吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2016年12月

【Disc Review】“Atmospheres” (2014) Tigran Hamasyan, Arve Henriksen, Eivind Aarset, Jan Bang

“Atmospheres” (2014) Tigran Hamasyan, Arve Henriksen, Eivind Aarset, Jan Bang 
Tigran Hamasyan (piano) Arve Henriksen (trumpet) Eivind Aarset (guitar) Jan Bang (electronics, live sampling)
 
ATMOSPHERES
V/A
ECM
2016-08-31
ティグラン・ハマシヤン

 アルメニア出身のスーパーピアニストTigran Hamasyan のECM第二弾、CD二枚組。
 メンバー4人の共同名義作品なのかもしれません。
 突出した演奏力、エスニック色・・・などなど、以前からあるんだろうなあ、と思っていたこの人のECMへの参画。
 元々強かったクラシック色、Georges I. Gurdjieffへの傾倒、東欧~中東的なエスニック色はピッタリだとしても、激烈色がどうなるのか?興味津々。
 リリース順では前作にあたる”Luys i Luso” (Oct.2014)は、コーラス隊を交えた教会音楽系の作品でしたが、本作は敬虔なムードはそのまま、ジャズ的?編成の作品。
 発表は前後しますが、録音は前作よりも本作の方が先、“Mockroot” (May.2014) の次月の録音のようです。
 メンバーは知る人ぞ知る人選。
 Arve Henriksen は“Kyanos” (2001) Jon Balke & Magnetic North Orchestra、 “Liberetto” (2012) Lars Danielssonなどに参加していた北欧の寂寥感の塊のような人。 
 彼のECMでの作品"Cartography" (2008)にTigran以外の三人の北欧勢は揃っていたので、彼が中心メンバーなのかもしれません。それとは音のイメージは違いますが。 
 Eivind AarsetはNils Petter Molvær の“Khmer” (1996-1997)、“Er” (2005) などに参加しているNils Petter Molværハンドのメンバー、未来的クリエイティブ系。 
 Jan Bang はNils Petter Molvær の“Er”、“Libera Me” (2004) Lars Danielssonなどに参加していた人。
 ECMなのかACTなのか、Nils Petter MolværなのかLars Danielssonなのか、アルメニアなのかドイツなのかノルウェーなのかスウェーデンなのか、中世なのか未来なのか・・・、たった四人なのになんだかすごい集まり。
 ま、どう考えても普通にジャズなどにはなりませんが、ここまでのTigranの作品とも全く違う音。
 というか、同じアーティストの作品とは思えません。

 フリーインプロビゼーションではないのだと思いますが、多くの楽曲がメンバー連名。アルメニアの宗教家?&音楽家Komitasの楽曲が三分の一ほど。
 ECMに移籍する直前の録音“Mockroot” (2014)までは激しい音でしたが、本作はとても静かな環境音楽的な静音ジャズ(最近この言葉、聞きませんね)、いや、ジャズ的でもありません。
 静かなピアノと寂寥感の塊のようなトランペットを中心とした穏やかに漂うような音。
 ギター、電子楽器は控え目な背景の音作りに徹しています。
 ピアノもクラシック的で、明度を落として、遠くから聞こえてくるような音。
 
 CD一枚目、静かに漂うような物悲し気なムードの抽象的な音の流れが続きます。
 Komitasの楽曲になるとメロディがはっきり見え、トランぺットとピアノの漂うような絡み合い。 
 中盤からやっとビートが入り躍動を始めますが、長くは続きません。
 再び音量を落とし、遠くから響くようなピアノと、トランペットが浮遊する静かで物悲しい空気の流れが続きます。
 CD二枚目に入ってもそのムードは変わりません。
 静かで不思議なフリージャズ的、フリーインプロビゼーション的な演奏が続きます。
 全編通じてとても穏やかですが、美しいメロディやノリのいいビートといった、世俗的なモノを超越したような音。
 これを流しながら静かに瞑想・・・なんて感じが合っているように思いますし、どこか違う世界にトリップ、あるいは心が浄化され、安らぐ・・・かもしれません。
 スーパージャズピアニストぶりも聞きたい所ではあるのですが、さて、次はどこに向かうのでしょう。

 近年、この人を含めて若手〜中堅のクリエイティブ系のアーティストが続々とECMに集結しているように思います。
 各々、レーベルの色合いに合っているかどうかはさておき、やはりECMにはそんな人たちを惹きつける何かがあるのでしょうし、参加するアーティストは何か持っている個性的でクリエイティブな人たちなのでしょう。
 次はLeszek Mozdzer、あるいはKurt RosenwinkelGilad HekselmanMike Morenoあたりか・・・?
 まさかの南米系、 Andrés BeeuwsaertAndré MehmariCarlos Aguirreとかはないだろうなあ・・・?




posted by H.A.






