吉祥寺JazzSyndicate

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2018年03月

【index】"Shagrada Medra"

 Shagrada Medra、廃盤になっているものが多く、いまだに全貌はつかめていません。

 音の作り方からはざっくりと、純フォルクローレ系、ポップス系、クラシック系、ジャズ系、タンゴ系ぐらいに分類できそう。
 それらが入り混じり、さらに、繊細、明朗、寂寥・・・などなど雰囲気が分かれて、いろんな色合い。
 2018年春の時点で私が知る限りのお気に入りは以下。
 ジャズの香りもある、繊細な色合いの作品群。


Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)
 

Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004)
Luz de agua” (2005) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva

Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)
 

Las Mananas El Sol Nuestra Casa” (2010) Javier Albin
Anima” (2011) Ethel Koffman
Resonante” (2011) Luis Chavez Chavez
Luminilo” (2011) Juanjo Bartolome
Cantos Sin Dueno” (2012-2014) Agueda Garay
Luz de agua: Otras canciones” (2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva
Matriz del agua” (2015) Martín Neri

"Creciente” (2016) Claudio Bolzani




 ブラジル系と比べるとジャズの香りが薄目のモノが多いのですが、フォルクローレの奇数拍子系の浮遊感はそれとは別種の心地よさ。
 御大の第一作“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)に全てが包含されているようにも思います。
 “Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)が次のピークで、次がさてどれでしょう・・・?
 "Creciente” (2016) Claudio Bolzaniあたりでしょうか?
 聞いていない作品の中にも凄いのがあるのでしょう。
 他の作品含めてハズレはなさそうなので、これからは新譜をキチンとチェックしようかなあ・・・と思いつつ・・・



posted by H.A.


【Disc Review】“Vals de Papel” (2017) Luis Barbiero

“Vals de Papel” (2017) Luis Barbiero


Luis Barbiero (voice)

Sebastián Macchi (piano, keyboard) Carlos Auirre (piano, accordion, bass) Martin Sued (accordion) Mauricio Guastavino, Juan Pabla Perez, Cacho Hussein, Silvia Lopez (guitar) Damián Ortiz (mandolin) Joe Troop (violin, banjo) Fernando Silva (bass) Gonzalo Díaz (drums, percussion) Pedro Guastavino (pandeiro) Mauricio Bernal (marimba) Horacio Lopez, Nahuel Ramayo (percussion)

Eugenio Zappa (claninet) Ruben Carughi (trombone) Juan de Dios Puerta Bernabe (tuba) Cintia Bertolino (voice) and strings

Vals de Papel
Elefante en la Habitación!
2017-11-28


 アルゼンチンのフルート奏者Luis Barbieroのボーカル作品。

 前作にあたるのであろう“Música Argentina de Cámara” (2015)からはクラシックな人だと思っていましたが、本作はいろんな要素が入り混じるアルゼンチンポップス。

 リーダーのボイスは艶やかで優しげ、伸びやか。

 少しノスタルジックな香りも漂う南米テイスト。

 冒頭、ボッサ風ビートのギターで始まりますが、エレピとマリンバ、ピアノが絡み合う不思議な音から始まります。

 続くはいかにも現代フォルクローレ、美しいピアノとCarlos Aguirre的なギターのアンサンブルを背景として、女性とデュエットする歌うスローなワルツ。

 さらにはパーカッシブでキューバっぽいラテンポップス、ピアノのみを背景にした濃密系のバラード、アコーディオンに先導されるセンチメンタルなワルツ、巻き舌のスペイン語がマシンガンのように発せられるアップテンポ・・・

 などなど、これでもかこれでもかといろんな南米的な空気感がてんこもり。

 目くるめくように変わっていくようで、なぜか雰囲気は同じ。

 とても穏やかで少々ノスタルジック。

 さりげないようで楽曲、演奏ともに極めて上品で上質。

 楽曲ごとに変わる少人数の編成、アンサンブルを含めて、徹底的に練り上げられているのであろうことがうかがえる音作り。

 前作と編成が全く異なるため、印象のギャップが大きいのですが、実は音の流れ自体は同じなのかもしれません。

 現代フォルクローレとは片付けてしまえない、いろんな南米が詰まったような一作。

 ひょっとしたら大名作なのかもしれません。





posted by H.A.


