吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2016年09月

【Disc Review】“Noites de Gala - Samba Na Rua” (2006) Mônica Salmaso

“Noites de Gala - Samba Na Rua” (2006) Mônica Salmaso
Mônica Salmaso (Voice)
Paulo Bellinati (Guitar, Cavaquinho) Rodolfo Stroeter (Bass) Ricardo Mosca (Drums, Percussion) Nelson Ayres (Piano) Teco Cardoso (Saxophone, Flute)

Noites De Gala Samba Na Rua
Monica Salmaso
Imports
モニカ サルマーゾ


 ブラジルのボーカリストMônica Salmaso、Chico Buarque集。
 ブラジルネイティブな“Trampolim” (1998)、フォルクローレ的~ノスタルジック風味な“Voadeira” (1999)、Andre Mehmariらとのジャズ色が強い”nem 1 ai” (2000) などの作品がありますが、本作は現代的、オーソドックスなアコースティックMPBの音作り。
 バンドはピアノトリオ+ギター+リード。
 サウンド自体は混じりけなしのコンテンポラリージャズっぽい面持ち。
 もちろん奇をてらうことのないオーソドックスな音。
 決して派手さはないけども、端正で上品なグルーヴ。
 ブラジルのジャズバンドはどこか、おそらくビート感が欧米系とは違う感じで、決して厚すぎたり、過剰に、あるいは過激になりすぎたりしない音。
 シンプルにブラジル系の曲を演奏するだけで、カッコいいコンテンポラリージャズになってしまいます。
 “Live at Mojo Club” (1995) Joyce然り、“Agora” (2010) Dani Gurgel 然り、その他カッコいい作品が多数。
 本作も、その典型、しっとり版。
 そんな音を背景にして、少々ハスキーでこちらもしっとりとした沈み気味のvoice。
 抜群の安定感。
 この沈んだ感じが、他のMPB作品と一線を画すカッコよさ。
 アップテンポであっても決して熱くならない優雅で落ち着いた歌。
 こちらもそれだけで、歌いつくされたブラジリアンスタンダードが何か新しく聞こえてしまいます。
 そんな大人なMPB。





posted by H.A.

【Disc Review】“Ia Ia” (2004) Monica Salmaso

“Ia Ia” (2004) Monica Salmaso
Monica Salmaso (voice)
Maurício Carrilho (guitar) Paulo Bellinati (guitar) Pedro Amorim (Bandolim) Luciana Rabello (Cavaquinho) Webster Santos (guitar, Cavaquinho)
Benjamim Taubkin, André Mehmari (Piano) Toninho Ferragutti (accordion) Rodolfo Stroeter (bass)
Robertinho Silva, Ari Colares, Caito Marcondes (percussion) Jorginho do Pandeiro, Pedro Amorim (Pandeiro) Celsinho Silva, Gordinho (Tamborim) Luiz Afonso, Nivaldo Orsi (Clarones) Celsinho Silva (Reco-reco) Gordinho (Surdo) Paulino (Prato e faca) 
Teco Cardoso (flute, Baritone Sax) Nailor "Proveta" Azevedo (Clarinette, alto sax)
Luca Raele, Edmilson Nery, Sergio Burgani, Nailor "Proveta" Azevedo (Clarinette)
Marcelo Bernardes (flute) Iura Ranevsky, Lui Coimbra (cello)
Analimar, Ana Costa, Jurema de Cândia (voice)

