々ダークな“Lonquen” (2010)に対して、明るくオシャレなムードの本作。
 ・・・などなど含めて、全編前向きで爽やか、それでいてセンチメンタル、郷愁感たっぷり。
 とても素敵なジャジー南米ポップス、華やか系。
 これは名作。





posted by H.A.


【Disc Review】“Lonquen” (2010) Francesca Ancarola

“Lonquen” (2010) Francesca Ancarola

Francesca Ancarola (voice, guitar)
Federico Dannemannv (guitar, cuatro) Juan Antonio Sanchez (guitar) Antonio Restucci (guitar, mandolim) Carlos Aguirre (keyboards, piano) Rodrigo Galarce (bass) Daniel Rodriguez (percussion, drums) Elizabeth Morris, Jose Seves (Cajones)

Lonquén - Tributo A Victor Jara
Francesca Ancarola
M & M
2015-12-27


 チリの女性ボーカリストFrancesca Ancarolaのエスニックでジャジーなフォークロック、あるいは南米ポップス。
 Carlos AguirreとDuoで静かな子守歌集“Arrullos” (2008)を制作した人。

 が、本作は強烈なパーカッションを含めてビートが強く、ボーカルもシャウト気味。

 アフリカンなパーカッションに、ウッドベースが弾むファンクなビートに、ロックなギター。
 ジャズファンクっぽくもあり、ロックっぽくもあり、複雑な展開、シャウトするボイス含めて、そこそこアヴァンギャルドな感じ。
 このレーベルとしては異色な質感かもしれません。
 そんな演奏が目立ちつつも、いかにもフォルクローレな優し気な曲、あるいは悲し気な曲も何曲か。
 Carlos Aguirreが入る曲は、あの零れ落ちるような繊細なピアノが生える音作りなのですが、アフリカンなパーカッションが響くエスニックなファンクの方が印象に残ります。
 ってな感じでいろんな色合いが交錯する少々強めの音には少々面食らうのかもしれません。
 この感じの方が現代的だし、少々硬派な感じをお求めの向きにはこの方がよいのかもしれません。
 ジャジーで少々アヴァンギャルド、少々ダークなムード、現代的で先進的な南米サウンド。
 そんな感じのポップス。
 もちろん上質です。


 


posted by H.A.


【Disc Review】“Las Mananas El Sol Nuestra Casa” (2010) Javier Albin

“Las Mananas El Sol Nuestra Casa” (2010) Javier Albin


Javier Albin (piano)
Leonel Iglesias (guitar) Leandro Drago (keyboard)
Juan Huici (bass) Santiago Varela (percussion, drums) Juan Pablo Francisconi (percussion)
Paula Taboadela (cello) Juan Kiss (clarinette) Marcela Passadore (voice) Ana Archetti (voice, udú, accordion) Guadalupe Abero (voice)

【輸入盤】Las Mananas El Sol Nuestra Casa (Digi) [ Javier Albin ]
【輸入盤】Las Mananas El Sol Nuestra Casa (Digi) [ Javier Albin ]


 アルゼンチンのピアニストJavier Albinのフォルクローレなジャズ。
 Carlos AguirreのレーベルShagrada Medraから。
 これぞアルゼンチンのフォルクローレ的ジャズの代表作、ってな感じの名作。
 一聴では穏やか系のヨーロピアンピアノジャズの色合い。
 とても優しくてセンチメンタル、儚げな音。
 静かで穏やかなピアノトリオを中心として、ギターやチェロ、木管楽器、女性ボイスが代わる代わる重なっていきます。
 まさに細い糸で綾を織り込んでいくような繊細な音の流れ。
 Carlos Aguirreの諸作よりもよりジャズ的、サラリとしたイメージ、彼の影響が強いSebastian Macchi諸作をよりスムースにした感じでしょうか。
 いい意味で線の細い音の流れ。
 大半を占めるオリジナル曲もそんなメロディ。
 洗練され過ぎないナチュラルさ、ベタつかないセンチメンタリズムとさり気ない郷愁感。
 メインのピアノ、フロントに出る楽器、ボイスはもちろん、ほんの少しだけ使われる電子音、遠くで鳴っているようなパーカッション、細かく移り変わっていくような構成、凝ったビートにさり気ないStop and Go・・・
 その他諸々、完璧に計算しつくされたアレンジ。
 それら含めてとても前向きな音の流れ、全体を包み込むような柔らかな浮遊感。
 とても静かでさり気ない音楽なのですが、思わず耳を傾けてしまう、そんな音。
 名作です。


 


posted by H.A.


