吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2016年05月

【Disc Review】“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008) Carlos Aguirre Grupo

“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008) Carlos Aguirre Grupo
Carlos Aguirre (piano, accordeon, keyboards)
Alfonso Bekes (guitar, mandolin) Luis Medina: (guitar, piccolo guitar) Fernando Silva (bass, cello) Jose Piccioni (perccusion, bandoneon) Silvia Salomone, Florencia Di Stefano, Jorgelina Barbiero (voice) Melisa Budini (voice, marimba)



 Carlos Aguirre Grupoの三作目。
 ボーカルはコーラスのみ、一曲一曲が長尺な器楽曲の構成、“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)、“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004)とは少しイメージが異なります。
 もちろん音楽の質感は同じ、とてもセンチメンタルで郷愁感溢れる音なのですが、ボーカルはコーラスのみ、ポップス色は抑えられ、コンテンポラリージャズな音。
 強く激しい展開の場面もあり、それら含めてとてもドラマチック。
 次々と景色が変わっていくような構成。
 何かしらのドラマが込められた組曲なのでしょうか。
 少しずつ変わっていく複雑なビート、複雑なアンサンブル。
 先が読めない展開、 ときおりの激しいインプロビゼーション・・・
 さらに要所で現れるコーラスがいかにもCarlos Aguirre的であり、南米的。
 ビートが上がると高揚感のあるグルーヴ、ブラジル・ミナス色が強い時期のPat Metheny Group、さらに全体の強烈な起伏と高揚感は、その超大作”The Way Up” (2003-4)を想起します。  
 ポップス然としたキャッチ―さはありませんが、各曲長尺な演奏、複雑な構成の中に、目の覚めるような美しいメロディがたくさん散りばめられています。
 そしていろいろな場所にいろいろな仕掛けが施されています。
 冒頭”Invierno”の穏やかな表情の中から表出する短い激情、強烈な余韻を残すエンディング、二曲目"Rumor de Tambores"の激しい演奏の中に現れる胸が締め付けられるようなメロディ、四曲目”Casa Nueva”のこの上もなく切ないメロディ、最終”Mariposa Leve”の穏やかな高揚感の中での前向きなエンディング・・・
 穏やかで優しい流れの中の少しの激情、興奮、そして陶酔感・・・
 凄みすら漂うドラマ。
 これまた傑作でしょう。




posted by H.A.

【Disc Review】“Caminos” (2006) Carlos Aguirre

“Caminos” (2006) Carlos Aguirre
Carlos Aguirre (piano)

Caminos
Shagrada Medra
カルロス アギーレ


 現代フォルクローレのCarlos Aguirre、ピアノソロアルバム。
 これまた優雅なピアノミュージック。
 オリジナル曲のメロディ含めて、ジャズの色合いも少々ある作品。
 一曲一曲を短くまとめ、次から次へと目まぐるしく変わっていく展開。
 ビートの感覚、節回しが独特。
 ちょっと強めのタッチ、ビートかなと思うと、柔らかで優雅なアルゼンチンフォルクローレビートに変わっていたり、Egberto Gismonti的な展開をしてみたり。
 美しい展開ながら意外な方向にも動く、どこか不思議感のある音使い。
 全体を通じて流れるのは淡い哀感。
 これもSaudadeなのでしょうね。




posted by H.A.

【Disc Review】“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004) Carlos Aguirre Grupo

“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004) Carlos Aguirre Grupo
Carlos Aguirre (voice, guitar, piano, percussion) 
Silvina López (guitar, voice) Jorge Martí (guitar) Fernando Silva (bass) Silvia Gomez (percussion) 
Sebastian Macchi (piano) Notalia Damadian, Jorgelina Barbiero, Silvia Salomone (voice) and others
 