Lala
Monica Salmaso
Imports
2016-04-15


 ブラジル、サンパウロのボーカリストMonica Salmasoのポップス寄りの作品。
 っても元々ポップスの人なのでしょうから妙な表現なのですが、とても優雅で上品、静謐なMPB。
 おそらく同世代の当時の若手であろうたくさんのメンバーが参加していますが、楽曲ごとにメンバーを変え、あくまで少人数の編成でとても静かな音。
 “nem 1 ai” (2000) Monica Salmaso 、“Lachrimae” (2003) Andre Mehmari など、この時期の共演が多い、同じくブラジルのスーパーピアニストAndré Mehmariも数曲で参加し、あの上品ながらぶっ飛んだピアノを弾いています。
 直球サンバな曲も何曲かありますが、そのイメージの喧騒からはほど遠く、ボサノバの洗練、優雅さとも異質な洗練と優雅さ。
 クラシカルな空気感はChoro的であるのかもしれませんが、それら、さらにフォルクローレ、その他諸々の要素をフュージョンした現代の新型MPB。
 シンプルなようで、おそらく計算しつくされているのであろう、全く過不足のない音の密度と流れ。
 ちょっと触ると壊れてしまいそうな繊細さは、この人の作品の色合い。
 伝統的な楽器の響きとクラシカルな空気感ながら、なぜか現代的。
 楽曲はブラジルの巨匠たちの作品群。
 ジャケットはこの人にしては珍しくフツー、中身もこの人の諸作の中では一番明るくてカジュアル、ポップな方でしょう。
 もっともっとポップス寄りに振ったサンバやボサノバの方が一般受けはするのかもしれませんが、あくまでブラジルの伝統的な音、~少々クラシカル、沈みがちな奥深い声。
 現代のヒーリングミュージックの筆頭、少々ポップス寄り・・・かな?

※この投稿は2017/08/20から移動しました。



posted by H.A.

【Disc Review】“nem 1 ai” (2000) Monica Salmaso

“nem 1 ai” (2000) Monica Salmaso
Monica Salmaso (Vocal)
Nailor Proveta (sax, clarinet) Andre Mehmari (piano etc.) Rodolfo Stroeter (bass) Tutty Moreno (drums) Toninho Ferragutti (acordion)

NEM 1 AI
MONICA SALMASO
DISCMEDI
モニカ サルマーゾ


 ブラジル、サンパウロのボーカリストMonica Salmaso、MPB作品。
 サポートはジャズコンボ。
 ドラムがJoyceの夫君Tutty Moreno。
 ピアノがAndre Mehmari。
 これはMPBというより、少々クラシックの色合い、フォルクローレの色合いも交錯するコンテンポラリージャズ。
 同時期、ボーカル抜きの同メンバーでジャズ作品“Forcas D'Alma” (1999) Tutty Morenoもあります。
 南米系しっとり系のジャズ~ポップスは、柔らかくて明るいECMといったイメージの作品が多いのですが、まさにそんな一作。
 バンド全体がふわふわと漂い、ゆらゆらと揺れる、強烈な浮遊感、とても優雅で柔らかなグルーヴ。
 その中を美しいボイスとピアノ、その他が駆け巡る・・・、そんな音楽。
 ボーカルはブラジル音楽定番、少しスモーキーな優しい声。
 クラシックの香りも漂わせつつ、フォルクローレな色合いも強い歌。
 彼女の作品、あるいはAndre Mehmariの作品はそんなテイストが多いのですが、リオのボッサ、サンバ系、ミナス系、バイーア系などに対して、サンパウロ系?なんてのがあるんでしょうかね? 
 ピアノのAndre Mehmariが言わずもがなの圧倒的な演奏。
 美しい音、端正なクラシックの香りを漂せつつ、強烈な浮遊感の音使い。
 ふわりと立ち上がって、静かに消えてゆく繊細なタッチ、スローではたっぷりのタメを効かせて、アップテンポでは強烈な疾走感、上品ながら意外性のある強烈なオブリガート、思い出したように現れる速いパッセージ・・・
 この頃のAndre Mehmariは本当に凄い。
 もちろん今も凄いのですが、この頃の方がジャズの色合いが強い感じ。ジャズ慣れしてしまった耳にはこの方が馴染みます。
 たくさんではありませんが、管楽器含めてエキサイティングなジャズ的インタープレーの場面もあります。
 これまた膨大なジャズの演奏の中でもなかなか聞けないような素晴らしい演奏。
 楽曲は柔らかくてメロディアスなブラジルの巨匠その他の曲のカバー中心。
 全く普通のアレンジなんだけど、出自が気にならないほどのオリジナリティ。
 不思議ですが、Andre Mehmariが絡む作品にはそんな演奏がたくさん。“Lachrimae” (2003)とかね。
 この作品、しばらくお蔵入りしていたらしいのですが、なんでだろ?
 ブラジル系のボーカルものでボッサではないもの、と言われると一押しするのはこれかな、と思う素晴らしいアルバムだと思います。
 ブラジル音楽ファンからは“Voadeira” (1999)あたりの方が好評なのかな?
 ジャズファンからすれば、こちらも大傑作。

※本投稿は2016/05/28から移動しました。



posted by H.A.

