吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2016年07月

【Disc Review】“Balancando com Milton Banana Trio” (1966) Milton Banana Trio

“Balancando com Milton Banana Trio” (1966) Milton Banana Trio
Milton Banana (Drums)
Cido (piano) Mário (bass)

バランサンド
ミルトン・バナナ・トリオ
ユニバーサル ミュージック
2015-06-17


 “Milton Banana Trio” (1965)と同じく、こちらも怒涛のようなジャズサンバピアノトリオ。
 メンバーの違い、録音~ミキシングの違いもあってか、こちらの作品の方が強烈かもしれません。
 硬軟織り交ぜてスッキリとした洗練も感じる前作に対して、剛速球一般勝負の本作。
 どこを切り取っても高速なジャズサンバ。
 ジャズサンバの金太郎飴。
 ジャズサンバ=ボサノバなのだと思うけど、これをボサノバと書くと抵抗があるなあ。
 最初から最後までハイテンション、エキサイティングなジャズサンバ。
 手数の多いドラムとこれまたたたみかけるようなピアノ。
 ブロックコードを中心に、大汗かきながら鍵盤を叩き続ける姿が目に浮かぶような強烈な演奏。
 これでもかこれでもか続く演奏。
 どこかで聞いたことがあるようなメロディ、ブラジルの巨匠の名曲の連続。
 潔く左右のチャンネルに振り分けられたドラムとピアノ。
 前時代的と言われればそうなのだけども、この音楽ならそのほうがいいじゃん、と思わせるおおらかさ。
 あっという間の30分弱。
 この短さもなんとも潔くていいなあ。
 最後にやっとクールダウンしたバラード。
 お疲れさまでした。




posted by H.A.

【Disc Review】”Milton Banana Trio” (1965) Milton Banana

”Milton Banana Trio” (1965) Milton Banana
Milton Banana (Drums)
AzeitonaGuará (Bass) Walter Wanderley (Piano)

Milton Banana Trio
Milton Trio Banana
EMI Europe Generic

ミルトン・バナナ

 ブラジルのジャズサンバ、ピアノトリオ。
 モダンジャズ系のピアノトリオはほとんど聞かなくなったのですが、この手の音をたまに、いや、よく聞きたくなります。
 なんでだろ?
 時代を感じさせるラフな感じの音ですが、同じようなアレンジでも今の音だとキレイでクールな感じになってしまうからかな?
 これはウキウキしてくるなあ・・・
 この季節の昼にはピッタリの音。
 ちょっと暑すぎるかな?




posted by H.A.

【Disc Review】"E Dona Da Bossa " (1963-1965) Claudette Soares

"E Dona Da Bossa " (1963-1965) Claudette Soares
Claudette Soares (vocal) and others

クラウデッチ ソアレス

 真夏の夜のボサノバ。
 ブラジルの女性ボーカルClaudette Soares、ノスタルジックなポピュラー音楽~ボサノバ。
 楽園へのトリップツール。
 前半はストリングスを従えたあの時代のジャズ~ボサノバ~ポップス仕立て、ブラジルというよりむしろアメリカ西海岸っぽいテイスト。
 後半はコンボをバックに素直なボサノバ。
 オーソドックスなボサノバ的なサラッとした歌い方ではなく、後ろに引きずり気味、ビブラート強め、いかにも女性です、なタイプ。
 これがあの時代のストリングスアレンジとマッチしてなんともゴージャス。
 英語ではなく、柔らかなポルトガル語の響きも含めて、楽園テイスト。
 そして、このアルバムがいいのは、A面とB面の質感が全く異なるところ。
 CDで聞いていると、夢見心地もベタついてきて飽きたかな・・・と思う頃、いいタイミングで乾いたボサノバが始まります。
 これは軽妙でいい感じの口直し。
 単に便利なだけじゃん、と言ってしまえば元も子もないのですが、これが結構あなどれない素晴らしさ・・・
 もちろんA、B両面ともに音楽自体が素晴らしいアルバムです。 
 この季節の夜にピッタリの音。


 

posted by H.A.

