吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2018年01月

【Disc Review】“Cancion Hacia Vos” (2014) Guadalupe Gomez, Quique Sinesi

“Cancion Hacia Vos” (2014) Guadalupe Gomez, Quique Sinesi
Guadalupe Gomez (voice) Quique Sinesi (guitar) and strings

Cancion Hacia Vos
Guadalupe Gomez / Quique Sinesi
Independiente
2014-11-29





 アルゼンチンのギタリストQuique Sinesiと女性ボーカリストのDuo作品。
 ガットギターと女性ボイスのみ。
 とても静かな空間に響く穏やかな音。
 ギターは言わずもがなのサラサラと流れていくような繊細な音。
 Guadalupe Gomezのはいかにも若手なかわいらしい系。
 透明度高い系の美声、いわゆるキャンディボイス系なのですが、抜群の歌唱力と多彩な表現力。
 かわいい系ながら、貫禄十分。
 ちょっとタメを効かせながら、ほんの少しだけ遅れて置かれていく声。
 これが太くて低い声だとねっとりしそうなのですが、重くなり過ぎず、軽くなり過ぎずの絶妙なバランス。
 加速しながら疾走するテクニカルな高速スキャットな場面もしばしば。
 高音に上がるとキレイに裏返って、どこまでも十二分に伸びて、天上から聞こえてきそうな声・・・
 ・・・ってな感じの最高のボイス。
 楽曲は全曲二人のオリジナル。
 “Danza Sin Fin” (1998)、“7 sueños / Familia” (2012)などに収録された楽曲に歌詞を付けた何曲かも含めて、あの優雅で繊細なQuique Sinesiワールド。
 それらの全編に最高のボーカルが載って、モノクロームあるいは淡い色合いだった景色に、上品で華やかな色が付いた感じでしょうか。
 少し華やかなQuique Sinesiワールド。
 名作。




posted by H.A.



【Disc Review】“7 sueños / Familia” (2012) Quique Sinesi

“7 sueños / Familia” (2013) Quique Sinesi
Quique Sinesi (guitar, piccocolo Guitar, ronroco)
Eiana Liuni (soprano Sax, Clarinet) Horacio Cacoliri (percussion) Patricio Villarejo (cello) Olivido Lanza (violin)



 アルゼンチンのギタリストQuique Sinesiのとても静かなギター。
 訪れた日本の街のイメージを綴った作品集、家族をイメージした組曲の二編。
 ギターのソロ演奏を中心として、楽曲によって木管、バイオリン、チェロなどが彩りを付けていく構成。
 “7 sueños”は“Sense of Quiet” (May.2012) のツアーの際の印象でしょうか?
 ソプラノサックスがサポートする穏やかな“姫路”からスタート。
 ハイテンションな“名古屋”は哀しげなバイオリン、チェロとの絡み合い、雅なアルペジオが背景を彩る“山形”、速いテンポで激しく動く“東京”、のどかな“岡山”、チェロがリードする優雅で重厚な“福岡”、アップテンポでキャッチーな“京都”。
 さまざまな表情。
 それらがそれぞれの街の雰囲気に合っているかどうかは、さて・・・聞く側の感じ方次第。
 いずれも静かで平和、どこか懐かしげで穏やかな音。
 そんな感じだといいんですがねえ。
 “Familia”は静かで哀しげな表情のイントロダクションでスタート。
 “7 sueños”よりも音量を下げて、繊細な音でスタート。
 オーバーダビング含めたギターにパーカッションが彩りをつけ、徐々にテンポと音量を上げながら進む音。
 色々なテイストのメロディアスな楽曲群。
 哀しげだったり、優しげだったり、せわしなさげだったり・・・
 締めはスパニッシュの香り漂うセンチメンタルで美しいメロディ、それを奏でるバイオリンとの絡み合いで幕。
 アンサンブルと穏やかなインタープレーの“7 sueños”と、ギターソロによる美しいメロディを中心として、緩急、哀楽、織り交ざる“Familia”。
 いずれもさり気なくてサラリとした質感、“Danza Sin Fin” (1998)と変わらないQuique Sinesiワールド。




posted by H.A.