【Disc Review】“Voadeira” (1999) Monica Salmaso

“Voadeira” (1999) Monica Salmaso
Mônica Salmaso (Vocal)
Mario Gil, Marcos Suzano, Webster Santos, Paulo Bellinati (Guitar) Rodolfo Stroeter (Bass) Brnjamim Taubkin (Piano) Toninho Ferragutti (Accordion) Nailor “Proveta” Azevedo (Clarinete) Marcos Suzano (Percussion) and others

モニカ サルマーゾ

 ブラジルのボーカリストMonica Salmaso、MPB作品。
 ブラジリアンポップスと一括りにしてしまうには違和感のある、とてもしっとりとした優雅な音楽。
 ボッサ、ミナス、バイーア、フォルクローレなど、諸々の南米音楽の色合いが交錯する音使い。
 楽曲もブラジル各地、各ジャンルの巨匠の作品からチョイス。
 直接的なボッサ、サンバのビート感はなく、終始落ち着いたゆったりとしたテンポ。
 決して暗くはないのだけども、サンバような明るい雰囲気ではなく、ボッサのような洗練された雰囲気でもなく、素朴な質感、抑制されたムード。
 瑞々しいギターの音、美しいピアノの音、懐かしいアコーディオンの音、素朴なパーカッションの音・・・その他諸々、全て落ち着いた音使い。
 そんな音を背景にして、ブラジル定番、少しスモーキーで優し気な声。
 少し明度が低く、これまた落ち着いた声、優しい歌。
 これは癒されます。

※本投稿は2016/05/28から移動しました。



posted by H.A.

【Disc Review】“Trampolim” (1998) Monica Salmaso

“Trampolim” (1998) Monica Salmaso
Monica Salmaso (Vocals)
Bugge Wesseltoft (Piano, Keyboards) Lelo Nazario (Keyboards) Toninho Ferragutti (Accordion) Paulo Bellinati (Cavaquinho) Rodolfo Stroeter (Bass) Jose Eduardo Nazario (Drums) Nana Vasconcelos (Vocals, Percussion) Paulo Bellinati (Percussion) Teco Cardoso (Soprano Sax) Zezinho Pitoco(Percussion) Zezinho Pitoco (Caixa) Mario Gil (Viola) Paulo Bellinati (Viola)

Trampolim
Monica Salmaso
Blue Jackel Ent.
モニカ サルマーゾ


 ブラジル、サンパウロのボーカリストMonica Salmas、おそらくこれが最初のリーダー作なのでしょう。
 いきなりNana VasconcelosとのDuoによるプリミティブな音。
 と思っていたら、アコーディオンと妖しげなコーラス。
 楽し気なような妖し気なような不思議な音。
 Edu Loboの曲、ポップなメロディですが、山奥で響いていそうな神秘的な感じ。
 ネイティブなブラジルの音をイメージしたアレンジなのか、あるいは“Afro-Sambas” (1995)の流れを汲んでアフリカ系を入れたのか、いずれにしても不思議系です。
 そんな音が続きます。
 このアルバムは後追いで聞きましたが、後の優雅な作品のイメージでクラシックからポップスへ転向したように思っていましたが、どうやら違ったようです。
 これはカッコいい。
 楽曲は、ブラジル曲。
 半数は著名な作者の作品のカバーですが、他のブラジル土着の伝統曲と思われる楽曲含めて、普通のMPBとは違います。
 サンバやボッサっぽいリズムはほとんど出てきません。
 ボーカルは低いトーン。
 穏やかで柔らかなブラジルテイストでしっとりとした声、クラシック的な朗々とした歌唱法。
 プリミティブな印象だったり不思議だったりする背景と合わせて、なんだか幻想的、神秘的なムードです。
 この人、巫女さんみたいですね・・・
 ってのは違和感もありますが、なかなかいないそんなムード。
 これはクリエイティブな一作。
 一曲一曲を見ると少々妖しげですが、全体を眺めると難解さや深刻さ、暗さはありません。
 あくまで穏やかで柔らかなブラジルテイスト。
 少々神秘的。
 “Duas Vozes” (1984) Egberto Gismontiあたりをポップにわかり易く、さらに上品にしたムード。
 いきなりの大冒険のようにも感じますが、次はとても優雅な“Voadeira” (1999)、Andre Mehmari, Tutty Morenoとのジャズ色の強い”nem 1 ai” (2000)へと続きます。



