吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2017年09月

【Disc Review】“Paris, Texas” (1985) Ry Cooder

“Paris, Texas” (1985) Ry Cooder
Ry Cooder, David Lindley, Jim Dickinson (Performer)



 Ry Cooderの映画音楽。
 もちろん全編で例のスライドギターが鳴っているのですが、いつもの諸作とはイメージが異なります。
 とても静かでゆったりとした音の流れ。
 寂し気で悲し気な音。
 スぺクタルでも、深刻な悲劇でもなさそうな、極めて日常的な何気ないやるせなさ。
 そんな空気感を醸し出す、遠くで響いているような、ギター+αの余白の多い、薄い音、少ない音数の空間。
 ソロ、少人数での演奏が中心ゆえの、定まるような定まらないような、漂うような音の流れ。
 いつもよりシンプルな構成の楽曲、コードの繰り返しゆえの穏やかな高揚感と陶酔感。
 ルーズでレイドバックして聞こえるはずのスライドギターが、寂し気に幻想的に弾きます。
 極めて何気ないのだけども、なぜか別世界へのトリップミュージック。
 とても素敵な音楽です。

 このアルバムがECM的だ、と強弁するつもりはありませんが、とても静かな“Silent Light” (2016) Dominic Millerを聞いてこのアルバム、その他Ry Cooder諸作をなぜか思い出してしまいました。
 きっとどこか繋がっているんでしょうね・・・?

 なお、映画『パリ、テキサス』(1984)を近年になってようやく観ましたが、予想の何倍も素晴らしい、この音楽そのもの、上記のコメントがそのまま当てはまる、素敵な作品でした。




posted by H.A.




【Disc Review】“Bop Till You Drop” (1979) Ry Cooder

“Bop Till You Drop” (1979) Ry Cooder
Ry Cooder (guitars, mandolin, vocals)
Ronnie Barron (organ, guitar, keyboards) Patrick Henderson (organ, keyboards) David Lindley (guitar, mandolin) Tim Drummond (bass) Milt Holland (percussion, drums) Jim Keltner (drums)
Bill Johnson, Herman E. Johnson, Jimmy Adams, Cliff Givens, Chaka Khan, Bobby King, Randy Lorenzo, George "Biggie" McFadden, Simon Pico Payne, Greg Prestopino (vocals)

Bop till you drop
Ry Cooder
Import
2000-01-01


 Ry Cooder、大名作“Paradise and Lunch” (1974)、“Chicken Skin Music” (1976)、“Jazz” (1978)に続くヒットアルバム。
 ポップス~AORなRy Cooder。
 ・・・っても、音が小綺麗に整理され、洗練され、上記の作品のルーズでレイドバックしたムードが薄くなっただけなのだと思うのですが、空気感が全く違って聞こえます。
 お洒落なTV-CMで使われて、大人気だったように記憶していますが、そんな音。
 ここまでの作品の埃っぽさが一掃され、あのギターも、何のことはないお兄さんが口ずさんでいるようなボーカルもシャープに響きます。
 もちろんアレンジも、楽器、コーラスのアンサンブルも完璧。
 透明度の高い録音、個々の楽器やボイスの粒立ちも完璧。
 何か特別なものが無くなってしまったようにも感じるのですが、そんなことはオヤジのたわごと。
 ジャケットのように、カウボーイスタイルからスーツに着替えたRy Cooder。
 とてもとてもいい感じのポップス~アメリカンロックポップス。
 “Lonesome CarBoy”ってな、音にピッタリなネーミングのカーオーディオのCMで流れていたと思っていたのだけども、それは別のアルバムからのようですね。
 いずれにしても、とても懐かしい素敵な音。




posted by H.A.

