吉祥寺JazzSyndicate

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2017年10月

【Disc Review】“Piano Solito” (2016) Sebastian Macchi

“Piano Solito” (2016) Sebastian Macchi
Sebastian Macchi (piano)

Piano solito
Sebastian Macchi
Shagrada Medra / bar buenos aires
2016-11-30

 
 アルゼンチンのピアニストSebastian Macchiのソロピアノ作品。
 ここまでのバンド作品“Luz de agua: Poemas de Juan L.Ortiz- Canciones” (2005), “Luz de agua: Otras canciones” (2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva、それらの名作とは少し印象が異なります。
 とても静かな音ですが、ビートが整ったキリっとした音。
 揺らぐ時間というよりも、静かで端正、淡い色合いのピアノミュージック
 やはり師匠Carlos Aguirreのピアノソロ作品“Caminos” (2006) に近いものを感じます。
 ジャズともクラシックともフォルクローレとも違う質感、それらの断片が交錯しながら積み上げられていく音。
 その意味では“Tokyo Solo” (2013) Andre Mehmariあたりにも近いのですが、もっと静かで淡々とした音。
 しばしばタメの入るCarlos AguirreAndre Mehmariのピアノに対して、スッキリとまとまった端正でクールなピアノ。
 過度に感情を表出するのではなく、静かに淡々と音を紡いでいくイメージ。
 もちろん楽曲はあの美しいSebastian Macchiのメロディ、センチメンタルな音の流れ。
 どこか懐かし気な南米アーティスト特有の空気感。
 派手さ、刺激がない分、穏やかな時間。
 静かで穏やかで優しい人なのでしょう。
 最初から最後まで、そんなピアノミュージック。




posted by H.A.



【Disc Review】“Luz de agua: Otras canciones” (2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva

“Luz de agua: Otras canciones” (2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva
Sebastian Macchi (piano, voice) Claudio Bolzani (guitar, voice) Fernando Silva (bass)
Negro Aguirre (percusión)

Luz de agua : Otras canciones
Sebastián Macchi
bar buenos aires
2015-06-28



 アルゼンチン、現代フォルクローレのトリオ、名作“Luz de agua: Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones” (2005)の続編。
 本作のテーマも「光と水」、アルゼンチンの詩人Juan L. Ortizの作品の楽曲化。
 前作と同様にSebastian Macchiのメロディが中心ですが、他のメンバーのメロディも何曲か。
 前作と比べると、テンポが上がって、明るくポップ度が高い、Aca Seca Trioっぽい演奏も目立ちます。
 ・・・と思っていたらそのメンバーも参加していましたね。
 ともあれ、鳥のさえずり、子どもの声などがコラージュされる全体の空気感は10年前の前作と同様。
 全体を支配するのはSebastian Macchiの繊細なメロディとピアノ、Claudio Bolzaniの儚げな声。
 より儚く繊細なのは前作かもしれませんが、全編スローだった前作と比べると、アップテンポなビート、わずかながらに使われる電子音を含めて、音のイメージのバリエーションが増え、次々と周囲の景色が変わっていくような展開。
 凝ったアレンジ、コーラスワークの場面も増え、より洗練された感じがします。
 完璧なアンサンブルと、端々に聞こえるピアノ、ギターのオブリガードの美しい事。
 前作が早朝のような音だったとすれば、本作は午前。
 ちょっと温度感が上がって、諸々の営みが動き出したイメージの空気感。
 静謐な揺らぎの前作、躍動感が加わった本作、どちらがいいかはお好み次第。




posted by H.A.