【Disc Review】“Sones Meridionales” (2009,2010) Pablo Ascua

“Sones Meridionales” (2009,2010) Pablo Ascua


Pablo Ascua (guitar)



 アルゼンチンのギタリストPablo Ascuaのソロギター作品。

 Carlos AguirreのレーベルShagrada Medraから。

 おそらくはクラシック畑の人なのでしょう。
 ジャズはもちろん、フォルクローレともスパニッシュとも違う、ガットギターの端正な音の流れ。
 5編17曲、メキシコ、ブラジル、キューバ、パラグアイ、アルゼンチンの音楽家の楽曲を爪弾いていきます。
 クラシックには疎いのですが、柔らかでラテン風味なのはスペイン語圏~南米の音楽家のメロディだからなのでしょうね。
 ギターもとても柔らか。
 哀楽が交錯するメキシコ、センチメンタルなブラジル、堂々としたキューバに、素朴なパラグアイ、情熱のアルゼンチン。 
 ま、単に聞いている側の先入観なのかもしれませんが、ある意味、ラテン圏のお手軽なトリップ。
 Ralph Towner、スペイン系、ブラジル系、アルゼンチン系などなど、ガットギターのソロ作品はたくさんあるのですが、クラシック作品は今のところこれだけ。
 その意味でも貴重な?アルバム・・・ってこともないのですが、結構気に入ってます。

 これが流れていると、違う家にいるみたいだもんね。




posted by H.A.


【Disc Review】“Fábulas del Monte” (2007) Silvina Gómez

“Fábulas del Monte” (2007) Silvina Gómez

Silvina gómez (vocal, percusión, keyboads, accordión)
Carlos Aguirre (piano) Martín Sheffa Georgieff, Agustín “Chungo” Monzón (keyboads) Ney Peraza, Nicolás Mora (guitar) Tochi Opieckzonek, Facundo Valdes (guitar, chorus) Beto Satragni (bass, contrabass, guitar, vocal) Gustavo Etchenique (drums)
Rossana Taddei, Inés Gamarci, Mariu Gómez, Mora martínez, Natalia Schvartz, Morita Navarro, Niñas de Bello Horizonte, uruguay (vocals)
Agustín Scheinkerman (cello) Ariana Aldariz (flute)




 アルゼンチンの女性シンガーシングライターSilvina Gómezの子供向けのプロジェクト。
 確かにそんな感じのポップで楽し気で少しおどけたような音。
 ジャケットにも載っているカエルがテーマなのでしょうかね?
 ラテンなビートに派手な感じのバンドサウンド、本人を中心としたボーカルに子どもたちも含めたワイワイとしたコーラス。
 が、安っぽさなど皆無のカッコよさ。
 ドラム、パーカッションはうるさくないけど華やかでしなやか、動きまくるベースは強烈なグルーヴ、ボーカルは変幻自在の表現力にCarlos Aguirre流のオシャレなコーラス。
 定番の瑞々しいガットギターに、バラードではあのCarlos Aguirreの繊細なピアノが鳴っていて・・・
 全曲を占めるオリジナル曲は、楽しげだったり寂しげだったりさまざまな表情、どれも温かな郷愁感が漂うキャッチーなメロディ。
 ラテンロックに、ラテンファンクに、AOR風に、フォルクローレに、Carlos Aguirre風バラードに・・・
 子ども向け云々関係なしの明るく楽しいアルゼンチンポップミュージック。
 Shagrada Medraにしては異色の一作・・・でもないのかな?




posted by H.A.