【Disc Review】“Showtime” (1977) Ry Cooder

“Showtime” (1977) Ry Cooder
Ry Cooder (guitars, voice)
Jesse Ponce (bajo sexton) Flaco Jiménez (Accordion) Henry Ojeda (bass) Isaac Garcia (drums)
Frank Villareal (alto sax) Terry Evans, Eldrige King, Bobby King (voice)

ショー・タイム(ライヴ)<紙ジャケット仕様>
ライ・クーダー
WARNER MUSIC JAPAN(WP)(M)
2007-08-08


 Ry Cooder、大名作の二作“Chicken Skin Music”(1976)と“Jazz” (1978)の間のライブ録音。
 “Paradise and Lunch” (1974)、“Chicken Skin Music” (1976)的な音と、それまでのアルバムをミックスしたような、テックス・メックスとサザンロックが交錯するステージ。
 カントリーとソウルとブルースとニューオリンズファンクとメキシコ音楽、その他諸々がフュージョンする音。
 ライブということもあり、“Paradise and Lunch” (1974)のように、神がかった感じでいろんな楽器、何本ものギターが複雑に絡み合う感じではないのですが、その分シンプルでスッキリ。
 ギタートリオとボーカル、コーラスを中心として、アコーディオンやサックスその他が加わるシンプルな音作りは、諸作とはまた別種の優雅でのどかな音。
 まわりになーんにもないハイウエイにポツンとあるバーで、ワイワイやってるようなお気楽で楽し気な空気感。
 ちょっと前のアメリカ映画によく出てきた雰囲気ですねえ。
 元気で、明るくて、楽し気で、ゆるくて、少々の哀感。
 こりゃ気持ちいいや。




posted by H.A.


【Disc Review】“Paradise and Lunch” (1974) Ry Cooder

“Paradise and Lunch” (1974) Ry Cooder
Ry Cooder (guitars, mandolin, vocals)
Ronnie Barron (piano, organ) Russ Titelman, Chris Ethridge (electric bass) Red Callender, John Duke (bass) Milt Holland (drums, percussion) Jim Keltner (drums)
Plas Johnson (alto sax) Oscar Brashear (cornet)
Bobby King, Gene Mumford, Bill Johnson, George McCurn, Walter Cook, Richard Jones, Russ Titelman, Karl Russell (voices)
Earl Hines (piano)

Paradise and Lunch
Ry Cooder
Mobile Fidelity
2017-03-24


 夏の終わったころに聞きたくなる音、Ry Cooderの大傑作。
 アメリカンロックのベストアルバムは"No Reason to Cry" (1975, 1976) Eric Claptonだと勝手に思っているのですが、もっとアメリカ南部な感じなのはこちら。
 ま、Ericさんはイギリスの人ですし・・・
 ストレートなアメリカンロック色が強かったここまでの作品に対して、本作、あるいはこの前の”Boomer's Story” (1972)あたりから音が変わってきているようにように思います。
 ロックというよりも、ブルース、ソウル、ニューオリンズファンク、カントリー、アメリカ南部とメキシコが混ざり合う、いわゆるテックス・メックス、レイドバックしまくった音。
 音の密度と音圧が下がった感じで、ディストーションが掛かったギターもあまり出てきません。
 アメリカオンリーから、その周辺国の音へと広がっていく端緒でしょうか?
 ゆるーいようで完璧な組み立て。
 前後左右、いろんなところからいろんなギターやコーラスが飛び出してくる、とても素敵な音作り。
 小さな音で聞いているとサラリと流れてしまうのかもしれないけども、大きな音、あるいはヘッドホンで聞くと、気持ちよさ最高。
 計算づくでやったのか、自然体でこうなってしまうのか、完璧なアンサンブル。
 ジャズピアノやサックスなども入り乱れてジャジーなムードも醸し出しつつ、あの時代の大らかでのんびりしたアメリカ南部な空気感が最初から最後まで。
 ちょっとした埃っぽさも、それがいい感じですねえ。
 Eric ClaptonLittle FeatThe BandThe Allman Brothers Bandも神様のような人たちだけど、こんな感じのゆるくて心地よい演奏は少なかったと思うなあ・・・
 まさにParadise。
 次も大傑作“Chicken Skin Music” (1976)。
 この期のRy Cooderは最高。




posted by H.A.