【Disc Review】“Afro-Sambas” (1995) Paulo Bellinati, Monica Salmaso

“Afro-Sambas” (1995) Paulo Bellinati, Monica Salmaso
Paulo Bellinati (Guitar) Monica Salmaso (Vocal)
 
Afro-Sambas
Paulo Bellinati
Gsp Records
モニカ サルマーゾ


 ブラジルのギタリストとボーカリストのDuo。
 二人のみで"Os Afro-sambas"(1966) Baden Powell / Vínicius de Moraesをカバーした作品。
 サンパウロ系、クラシカルで上品なMonica Salmasはこれがデビュー作品なのでしょう。
 元々幻想的な色合いが強い"Os Afro-sambas"のカバーからキャリアがスタートしたのだとすればピッタリの色合い。
 少し低めの穏やかな声、しっとりたしたうえに朗々とした歌唱法。
 それ自体が幻想的、神秘的なムード。
 これははまり役でしょう。
 緊張感のあるメロディを緊張感のあるギター、穏やかなようでこれまた緊張感の強いvoice。
 それでも淡々とした静謐なムード。
 どこかで聞いたことのあるような、哀感、郷愁感漂う旋律が次々と流れていきます。
 Jobimの都会的に洗練されて洒落たムードではなく、アーシーでナチュラルな感じの哀感、郷愁感。
 激情は表出しないけども、どこか感情的なようで人臭いメロディ。
 緊張感と穏やかさの微妙なバランス、そのうえでの人臭い郷愁感が独特のムード。
 抜群の技巧、音数が多くて性急な印象のギター、それを引き戻しクールダウンするようなゆったりとしたvoiceとのバランスが絶妙だからこそ醸し出せるムードなのでしょう。
 メロディは同じですが、"Os Afro-sambas"(1966)との比較は野暮。
 こちらは清廉で瑞々しいジャケットのポートレートのイメージ通りの音。 
 躍動しているようで、とても落ち着く、素晴らしい音楽、素晴らしいvoice。
 忙しかった後のクールダウン、疲れた時の清涼剤としてもどうぞ。




posted by H.A.

【Disc Review】“Voce E Eu” (2000) Phil Woods, Barbara Casini

“Voce E Eu” (2000) Phil Woods, Barbara Casini
Phil Woods (sax) Barbara Casini (vocal)
Stefano Bollani (piano)