【Disc Review】“Mockroot” (2014) Tigran Hamasyan

“Mockroot” (2014) Tigran Hamasyan
Tigran Hamasyan (Piano, Keyboards, Sound Effects, Synthesizer, Vocals)
Sam Minaie, Chris Tordini (Bass) Arthur Hnatek (Drums, Electronics) Nate Wood (Drums) 
Ben Wendel (Saxophone) Gayanée Movsisyan, Areni Agabian (Vocals)
 
Mockroot
Tigran Hamasyan
Nonesuch
2015-02-03
ティグラン・ハマシヤン

 アルメニア出身のピアニストTigran Hamasyan、"Shadow Theater" (2013)に続く、アルメニアン・プログレッシブロック・ジャズってなアルバム。
 ECMからの最新作“Atmospheres” (Jun.2014)の前月の録音のようです。
 “Liberetto” (2012)、“Liberetto II” (2014) Lars Danielssonなどの客演ではスーパーなジャズピアニストですが、リーダー作ではジャズの枠組みには収まらないすごい音楽。
 コアメンバーは前作"Shadow Theater"と同じ、音楽的にも近い感じでしょう。
 幻想とエスニックムードが絡み合うハードなプログレッシブロック・ジャズ、ここに極まれり、ってな感じ。
 冒頭から幻想的なボイスに導かれるイントロダクション。
 何拍子か分からない、どこでブレークが入って切り返すか予想できない強烈で複雑なビートが入って、不思議感が漂うメロディのエスニックテイスト全開、ロックなジャズ。
 ゲストが要所で入るものの、基本的にはピアノトリオ+ボイスなのですが、そうとは思えない重厚な音作り。 
 妖しげなムードを醸し出すアルメニアン?トラディショナル曲をはさみながら、これまた妖しげでハードなオリジナル曲が並びます。
 ヘビーな変拍子、押し寄せてくるようにビートが次々と変わっていくのは、初期の“New Era” (2007)の一部の曲からの手法。
 少し沈んだテイスト、中世的、エスニックなメロディと、目くるめくように展開する複雑でヘビーなビート、複雑な展開。
 とてもドラマチックです。
 ちょっと聞きでは重々しく深刻で勇ましい系、演奏も激烈ですが、ここまでの彼の作品通り、陰鬱でも沈痛でもなく、カラッとした空気感。
 これが彼の頭の中で鳴っていた音、ここまでの集大成なのでしょうね。
 ジャズファンとしてはどこまでもカッ飛んでいくスーパージャズピアニストTigranを聞きたくともあるのですが、あのピアノのジャズ的な強烈なインプロビゼーションの場面は少々のみ。
 それだけでカッコいい作品が出来てしまうはずなのですが、それはやりたいことでは無いのでしょう。
 前々作“A Fable” (2010)、前作"Shadow Theater" (2013)は、Verveレーベルからでしたが、本作は曲者、クリエイティブ系も揃っていたNonesuchから。
 さすがにVerveでは手に余りましたか・・・
 ・・・かどうかはわかりませんが、さらに今はECMに移籍、作風は完全に変わっています。
 現状の所、ハードでヘビー、激烈でアルメニアンエスニックな変拍子切り替わり型プログレッシブロック・ジャズのTigran Hamasyanの最近作にして、おそらく集大成。




posted by H.A.