【Disc Review】“21 Broken Melodies At Once” (2000) Alfredo Triff

“21 Broken Melodies At Once” (2000) Alfredo Triff 
Alfredo Triff (Violin, Piano, Mandola)
Andy Gonzalez (Acoustic Bass) Negro Horacio Hernandez, Robbie Ameen (Drums) Román Diaz (Congas)
Yosvany Terry Cabrera (Reeds) Xiomara Lougart (Voice)

21 Broken Melodies at Once
Alfredo Triff
Justin Time Records
2001-06-26


 キューバ出身、Kip HanrahanバンドのバイオリニストAlfredo Triffのリーダー作。
 もちろんAmerican Claveから。
 Kip Hanrahan作品への参加は “Days and Nights of Blue Luck Inverted” (1988-1989)からでしょうか?
 彼の作る音のイメージ、妖しさと緊張感を決定付けていたのが、物悲し気なバイオリン。 
 特に“A Thousand Nights And A Night: Red Nights” (1996)のシリーズなどはその音が無ければ全く違うイメージになっていたようにも思います。
 本作、過激なジャケットアートにタイトル通りに21曲の変則な構成は、さぞかし過激な内容かと・・・?
 確かにそんな場面もありますが、基本的にはあのKip Hanrahanワールド。
 Kip Hanrahanの楽曲の断片があちこちに・・・というか、そのイメージを決定づけていたのがこの人の出す音、メロディだったのかもしれません。
 変幻自在のビートに、妖しく絡み合う悲し気なバイオリンと女性のボイス。
 次と景色が変わるように、Kip Hanrahanの音楽の妖しいショットのみを抜き出したコラージュのような音の流れ。
 でもKip Hanrahan諸作と比べると、オシャレな感じが無くなり、よりマニアックな世界に潜り込み、さらにそれがどこかあっけらかんと聞こえるのが、この人の色合いなのでしょうか?
 それに逆に凄みを感じてしまうのは警戒しすぎでしょうか?
 ニューヨーク、あるいはハバナの危険ゾーンの香り。
 やはり危ない。




posted by H.A.

【Disc Review】“Yo!” (2000-2001) Silvana Deluigi

“Yo!” (2000-2001) Silvana Deluigi
Silvana Deluigi (Voices)
Pablo Ziegler, Gustavo Beytelmann, Osvaldo Calo (Piano) Horacio Malvicino (Guitar) Walter Castro, Horacio Romo (Bandoneon) Horacio "Mono" Hurtado, Andy González (Bass) Steve Swallow (Electric Bass) Robby Ameen (Percussion)
Fernando Suárez Paz, Alfredo Triff (Violin)

YO!
SILVANA DELUIGI
ewe
2007-06-27


 Kip HanrahanのレーベルAmerican ClaveからAstor Piazzollaへのトリビュート。
 フィーチャーされるのはアルゼンチンの女性ボーカリストSilvana Deluigi。
 Kip Hanrahan作品にフィーチャーされていた囁き系、クール系の人ではなく、少々ハスキーな声で情感たっぷりに歌うオーソドックスな?タンゴ系の人。
 さらに”Tango: Zero Hour” (1986) Astor Piazzollaを制作したメンバーに、Kip Hanrahanバンドのメンバーが加わる構成。
 Astor Piazzolla色のタンゴが中心ではあるのですが、Kip Hanrahanはもちろん、Jack Bruce、さらにはメキシコ曲、Edú Lobo、Chico Buarqueといったブラジル曲なども加えた多彩な楽曲。
 楽曲ごとに編成を変えながら、Astor Piazzolla色とKip Hanrahan色が混ざり合い、交錯する構成。
 一貫しているのはダークで緊張感の高い空気感。
 冒頭のタンゴスタンダード”La Cumparsita”は、妖し気なバイオリンとソリッドなエレキベースのKip Hanrahanの色合いに染まっています。
 Astor Piazzolla、その相棒Pablo Zieglerの楽曲は、強烈な哀感が直接的に表出するAstor Piazzollaの色合い。
 ブラジル曲は強い浮遊感と妖し気なバイオリン、フリー掛かったピアノが交錯する、これまたKip Hanrahan風。
 やはり名作"A Thousand Nights And A Night: Red Nights” (1996)を想い出してしまします。
 さらに、ソロピアノで演奏されるタンゴ、Astor Piazzollaバンドではあまり目立たなかったHoracio Malvicinoが前面にフィーチャーされたジャズっぽいタンゴもカッコいい。
 ・・・ってな感じで、いつものアフロキューバンの強烈なビートではありませんが、さまざまな南米的な要素をごちゃまぜにし、さらに妖し気で緊張感の高い現代のアンダーグランド色でコーティングし、なぜかタンゴ系のボイスがしっかり映える音作り。
 ブエノスアイレスなのか、ニューヨークなのか分かりませんが、どこかの都会の片隅、うらびれた街角の空気が交錯する、少し沈んだ、妖しく危ない空気感。
 さすがKip Hanrahanの現代タンゴ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Caipira” (2017) Mônica Salmaso