【Disc Review】“Paino Pampa” (2016) Sebastian Benassi

“Paino Pampa” (2016) Sebastian Benassi 


Sebastian Benassi (piano)




 アルゼンチンのピアニストSebastian Benassiのソロピアノ作品。

 クラシックとフォルクローレ、ジャズが入り混じる、とても静かな演奏集。

 ヨーロピアンなムードも漂うクラシックな空気感に、ジャジーな演奏も交えながら進む静かな音の流れ。

 各曲二分+αの短い演奏、全17曲。

 ゆったりとしたテンポで奏でられる美しく、少々センチメンタルメロディは、南米曲とオリジナル曲、いずれも美しく優しいメロディ。

 冒頭から今にも止まりそうなスローテンポでの優雅な演奏。

 続くは南米ジャズなこれまた優雅な音~優しいメロディの漂うようなワルツ。

 とてもエレガントなクラシックな演奏、優雅な奇数拍子のフォルクローレな演奏、揺れながら迫ってくるような南米ジャズな演奏、端正なジャズバラードな演奏、いずれもとても静かで上品な演奏が続きます。

 ワンコーラス+αが奏でられるだけで、次々と景色が遷り変わっていくような展開。

 アップテンポは数曲のみ。

 ビート、躍動感は抑えて、ただただ漂うような美しいピアノの音。

 どこか柔らかでのどかなムード、懐かしい空気が漂うのは、南米のメロディ、アルゼンチンのピアニストならではでしょうか。

 “The Köln Concert” (Jan.1975) Keith Jarrettとも、“Caminos” (2006) Carlos Aguirreとも、“Ernesto Nazareth Ouro Sobre Azul” (2014) Andre Mehmariとも、おそらくはクラシックとも違うピアノミュージック。

 急がない、飛び跳ねない音の動きは、まったりとした時間には最高のBGM。

 もちろん上品で上質、心地よさ最高。





posted by H.A.


【Disc Review】"Creciente'' (2016) Claudio Bolzani

"Creciente'' (2016) Claudio Bolzani


Claudio Bolzani (guitar, voice, mandolin, electronics)
Sebastian Macchi (piano, keyboard, percussion, voice) Carlos Aguirre (piano, keyboard, accordion, flute, voice) Bernardo Aguirre (guitar, percussion) Juan Quintero (guitar, voice) Fernando Silva (bass) Gonzalo Diaz (percussion, voice, aerofonos) Luis Barbiero (flute, voice) Leandro Drago (electronics) Daniela Leste (voice)



 アルゼンチンのギタリスト&ボーカリストClaudio Bolzaniのリーダー作。
 とても静かな現代フォルクローレ。
 リーダーは名作“Luz de agua: Canciones”(2005)、”Luz de agua: Otras canciones”(2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silvaのメンバー。
 洗練された現代のフォルクローレ、Carlos Aguirreの路線に一番近そうな音が上記の二作、その三人のメンバーのように思います。
 盟友Fernando Silvaの“Miro por la ventana” (2013)は少々元気系、フュージョン寄りでしたが、本作はアコースティックで繊細、とても静かな音。
 上掲の作品の中でも一番穏やかで静謐かもしれません。
 繊細なギターに、半数ほどの楽曲ではあの少しささくれた儚げなボイス。
 少人数の限られた音数で、全編、静かで繊細な音の流れ。
 ピアノとギターに、ベース、つつましやかなパーカッション、フルートにアコーディオン、水の音、ほんの少しの電子音・・・
 とても静かですが、ジワジワとくるドラマチックな音の流れ。
 一時期のPat Metheny Groupを想い起こす場面もいくらか。
 Carlos Aguirreナンバーで始まり、Sebastian Macchi、現代タンゴの Diego Schissi、オリジナル、さらにはRalph TownerEgberto GismontiといったECM系の人たちの名前も並びます。
 彼ら作るサウンド、どこかで繋がっているのでしょう。
 前半のCarlos Aguirre的な音もさることながら、中盤、Sebastian Macchiの”Corazon”あたりから、最後のRalph Townerの”Green and Golden”まで、静かな凄みが漂う音の流れのカッコいいこと。
 全編通じて少し沈んだ感じが醸し出す、この人独特のクールネス、ハードボイルドネス。
 名作です。

※こちらは“Luz de agua”バンド。


posted by H.A.