【Disc Review】“A Fable” (2010) Tigran Hamasyan

“A Fable” (2010) Tigran Hamasyan
Tigran Hamasyan (piano, voice)
 
Fable
Tigran Hamasyan
Verve
2011-09-27
ティグラン・ハマシヤン

 アルメニア出身のスーパーピアニストTigran Hamasyan、ピアノソロ作品。
 ジャズとも、クラシックとも、ワールドミュージックともつかない、それらが入り混じったような音。
 何曲かではスキャットを中心としたvoice、パーカッションが入る不思議なテイストのソロ作品。
 オリジナル曲を中心として、アルメニア系の伝統曲?教会系曲?、さらに同じくアルメニアのGeorges I. Gurdjieffが一曲、ジャズスタンダードが一曲加わります。
 いろいろ混ざっているようで、どれも同じテイスト。
 アルメニア系を前面に出していく方向が絞られた作品なのかもしれません。
 全編不思議で妖しいムード。
 いきなり中世のサーカスのような妖しげな短いイントロダクションからスタート。
 続くは複雑で強烈なビートに乗って疾走するピアノと、幻想的なボイスが交錯する、後々まで続くこの人独自の世界。
 演奏力はいわずもがなのすごさ。
 とても美しいパキーンとしたピアノなのですが、聞き慣れない音階と、これまたパキーンとしていながら変幻自在、目くるめくようなこの人独特のビート。
 ノリもグルーヴもブレークも強烈ですが、ジャズっぽくはありません。
 指にバネか加速装置が付いているのかと思うような、ビートに乗ってくるとどこまでも突っ走っていきそうな疾走感、かつ強力で美しいタッチ。
 クラシック的なのか、ジャズ的なのか、いまだによくわかりませんが、全く迷いの感じられない小気味いいピアノ。
 ゴツゴツしていて硬質なようで、しなやかな筋肉のような音の流れ。
 そんな音、そんな演奏が続きます。
 “Someday My Prince Will Come”も、リズムこそ素直にワルツ、メロディもきちんと出しているようで、ちょっとずれている感じがとても妖しげ。
 ロマンチックなようで、やはりどこかしら中世的な空気が漂います。
 などなど、全編妖しげで神秘的なムード、情緒的なムードも強いのですが、どこかあっけらかんとしていて、沈痛さや陰鬱さがあまりないのは、現代の若者だからでしょうか?

 現代の若手~中堅では、この人に加えてポーランドのLeszek MozdzerMarcin Wasilewskiが傑出しているように思うのですが、Tigran Hamasyanは彼らよりも一回り若い世代のようです。
 氷のように冷たくカミソリのように鋭いLeszek Mozdzer、柔らかくて明るいMarcin Wasilewskiに対して、温度感は少々高め、ナタあるいはソード(中世ヨーロッパっぽい!)のような力感のある切れ味のTigran Hamasyan。
 三者三様の現代のスーパーピアニスト、妖しさ、激しさではこの人がNo.1かもしれません。
 そんな彼の現代?中世?的な、東欧?中東?的な、スーパーなジャズ「かもしれない」ピアノ作品。

 


posted by H.A.


【Disc Review】“New Era” (2007) Tigran Hamasyan

“New Era” (2007) Tigran Hamasyan
Tigran Hamasyan (Piano, Keyboards)
Vardan Grigoryan (Duduk, Shvi, Zurna) François Moutin (Acoustic Bass) Louis Moutin (Drums)
 
New Era
Tigran Hamasyan
Nocturne
ティグラン・ハマシヤン


 アルメニア出身のスーパーピアニストTigran Hamasyan、若き日の作品、デビューから二作目になるのでしょうか。
 ピアノトリオに曲によってボイス、リード楽器が加わります。
 “Liberetto” (2012)、“Liberetto II” (2014)  Lars Danielssonあたりのジャズ作品への客演では、スーパージャズピアニストですが、リーダー作では少々面持ちが異なります。
 ジャズよりもワールドミュージック、プログレッシブロックっぽく、ハードな印象。
 それでもこの期の演奏は、まだまだジャズの香りが濃厚で、一部ではHerbie Hancockのジャズをハードにした感じでしょうか?
 冒頭から激しい演奏が続きます。
 ロック寄りの激しいビートと複雑な構成、複雑な展開。
 強烈なタッチの美しい音、疾走感などピアノの演奏自体は、後の方がすごいのかもしれませんが、もちろんその片鱗はここでもうかがえます。
 ビートに乗るとどこまでも突っ走っていきそうな凄まじい疾走感。
 サポートのメンバーも煽りまくる激しい演奏。
 こちらはベテラン陣、フランス系だと思いますが、そんなムードが漂う演奏も何曲かあります。
 オリジナル曲中心にアルメニアンな?トラディショナル、ジャズ曲のカバーが少々。
 Monk, Milesのカバーもなんだか別世界の不思議な音作り。
 後のアルメニアンワールドミュージック+変拍子・キメまくり・プログレッシブロック的な演奏もあり、それらはやはりこの頃からTigranの世界。
 が、本作では素直な4ビート、ソウル~フュージョンっぽい8ビート、ラテンビートなどなど、いろいろな色合いも混在しています。
 まだ方向感が定まっておらずいろいろやってみてます感もありますが、破天荒なスーパーピアニストのスタート地点、ジャズ風味強めのTigran Hamasyanをたっぷり聞くにはいい作品なのかもしれません。
 やはりこの頃から特別な人だったように思います。