“Caipira” (2017) Mônica Salmaso
Mônica Salmaso (Voice)
André Mehmari (piano) Neymar Dias (viola caipira, bass) Toninho Ferragutti (accordion, voice) Teco Cardoso (flutes) Nailor Proveta (clarinette, tenor sax) Robertinho Silva (percussion) Sergio Santos (voice, guitar) Rolando Bldrin (voice)

Caipira
Biscoito Fino
2017-08-21


 ブラジルのボーカリストMônica Salmasoの最新作。
 とても静かで優雅、強い浮遊感。
 とてもわかりやすいのだけども、アートな雰囲気のMPB。
 “Corpo de Baile” (2014)から新作がない、と思っていましたが、出てました・・・
 そちらはストリングス入り、個性の強いGuinga曲集でしたが、本作は少人数の編成でのインティメイトな音作りのオーソドックスなブラジル曲集。
 新旧のしっとり系の楽曲を、ゆったりと静かにフワフワした音を出すバンドと、静かに穏やかに漂うミステリアスなスモーキーボイス。
 お洒落なボッサや元気なサンバはありませんが、ブラジリアンフォルクローレ的な音、ミナス的な音、バイーア的な音、ショーロ的な音、クラシックな音、その他諸々がフュージョンする音。
 旧くからの盟友André Mehmariが三曲に参加し、うち一曲はSergio Santosとのトリオでのバラード。
 名前から想像されるような最高の音。
 その他全体でも彼らの作品の空気感にも近いのですが、もっと穏やかで、山奥っぽいブラジリアンネイティブな音。
 背景を作る音の主役はアコーディオンとギター(ヴィオラ?10弦のヤツ?)でしょうか。
 ドラムレスで強い浮遊感の優雅な音は、前作のようにストリングスが入るとさらに優雅になるのでしょうが、空白の多い空間にときおり管楽器が音を出すスタイルは、素朴でかつ優雅。
 ビートが上がってもその優雅さ、穏やかさはそのまま。
 いろんな楽器が入れ代わり立ち代わり出てくるスタイルは、シンプルでさり気ないようで計算しつくされた音作りなのでしょう。
 もちろんメロディは終始郷愁感が漂うブラジリアンな音の流れ。
 いつもながらにどこか遠いところ、遠い時代に連れて行ってくれるトリップミュージック。
 素朴なようで洗練の極み・・・
 ・・・てな感じで、いつも通りの形容になってしまうのですが、高尚に過ぎずほどほどポップなバランスは、諸作の中でも本作が一番和むかもしれません。
 ジャケットはシルクでもベルベットでもないストローのハットに、色調を落とした微妙なカラーのポートレート。
 今年の私的ジャケット大賞はこれ。たぶん。
 中身もナチュラルで優雅で、アンティークなようで新しい、そんな音。





 リーダー作、並びに参加作。私が知る限り。
 ハズレなしの名作揃いですが、最近の静かで穏やかな作品も素晴らしいのですが、初期も名作揃い。
 ジャズな“Nem 1 ai”、ポップな“Iaiá”もいいなあ。
 さて、どれがベストか?・・・判断不可ですかねえ・・・

