“edição comemorativa: 10 anos de lançamento” (1998) André Mehmari, Celio Barros
André Mehmari (piano, flute, guitar, synthesizer, Rhodes, bandolim, percussion, etc.) Celio Barros (bass)
Sergio Reze (drums) Luca Raele (clarinete) Renato Martins (percussion)
ブラジルのスーパーピアニストAndré Mehmari、若き日の、同じくブラジル人ベーシストの双頭リーダー作。
当時の作品、アルバムからのオムニバスなのだと思いますが、詳細は分かりません。
トリオ、Duo、ソロ、ギターやアコーディオンを交えたアンサンブルなどなど、さまざまな編成でのさまざまな演奏。
穏やかで優し気なメロディと瑞々しく美しい音。
この人ならではの独特の浮遊感、遠くを見るような郷愁感。
”Forcas D'Alma” (1999) Tutty Moreno、“nem 1 ai” (2000) Monica Salmasoなどの参加作品を聞くと、初期はジャズっぽい演奏なのですが、そればかりではないようです。
本作、確かにピアノトリオ、あるいはベースとのDuoで現代的ながらオーソドックスなジャズな演奏も目立ちます。
それらはBill Evansの香りが漂う最高のジャズピアノ。
それらはBill Evansの香りが漂う最高のジャズピアノ。
が、クラシック風あり、奇数拍子のフォルクローレ風あり、優しく穏やかなポップス風のインスツルメンタル曲あり、現代音楽的なアバンギャルド風味あり、バンドリンなどを交えたブラジリアンエスニックな演奏あり・・・
ってな感じで、後のAndré Mehmariの音楽がこの時点で揃っています。
ないのは歌のみ、でしょうか。
ピアノはこの時点から圧倒的な演奏力。
時折見せる、欧米の若手代表選手?Leszek_Mozdzer、Tigran_Hamasyanに匹敵するような、指に加速装置が付いているとしか思えないような疾走感。
欧米の彼らと比べるとトゲや毒気が薄く、身構えて聞かなくてもいいのがこの人の色合い。
さらに要所でしっかりとタメが効いて、伸び縮みするようなビート。
本作では一曲一曲が短いこともあってか、全編通じて凄まじい・・・といった感じではありません。
また、全体で物語を綴るような構成は、まだありません。
が、只モノではない感が漂う演奏揃い。
冒頭のDuo、ルバートでのバラード”Prologo”から、クラシックとジャズとミナスが入り混じるような瑞々しくも美しい音。
アグレッシブにあちこちに跳びまわるソロピアノで演奏するGismontiナンバー"Loro"なんて最高。
ガシガシ弾き倒しているようでフワフワした浮遊感があるのものこの人ならではの色合い。
ベースのCelio Barrosはおそらくジャズの人なのでしょう。
しっかりしたグルーヴに硬軟織り交ぜカッコいい音使い。
全部Duoで作ってしまえば、また違った凄い作品になりそうな予感。(あるのかな?)
全編通じた浮遊感とセンチメンタルなメロディは、後の傑作“Lachrimae” (2003)が生まれる予感、十分。
やはりこの期からタダモノではありません。
・・・ってもこれも廃盤なのかな?
※別の時期のトリオから。
posted by H.A.