posted by H.A.


【Disc Review】“Samba de Flora” (1989) Airto Moreira

“Samba de Flora” (1989) Airto Moreira
Airto Moreira (Congas, Drums, Flute, Percussion, Vocals)
Jorge Dalto (Keyboards, Piano) Bruce Bigenho, Dominic Camardella (Keyboards) Kei Akagi (Synthesizer) Roland Bautista, Larry Nass (Guitar)
Alphonso Johnson, Keith Jones, Michael Shapiro, Randy Tico (Bass) Tony Moreno (Drums)
Giovanni Hidalgo (Bongos, Percussion) Angel "Cachete" Maldonado (Congas, Percussion) Frank Colon (Berimbau, Percussion) Don Alias, Laudir DeOliveira, Luis Muñoz (Percussion)
Flora Purim, Rafael Jose, Jill Avery (Vocals)
Jeff Elliott (Flugelhorn, Horn, Trumpet) Rolando Gingras (Trumpet) Raul de Souza (Trombone) David Tolegian (Flute, Saxophone) Joe Farrell (Piccolo)
 
Samba De Flora
Airto Moreira
Montuno Records
アイアート・モレイラ


 Airto Moreira、アルゼンチン出身、フュージョン系ピアニストJorge Daltoを迎えた作品。
 ボーカルを前面に出したブラジリアンフュージョン~MPB。
 Joe Farrell、Jorge Daltoが1986-1987に亡くなっているようですので、録音は1980年代前半なのでしょう。
 洗練されたラテンフュージョンのイメージのJorge Dalto諸作よりも少々ラフでざっくりした感じでしょうか?
 冒頭からビリンボウが響くのどかな感じのボーカル曲。
 二曲目の激しいサンバフュージョンの“Samba de Flora”。
 哀愁のメロディと怒涛のビート。
 いかにもAirtoっぽいなあ、と思っていたら、Jorge Daltoの曲。
 やはりお国は違っても、南米の人は共通点があるんだろうなあ。
 この曲、この演奏が白眉。
 本作はブラジルブラジルしてるなあ・・・と思っていたら、あれれ?のピアノのみをバックにしたAOR風ボーカルのバラード。
 さらにはFlora Purimが歌う洗練されたラテンフュージョンやら、カッチリとしたラテンフュージョンやら、ふわふわとしたスキャット入りラテンフュージョンやら。
 ちょっとキッチリ作り込まれている感じのフュージョンの部分はこの人の作品っぽく無いけども、やはり、いろんな色合いに振れて、いろんな色が入り混じるのがこの人の作品の特徴のようです。
 なんだかんだで全体を流れているのはブラジリアンな柔らかなビート感なんだけど・・・
 いずれにしても楽し気なラテンフュージョン、アメリカンでブラジリアンなポップスの一作。



【Disc Review】“Latino / Aqui Se Puede” (1984) Airto Moreira

“Latino / Aqui Se Puede” (1984) Airto Moreira

Airto Moreira (Vocals, Percussion, Drums, Other)
Jorge Dalto (Electric Piano) Kei Akagi (Synthesizer, Keyboards) Oscar Castro Neves (Electric Piano, Guitar) Larry Nass (Guitar) Alphonso Johnson, Keith Jones (Bass) Tony Moreno (Drums)
Cachete Maldonado, Donald Alias, Frank Colon, Giovanni, Laudir De Oliveira (Percussion)
Joe Farrell (Flute) Raul De Souza (Trombone) Jeff Elliot (Trumpet, Flugelhorn)
Geni Da Silva (Lead Vocals) Rafael José, Tite Curet Alonzo (Backing Vocals) Flora Purim (Vocals)
 