【Disc Review】“Piano e Voz” (2004) Ná Ozzetti, Andre Mehmari

“Piano e Voz” (2004) Ná Ozzetti, Andre Mehmari
Ná Ozzetti (voice) Andre Mehmari (piano)

Piano e Voz
MCD
アンドレ・メマ
ナ・オゼッティ

 ブラジルのスーパーピアニストAndre Mehmari 、ボーカリストNá OzzettiとのDuo作品。
 とても上品で優しい音楽。
 オムニバス“Veredas” (2005-2008)にいいところは収められていますが、やはりオリジナルアルバムが素晴らしい。
 クラシックの香りが濃厚な音。
 Ná Ozzettiもクラシック畑の人かと思っていましたが、諸作からするとポップス系の人なのでしょうかね。
 いずれにしてもとても優し気な声、完璧な歌、とても優雅。
 ピアノはいつもながらに圧倒的な演奏力、表現力。
 伸び縮みするようなビートに、音が天から舞い降りてくるような繊細な音使い。
 本作は全編クラシックのテイストですが、ゴムまりが弾むようなしなやかさ。
 バラード中心、伴奏中心ですので、突っ走る場面こそ多くはありませんが、スローテンポでの絶妙なタメ、アップテンポでのグルーヴ、さりげないけど強烈なオブリガードのカッコよさは他では聞けないこの人ならではの凄み。
 ブラジルの巨匠たちの名曲に加えて、後半に突然現れるスタンダード”Cry me a River”。
 上品な演奏の中のベタベタな恨み節。
 だから何なの・・・ですが、ジャズの耳としては意外でもあり、懐かしくもあり、もちろん素晴らしい歌、演奏です。
 全編通じた強烈な浮遊感。
 ノスタルジックなような現代的なような、不思議な郷愁感。
 遠いところを眺めているような、穏やかで落ち着いた音。
 上質かつ上品な心地よい時間、空間。
 これままた大名作。




posted by H.A.

【Disc Review】“ao vivo” (2014) Rosa Passos

“ao vivo” (2014) Rosa Passos

Rosa Passos (vocal, guitar)
Lula Galvao (guitar) Jose Reinoso (piano) Paulo Paulelli (bass) Celso de Almeida (drums) 

Ao Vivo
Biscoito Fino
2016-05-13
ホーザ パッソス

 現代最高のボサノバ~MPBのボーカリストRosa Passos、2016年発表の最新作、ライブアルバム。
 サポートはいつものLula Galvaoのギターに加えて、ジャジーなピアノトリオ。
 集大成の意味合いもあるのでしょう.
 近年の作品のイメージ通りジャズのムードが濃厚な華やかな演奏から、少人数での静かな演奏まで。
 コンボもいいのですが、ここでも何曲かのギターとベースのみ、ピアノのみの少人数での伴奏の方が彼女ならではの凄みが一番出る演奏のように思います。
 “Rosa” (2006)、“Entre Amigos” (2003) のような沈んだ凄みは、この人とJoao Gilbertoのみが出せるムードだと思っています。
 彼女はもちろん、バンド全員が手練れ。
 静かなボサノバで始まり、間奏に入るとベースが動き出し、4ビートの強いグルーヴとエキサイティングなインプロビゼーション、間奏が終わるとまた静かな彼女の世界に戻る・・・ってなカッコいい編曲。
 楽曲はいつものお気に入り、Gilberto Gil, Djavan, Jobimなどのブラジルの巨匠の名曲揃い。
 但し、有名曲ではなく隠れた名曲の渋い選択。
 それらの巨匠の作品に匹敵する彼女のオリジナル曲がチョイスされていないのは少々残念なところではありますが・・・
 終盤に向けて盛り上がっていくライブ定番の構成、さりげない高揚感。
 普通に演奏しているようで、このバンドでしか聞けなさそうな上質なグルーヴ、そして全編を漂う穏やかな郷愁感。
 やはり集大成。
 この人の作品にハズレなし。
 すべて名作。

※別のステージから。



posted by H.A.

