吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2017年05月

【Disc Review】“Odyssey” (1975) Terje Rypdal

“Odyssey” (1975) Terje Rypdal
Terje Rypdal (Guitar, Synthesizer, Soprano Saxophone)
Brynjulf Blix (Organ) Sveinung Hovensjø (Bass) Svein Christiansen (Drums) Torbjørn Sunde (Trombone)

オデッセイ
テリエ・リピダル
ポリドール
1999-09-15


 ノルウェーの大御所ギタリストTerje Rypdal、若き日のECM作品。
 ディストーションの効いたロックなギターは苦手な立場としては、積極的には聞いてこなかったのですが、ECMを聞いていると避けては通れない人。
 慣れてしまえば結構いけるというか、素晴らしい演奏があります。
 本作もそんな一作。
 冒頭からフリービートのルバートでのバラードが続きます。
 オルガンの響きとディストーションがかかった泣きのギンギンギターが、それでいてジャジーな空気は"Caravanserai" (Feb-May.1972) Santanaを想い起こします。
 そんな漂うような演奏が、一曲目だけでなく二曲目の冒頭まで5分以上続き、三曲目などは十数分間ずーっとそれ。
 アルバム全体では半分ぐらいがそんな感じ。
 とてもドラマチック。
 これはカッコいい。
 ファンクなビートが入り、シンセサイザーが乗ってきても、ジャジーなムードは消えません。
 ハードロック、プログレッシブロックからというよりは、エレクトリックMilesからの流れを汲むイメージのファンクジャズ。
 一つのリズム、コードのパターンをひたすら繰り返すリズム隊の上を、縦横無尽に駆け巡るギターとトロンボーン。
 シンセサイザーが出る場面が少ないこともあり、スペーシー、文字通り宇宙的な感じがあり、ギターは紛うことなきロックギターなのですが、ビート感はロックロックしてはおらず、ジャジーな空気感が流れています。
 もちろんアコースティック4ビートな感じはゼロだし、ギターからは全くジャズは感じません。
 ジャズファンよりもロックファン、プログレッシブロックファンへの受けの方がいいのでしょうけども、ありそうでなかなかない感じは、いかにもECMというか、さすがECMというか・・・
 リーダーのギター以外は結構しっとり系なんですがね・・・
 だからカッコいいのか。




 posted by H.A.


【Disc Review】“Sart” (Apl.1971) Jan Garbarek, Bobo Stenson, Terje Rypdal, Arild Andersen, Jon Christensen

“Sart” (Apl.1971) Jan Garbarek, Bobo Stenson, Terje Rypdal, Arild Andersen, Jon Christensen
Jan Garbarek (tenor, bass saxophone) Bobo Stenson (piano , Electric Piano) Terje Rypdal (guitar) Arild Andersen (double bass) Jon Cristensen (percussion)
 