Aqui Se Puede-Latino
Airto Moreira
Montuno
アイアート・モレイラ


 Airto Moreira、サイケなMPB全盛期、フュージョン全盛期を経て、落ち着いたラテンミュージックな一作。
 エレピ、歪んだギターの音はありますが、1970年代の熱は落ち、強烈なファンクも、サイケも、デジタルっぽさもなくなり、落ち着いた大人のムード。
 ブラジリアンビートにアメリカンテイスト混じり、洗練された色合いですが、AORってな感じでもなく、アコースティックな質感、ナチュラルなMPB~フュージョン。
 終始、肩に力が入らないゆったりとした音。
 ブラジルネイティブな音、ポップな音、穏やかなフュージョン、例によって幅のあるテイスト、いろんな音楽が交錯する構成。
 などなど、それぞれいい演奏が揃っているのですが、やはりブラジルナショナルサッカーチームの応援歌“Tombo”の再演に耳が行ってしまいます。
 “Fingers” (Apl.1973)でサイケなギター、エレピ、ワイルドな歌、少々ロックなバージョン、“I'm Fine. How Are You?” (1977)では洗練されたフュージョンなバージョンもありましたが、本作ではあくまでナチュラルなブラジリアンテイスト。
 パーカッション、アコースティック楽器中心に素直なサンバテイスト。
 クィーカーの音とともにゆったりとしたテンポ、いきなりサビのメロディからスタート。
 そのメロディもそこそこに、いきなりこれこそサンバな怒涛のパーカッションと奇声の饗宴開始。
 続くこと数分間。
 クラクラしてきたところで、最後に例の陶酔感を誘うサビのリフレイン。
 やはりブラジル音楽はこんな感じでないとね。
 ・・・などなど含めて、洗練とナチュラルさ、熱狂とクールネス、諸々の要素が混ざり合い、いい感じのバランス。
 これ、素晴らしいアルバムです。
 
 


posted by H.A.  

【Disc Review】“I'm Fine. How Are You?” (1977) Airto

“I'm Fine. How Are You?” (1977) Airto

Airto (Percussion, Vocals)
Hugo Fattoruso (Keyboards) Charles Johnson, Oscar Castro-Neves (Guitar)
Abraham Laboriel, Byron Miller, Jaco Pastorius (Bass)
Airto Moreira, Laudir de Oliveira, Manolo Badrena (Percussion)
Tom Scott (Flute, Sax) Raul de Souza (Trombone)
Flora Purim, Ruben Rada, Hugo Fattoruso (Vocals)
 
アイム・ファイン、ハウ・アー・ユー?
アイアート・モレイラ
ダブリューイーエー・ジャパン



 Airto Moreira、アメリカン&ブラジリアンなMPB作品。
 Flora Purimの“Nothing Will Be as It Was... Tomorrow” (1977)、“Everyday Everynight” (1978)に近い時期、それらにも近い音。
 この人のいつものいろんな色合いが混在するアルバム。
 もちろんパーカションが強め、サンバな曲もいくつか。
 ブラジリアン色も強いのですが、Tom Scottの印象も強く、ファンク混ざりの健全なフュージョンに、Alphonso Johnson 時代のWeather Report色も混ざったようなボーカル入り中心のアルバム、ってな感じ。
 チョッパーベースが唸り、楽し気な歌声とメローなサックスが絡み合う、元気いっぱいな曲からスタートし、ビリンボウとエレピが主導するAOR風の曲、都会的なサンバ、Flora Purimのサイケなスキャットが炸裂するメローな曲?などなど。
 ここでもブラジルナショナルサッカーチームの応援歌“Tombo”が“Celebration Suite”としてカバーされていて、パーカッションと嬌声の饗宴ですが、素直で都会的なスッキリしたサンバの“Tombo”。
 オリジナル?“Fingers” (Apl.1973)バージョンのざらざらしたような質感が無くなり、磨き上げられたような音作り。
 洗練されています。
 最後に収められたJaco Pastorius参加曲はフリーインプロビゼーションでしょう。
 幻想的なスローテンポでスタートし、妖し気なバーカッション、嬌声との共演。
 徐々にビートを上げますが、リズムに乗るのはわずかな時間。
 スペーシーで幻想的なベースの音で締め。
 1970年代初頭のような粗削りな雰囲気、妖しげなムードは無くなりましたが、いつもながらブラジル音楽のいろんな要素てんこ盛り。
 なんだかんだでいかにもなこの人の洗練されたフュージョン系MPB作品。




posted by H.A.  