【Disc Review】“Pompeya” (2015) Mati Mormandi

“Pompeya” (2015) Mati Mormandi


Mati Mormandi (piano, voice)

【輸入盤】Pompeya [ Matias Mormandi ]

 アルゼンチンの男性シンガーソングライターMati Mormandiのタンゴなのか、スパニッシュなのか、フォルクローレなのか・・・なんともカテゴライズできないアルバム。
 Carlos AguirreのレーベルShagrada Medraから。
 全編ピアノの弾き語り。
 現代フォルクローレ、いろんな色合いがあるのですが、この人は力強い系。
 躍動感のある強いタッチのピアノと堂々とした歌。
 スパニッシュ~フラメンコってな感じもないのですが、タンゴの色合いは強めに混ざっている様に感じるし、あるいはフランス、イタリア辺りな感じもします。
 クラシック、舞台音楽とかの雰囲気もあるかもしれません。
 そんな南米とヨーロッパが混ざり合うような、フォルクローレだけでなく諸々の音楽が混ざり合うような不思議なムード。
 詩の朗読から始まり、思いつめたようなバラード、口笛の楽し気なような哀し気なような音の流れ、その他諸々、一人芝居を見ているよう。
 言葉が分からないのが何とも・・・
 Shagrada Medraでは異色な作品でしょうかね?
 それとも似た感じの作品も知らないところにたくさんあるのかな?
 ヨーロッパの香りが残る古き良きアルゼンチン、そのマニアックな側面・・・ってな感じの一作。


 


posted by H.A.


【Disc Review】“Matriz del agua” (2015) Martín Neri

“Matriz del agua” (2015) Martín Neri


Martín Neri (guitar, voice)
Carlos Aguirre (piano, accordion, keyboard, flute) Claudio Bolzani (guitar, voice) Julio Ramírez (accordión) Fernando Silva (bass, cello) Luciano Ruggieri (drums) Facundo Guevara, José Piccioni (percussion) Agustina Schreider (violin)
Juan Quintero: (Arranging strings):
Luis Ciliberti, Mariana Alarcón (violín) Marcelo Ajubita (viola) Adriana Bonaudi (cello)

【送料無料】 Martin Neri / Matriz Del Agua 輸入盤 【CD】
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 アルゼンチンのシンガーソングライター~ギタリストMartín Neriの現代フォルクローレ。
 とても静かでセンチメンタルな音。
 Carlos Aguirreが何曲かに参加し、ギターとボイスにチェロ、バイオリン、アコーディオン、ピアノなどが絡み、鳥や水の音のSEがコラージュされ・・・といったこの界隈ではオーソドックスな構成なのですが、彼の作品を含めて他のアーティストとは雰囲気が異なります。
 多くがスローテンポで少し沈んだ感じ。
 少しダークな質感で、緊張感、哀感も高め。
 ギターは繊細・・・というよりも、意外なところで途切れ途切れになるぶっきらぼうな感じ。
 寂寥感の強いしゃがれ気味の声で熱唱するボーカルはこの界隈では珍しいタイプ。
 ざっくりとした・・・といった語感が合いそうな音作り。
 音数が少なく間の多いゆったりとした音の流れの中に置かれていく哀しげな声。
 が、メロディがキャッチーでオシャレ、寂寥感は強くて沈んだ感じなのだけどもなぜか明るいムード・・・このアンバランス・・・
 何が何だかわからないバランスなのですが、これがカッコいい。
 大人の男の哀愁とか、そんな感じ。
 オシャレなバーにはあまり似合わないのかもしれないけども、うらぶれた街角とか、誰もいない寂しげな河岸とかにはピッタリの音。
 川沿いミュージック、男の哀愁版。
 アルゼンチン、川沿いのTom Waits・・・ってのも違うか・・・
 哀愁漂う現代フォルクローレ。
 名作です。




posted by H.A.


【Disc Review】“Música Argentina de Cámara” (2015) Luis Barbiero

“Música Argentina de Cámara” (2015) Luis Barbiero


Luis Barbiero (flute) 
Ramiro Gallo, Emilia Brumnich (violín) Nicolás Rossi, Gabriela Peirano (cello) Celina Federik (piano) Mauricio Bernal (marimba) Matías Marcipar (clarinet) Víctor Malvicino (soprano sax)
Ensamble de cuerdas:
Sebastián Orlando, Martín Larraburu, Alejandro Rodrigo, Sergio Sanagustín; Soledad Rodríguez (Violins) Lucrecia Morisse, Marcelo Barolín (Violas) Virginia Núñez, Enrique Catena (cellos) Contrabajo: Fernando Silva (Contrabass)