Sart
Universal Music International Ltda.
1989-09-04

 北欧のスーパーアーティスト、若き日の彼らが結集したバンド。
‎ ”Afric Pepperbird” (Sep.1970) Jan GarbarekのメンバーにピアニストBobo Stensonが加わる形。
 同時期このアルバムのリズム隊で名作“Underwear” (1971) Bobo Stensonが制作されています。
 流れからすれば”Witchi-Tai-To” (Nov.1973) Jan Garbarek, Bobo Stenson Quartetの予告編的な感じではありますが、ジャズ的な色合いが強いそれよりも過激。
 サイケで陰鬱で沈痛な音。
 ワウをかけたギターのサイケなリフからスタート。
 ゆったりしたヘビーなリフは“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969) Miles Davisのタイトル曲を想起しますが、それに透明度の高い美しいピアノが絡みつき、地の底から這い出てくるようなテナーがクダを巻く・・・ってな感じの不思議なムード。
 激しくロック的になりそうなバンドを、背景で美しく鳴るピアノがノーブルな世界に引き留めようとしている・・・ってな感じの妙なバランス。
 ヘビーな印象の楽曲を含めて、全体を牽引するのはJan Garbarekなのでしょう。
 もちろん後まで続く彼のハイテンションな音ですが、フリージャズ的な音の流れが多く、後期John Coltrane、あるいはArchie Sheppの影響が多大だったんだなあ、と改めて思ったり。
 その他、エレピとフルートが後の“Return to Forever” (Feb.1972) Chick Coreaっぽい場面があったり、Ornette Colemanっぽい曲があったり、ズルズルグチョグチョなギターが前面に出る場面はJimi Hendrixっぽかったり。
 一曲のみのアコ―スティック4ビート曲“Irr”でのArild Andersenの凄まじいベースは45年後の今日まで続く彼の音。
 もし彼がJan Garbarek, Bobo Stenson Quartet、あるいは“Belonging” (Apl.1974) Keith Jarrettに参加していたら、もっと凄いことになったんだろうなあ、と思ったり。
 Bobo Stenson美しく切れ味鋭いピアノもこの時点から。
 Terje Rypdalの適当な居場所がなさそうで、フィーチャーされるのはわずかのみ。
 アコースティックなバンドでズルズルグチョグチョなギターがどこまで映えるのか、あるいは、もしJimi Hendrixがウッドベース入りのジャズバンドを従えて演奏したら・・・ってな妄想が出来たりも・・・
 ってな感じで、なんだかわけのわからないフリージャズ的音楽、といったことではなくて、1970年前後のクリエイティブ系な要素をいろいろ集めて消化中、あるいはそれらの結節点的な作品、といった感じでしょうか。
 この後、Terje Rypdalはドラマチックロックな我が道を行き、Arild Andersenは“Clouds In My Head” (1975)などのジャズフュージョン路線、Jan Garbarek, Bobo Stenson, Jon Cristensen はいかにもECMなハイテンションジャズ”Witchi-Tai-To” (Nov.1973)、さらにはKeith Jarrettとつながり、“Belonging” (Apl.1974)へと歩を進めます。
 やはり結節点、あるいは分岐点的な作品ですかね、たぶん。




 posted by H.A.


‎【Disc Review】”Afric Pepperbird” (Sep.1970) Jan Garbarek Quartet

‎”Afric Pepperbird” (Sep.1970) Jan Garbarek Quartet
Jan Garbarek (tenor, bass saxophone)
Terje Rypdal (guitar) Arild Andersen (double bass) Jon Cristensen (percussion)

Afric Pepperbird
Universal Music International Ltda.
1990-10-01

 
 ノルウェーのサックスJan Garbarekの初期作品。
 ECMとしても初期、発足して一桁台の作品でしょうか。
 北欧人脈でのアバンギャルドなファンクジャズ、あるいはフリー的ジャズ。
 ロック色ファンク色も強いのですが、“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969) Miles Davisの色合いでもない、不思議なバランスの一作。
 フリージャズが半分ぐらいですが、一つのリフをひたすら繰り返すジャズファンクの流儀も目立ちます。
 ヒタヒタと迫ってくるようなJon Cristensenお得意のビートは“Bitches Brew”のJack Dejohnette的ではあります。
 モードからジャズファンクへの変化の途上、ロック色を強く取り入れる途上、John Coltrane的、Ornette Coleman的フリージャズ、さらにはエスニックテイストも取り入れつつ、新しいスタイルを模索中といったところでしょうか。
 リーダーのサックスはやりたい放題。
 後の作品では絶叫、フリーキーなフレージングは多用しても、音色自体は綺麗な人だと思っていたのですが、この期では妙な音も使いまくり。
 肉声っぽい音を混ぜたり、サックスなのか何なのかわからないDewey Redman的な妖し気な音、時には後期John Coltrane的な絶叫があったり・・・
 Archie Sheppのようなザラついた歪んだ音で吹き倒す場面も多く、この人にしては珍しい感じ。
 ビートの作り方含めて、意外にもArchie Sheppからの影響が強かったのかあ・・・と思ったりもします。
 Terje Rypdal はディストーションを使ったズルズルなハードロックギターではなく、クリーントーンでのサイケなフレージング。
 妖しさ120%。
 ギンギンなギターを主力にしたのは、この後なのでしょうかね?
 プログレッシブロックな曲もあるのですが、あくまでジャズっぽいのはベースとドラムのビート感ゆえでしょう。
 恐ろし気なメンバーでの激しい音楽ですが、後の作品”Witchi-Tai-To” (Nov.1973) あたりの方が怖いというか、緊張感は上かもしれません。
 ECMとしてもレーベルカラー作り、新しい音を求めての試行錯誤の途上だったのでしょう。
 さまざまな要素の寄せ集めのようでアルバムとしてもまとまっているのは、さすがJan Garbarekというか、ECMというか。
 1970年代当初のドロドロとした空気感を想像するにはちょうどいい感じのアルバムなのでしょう。


 

 posted by H.A.