【Disc Review】“Luz de agua: Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones” (2005) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva

“Luz de agua: Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones” (2005) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva 
Sebastian Macchi (piano, voice) Claudio Bolzani (guitar, voice) Fernando Silva (bass, cello, berimbau)
Carlos Aguirre (guitar, percussion) Leandro Drago (keyboard) Jose Luiz Viggiano (percussion)

Luz de agua : Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones
Sebastián Macchi - Claudio Bolzani - Fernando Silva
bar buenos aires
2016-01-31


 アルゼンチン、現代フォルクローレのトリオのとても優しい音楽。
 ゲストで参加もしているCarlos Aguirreのレーベルから。
 名作“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004)、“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)の間の制作。
 楽曲、ピアノ、ボイス、コーラスの使い方、その他諸々、Carlos Aguirreの世界。
 本作のテーマは「光と水」。
 アルゼンチンの詩人Juan L. Ortizの作品にSebastian Macchiがメロディを付けた楽曲集。
 いかにもな企画といえばその通りなのですが、企画負け一切なしの素晴らしい音。
 とてもとても繊細な「光と水」の印象そのまま。
 全編漂うようなゆったりとしたテンポと、瑞々しく静謐な空気感。
 Sebastian Macchiの零れ落ちるようなピアノを中心としたサウンドに、Claudio Bolzaniの儚げなボイス。
 Sebastian Macchiのメロディ、ピアノはCarlos Aguirreに近しい感じですが、ボイスはもっと線が細くて儚げ。
 端々の細かなメロディ、音の動きがさり気なく悲し気で美しくて・・・
 静かに穏やかに流れるサウンドは、柔らかに注ぐ光、穏やかに流れる水、柔らかに吹く風・・・って書いてしまうと少女趣味(死語?)のように思えて恥ずかしいのだけども、本当にそうなのだから仕方ありません。
 内省的、耽美的なんて言葉を聞くと、いまだにBill Evansかヨーロッパ系のジャズを想い起こしてしまうのですが、21世紀型の内省的、耽美的な音は、南米発のこの系の音かもなあ・・・と思ったりします。
 悲痛だったり陰鬱だったりする感じではなく、あくまで淡々とした感じ、爽やかでクールな、さり気ない美しさと哀感。
 そんなとても繊細な音です。




posted by H.A.


【Disc Review】“Diente de Leon” (2015-2017) Andres Marino & Lucia Boffo

“Diente de Leon” (2015-2017) Andres Marino & Lucia Boffo
Andres Marino (piano) Lucia Boffo (voice)
Sebastian de Urquiza (bass, voice) Matias Sheines, Gabriel Gowezniansky (violin)

DIENTE DE LEON [ライナーノーツつき]
ANDRES MARINO & LUCIA BOFFO
インパートメント
2017-06-18



 アルゼンチン、現代フォルクローレのDuo。
 女性ボーカルとピアノとのDuoは、古い時代のJazzからの定番でしょうが、近年の南米系でも下のような佳作が多数。他にもたくさんあるのでしょう。
  “Aqui” (2010), “Lighthouse” (2014), “Hand In Hand” (2016) Tatiana Parra
  “Casa” (2016) Gisele De Santi
 激しくアップダウンする音の流れは “Aqui” (2010) , “Hand In Hand” (2016)に近いイメージもあるのですが、もっとクラシック寄りでしっとりとした感じ。
 ピアノに加えて、バイオリン、ベースがストリングスオーケストラのように響き、それを背景に漂うクラシック、ジャズ、ポップスの色合いが交錯する、朗々とした美しいボイス。
 ウイスパー系、静かに歌うスタイルではなく、堂々と声を出していくタイプ。
 ベースはフォルクローレな質感ですが、クラシックの色合い、ポップな色合いも混ざりつつの優雅な音の流れ。
 オリジナル曲のメロディは、クラシック的な流れで複雑にアップダウンし、予想外の方向に動くスタイルが中心。
 いわゆる美メロというよりは、テクニカルな感じ。
 ビートが強いと、あるいは音が優しくなければ激しい系にもなりそうですが、あくまでゆったりと漂い揺れ動くような穏やかな音の流れ。
 ピアノはジャズの人なのかもしれませんが、オーソドックスなクラシックの人のようにも聞こえます。
 透明度の高い美しい音を含めてヨーロッパ的な空気感。
 ECM系に比べると素直でポップ、ナチュラルでオーソドックスな質感。
 タイトルは“タンポポ”。
 間に挟まれる鳥の声、水の音含めて自然への敬意を託した音なのでしょう。
 近年のアルゼンチン、現代フォルクローレの定番の空気感、少々テンション高めのクラシック寄りな音。




posted by H.A.