【Disc Review】“Macaxeira Fields” (2012) Alexandre Andres

“Macaxeira Fields” (2012) Alexandre Andres
Alexandre Andres (flute, piccolo, guitar, viola, voice)
André Mehmari (piano, Rhose, accordion, electronics, percussion, voice) Rafael Martini, Regina Amaral (piano) Pedro Santana (bass) Gustavo Amaral (bass, voice) Adriano Goyatá (drums, marimba) Antonio Loureiro (drums) Paulo Santos, Decio Ramos (percussion) Tarcisio Braga (vibraphone)
Artur Andrés (flute, percussion) Joana Queiroz (clarinet, clarone) Jonas Vitor (sax) Anor Luciano (trumpet) Alaecio Martins (Trombone)
Ayran Nicodemo, Ravel Lanza (violin) Gerry Varona (viola) Felipe Jose (cello, triangle)
Ilessi, Rafael Martini, Gustavo Amaral, Tatiana Parra, Rafael Martini, Monica Salmaso, Leonora Weissmann, Juan Quintero, Bernardo Maranhao (voice)

マカシェイラ・フィールズ
アレシャンドリ・アンドレス
SPACE SHOWER MUSIC
2013-05-29


 ブラジル、ミナスのシンガーソングライター~フルーティスト~マルチインスツルメンタリストのMPB。
 名作ブラジリアンジャズフュージョン“Macieiras” (2017)に先立つ作品ですが、インスツルメンタル主体のそちらに対して、こちらは全曲にボーカルが入り、ミナス的、あるいはフォルクローレの色が濃いポップス。
 但し、徹底的に凝りまくったポップス。
 André Mehmariがディレクションを務め、彼を筆頭に豪華なゲスト陣を迎えて、凝りに凝ったアンサンブル。
 ストリングス、木管楽器、ホーン陣などが入れ代わり立ち代わりにフィーチャーされながら、要所で前面に出るフルートのアンサンブルとAndré Mehmariのピアノ。
 クラシカルな室内楽風だったり、Beatles風なオーケストラを絡めたり、フォルクローレ風だったり、その他諸々いろんなテイスト、てんこもり。
 そんな動きまくり、変わりまくるサウンドを背景にしつつ、中心となるのはリーダーを中心としたボーカル。
 少々細めの若々しい声はEgberto Gismontiっぽくて趣があるのですが、これまた豪華なゲスト陣が入れ代わり立ち代わり。
 Tatiana Parra, Monica Salmaso, Leonora Weissmann, Juan Quinteroといったスタイリストたちが、キッチリ一曲ずつ前面に立つ構成。
 いろんな演奏、いろんな声が入り混じり、次々と周囲の風景が変わっていくような音ながらも一貫性があるのは、リーダーが作った複雑ながら優しい表情のブラジリアンメロディと、アレンジ~プロデュースの妙ゆえでしょうか。
 ミナスサウンドのMPBと片づけてしてしまうには、あまりにも多彩で豪華で高尚な一作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Menino de Barro” (2014) Renato Matha

“Menino de Barro” (2014) Renato Matha
Renato Motha (vocal, guitars, vibraphone, etc.)
Patricia Lobato (vocal, ganzás) Edson Fernando (vibraphone, percussion)

 ブラジルMinasの男女Duo、Renato Motha, Patricia Lobatoの男性の方、Renato Mothaのソロ名義アルバム。
 Duoでのイニシアティブは彼がとっていたのだろうし、全曲彼のオリジナル曲、Patricia Lobatoも何曲かで参加し、Duoと基本的には同じ空気感。
 但し、もっともっと静かで穏やか。
 冒頭からせせらぎ、鳥、虫の音を載せた、いかにもなオーガニックサウンド。
 ゆったりとした静かなギターと柔らかなボイス。
 もともと静かでゆったりとしたDuoでの作品から、さらに音量を落として、テンポとビートをさらに緩くして、さらに優しく、フォルクローレに寄せた感じのミナスサウンド。
 ギターの弾き語り中心の薄くて静かな音なのですが、さり気なくストリングスが鳴っていたり、曲の最後のわずかな時間だけ木管楽器が聞こえたり、細部まで徹底的に凝った音作り。
 今にも止まりそうなスローテンポな演奏が何曲も。
 ときおりインドっぽい楽器が薄く聞こえたりして、“Shabds” (2007)以来の瞑想ミュージックな感じも少しだけ。
 全編とても静かで穏やか、凝っているのだろうけども、それを感じさせないさり気ない雰囲気。
 セルフカバーを含めて、メロディは相変わらずキャッチーだし、何曲かではPatricia Lobatoの天使の声が聞こえるし、パラダイスのような音。
 効果音に影響されているわけではなく、ホントに水辺にトリップ出来そうな音の流れ。
 私的にはマントラのリフレインの瞑想ミュージックよりも、こちらの方が自然体でトリップ出来そうな音だなあ・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“Suspiracoes” (2011) Patricia Lobato