【Disc Review】“Playing” (1980) Old and New Dreams

“Playing” (1980) Old and New Dreams
Don Cherry (pocket trumpet, piano) Dewey Redman (tenor sax, musette) Charlie Haden (bass) Ed Blackwell (drums)
 
Playing
Old & New Dreams
Ecm Records
1994-10-25


 Ornette Coleman所縁のメンバーのバンドOld and New Dreams、ライブ作品。
 ECMではこれが最後ですが、もう一作、ライブ録音”A Tribute to Blackwell” (1987)があるようです。
 前作“Old and New Dreams” (1979)と比べると、よりジャズ的。
 ここまでの作品と同様に、Ornetteナンバーが数曲、他はメンバーのオリジナルですが、エスニック色は抑えめ、普通にインプロビゼーションの場面が多い分、よりジャズっぽく聞こえるのでしょう。
 たっぷりフィーチャーされるDewey Redman が普通にジャズなサックスを吹いていることも大きいのかもしれません。
 ミュゼットを吹き出すと別世界に行ってしまいますが・・・
 フロント陣はもちろん、Charlie Haden、Ed Blackwellも快調に飛ばしています。
 カッコいいハイテンションなピアノレスジャズ。
 Dewey Redman のサックスソロの場面を聞いていると、Keith Jarrettアメリカンカルテットを想い起こす場面もしばしば。
 あのバンドはOrnette色が強いバンドだったこと、フロントに立つDewey Redman もさることながら、Charlie Hadenの存在も大きかったんだなあ・・・とかあらためて思ったり。
 先に進むにつれだんだん妖し気な曲、演奏が増えてきますが、そこもこのバンドならではの色合い。
 この時点で1960年代フリージャズから十数年。
 果たしてその進化はあったのか、無かったのか?
 Keith Jarrett諸作からECM、さらに一定の枠組みのあるフリージャズぐらいまではまずまずいけるくらいの立場としては、まだまだこの先の深い世界は不勉強で・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“Old and New Dreams” (1979) Old and New Dreams

“Old and New Dreams” (1979) Old and New Dreams
Don Cherry (pocket trumpet, piano(?)) Dewey Redman (tenor sax, musette) Charlie Haden (bass) Ed Blackwell (drums)
 
Old & New Dreams
Don Cherry & Dewey Redman
Ecm Records
2001-05-08


 Ornette Coleman所縁のメンバーのバンドOld and New DreamsのECM作品。
 同タイトルのデビュー作“Old and New Dreams” (Oct.1976)から何作かは別レーベルでザラついた感じ、アグレッシブなOrnette的ジャズでしたが、さすがにECMだと少し雰囲気が変わってきます。
 冒頭は10分を超える長尺なあの"Lonely Woman”。
 奇をてらったアレンジではなく、オリジナルに近いのですが、ECM的な透明度が高い音と緊張感。
 マシンガンのようなベースと陶酔感を誘いつつヒタヒタと迫ってくるようなドラムが背景を作り、Don Cherry がリード、Dewey Redmanのサックスが絡みつく構成。
 これにKeith Jarrettが入ると・・・そこまで行かずともSteve KuhnRichie Beirachあたり、この時期のECMハウスピアニストが入るともっとECMっぽく、凄い演奏になったんだろうなあ・・・とかは贅沢な妄想。
 過剰に熱くなることのないクールな音、どことなく突き放したようなムード。
 ハードボイルドです。
 Ornetteがもう一曲、それはOrnetteなジャズですが、他のメンバーのオリジナル曲はエスニックテイストが強い演奏。
 難解さはありませんが、なんだか不思議で妖し気な演奏が揃っています。
 さらにその上にECMならではの静謐でひんやりとしたクールネスが加わり、独特の音。
 無音の空間に響くトランペット、ベース、ミュゼットがカッコいい場面がしばしば。
 なんだかんだでアメリカっぽくて、その意味ではECM的ではないのかもしれませんが、全編通じてハードボイルド、妖しさ満点。
 前作に引き続き、甘いメロディがない、男くさいクールネス。 
 やはりピアノレスが正解なのでしょう。

 


posted by H.A.


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