【Disc Review】“Sin Palo” (2011) Juan Pablo Di Leone

“Sin Palo” (2011) Juan Pablo Di Leone
Juan Pablo Di Leone (flutes, voice, piano, harmonica, percussion, keyboards)
Carlos Aguirre, Hernán Jacinto (piano) Andrés Beeuwsaert (Keyboards) Nicolás Ibarburu (guitar)
Fernando Silva, Pablo Giménez, Quique Ferrari, Fancisco Fattoruso (bass)
Martín Ibarburu (drums, cajón) Facundo Guevara (percussión) Mariano Cantero (drums, percussion, accesorios, cajón peruano) Roberta Cunha Valente (pandeiro) Juan Quintero, Luna Monti (voice)
 フルートを中心としたマルイチインスツルメンタリストJuan Pablo Di Leoneの現代フォルクローレ。
 “Andrés Beeuwsaert” (2015)など、Andrés BeeuwsaertAca Seca Trioの諸作に参加していた人。
 彼らに加えてCarlos Aguirre閥などなど、豪華なサポート陣。
 Carlos Aguirreに通じる現代フォルクローレがベース、水彩画のジャケットアートもいかにもなそれ系ではあるのですが、強めのビートのラテンフュージョン、AOR風ポップス、などなど、いろいろな色合いが交錯するアルバム。
 本人のメイン楽器?であろうフルートを前面にフィーチャーするだけではなく、ピアノを弾いたり(上手い!)、歌ってみたり。
 楽曲は、ウルグアイのHugo Fattoruso、アルゼンチンのGustavo Leguizamonが何曲か取り上げられ、その他Carlos Aguirreなどなど。
 冒頭二曲は穏やかで優し気な現代フォルクローレ。
 旧い曲なのだと思うのですが、現代のヒットチャートに載っておかしくないキャッチーなメロディの素晴らしい演奏。
 この線か・・と思っていると、続くはキメの多いラテンフュージョン、さらに続くCarlos Aguirreナンバーもハイテンションな演奏。
 ・・・てな感じで、いろんな色合いの楽曲が交錯します。
 南米の近年の若手アーティスト、実験的な要素を入れ込む人も少なくない中、この人の場合はいずれもポップ。
 この種の音楽の定番のしっとり系も何曲かありますが、情緒に浸る感じではなく、明るく元気でカラッとした感じ。
 ロック、ポップスはほとんど聞かなくなってしまいましたが、このくらい南米フォルクローレやジャズが混ざった感じだとちょうどいい感じ。
 とても素敵な南米ポップス、現代版。




posted by H.A.

【Disc Review】“Sombra de Ombu” (2009) Belen Ile

“Sombra de Ombu” (2009) Belen Ile
Belen Ile (Vocal)
Carlos Aguirre (Piano, Guitar, Rhodes) Andres Beeuwsaert (Piano) Antonio Restucci (Guitar, Mandolin) Juan Quintero (Guitar, Vocal)
Fernando Silva (Fretless, Bass, Cello)
Mariano Cantero (Percusion) and others

 アルゼンチンのボーカリストBelen Ileの現代フォルクローレ。
 Carlos Aguirreがサポートし、彼のバンドのメンバー、さらにAca Seca Trioのメンバーも加わる、現代フォルクローレオールスターないかにもそれらしい系の音。
 冒頭からCarlos Aguirreナンバーのとても切ないメロディ。
 ピアノとギターが絡み合う漂うような音の流れ。
 その上を泳ぐような透明度の高い美しく儚げなソプラノボイス。
 いやはやCarlos Aguirreワールドです。
 そんな曲が何曲かあり、全体の印象もそれらのしっとりとしたイメージが強く残ります。
 ボーカルもそれらしいしっとり系。
 が、どうもこの人、元気系、スパニッシュな感じがお好みっぽく、アップテンポな楽曲、強いビートの楽曲では、いかにもフラメンコ系な香りもする、あるいはタンゴの香りがする強いボイス。
 ファンクっぽい楽曲もあったりしますが、あくまで音数が絞られたアコースティックなファンク。
 全体のサウンドは美しいピアノと瑞々しいギターが絡み合う現代フォルクローレな音、但し、元気系。
 Carlos AguirreバンドのベーシストFernando Silvaのフレットレス?エレキベースがしっかり効いています。
 センチメンタルで内省的なイメージと、元気で情熱的なイメージが交錯する演奏群。
 どの曲もキャッチ―です。
 現代フォルクローレというよりも、現代アルゼンチンポップス、ナチュラル系といった感じでしょうかね。
 ま、カテゴライズすること自体が時代遅れなのでしょう。
 アルゼンチン発、極めて上質なポップス、です。