【Disc Review】“Promises Of The Sun” (1976) Airto Moreira

“Promises Of The Sun” (1976) Airto Moreira
Airto Moreira (Drums, Flute, Percussion Vocals)
Hugo Fattoruso (Keyboards) Novelli (Bass, Guitars, Piano, Electric Piano, Vocals) Toninho Horta (Bass, Guitar, Piano)
Raul de Souza (Trombone) Milton Nascimento (Guitars, Vocals) Maria Fattoruso, Flora Purim (Vocals)
 
プロミセス・オブ・ザ・サン
アイアート・モレイラ
BMG JAPAN
2004-03-24


 Airto Moreira、ここまでのアメリカンな人脈ではなく、ブラジリアンと制作したブラジリアンフュージョン~MPB作品。
 やはりここまでとは少し色合いが異なるアコースティックで素朴、ジャケット通りにワイルドな色合い。
 ボーカル曲が中心で、フュージョンというよりはMPB的。
 冒頭曲はパーカッションと嬌声、ホイッスルの饗宴のみ。
 続く曲も何だかエスニックでワイルドな・・・のは前奏のみで、哀愁が漂う洗練されたフュージョン~MPBへと展開します。
 Milton Nascimentoナンバーもエスニックテイストからファンクへ展開。
 そんな演奏が続きます。
 ブラジルネイティブのリズム、音楽を提示しつつ、現代に繋ぐといったイメージ。
 アメリカでは、エレクトリックMiles、Weather Report、Return to Forever、CTI諸作と、混沌から洗練へと変遷してきましたが、もう一度本筋に戻ってみるか、といったところなのでしょう。
 同時期のEgberto Gismonti、Nana Vasconcelosの“Dança Das Cabeças” (Nov.1976)は妖しさが前面に出ますが、本作含めてAirtoの諸作は明るい色合い。
 特に本作は素朴な色合いが強い分、のどかで楽しそう。
 Toninho Hortaが参加していますが、少々サイケな色もあるエレキギターが彼なのでしょう。
 この時点ではまだデビュー作"Terra dos Pássaros" (1979)は制作されていませんが、いずれにしても後の彼の浮遊感の強い色合いはここでは出ていません。
 さておき、最後は”Georgiana”は、奥様の妖しいスキャットが前面に出た洗練されたブラジリアンフュージョン。
 哀愁のメロディの隠れた名曲。
 次作はまたまたアメリカンに渡ってアメリカンなフュージョン、それも洗練された明るいフュージョンの“I'm Fine. How Are You?” (1977)へと続きます。




 

【Disc Review】“Identity” (1975) Airto

“Identity” (1975) Airto
Airto (Drums, Percussion, Vocals)
Egberto Gismonti (Piano, Electric Piano, Synthesizer, Flute, Acoustic Guitar)
David Amaro (Guitar, 12string Guitar )
Herbie Hancock (Synthesizer) Ted Lo (Organ)
John Heard, John Williams, Louis Johnson (Bass)
Wayne Shorter (Soprano Sax) Raul Desouza (Trombone) Flora Purim (Vocals)
 