VOCE E EU-FEATURING STEFANO BOLLANI
PHIL WOODS&BARBARA CASINI
PHILOLOGY
バーバラ・カッシーニ  フィル・ウッズ


 大御所Phil Woods、ボーカリストBarbara Casiniとのボサノバアルバム。
 どうもPhil Woods in Italyってなシリーズがあるようで、そのChapter 2。
 相棒はイタリア系ブラジル人かブラジル系イタリア人なのかわかりませんが、イタリア在住のボーカリストBarbara Casiniと、こんな企画にはまり役のイタリアンStefano Bollani。
 Barbara Casini は”Vento” (1999) Barbara Casini, Enrico Rava、“Vira Vida”(2003) Nicola Stilo / Toninho Hortaといったアルバムがある人。
 イタリアでジャズの人がボサノバをやるときにはファーストコールなボーカリストなのでしょう。
 確かにいかにもボサノバチックな柔らか、かつ華やかなvoice。
 オシャレです。
 後追いで聞いた“Outro Lado” (1990)のハイテンション加減には仰天しましたが、ここではこの時期の諸作同様、優し気で穏やか、典型的なブラジリアンな歌い方。
 雰囲気はもちろん、歌唱力、表現力ともに抜群です。
 Stefano Bollaniは説明無用・・・かもしれませんが、BossaNova大好きなようでそんな作品も多いのですが、ちょっと変わったBossaNovaピアノ。
 本作ではドラムもベースもいませんので、ビート作りもバッキングもやり放題。
 あっちに行ったりこっちに行ったり、伸びたり縮んだり、遅くなったり速くなったり、意外な方向に音を飛ばしてみたり。
 ボサノバ特有の柔らかさはあるものの、線が細くて鋭い音。
 ジャズの時を含めて、この人のピアノにはいつもそんな色合いを感じます。
 楽曲はどこかで聞いたことのある代表曲揃い。
 Antônio Carlos Jobim, Ary Barroso, Carlos Lyra, Baden Powell, Caetano Veloso・・・。
 Phil Woodsはいつもながらの王道ジャズサックス。
 変わったピアノが背景を作って、オシャレなvoiceと渋いサックス。
 ピアノの不思議さ加減がいいアクセントになったオシャレで素敵なボサノバアルバム。
 アメリカ系のボサノバよりも柔らかい感じがするのは気のせいでしょうか?
 私の好みはこちらです。
 もちろん本場ブラジルがいいのですが、イタリア系はオシャレで、洗練されていて、繊細で。
 本作もその通りのアルバムです。




posted by H.A.

【Disc Review】“Outro Lado” (1990) Barbara Casini

“Outro Lado” (1990) Barbara Casini
Barbara Casini (vocals, percussion)
Beppe Fornaroli (guitar, Cavaquinho, guitar synth) Naco (percussion, vocals)
Novelli (Vocals)



 イタリア系ブラジル人かブラジル系イタリア人のボーカリストBarbara Casini。
 ”Vento” (1999) Barbara Casini, Enrico Ravaなどでは優雅で柔らかないかにもブラジル的な歌でしたが、この作品はボサノバではなく、ハードなサンバ中心。
 ボーカルも穏やか系ではなくて、力が入った熱唱型。
 イタリア系のオシャレなボサノバを予想して、少人数で静かでインティメイトな音を期待していた立場としてはビックリ仰天。
 速いテンポのサンバに、抜群のリズムへのノリ、歌唱力、表現力の歌。
 これはサラリと聞き流すのは・・・
 たった三人、シンセサイザー、ストリングス的な音などを含めたオーバーダビングもありますが、決して分厚い音ではありません。
 が、とてもハイテンション。
 ボサノバでもなく、伝統的なスタイルのサンバでもなく、オシャレ系でもなく、スタイリッシュでハイテンションなコンテンポラリー系サンバ。
 ギターとパーカッションの二人はおそらくイタリアン。
 パーカッションはエスニック風味を醸し出していますが、カバキーニョ、ガットギターに加えて、エレキギター(ギターシンセ?)も使った現代的な音作り。
 ピアノ、ベースなど入れた普通のバンドでやってしまうと、普通な感じになってしまうのかもしれませんが、少人数ゆえのシャープな音。
 ブラジル的な柔らかさしなやかさはあって、うるさくはないのですが、ほどほどのエフェクティング、時折の不思議感のあるアレンジも含めてスタイリッシュです。
 楽曲はLuiz Gonzaga Jr., Dori Caymmi, Gilberto Gilその他諸々+オリジナル。
 予想していた音とは違うけども、とてもカッコいい現代サンバです。




posted by H.A.