【Disc Review】“É Luxo Só” (2011) Rosa Passos

“É Luxo Só” (2011) Rosa Passos
Rosa Passos (vocals)
Lula Galvao (guitar) Jorge Helder (bass) Rafael Barata (drums, percussion)

ホーザパッソス




 Rosa Passos、サンバ~ボサノバの大歌手Elizete Cardosoに対するオマージュ作品。
 雑味なしのシンプルなギタートリオを背景に、慈しむような優しい歌。
 もう自分ではギターは弾かないのかもしれないし、作曲もしていないのかもしれないけども、名曲はたくさんあるし、声と歌は唯一無比の存在感。
 バラード中心のこのアルバム、心なしか少し力が抜けていつもよりウィスパー成分が強いかも。
 静かでスッキリしているサポートメンバーの音とのバランス、あるいは録音の妙なのかもしれないけども、優しい凄みのギター弾き語り“Rosa” (2006)、あるいは“Entre Amigos” (2003)に通じるイメージ。
 ジャズもいいけど、やはりRosa Passosには音数が少ない静かな背景が似合うなあ。
 静かでゆったりしたリズムに、囁くような優しく暖かいボイス、明るいながら哀愁を湛えたメロディ。
 そんな音が流れる時間、音空間。
 癒し度、最大級。
 最高の現代ボサノバ~MPB。

(※この投稿は2016/02/25から移動しました。)



posted by H.A.

【Disc Review】“Romance” (2008) Rosa Passos

“Romance” (2008) Rosa Passos

Rosa Passos (vocals)
Fabio Torres (piano) Paulo Paulelli (acoustic and electric bass) Celso de Almeida (drums) Daniel D'Alcantara (trumpet and flugelhorn) Lula Galvao (guitar) Vinicius Dorin (tenor, alto, and soprano sax, transverse flute) Nahor Gomes (flugelhorn)

Romance
Universal Music LLC
2008-07-15
ホーザパッソス

 Rosa Passos、神々しい弾き語り”Rosa" (2006)に続く、ジャズボッサコンボを従えた、ボサノバ、MPBのバラードを中心とした名曲集。
 Jobim, Ivan Lins, Dorival Caymmi, Djavan,Chico Buarque, ・・・・・・・
 これだけの巨匠の名曲からの選択、もちろん全曲ハズレなし。
 哀愁、郷愁が漂う素敵なメロディばかり。
 本人があのゆったりとしたギターを弾いていないことがとても残念ですが、サポートメンバーはみんないい音を出す人たち。
 ピアノはリリカルかつ只者ではない感が漂う素晴らしい演奏、さらにカッコいいクリーントーンのエレキギターが現代的なブラジル音楽っぽくていい感じ、ホーン陣も手練れた音。
 わずかに太くなったかな?と感じるRosaさんの声も落ち着いたいい感じ。
 弾き語りや音の間が大きい”Entre Amigos”(2003)などと比べると、凄みは薄れているのかもしれないけども、その分気楽に聞けるのでしょう。
 さりげなくて上質、Rosaさんの最もジャズに近い?アルバム。

(※この投稿は2016/02/25から移動しました。)



posted by H.A.

【Disc Review】 “Rosa” (2006) Rosa Passos

”Rosa" (2006) Rosa Passos
Rosa Passos(Vocal, Guitar)  

Rosa
Rosa Passos
Telarc
2006-04-25
ホーザ パッソス

 目下、私の知る限りのブラジル系のベストボーカリスト。
 かわいい系の声なのだけど実に深い。
 ボサノバ伝統のウイスパー系で、スカートをはいたJoao Gilbertoと呼ばれているらしいのだけど、わずかに強い押し。
 語尾に微妙なビブラートが掛かり、高い音では微妙に裏返り気味、鼻に抜け気味。
 湿っているような乾いているような、絶妙なバランスの発声。
 1曲目、そんな微妙な声で、いきなりアカペラが始まります。
 これにはドッキリ。
 さらに2曲目、Jobimの隠れた佳曲、ガットギター一本のバッキングで哀愁曲を囁きます。
 泣けてくるようなというような大げさな悲しみではなく、切ないもの悲しさが漂うメロディ。
 これが彼女の微妙な声と絶妙なバランス。
 そんな微妙で、絶妙、深い演奏が最後まで続きます。
 背景に何もない、無音の瞬間をたくさん感じられる、静謐で奥の深い音空間。
 有名曲やヒット曲が入っているわけではありませんが、どの曲も佳曲で彼女のために書かれたのでは、と思えるほどベストマッチな曲と声とギター。
 確かにJoao Gilberto的なのですが、女性だけにもっと優しく、同じぐらいに深い。
 最後まで同じ質感だけど、飽きてくる感じはしないのも不思議。
 じっくり聞いてしまうと何をしていても手が止まってしまいそう。
 気持ちが浄化されてくるような感覚も決して大げさではない。
 雰囲気は夕暮れ時。
 郷愁。