アイデンティティー(期間生産限定盤)
アイアート・モレイラ
SMJ
2016-05-25


 Airto Moreira、スーパーミュージシャンにサポートされた、ブラジリアンフュージョン~MPB作品。
 Egberto Gismontiが半数の楽曲を提供し、全編に参加。
 プロデューサーはHerbie HancockWayne Shorterも参加。
 このお三方が揃うのはこの作品だけでしょうかね?
 三人、あるいは四人の音が融合した・・・といった感じではないし、近い時期の“Native Dancer” (1974) Wayne Shorter with Milton Nascimentoのようなスムースな感じでもありません。
 ちょっとワイルドなブラジリアンフュージョン~ポップスに寄った演奏が並びます。
 Egberto GismontiはECM参加前、ブラジルで諸作を発表していた時期。
 その色合いが強いのでしょうね。
 冒頭から飛び跳ねるようなピアノとポリリズミックな激しいビート。
 “Return to Forever” (Feb.1972) Chick Coreaと同じく、凄い「ドラマー」Airtoの本領発揮。
 ボーカルが乗ってくるといかにもこの人の少しのどかな感じになりますが、Egberto Gismonti風のハイテンションフュージョンがベースです。
 ビリンボウなどのブラジルネイティブ楽器とエレピとの絡み合いが目立ちます。
 ちょっとサイケなエレキギターなどが入ってくるのも、この期のこの人の作品の色なのでご愛敬。
 もちろん近い時期のFlora Purim“Stories To Tell” (1974)に近いムードもあります。
 そんなファンクフュージョンから、Egberto Gismontiのギターとパーカッション、嬌声が絡み合う想像通りの音から、Herbie Hancock?のシンセサイザーが唸るドラマチックで激しいサンバフュージョン~Wayne Shoeterのソプラノサックスが奏でるGismontiの名曲”Cafe”へのメドレー。
 あるいは、“Return to Forever” (Feb.1972)のようなエレピが映えるボーカル曲・・・と思ったら、やはりHermeto Pascoalの曲。
 遠いようで近い関係、と思っていますが、そのエレピを弾いているのはEgberto Gismonti?・・・といったレアな演奏まで。
 楽曲の幅が広くなってしまうのもこの人の作品の特徴。
 などなど、全編に鳴り響くパーカッションとブラジリアンならではの郷愁感も含めて、Airtoの関わった音楽(除くエレクトリックMiles)をギュッと集めた一作かもしれません。
 楽曲もさすがのGismontiナンバー中心、いいメロディが揃っています。
 次は若き日のToninho Horta が参加する“Promises Of The Sun” (1976)、さらにはアメリカンなフュージョンの“I'm Fine. How Are You?” (1977)へと続きます。





【Disc Review】“Fingers” (Apl.1973) Airto

“Fingers” (Apl.1973) Airto

Airto (Drums, Percussion, Vocals)
David Amaro (Guitars) Hugo Fattoruso (Harmonica, Keyboards, Vocals)
Ringo Thielmann (Bass, Vocals) Jorge Fattoruso (Drums, Vocals)
Flora Purim (Vocals)

Fingers (Cti Records 40th Anniversary Edition)
Airto
Masterworks
アイアート・モレイラ


 Airto Moreira、CTI作品第二弾。
 レギュラーメンバーなのかどうかはわかりませんが、ブラジリアンを集めたバンド。
 ちょっと派手目のブラジリアンMPB~フュージョン。
 これが当時の彼の自然体の音なのかもしれません。
 エレクトリックMilesのライブでよく響いていたクィーカーの音に導かれるちょっと重めのロック~ポップスから始まりますが、続くサンバ混じり、スキャットも交えたジャズフュージョンがカッコいいグルーヴ、疾走感。
 やはりサンバが似合います。
 その他、エレピが主導する穏やかなフュージョン、ビリンボウ?が響くエスニックな音、アメリカとブラジル混ざったようなメロディ、などなど、例によっていろんな要素、てんこ盛り。
 とかなんとかありますが、本作は何はともあれ、ブラジルナショナルサッカーチームの応援歌”Tombo in 7/4”。
 作者はもちろんAirto。
 カバーもたくさんあるし、本人の別バージョンもありますが、これが一番イケイケでそれっぽくて、よろしいのでは。
 ちょっとサイケなギターと荒っぽい歌、懐かしい感じのオルガン、美しいエレピの響き・・・
 ま、そのあたりは付け足しで、やはりこの曲は鳴り響くパーカッションと、サビのコーラスで決まりでしょう。
 明るいようで哀愁が漂うブラジリアンメロディとサンバのビート、陶酔感を誘うサビのリフレイン。
 心ならずも揺れ動く体。
 ブラジル音楽はこれでないとね。




posted by H.A.  


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