 “Afro-sambas” (1995) with Paulo Bellinati
Trampolim” (1998)
Voadeira” (1999)
Nem 1 ai” (2000)
 “Lachrimae” (2003) Andre Mehmari 
Iaiá” (2004)
“Noites de Gala, ao vivo” (2008)
 “De Arvores E Valsas” (2008) Andre Mehmari 
 “Veja o Som (See the Sound)” (2009-2010) Jovino Santos Neto 
 “Canteiro” (2010, 2011) André Mehmari 
 “Orillania” (2012) Carlos Aguirre 
Corpo de Baile” (2014)
 “Porto Da Madama” (2015) Guinga 
Caipira” (2017)

posted by H.A.

【Disc Review】“Clareia” (2017) Sabrina Malheiros

“Clareia” (2017) Sabrina Malheiros
Sabrina Malheiros (Vocals, Guitar)
Zé Carlos Santos (Acoustic Guitar) Kiko Continentino (Electric Piano, Synthesizer)
Alex Malheiros (Bass, Backing Vocals) Ian Moreira, Jakaré (Percussion)
Daniel Maunick (Programming, Synthesizer)
Marcelo Martins (Flutes), Leo Gandelman (Sax, Flute)

Clareia
Far Out Recordings
2017-07-28


 ブラジルのボーカリストSabrina Malheirosの最新作。
 バンドのメンバーはAzymuthの父上Alex Malheirosを含めて、十数年前のデビュー作“Equilibria” (2005)とほぼ同じ。
 プロデューサーも同じくIncognitoのファミリーのDaniel Maunick。
 ってな感じで、こちらも変わらないブラジリアンIncognitoなダンサブル・ブラジリアンファンク。
 冒頭から1980年代にタイムスリップしたかのような、ブリティッシュファンク、あるいはAORな音。
 チョッパーベースにタイトなドラム、フルートの涼し気な響きにクールな歌声、ギターのカッティングに少々懐かし気なシンセサイザーの音。
 “New Morning” (2008)に比べると、サウンドはよりシンプルになり、デビューアルバム“Equilibria” (2005)に戻ったようにも感じます。
 そちらよりもデジタルっぽさは薄くなりましたが、デビュー時十数年から基本的なサウンドは変わりません。
 少々悲し気でキャッチーなメロディもそのまま。
一度聞いただけで頭に残るほどの強烈な美メロはないにせよ、捨て曲なしの名曲揃いなことも、どのアルバムも共通。
 ちょっとビートを落としてルーズな音作りにすると、郷愁感が強くなって、もっと今風のブラジルっぽく浮遊感の強い音になるのかもしれませんが、ま、このタイトな感じがこの人の色合いなのでしょう。
 Incognitoもさることながら、“Night-Birds” (1982) Shakatak を想い起こしてしまうのは、ブリティッシュファンクの色合いゆえ。
 ま、あちらもブラジルの香りもあったので通じる音になるのは必然なのですかね。
 ってな感じで、あの時代のオシャレでバブリーな懐かしいような空気感。
 この時代、希少・・・なのかな?




posted by H.A.


【Disc Review】“New Morning” (2008) Sabrina Malheiros

“New Morning” (2008) Sabrina Malheiros
Sabrina Malheiros (Vocals)
José Roberto Bertrami (Organ, Piano, Synthesizer) Fernando Moraes (Clavier, Clavinet, Fender Rhodes, Organ, Piano, Synthesizer) Zé Carlos (Guitar)
Alex Malheiros (Bass, Guitar, Vocals) Saulo Bezerra De Melo (Bass)
Paulo Braga, Ivan Conti (Drums) João Hermeto, Zero (Percussion)
Idriss Boudrioua (Alto Sax) Paulo Guimarães (Flute, Piccolo) Eduardo Neves, Fernando Neves (Flute, Sax) Jessé Sadoc (Trumpet) Vittor Santos (Trombone)
Leticia Dias, Valéria Lobão, Márcio Lott (Vocals)
Arthur Verocai (Guitar, Tenor Sax) 
Daniel Maunick (Programming, Sound Effects, Synthesizer)
and Strings