“Suspiracoes” (2011) Patricia Lobato
Patricia Lobato (voice)
Tiago Costa (piano, keyboards) Sylvinho Mazzucca (bass) André Queiroz Limão (drums)
Renato Motha (guitar, voice, voice trumpet) Serginho Silva (Tamborim, Ganzas)

Suspiracoes
Patricia Lobato
Independent
2014-06-24


 ブラジルMinasの男女Duo、Renato Motha, Patricia Lobatoの女性ボーカリストの方、Patricia Lobatoのソロアルバム。
 おそらく2017年時点で唯一のアルバム。
 ピアノトリオ+ギターを従えたジャジーなMPB作品。
 プロデューサーはRenato Motha、楽曲は彼の作品が中心、Duoでの作品"Rosas para João" (2008)とピアノもベースも同じメンバー、基本的にはDuo作品と同じ色合い。
 が、サンバ~ボッサは一部のみで、素直な4ビートが多い感じでしょう。
 ギターは多くの楽曲で鳴っていますが、ピアノが前面に出る場面が多いこともあって、よりジャズな感じ。
 もちろん前面に出るのが全てPatricia Lobatoの楽園ボイス。
 あのRenato Motha, Patricia Lobatoの楽園サウンドをジャズに寄せて、全編であのシルクのような超美声が聞けるアルバム。
 1940年代のジャズのようなノスタルジックな雰囲気も醸し出しつつの優雅でリラックスした音。
 この人たちのいつもの色合いとはイメージが違うジャケットも、そんな古いジャズの線を狙ったのかな?
 珍しいRenato Mothaのエレキギターも何曲か。
 もし楽曲がジャズスタンダードだったらどうだったのかわかりませが、いつも通りにスタンダードのようにキャッチーでナチュラルなRenato Mothaのメロディ。
 どうアレンジしてもカッコよくなりそうな楽曲に、つつましやかながら手練れたジャズの演奏、極上の美声。
 そんな感じのとても素敵な「ジャズボーカル」アルバム。




posted by H.A.


【Disc Review】"Rosas para João" (2008) Renato Motha, Patricia Lobato

"Rosas para João" (2008) Renato Motha, Patricia Lobato
Renato Motha (guitar, vocal, glockenspiel, samplers, SE) Patricia Lobato (vocal, percussion)
Tiago Costa, Felipe Moreira (piano) Sylvinho Mazzucca (bass) Esdra Ferreira (drums) Serginho Silva (percussion) Mauro Rodrigues (flutes) and more

Rosas para João
Renato Motha E Patrícia Lobato [dist. Tratore]
2013-05-03


 ブラジルMinasの男女Duo、同郷のブラジルの文学作家João Guimarães Rosaへのトリビュート作品集。
 “Dois Em Pessoa” (2003)はポルトガルの詩人の作品、“Shabds” (2007)はマントラがテーマでしたが、言葉からインスパイアされて曲を作るタイプなのでしょうかね?
 どんな作家は情報をもっていないのですが、このDuoのいつもながらに優しく穏やかな音、さらにポップ。
 このDuoの作品、ギターの弾き語り+パーカッションのイメージが強いのですが、ギターのみではなく、“Dois Em Pessoa” (2003)と同様にピアノ、ベース、パーカッション、木管楽器が入ったオーソドックスなボサノバ編成であることも大きいのでしょう。
 こちらの方が普通なのだけども、このDuoの音としては新鮮に聞こえます。
 ボサノバ、ワルツ、フォルクローレ風、フォーク風、ポップス風、その他諸々、楽曲はいつものRenato Mothaを中心としたオリジナル曲。
 この人の曲はどれも巨匠のブラジリアンスタンダード曲のような優雅さ、さらに現代的でキャッチーなメロディ。
 さらにとてもナチュラル。
 いい曲が揃っています。
 中心となるのはRenato Mothaの優し気でほんの少しだけ渋め、ベルベットのような声。
 それに寄り添い、半数ぐらいでは前面に出るPatricia さんの天使の声は言わずもがなの美しさ、シルクのようにサラサラとしていて、上品な艶。
 まあ、何と申しましょうか、凄いボーカルコンビ。
 “Antigas Cantigas” (1999)などの弾き語り中心の音数が絞られた作品の方が、浮遊感、楽園ムードが強いのかもしれないけども、繊細で躍動感もあるバンドサウンドは、それとはまた別種の心地よさ。
 極上のポップス。
 もし時代が1960年代であれば、このアルバム、収録曲もブラジリアンスタンダードになったのかもね。
 今の時代でもまだ間に合うのかな?
 そんな感じの特別な良質感。
 柔らかな陽だまりのようなブラジリアンミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“Shabds” (2007) Renato Motha, Patricia Lobato