 アルゼンチンのフルート奏者Luis Barbieroのクラシック室内楽的現代フォルクローレ。
 Carlos AguirreのレーベルShagrada Medraから。
 自身のフルートが前面に出る場面はあまりなく、ストリングスのアンサンブルを中心とし、楽曲によってさまざまな編成に変えていく構成。
 いかにもフォルクローレなワルツ系奇数拍子が印象に残るフワフワと漂うな優雅な音の流れ。
 基本的には穏やかで優し気な表情なのですが、少しテンションが高い曲はEgberto Gismonti的な感じの雰囲気の楽曲もあります。
 クラシックな色合いが強いからなのかもしれませんが、やはり南米、お国、地方は違っても、どこかでつながっているのかもしれません。
 その他、ストリングスアンサンブルとピアノによるとても美しいバラードやら、マリンバと穏やかな管との絡み合いやら、チェロを背景にしてジャズっぽいソプラノサックスやら・・・
 いろんな編成、いろんなテイストが交錯しますが、基本的には明るい色合い。
 穏やかで、優し気で、前向きで、懐かし気で、ちょっととぼけたようで、実は複雑に入り組んでいて、マニアックで・・・
 きっとアルゼンチンの景色、空気感の描写なのでしょう。




posted by H.A.


【Disc Review】“Litoraneo” (2014) Cecilia Pahl

“Litoraneo” (2014) Cecilia Pahl


Cecilia Pahl (voice)
Matias Arriazu (guitar) Sebastian Macchi (piano) Fernando Silva (bass) Mariano Cantero (percussion, drums)
Carlos "Negro" Aguirre (piano) Leo Genovese (Rhodes) Lucas Monzón (accordion) Daniel Maza (bass) Richard Nant (flugel horn) Joana Queiroz (clarinet) Mariano Cantero, Pablo Palleiro, Ignacio Álvarez (percussion)

Litoraneo
Cecilia Pahl
SHAG
2015-05-26



 アルゼンチンの女性ボーカリストCecilia Pahlの現代フォルクローレ。
 Carlos AguirreのレーベルShagrada Medraから。
 ギターとSebastian Macchiのピアノトリオのオーソドックスな編成のカルテットを中心に、御大含めたさまざまなメンバーが加わるバンド。
 ポップで少々ジャジー。
 メンバーから想像されるような繊細な感じがそこかしこにあるのですが、躍動感、明るさも前に出る絶妙なバランス。

 歌うのはシルキーなようなハスキーなような、少々ミステリアスなボイス。
 余裕たっぷり、貫禄十分な感じですが、力が抜けて優し気な南米スタイル。
 Coqui Ortiz、Sebastian MacchiShagrada Medra勢他、南米系、明るく穏やかな表情のメロディを中心に、楽しげだったり哀しげだったり、キャッチ―なメロディが揃っています。
 ブラジルのサンバ的な高揚感、サビのリフレインが陶酔感を誘うアッパーなナンバーも何曲か。
 これまたうるさくなくて、上品でカッコいい。
 現代フォルクローレってよりも、アコースティックな現代アルゼンチンポップスって感じの方が似合うのかもしれませんね。
 明るくて楽し気で、落ち着いた雰囲気。
 Shagrada Medra、定番の音、ポップス寄り。
 これも名作です。


 


posted by H.A.


【Disc Review】“Cantos Sin Dueno” (2012-2014) Agueda Garay

“Cantos Sin Dueno” (2012-2014) Agueda Garay


Águeda Garay (composer, piano)
Carlos Aguirre (piano, voice) Celina Federik (piano) María Inés López, Pablo Ascúa, Luis Medina, Rubén Paolantonio (guitar) Silvio Bisegna (accordion)
Gonzalo Carmelé (bass) Edu Bavorovsky, Gonzalo Díaz, Nahuel Ramayo (percussion, drums) Gabriela Peirano (cello)
Diego Núñez, Darío Céspedes (soprano sax) Agustina Cortés, Francisco Cecchini (alto sax) Martin Testoni (tenor sax) Guillermo Astudillo (clarinette)
Natalia Pérez, Andrea López Ibáñez, María Paula Rodríguez (voice)