【Disc Review】“Pequenos Mundos” (2005) Jorge Fandermole

“Pequenos Mundos” (2005) Jorge Fandermole

Jorge Fandermole (guitar, voice)
Iván Tarabelli (keyboards) Carlos Aguirre (piano) Julio Ramírez (accordion) Fernando Silva (bass, cello) Juancho Perone (percussión)
Franco Luciani (harmónica) Luis Giavón (corno inglés) Ariel de Vedia (clarinet)
Marcelo Ajubita (viola) Juan Pablo Sosa del Frade (violin)
La Sociedad de los 5 Vientos :
Gabriel Leo (flute) Luis Giavón (oboe, corno inglés) Ariel de Vedia (clarinet) Gerardo García (corno francés) Susana Schlaen (fagot)


PEQUENOS MUNDOS
JORGE FANDERMOLE(ホルヘ・ファンデルモーレ)
SHAGRADA MEDRA
2010-07-31


 アルゼンチンのシンガーソングライター&ギタリストJorge Fandermoleの現代フォルクローレ。
 Shagrada Medraでは“Navega” (2002)に続く作品になるのでしょう。
 同じくフォーキーな音ですが、“Navega” (2002)よりもさらに素朴でストレートな感じがするのは、Carlos Aguirreのピアノが数曲のみに留まるからでしょうか?
 代わりに多くの場面で鳴り響くのはアコーディオン、そして柔らかな木管、さらにはストリングス。
 都会的な洗練された色合いがさらに薄くなり、土の香りがする素朴な質感。
 全編明るくて楽しげ。
 青空の下に皆で集まってワイワイと・・・ってな感じ。
 朗々した歌声にはこんなサウンドが一番似合っているように思います。
 欧米のフォークミュージックからはすっかり無くなってしまった何かが、アルゼンチンには残っているのでしょうねえ。
 そんな音の後ろでつつましやかに鳴る、洗練されたCarlos Aguirreのピアノがこれまた素晴らしかったりするのですが・・・
 そんな素朴でノスタルジックな感じがとても素敵な、現代のフォルクローレの一作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Flores De Las Márgenes Del Camino” (2003,2004) Juanjo Bartolomé

“Flores De Las Márgenes Del Camino” (2003,2004) Juanjo Bartolomé

Juanjo Bartolomé (guitar)
Claudio Bolzani (percussion, guitar, voice) Carlos Aguirre (accordion) Fernando Silva (contra-bass) Santiago Pérez (flute) 



 アルゼンチンのギタリストJuanjo Bartoloméの2003-4年作品。
 ゲスト参加のClaudio Bolzaniと同様に寂寥系、男の哀愁系の現代フォルクローレ。
 後の作品”Luminilo” (2011)はガットギターと歌が中心ですが、本作は歌は無し、エレキギターのソロ演奏を中心とした作品。
 打楽器の登場場面は少なく、エレキギターのソロ演奏を中心として、少人数のゲストを交えつつの静かで穏やかな音。
 少し沈んだ感じの音の流れ、センチメンタルながら甘すぎないメロディはこの人の色合いなのでしょう。
 ガットギターではよくある構成の音楽なのかもしれませんが、エレキギターでは新鮮。
 少々のエフェクティングもありますが、基本的には丸っこいクリーントーンで穏やかに爪弾く系。
 フワフワした感覚はアルゼンチン的ではあるのですが、少々のアメリカンフォーク・ロックな空気感も醸し出しつつ、爽やか瑞々しい・・・というよりも、少しまったりとした緩やかさ。
 肩の力が抜けていく感じ。
 とても暖かです。




posted by H.A.