“Shabds” (2007) Renato Motha, Patricia Lobato
Renato Motha (guitar, voice trumpet, Synthesizer, conga, tabla) Patricia Lobato (voice, percussion, tabla)
Ronaldo Gino (Programing, Synthesizer)

サウンズ:平和のための揺らぎ
ヘナート・モタ&パトリシア・ロバート
SPACE SHOWER MUSIC
2007-03-21


 ブラジルMinasの男女Duoの瞑想ミュージック。
 “In Mantra” (2009)、“Sunni-E” (2012)に先立つマントラシリーズの第一弾なのだと思います。
 Mantra(≒真言、讃歌、祭詞、呪文、祈祷の言葉?)にメロディを付けた楽曲集。
 メロディ自体は、一部の厳かなものを除けばRenato Motha, Patricia Lobatoのブラジリアンなそれ。
 サウンドもこのDuoの静かで穏やか音なのですが、とても不思議な言葉の響き。
 その短いフレーズの徹底的な繰り返しが、瞑想あるいは陶酔に誘う音の流れ。
 薄目のSEを背景として、ギターと声とパーカッションのみ。
 とても静かでとても穏やか、メロディアスな優しい音。
 アバンギャルドでもなく、哀しげでも沈痛でもない、かといって楽しげでもなく、強く刺激されるわけではない、フワフワとした時間がひたすら続きます。
 悟ったような穏やかさとクールネス。
 “Antigas Cantigas” (1999)あたり、その他のブラジル音楽作品も十二分にトリップできる音でしたが、ここまで来たか・・・というか、ここまでやるか・・・というか、然るべき帰着というか・・・
 誰の企画なのか、誰の志向なのかはわかりませんが、このブラジルDuo元来の美しくて穏やかな音にフィットした音作りなのは確かでしょう。
 マニアックさは少々のみ、過度ではない非日常感も、現実とは大きくは乖離しない程度のちょうどいいバランスのように思います。
 その意味では日常の気分転換、気持ちの清涼剤、あるいは瞑想への入り口にはピッタリなのでしょうねえ。
 ありそうでなかった(?)、ヒーリング&トリップミュージック。
 ヨガ教室のBGMの定番?とのことですが、確かにそんな音です。




posted by H.A.


【Disc Review】“Todas as Cores” (2015) Duo Taufic

“Todas as Cores” (2015) Duo Taufic 
Roberto Taufic (Guitar) Eduardo Taufic (Piano)

Todas as Cores
Duo Taufic
bar buenos aires
2015-04-30


 ブラジルの兄弟、ギターとピアノによるDuo作品。
 イタリアのボーカリストBarbara Casiniとの共演作“Terras” (2016)はオーソドックスな色合いのブラジリアンミュージックでしたが、それに近い時期の録音であろう本作は、静かなブラジリアンジャズフュージョン。
 Calros Aruirre絡みの“Danza Sin Fin” (1998) Quique Sinesiあたりのアルゼンチン現代フォルクローレに近い空気感もある優しい音。
 もう少し都会的で洗練された感じ、アメリカンフュージョンにも近い感じは、イタリアのジャズ、フュージョン、ポップス畑の色合いもあるのでしょうか?
 さておき、静かに、でも複雑に、ときおりの疾走を交えつつ絡み合うギターとピアノ。
 “Terras” (2016)よりも前面に出る場面が多いとても繊細な洗練されたギター。
 この前のDuo作品のプロデューサーはAndre Mehmariとのことで、なるほどのタメと疾走感、躍動感のピアノ。
 さりげないようで超絶、強烈な高速ユニゾンなども挟みつつ続く、ジャストなアンサンブルのオンパレード。
 Jobimナンバー一曲を除いて二人のオリジナル曲。
 懐かし気で美しい、いかにもブラジリアンなメロディ揃い。
 Egberto Gismonti的な超絶技巧なハードな曲も何曲か・・・と思っていたら、当人からのメッセージも寄せられているようです。
 などなど、スパイスが効いた場面もありますが、基本的には静かで美しい優しい音。
 たっぷりのエコーが効いた素晴らしい録音も手伝って、ギターのソロが始まると周囲の湿度が下がるような気がするし、ピアノのソロが始まると少し温度が上がるような感覚でしょうか。
 流れていると周囲の空気が浄化されていくような、清廉で上質な空気感。
 とてもとても洗練されたブラジリアンアコースティックDuoの一作。


 

posted by H.A.

