トマティート

“Brasil” (2011) Yotam
Yotam Silberstein (guitar, bandolim, vocals)
David Feldman (Piano) John Lee (Acoustic Bass) Vanderlei Pereira (Drums, Percussion)
Sharel Cassity (alto flute, clarinet) Roy Hargrove, Claudio Roditi (flugelhorn) Paquito D'Rivera (clarinet) Toninho Horta (acoustic guitar)
イスラエル出身のジャズギタリストYotam Silbersteinのブラジル音楽集。
このアルバムを初めて聞き、どこかでアルゼンチンのピアニストAndras Beeuwsaertと共演していたことを知っていたので、てっきりブラジルかアルゼンチンの人だと思っていました。
それにしてはずいぶんジャズっぽい人だなあ、と。
とても美しい艶やかなクリーントーンのエレキギターで、ピアノトリオをサポートにアコースティックなブラジリアンジャズ。
ビッグネームなホーン陣のサポートが数曲で入りますが、あくまでアンサンブルと自己主張の強くない穏やかなインプロビゼーション。
二曲で参加するToninho Hortaもアコースティックギターで慎ましやかなサポート。
楽曲はJobim、Edu Lobo, Carlos Lyra, Dorival Caymmi などなど・・・
と書いてしまうとどこにでもありそうなブラジリアンジャズ、ブラジリアンフュージョンっぽく聞こえてしまいそうですが、一味違います。
ちょっとビックリの美しい音作りの完璧な演奏に加えて、洗練され過ぎず、素朴になり過ぎず絶妙のバランス感覚。
フレージングも新しからず、古からず、それでも似た人を思い出せない特別な音使い。
洗練されたジャズムードはGeorge Bensonあたりかなあ、と思いながらも何か違う新しい感じがします。
ジャズやボッサだけでなく、ロック、フォーク、フォルクローレを通過してきた新世代ゆえの何かがあるのでしょうね?
イスラエルエキゾチシズムも隠し味であるのかな?
当り前のことを当たり前にやって、洗練されただけではない、不思議なカッコよさ。
とにもかくにも極上の爽やかで瑞々しいサウンド。
朝の起き抜けにはピッタリの音。
たくさんありそうで、あまりない極上のブラジリアンジャズ。
ちょっと聞きでは普通に聞こえてしまうのが唯一の難点。
爽やかで素敵な一作です。
“Resonance” (2010) Yotam
Yotam Silberstein (Guitar, Voice, Oud)
Aaron Goldberg (Piano) Christian McBride (Bass) Gregory Hutchinson (Drums)
Roy Hargrove (Trumpet)
イスラエル出身のギタリストYotam Silbersteinの現代モダンジャズ作品。
この手の新録音のモダンジャズは聞かなくなって久しいのですが、これはカッコいい。
“Brasil” (2011)を最初に聞いてしまったがゆえに南米の人だと思っていましたが、こちらはなるほどの現代ジャズ。
コンテンポラリージャズと書いてしまうと、変拍子やらメカニカルで複雑なメロディやら、いかにも先進的な感じもしてしまうので、あえて現代モダンジャズと書いておきます。
そんな感じの、なんだか新しいんだけども、落ち着いたイメージ、オーソドックスなサウンド。
有名どころの手練れをサポートにアコースティックな4ビート
Roy Hargroveの参加は二曲のみで、他はシンプルにクリーントーンのエレキギターを中心としたカルテット。
“Two Bass Hitt” や”Daahoud”のジャズスタンダードが収録され、多くを占めるオリジナル曲も現代のジャズ風な楽曲。
それでこのメンバーだと容易に想像できる普通のジャズになってしまいそうですが、何か違います。
もちろん全員新世代の人たちなので、古めかしいモダンジャズにはならないし、演奏力は一線を越えた人たちなのですが、何が違うのと問われれば・・・?
ロックやらファンクやらの色合い、あるいはイスラエル独特の色合いがどこかに混ざっているんでしょうかね?
そうは聞こえないJust Jazzなんだけどなあ・・・
バンド全体が突っ走る結構ゴリゴリ系の演奏ですが、とても瑞々しい美しい音、スムースなジャズギター。
オーソドックスなようで、さりげないフレーズの加速感とか、完璧にビートに乗っているようで強烈な推進力が出ている音符の置き方とか、ちょっと他の人にはないカッコよさ。
音の美しさも完璧。
これは気持ちいいや。
ドラムもベースも何だか久しぶりに聞くけど、昔のまま、切れ味抜群。
隠れた現代モダンジャズギターの名作だと思います。
(Apl.10.1970) “Black Beauty / Miles Davis At Fillmore West”
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