【Disc Review】“Navega” (2002) Jorge Fandermole

“Navega” (2002) Jorge Fandermole

Jorge Fandermole (guitar, voice)
Carlos Aguirre (piano, accordion, voice) Fernando Silva (bass) Juancho Perone (percussion)
Iván Tarabelli (keyboards) Rubén Goldín, José María Blanc (voice)
Trío de Guitarras de Rosario (guitars) and others

NAVEGA
JORGE FANDERMOLE(ホルヘ・ファンデルモーレ)
SHAGRADA MEDRA
2010-07-31


 アルゼンチンのシンガーソングライター&ギタリストJorge Fandermoleの現代フォルクローレ。
 これも“En Grupo” (2002) Coqui Ortiz と同様、“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)、“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004)の間あたりでの制作。
 フォーキーでポップな現代フォルクローレ。
 全編にCarlos Aguirreが参加し、タメと疾走が交錯するあの繊細で美しいピアノが多くの場面でフィーチャーされ、ベースも彼のバンドのFernando Silva
 が、Carlos Aguirre諸作とはムードは違う質感、それらの洗練と切なさが抑えられ、より素朴で明るい雰囲気。
 ボーカルは艶のある声で朗々と丁寧に歌う系。
 オリジナルの楽曲は楽しげだったり哀しげだったりさまざまな表情ですが、どこか懐かし気な感じ、素朴な雰囲気のメロディ。
 何となくテキサスな感じ、あるいはメキシカンな感じがするのは気のせいかもしれませんし、中米~南米のスペイン語圏、その周辺はどこか繋がっているのかもしれません。
 ソンブレロとかテンガロンハットが似合いそうな雰囲気ですかね。
 のどかで平和、ほんの少し哀しげ。
 このあたりがフォルクローレのオーソドックスな音、“En Grupo” (2002) Coqui Ortizと同様、洗練され過ぎないナチュラルなアルゼンチンの空気感はこんな感じなのかもしれません。
 Carlos Aguirre諸作の方が少々特殊なのでしょうね・・・たぶん。

 それはさておき、ピアニストCarlos Aguirreはカッコいいなあ。




posted by H.A.


【Disc Review】“En Grupo” (2002) Coqui Ortiz

“En Grupo” (2002) Coqui Ortiz

Coqui Ortiz (voice, guitar)
Sebastián Macchi (piano) Julio Ramírez (accordion, verdulera, bandoneón) Dicky Gómez (bass, voice) Ariel Portillo (drums, percussion, voice) Celina Federik (arpa) Abdul (cítara) Sabrina Taborda, Luis Barbiero (voice) Carlos Aguirre (piano, keyboard, voice)



 アルゼンチンのシンガーソングライター&ギタリストCoqui Ortizの現代フォルクローレ。
 “Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)、“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004)の間あたりでの制作。
 彼の作品よりもフォーキーな質感の音。
 都会的ではない素朴な感じ、さり気ない感じではあるのですが、繊細なギターにSebastián Macchiを中心としたこれまた繊細なピアノにコーララスワーク。
 多くの場面で鳴り響くアコーディオン、バンドネオンの調べがとても優雅。
 フランス的な洒脱感もしばしば。
 優しく優雅なサウンドとメロディに、これまた優し気で艶やかな声。
 弾むような躍動感が強い演奏が多いのですが、合間々のバラードがとてもロマンチックでいい感じ。
 もちろん南米サウダージな懐かし気な少し哀し気な空気感が全編に流れています。
 さり気ない空気感ながら、とてもオシャレ。
 Carlos Aguirreは終盤二曲に参加し、いかにもなコーラスワークとワイワイと盛り上がる祝祭的な賑わいを演出しつつ、幕。
 ドラマチック・・・とはまた異質な、ブラジルのサンバの空気感にも通じる自然な高揚感。
 穏やかでゆったりとしていて楽し気なアルゼンチンの日常を垣間見るような一作。
 とても平和だなあ・・・




posted by H.A.


【index】"Shagrada Medra"

 ようやく春めいてきたので、陰鬱なジャズではなくてそれらしい音を・・・
 ・・・といったわけもないのですが、本稿からアルゼンチンCarlos AguirreのレーベルShagrada Medraの作品が一か月ぐらい続きます。
 断片的に気まぐれに聞いてきたのですが、やっと整理がついてきたので。
 Pat MethenyKeith JarrettECM、Blue Note、ブラジル系から行き着いた、2018年春時点のお気に入りレーベル。
 私が知る限りの作品を。

Carlos Aguirre Grupo (Crema)




posted by H.A.


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