ニュー・モーニング
サブリナ・マリェイロス
ビクターエンタテインメント
2008-06-25


 ブラジルのボーカリストSabrina Malheirosのセカンド?アルバム。
 MPBの重鎮Arthur Verocaiも参加していますが、先の“Equilibria” (2005)と同様にプロデューサーはIncognitoのファミリーのDaniel Maunick。
 ブラジル的Incognitoサウンドというか、イタリアンなクラブジャズサウンドボッサというか・・・
 基本的には前作と同じテイストですが、少人数で作ったのであろう前作に比べるとデジタルっぽさが薄くなり、シンセサイザーではない本物のストリングス、ホーンなども加わりゴージャスな音作り。
 よりクールなのは前作かもしれませんが、いかにも気合入ってます、な音作り。
 リーダーのボイスは、サラリとナチュラルに歌うスタイルが板についてきたようにも感じます。
 ガッチリ作りこまれたアレンジ、厚めでゴージャスなバックサウンドと、サラリとクールな歌の好対照。
 楽曲は本人に加えて、父上Alex Malheiros、Arthur Verocai、などのオリジナルを中心として、Carole Kingの”It's Too Late”など。
 本作も前作に引き続きそこはかとない哀愁が漂うキャッチーなメロディ揃い。
 前作に引き続き、捨て曲なしのカッコいいメロディ、アレンジの楽曲が並びます。
 私的にはもっと薄くて軽いサウンドの方が好みなのですが、こちらの方が一般受けはするのでしょうかね?
 オシャレで、ポップでダンサブル。
 おまけにゴージャスなブラジリアンファンクな一作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Equilibria” (2005) Sabrina Malheiros

“Equilibria” (2005) Sabrina Malheiros
Sabrina Malheiros (Vocals)
Zé Carlos Santos, Jean-Paul "Bluey" Maunick (Guitar) Kiko Continentino (Piano, Electric Piano, Organ) Alex Malheiros (Bass, Guitar, Keyboard, Backing Vocals) Chico Batera (Drums, Percussion) and others

Equilibria
Sabrina Malheiros
Far Out UK
2005-08-02


 ブラジルのボーカリストSabrina Malheirosのデビュー作。
 あのブラジリアンフュージョンバンドAzymuthのベーシストの娘さん。
 ボイスは、ウイスパー系ではない透明度の高い可憐系。
 お父上も参加してAzymuthサウンドか?と思いきや、少々空気感は異なります。
 エレピよりもギターが前面に出ることもあるのですが、ビート感が少々堅め、懐かしい感じのフュージョンサウンドと現代的なクラブ系ボッサがフュージョンした音。
 クレジットを見てみると、レーベルはイギリスのFar Out Recordings、プロデューサーはあのIncognitoのJean-Paul 'Bluey' Maunickのお子さんDaniel Maunick。
 なるほど・・・な1980~90年代ブリティッシュファンク~フュージョンな感じも混ざった音。
 メンバーはブラジル系中心で、ビートはボサノバ中心ですが、ブラジルなのかイギリスなのかイタリアなのかよくわかりません。
 とにもかくにもオシャレでスタイリッシュ、カッチリした感じのビート感強めのボサノバサウンド。
 ちょっと前のクラブあたりで流行ったような感じがありあり。
 さらにいかにも"Bluey"なギター(もちろん本人)のカッティングと、最近あまり効かなくなった感じのシンセの響きが要所にフィーチャーされます。
 そんなポップでオシャレな感じ。
 楽曲は本人に加えて、父上Alex Malheiros、Daniel Maunickなどのオリジナル曲中心。
 これまた都会的で洗練されたオシャレな感じの楽曲が揃っています。
 さすがの完成度とポピュラリティ。
 ときおりの少々のデジタル臭はご愛敬。
 クールでキャッチーなブラジリアンファンク~ポップス。
 ・・・最近はあまり聞かれなくなったサウンドではあるのかな?




posted by H.A.
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