【Disc Review】 “Terras” (2016) Duo Taufic, Barbara Casini

“Terras” (2016) Duo Taufic, Barbara Casini
Barbara Casini (Voice) Roberto Taufic (Guitar) Eduardo Taufic (Piano)

Terras
Duo Taufic
Via Veneto Jazz
2016-04-01


 イタリア在住のブラジリアンボーカリストBarbara Casini、ブラジルの兄弟Duoとのトリオ作品。
 Barbara Casini、同じくトリオでのハードなサンバ”Outro Lado” (1990)、あるいは 大御所Enrico Rava との“Vento” (1999)ではしっとり系のボサノバ。
 本作はその中間ぐらい、硬軟織り交ぜつつも抑制されたボサノバ~サンバ~ブラジリアンミュージック。 
 Taufic 兄弟はベテラン?の実力派なのでしょう、Robertoさんがイタリア在住のようですね。
 Edu Lobo, Dori Caymmiなどのブラジルの名曲が中心。
 キラキラと静かに煌めくようなピアノと静かなギターを背景に、美しくてほんの少しスモーキー、いかにもブラジリアンな優しい声でサラリと歌うBarbara Casini。
 躍動感は強いのですが、ドラム、ベース、パーカッションがいない分だけ、静かで穏やかな音の流れ。
 繊細で三者の出す音の細部が見えるような音作り。
 Andre Mehmariを穏やかに抑制的にしたようなピアノ。
 というか、クラシック寄りのブラジリアンピアノの典型的な音使いなのかもしれません。
 激しく動きまくり跳ねまくりますが、クラシックの色合いも混ざる上品な音の流れ、スローテンポではたっぷりのタメを効かせ、時に突っ走る、タダモノではない感が漂う音使い。
 ギターはジャズ畑、ポップス畑でももまれたのであろう、ソツのない洗練された音。
 派手な動きはピアノに譲って、静かで穏やかな土台を作るような演奏。
 そんな音を背景にして、硬軟、緩急、激穏、さまざまな表情、貫禄十分の歌。
 聞き慣れてしまった有名曲ではなく、どこかで聞いたことがあるのだけども曲名も作者も思い出せない、そんなさり気なくて上質なメロディを奏でる上品な演奏。
 現代的ながらもなぜか懐かし気な音の流れ。
 イタリアン&ブラジリアンな一作。




posted by H.A.

【Disc Review】"Resiliência" (2016) Vinícius Gomes

"Resiliência" (2016) Vinícius Gomes
Vinícius Gomes (Guitar)
Gustavo Bugni (Piano) Bruno Migotto (bass) Edu Ribeiro (drums) Rodrigo Ursaia (Sax)
Rubinho Antunes (Trumpet) Daniel de Paula (drums)
Ricardo Takahashi, Daniel Moreira (violin) Daniel Pires (Viola) Vana Bock (Cello)



 ブラジル、サンパウロの若手ギタリストVinícius Gomesのブラジリアンコンテンポラリージャズ作品。
 ゲストで参加した“Fronteira” (2017) Rafa Castroのようなフォルクローレ的コンテンポラリージャズではなくて、少々複雑系のハイテンションジャズ。
 ギターはToninho Horta的ではなくて、Chico Pinheiro的というか、コンテンポラリージャズ的というか。
 クリーントーン、加速しながらテクニカルなフレーズを流麗に紡いでいくスタイル。
 背景を固めるピアノトリオ、ギターと代わる代わるに前面に立つサックスはアメリカンな色合いのコンテンポラリージャズ。
 複雑なビート、メカニカルなメロディに複雑な編曲。
 クールなサックスに飛び跳ねるピアノ、自由に動いているようでピッタリと収まるドラムとベース。
 サックスとギター、あるいはピアノが同時に即興演奏を行っていくような場面がちらほら、新しい線を狙っているのでしょう。
 ちょっと聞いただけだとニューヨーク系かと思うような音の流れ。
 ガットギターが出てくると、やっぱりブラジル系・・・とも思うのですが、全編フリービート、ルバートでの超スローバラードはバンド全員がECM的な演奏だったり・・・
 あるいは、近年、ブラジルではストリングスカルテットを絡めるのが流行っているのでしょうか?本作でも冒頭曲で彩りを加えています。
 などなど、いろんな要素が絡み合うような音、全体のイメージはあくまでコンテンポラリージャズ。
 このあたりがフォロクローレ系ではない、ジャズ寄りのブラジルの若手の主流な音なのでしょうかね。
 これならCrissCross、Blue Noteあたりから出ていてもおかしくない色合い。
 そんなジャズな一作。




posted by H.A.
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