【Disc Review】“Como Dibujo Agua” (2009) Mario Gusso

“Como Dibujo Agua” (2009) Mario Gusso
Mario Gusso (percussion, kalimba)
Sebastian Macchi (piano) Javier Lozano (piano, rhodes) Maria Elia (piano, voice) 
Diego Penelas, Joaquín Errandonea (Guitar, Voice) Sebastian Esposito, Cesar Silva, Pepe Luna (guitar) 
Willy González, Carlos Marmo, Guillermo Delgado (bass)
Micaela Vita (Voice) Franco Luciani (harmonica) 

COMO DIBUJO DEL AGUA
MARIO GUSSO(マリオ・グッソ)
PAI
2010-08-15


 アルゼンチンジャズ、現代フォルクローレのパーカッショニストのリーダー作。
 Carlos Aguirre 閥の人なのかどうかはわからないのですが、Carlos Aguirre的大名作の“Luz de agua: Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones” (2005)のピアノ、Sebastian Macchiの参加に惹かれて聞いてみた一作。
 フォルクローレ、ジャズ、ソウル、ポップス・・・などなど、いろんな色合いがフュージョンする、アルゼンチン・ジャズ・フュージョン。
 楽曲の提供者によって音のイメージは異なります。
 何曲かのSebastian Macchiの楽曲は、Carlos Aguirre的、繊細な現代フォルクローレ。
 その他諸々、スパニッシュ風ギターが前面に出たり、女性ボーカルがフィーチャーされたり、アメリカ南部ロック風だったり、やはり繊細なピアノが全体を支配したり・・・
 ってな感じで、定番の繊細なガラス細工のような現代フォルクローレではなく、元気なジャズフュージョン。
 あるいはそれらがフュージョンし、交錯するアルバム。
 目立つのはリーダーの激しいドラムと、Willy Gonzálezの前面に出て動きまくるエレキベース。
 ちょっと強めの音ですが、なんだかんだで、優し気で懐かし気な空気感は南米の人特有の色合い。
 ブラジリアンなジャズは最高ですが、アルゼンチンなジャズもとてもカッコいい。
 その現代的な若者の音。


※Willy Gonzálezのバンドから。
 

posted by H.A.


【Disc Review】“Fairytales” (1982, 1979) Radka Toneff

“Fairytales” (Feb.1982, 1979) Radka Toneff
Radka Toneff (voice) Steve Dobrogosz (piano)