Cantos Sin Dueno
Gueda Garay
Shagrada Medra


 アルゼンチンの女性作曲家、ピアニストÁgueda Garayの現代フォルクローレ作品。
 Carlos AguirreのレーベルShagrada Medraから。
 全曲オリジナル曲。
 自身のピアノ演奏は半数ほどに留まり、楽曲ごとにゲストを迎えて編成も変えていく構成。
 おそらくはクラシックの人なのでしょう。
 それらしい楽曲を間にちりばめながら、いかにもな現代フォルクローレの優し気な音の流れ、ポップでキャッチーな楽曲が交錯します。
 冒頭はとてもセンチメンタルなCarlos Aguirreのピアノの弾き語り。
 彼の曲でしょ、と思ったらリーダーの曲。
 続いてギター、アコーディオン、女性ボーカル絡み合うフォーキーな演奏から、クラシカルなピアノソロ。
 但し、演奏はゲストピアニスト。
 四曲目でようやく本人がピアノを弾きギターと女性ボーカルをフィーチャーしたバラード。
 このピアノがカッコいい。
 美しく繊細な音。
 ピコーンパコーン、ピキピキパキパキ・・・と書くと趣も何もないけども、そんな高音が舞い降りてくるような、Carlos AguirreAndre Mehmari的な音使い。
 タメもしっかり効いています。何で全部自分で弾かないんだろ?
 ・・・ってな感じの演奏が続きます。
 そして最後に収められた、静かで穏やかなサンバ調の”Agua y sal”のさり気ない哀感の素晴らしいこと・・・
 各曲の表情は異なりますが、あくまでフォーキーで前向きな、現代フォルクローレ。
 柔らかなビートと優しいメロディ、哀し気な男声女声にそのコーラスワーク、ガットギターとピアノの静かで上品な音の流れ。
 現代フォルクローレ、あるいはフォルクロレリックジャズのショーケースのようなアルバム。
 穏やかで優しい現代アルゼンチンの音。
 名作です。


 


posted by H.A.


【Disc Review】“Miro por la ventana” (2013) Fernando Silva

“Miro por la ventana” (2013) Fernando Silva


Fernando Silva (bass, guitar, voice)
Carlos Aguirre (piano, keyboard, accordion, flute voice) Sebastian Macchi (piano, voice)
Marian Ruggieri (piano, celesta) Andres Beeuwsaert (piano, electric piano, synthesizer) Claudio Bolzani (guitar, voice) Nico Ibarburu, Luis Chavez Chavez (guitar)
Gonzalo Diaz (percussion) Eugenio Zeppa (bass clarinet, clarinet) Juampi di Leone (flute) Guadalupe Abero (voice) etc.

Miro por la ventana 〜 窓の外を眺めて
Fernando Silva
bar buenos aires
2014-04-10



 アルゼンチン、現代フォルクローレのベーシストFernando Silvaのリーダー作。
 Carlos AguirreAndrés BeeuwsaertAca Seca Trioなど、アルゼンチンの現代フォルクローレ、フォルクローレ的ジャズ諸作の数多くに参加する人。
 名作“Luz de agua” (2005)、”Luz de agua: Otras canciones” (2015) のメンバー。
 本作はそれらの諸作よりも少々ジャズフュージョンの方に振れたサウンド。
 リーダーのオリジナル曲に加えてCarlos Aguirre二曲。

 何曲かの歌ものは、漂うようなビートに瑞々しいギターと舞い落ちるようなピアノ、儚げなボイス、コーラス、そしてフレットレスベースが映える、あのCarlos Aguirreの世界。
 あるいは、少々ジャズに寄ったAndres Beeuwsaert的世界、きっちりとしたビートのロックな色合い、はたまたJaco Pastrius的なベース、ファンクなベースのジャズフュージョンな演奏、いわゆるアルゼンチン音響派的な不思議な電子音、生活音などが交錯する場面もちらほら・・・
 などなど、この界隈のさまざまな色合いがてんこ盛り。

 Carlos Aguirre的、“Luz de agua” (2005)的センチメンタリズム、繊細さはほどほどに、躍動感が前面に出たサウンド。

 オーソドックスな現代フォルクローレ、アルゼンチン・ジャズフュージョンの中に納まろうとしない、あるいはそこから飛び出そうとするムードが充満しています。
 アヴァンギャルドとまではいかずとも、攻めた感じ十分。
 さて、最後に数十秒の空白を作ったうえで収められた、過激なシークレットトラックは本気か遊びか?
 ・・・などなど含めて、今のアルゼンチンのいろんなサウンドが詰め込まれた一作。


 


posted by H.A.


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