【Disc Review】“Solar” (2014) Daniel Olivia

“Solar” (2014) Daniel Olivia
Daniel Oliva (guitars)
Sidiel Vieira (bass) Vitor Cabral (drums) Pepe Cisneros (piano, fender rhodes) Luis Cabrera (tenor sax) Eduardo Espasande (congas) António Zambujo, Bruna Caram, Giana Viscardi, Luciana Alves, Marina de la Riva (voice)

ダニエル オリビア

 ブラジルの若手ギタリストDaniel Oliva、これがデビュー作でしょうか?
 エレキギター中心のフュージョン~MPB作品。
 ブラジル系だとガットギターのイメージが強いのですが、私的にはエレキギターの方が好み。
 おそらくPat Methenyが好みの根っこにあるからでしょう。
 また、同じクリーントーン系でも、アメリカ系のジャズギターに比べると、音とビートが柔らかいから。
 聞いて育った音楽が違うのだろうし、ガットギターも散々演奏したうえでのエレキだからでしょうか?
 ブラジル系の人がエレキギター抱えたジャケットを見ると、ついつい手が出てしまいます。
 南米系でエレキギターをよく使う人、私が思い出す範囲だと、Toninho Hortaから始まって、Chico Pinheiro, Nelson Faria, Bruno Mangueira, Leonardo Amuedo, Ricardo Silveira, Horacio Burgos、などなど。
 どの人も柔らかくてカッコいいギタリスト。
 他にもたくさんいるのでしょう。
 本作も柔らかなクリーントーンのエレキギターを中心としたアルバム。
 8ビートが目立つ構成で、ブラジル系のビート感は少々薄目。
 ギターは少々ジャズ寄りでしょう。 
 ドラムはロック~フュージョン的。
 ベースがウッドベース中心で、ピアノはジャズ。
 オリジナル曲はメインストリーム寄りのフュージョン系かな?と思っているとCubaっぽいカバー曲が入ったり、やはりブラジル的なフワフワした楽曲だったり。
 そんな感じで演奏も楽曲も多種多様。
 基本線は優しい系、フワフワとした浮遊感系。 
 さらに半数程度で入る豪華ボーカリスト陣はしっとり系の人達、しっとり系のメロディとの組み合わせがとてもいい感じ。
 やりたいことをギュッと詰め込んでみた一作なのでしょう。
 なんだかんだでブラジル系のエレキギター作品は心地よい音。
 柔らかくて涼し気。




posted by H.A.

【Disc Review】“Ricardo Silveira Organ tRio” (2014) Ricardo Silveira Organ tRio

“Ricardo Silveira Organ tRio” (2014) Ricardo Silveira Organ tRio
Ricardo Silveira (guitar)
Vanessa Rodrigues (Hammond B3 organ) Rafael Barata (drums)

Ricardo Silveira Organ Trio
Ricardo Silveira
Adventure Music
2014-09-16
ヒカルド・シルヴェイラ

 ブラジル人ギタリストRicardo Silveiraのオルガントリオ。
 スタジオ録音とライブ録音の二枚組。
 ブラジル人のギターでオルガントリオとなると、好みからして聞かざるを得ない組み合わせ。
 Ricardo Silveiraはベテラン、手堅いフュージョン系のギタリスト。
 他の二人は初めて聞くけど、こちらもブラジルの人。
 さぞかしブラジルっぽい音かと思いきや、これがびっくりするほどジャズな音。
 ブラジルの曲もたくさん取り上げていますが、ジャズな演奏。
 ギターもドラムもオルガンもみんなジャズ。
 ここは気を取り直して・・・
 オルガンは若手っぽい女性。 かなりアグレッシブ系です。
 ブラジルのオルガンといえばWalter Wanderleyを思い出してしまいますが、彼もかなりアグレッシブでしたね。
 ボッサの曲だとそれかな?と思う場面もありますが、全体的にはコンテポラリー系のアグレッシブな人を想い起こします。
 ドラムもブラジルの人には珍しくヘビーな質感。
 このアルバムのイメージを決定付けているそのビート感かも。
 さて、当のリーダーはいつも通り。
 もっとジャズに振れてもよさそうな編成、あるいはブラジルに振れてもよさそうな選曲ですが、いかにも彼らしいフュージョンテイスト。
 全篇クリーントーンですが、ブラジル色は薄目。
 ジャズっぽい感じであはありますが、フレージングはいつもの通りのフュージョンなイメージ。
 ってな感じでいろんなイメージが交錯する変わったテイストのオルガンジャズ。
 ギター好き、ブラジル好き、オルガン好きとしては次作にも期待・・・なんだけど、もっともっとブラジル色が強いヤツがいいなあ・・・




posted by H.A.
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