(※この投稿は2014/02/20から移動しました。)



posted by H.A.

【Disc Review】”Amorosa” (2004) Rosa Passos

“Amorosa” (2004) Rosa Passos
Rosa Passos (vocals, guitar)
Rodrigo Ursaia (saxophone) Paulo Paulelli (bass) Paulinho Braga, Paulo Braga (drums) Henri Salvador (vocals) Yo-Yo Ma (cello) Cyro Baptista (strings, percussion) Paquito d'Rivera (clarinet) Helio Alves (piano) Strings

Amorosa
Rosa Passos
Sony
2004-08-31
ホーザ パッソス

 現代の最高のボサノバボーカリストRosa Passos、史上最高のボサノバボーカリスト、というよりボサノバの生みの親、神様Joao Gilbertoへオマージュ。
 それも彼のアルバム“Amorosa” (1977)と同タイトル。 
 Joaoは神様、“Amorosa” はとても優雅で素敵な作品。さて・・・
 結論からすれば、それとは違うテイストの素晴らしいアルバム。
 音の作りはジャズのそれ。
 Joaoの諸作よりもジャズに近いイメージ。
 本人のギターと美しいピアノ、すっきりしたサックス&クラリネットを中心としたジャズボッサコンボ。
 何曲かで入るストリングスもあまり前に出ることはなく、スッキリとした優雅さ。
 もちろん、現代の極めて透明感の高い整った録音・・・。
 と書くとありがちなジャズボッサのアルバム・・・とならないのがRosaの歌。
 とても優しげな声。
 優しげでも内にこもる印象のJoaoに対して、エネルギーがつつましやかに外に向かうRosaの歌。
 クールなJoaoに対してウォームなRosa。 優雅で温かな最高のジャズボッサ。
 おっと、Joao Gilberto、“Amorosa”へのオマージュだったことを忘れてしまっていた・・・ 終盤のシャンソン“I wish You Love”、そして”'S Wonderful”を聞いて思い出す・・・
 Rosaの明るい“Amorosa” 。

(※この投稿は2016/02/25から移動しました。)



  posted by H.A.

【Disc Review】“Entre Amigos” (2003) Rosa Passos And Ron Carter

“Entre Amigos” (2003) Rosa Passos And Ron Carter
Rosa Passos (vocals, guitar) Ron Carter (bass)
Lula (guitar) Paulo Braga (percussion) Billy Drewes (tenor saxophone and clarinet) 

ホーザ パッソス

 Rosa Passos、Ron Carterとの共演アルバム。
 演奏し尽くされたJobimをはじめとするブラジルスタンダードが新鮮に聞こえる。
 全く奇をてらわないオーソドックスなアレンジなのに。
 心なしか軽快でノリのいい、でも何故かしっとりとした上質なバンドサウンド。
 何故だろう?
 Ron Cater?少し湿り気のあるサックス?強く弾かないゆったりとしたギター?それとも録音~ミキシング?
 少し後ろに下がった感じのバンドの前に立つ明瞭なRosaの生々しい声。
 囁くように、でもわずかに押しのある微妙な歌。
 生々しさでは弾き語り、雑味一切なしの”Rosa"(2006)に勝るとも劣らず。
 ギターあるいはベースとのDuoの場面では度々訪れる無音の瞬間。
 静かな凄み。
 でも、とても優しい音楽。
 これも宝物。

(※この投稿は2016/02/24から移動しました。)



posted by H.A.
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