フェアリーテイルズ (BOM13001)
ラドカ・トネフ
ボンバ・レコード
2015-11-21


 ノルウェーの女性ジャズボーカリストRadka Toneff、ピアノとのDuo作品。
 とてつもなく美しく、悲しいアルバム。
 アメリカ~スウェーデンのピアニストSteve Dobrogoszは、クラシックのムードも纏った美しく上品な音。
 決して派手ではありませんが、時折のタメ、零れ落ちるような、浮遊するような音使いを含めて、ECMでリーダー作があってもおかしくない、いかにもヨーロッパジャズなピアノ。
 その上を漂うような、透明度の高い可憐なボイス。
 線が細めに聞こえること、上の方で微妙に裏返る事も含めて、とても繊細で儚い歌。
 ポップスからの選曲、“My Funny Valentine”、”Nature Boy”といったスタンダード。
 大きなフェイクもなく、奇をてらったアレンジもありません。
 際立って美しい声とピアノ、全編スローで徹底的に静謐な事を除けば、この時代の作品にはたくさんありそうな構成。
 ECMの名作“Somewhere Called Home” (1986) Norma Winstoneあたりに近い感じではあるのですが、もっとポップで、もっと普通にジャジー。
 静かで淡々とした色合いは、あの時代の北欧ジャズの静かで美しい佳作、確かに妖精だなあ・・・とサラリと聞き流してしまうかもしれません。
 が、なぜか微かに漂う凄み。
 その根源はよくわかりません。
 事実としては、Radka Toneffは本セッションの数ヶ月後に自殺したとのこと・・・
 ・・・
 似た感じだからといって他のアルバムと並べるのはちょっと畏れ多い。
 大名作です。




posted by H.A.

【Disc Review】“Stomach Is Burning” (2006) Melanie De Biasio

“Stomach Is Burning” (2006) Melanie De Biasio 
Melanie De Biasio (vocal)
Pascal Mohy (Piano) Pascal Paulus (Keyboads) Axel Gilain (Bass) Teun Verbruggen (Drums) Steve Houben (Sax, Flute)



 ベルギーのボーカリストMelanie De Biasioの静かなコンテンポラリージャズ作品。
 ピアノトリオに管楽器のオーソドックスな編成。
 零れ落ちるようなピアノ音と柔らかなグルーヴがいかにもなヨーロピアンテイスト。
 ボイスは低音な感じでほんの少しハスキー。
 漂うようなウイスパー系。
 “My man's gone now”なんてスタンダードも入り、ウッドベースとハイハットと交錯してスイングする、オーソドックスな質感の4ビートも多いのですが、あくまでコンテンポラリージャズな空気感。
 ときおり電子楽器も混ざるけども、あくまでアコースティック。
 ECMっぽくもあるし、ポップスっぽくもるけども、あくまでジャズ。
 絶妙なバランスの静かな音。
 とてもクールでダークな夜のジャズ、現代版。




posted by H.A.


【Disc Review】“Intimidade” (2017) Guinga, Stefania Tallini

“Intimidade” (2017) Guinga, Stefania Tallini
Guinga (voice) Stefania Tallini (paino)

Intimidade
Tallini Stefania
Alfamusic
2017-03-24


 ブラジルのギタリスト&ボーカリストGuingaとイタリアのジャズピアニスト Stefania TalliniとのDuo作品。
 全曲スローテンポ、徹底的なまでの静謐な音。
 Guingaさんの作品、特に彼のボーカルが前面に出ると、あまりにもムーディーに過ぎて・・・・・・なのですが、このアルバム、もう、その極めつけ。
 ギターの登場場面はわずかで、ほぼ、美しく端正なピアノとボイスのみ。
 ギターとボイスのみの“Porto Da Madama” (2015), “Cancao da Impermanencia” (2016) と空気感は近いのですが、ピアノが徹底的に端正な分、カジュアルさがなくなった感じ。
 スーツとイブニングドレスで盛装したようなブラジリアンバラード集。
 Stefania Tallini、おそらくは何でも弾けてしまうジャズの人なのだろうと思いますが、本作ではあくまで終始抑制された静かな音、ゆったりとした静かなビート。
 優雅なブラジリアンクラシックな色合いのピアノ。
 Jobimその他のブラジルの巨匠の楽曲に本人のオリジナル。
 聞き慣れたはずのJobimナンバー、テンポを落としているだけで奇をてらったアレンジではないのだけども、何か違ったものに聞こえてしまいます。
 美人なピアニストStefania Talliniとのツーショットを見ている、ちょいワルおやじ、なんて死語?を思い出してしまうのですが、ここまでしっとりとしてしまうと、ちょっとあざと過ぎてねえ・・・
 ま、秋の夜長に低く流すには最高でしょう。
 いずれにしても静謐度100%、Chill度120%、唯一無二とも思える凄いアルバムです。




posted by H.A.


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