 アルゼンチン、現代フォルクローレのカリスマなのでしょう、Carlos Aguirreの2004年作。
 いずれ劣らぬ名作“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)、“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)の間の作品。
 空気感は同じですが、“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)の流れを汲みつつも、このアルバムが一番でスッキリ系かもしれません。
 ポップス然とした歌中心の音作りは、ジャズではないし、もちろんブラジル系とは違うし、タンゴ色もないし、クラシック的といえばそうかもしれないけども、それもそれほど強くは感じません。
 文字通りの現代フォルクローレなのでしょうが、それにしては極めて洗練されているし、洗練されたソウル~AOR的といえばそうなのかもしれませんが何か違うし、極めて現代的な音なのだと思うのだけどノスタルジックな感じもするし・・・
 ・・・ってな感じでそれらが全部融合された微妙で繊細な音。
 さておき本作、パーカッションは色付け程度で、ギターを中心に、ときおり透明度の高い美しいピアノが作る音。 
 あのギターのユニゾンでのオブリガード、オシャレな女声コーラスもたっぷり。
 メロディは折り紙付きの哀感、センチメンタリズム。
 寂寥感ってほど寂しくはない、やはり南米系、郷愁感ってな言葉がピッタリきます。
 ちょっと寂し気なボーカルと完璧なアンサンブル。
 名曲、名演揃いですが、最後に納められた"vidala que ronda”なんて、アルバムの締めはこれしかないというか、これで人生の最後を締めくくってもいいような?、そんなムード。
 寂し気なようで、とても前向き、爽やか。
 春、新緑の季節になるとこの手の一連の作品が聞きたくなります。
 そんな音です。




※本投稿は2017/5/27投稿から移動しました。

posted by H.A.

【Disc Review】“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000) Carlos Aguirre Grupo

“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000) Carlos Aguirre Grupo
Carlos Aguirre (voice, guitar, piano, acordeon, percussion)
Silvina López (guitar, voice) Jorge Martí (guitar) Fernando Silva (bass) Quique Sinesi (piccolo guitar) Luis Barbiero (flute) Jorgelina Barbiero (voice) and others

Carlos Aguirre Grupo(Crema)
カルロス・アギーレ・グルーポ
Apres-midi Records



 現代フォルクローレのCarlos Aguirre、これが初リーダー作なのでしょう。
 何年か前、ジャズとは距離を置く音楽マニアの間では相当話題になっていたことを思い出します。
 今でもカリスマなのでしょう。
 当時CD一枚ごとに異なるオリジナル水彩画がついていたように思います。
 近年の南米系音楽のジャケットに水彩画が多いのも、この人が端緒なのでしょうか?
 まさに水彩画のような柔らかな音。
 モノトーンではなくカラフル。
 ブラジルのAndre Mehmari辺りとも共通する、とても穏やかで優し気なメロディ。
 そちらはクラシック、ジャズにフォルクローレの香りが乗ったイメージだけども、本作はフォルクローレにポップスが乗った印象、さらにもっと繊細。
 全ての楽曲が懐かしい印象も漂うセンチメンタルなメロディ。
 全てがキャッチーで南米独特の郷愁感が漂う名曲。
 ポップスの色合いが強いボーカル曲が中心。 
 アルゼンチンフォルクローレ特有の優雅なビートを中心として、時折スペインの香りがするようにも感じます。
 とても繊維で優しげな歌声と、この上なくオシャレな絶妙のコーラスワーク。
 瑞々しいガットギター、さらにそのユニゾンの美しいハーモニー、透明度の高いピアノの音が先導する小編成のアコースティック楽器の響き、さらにときおり前面に出る柔らかなフレットレスベース・・・
 それらが折り重なるように絡み合う音は絶品の心地よさ。 
 インプロビゼーションのスペースはわずかですが、これまた繊細で素敵なアンサンブルとさりげないインタープレーも散りばめられています。
 ジャズファンからするとスウィングしないとか、ポップに過ぎる、とかの向きもあるのかもしれません。
 が、ジャズとは違う、優しく穏やかな別の世界が見えて、それがいいと思うんですかねえ・・・
 これは大傑作でしょう。




posted by H.A.

【Disc Review】“Sense of Quiet” (May.2012) Quique Sinesi, Carlos Agguire

“Sense of Quiet” (May.2012) Quique Sinesi, Carlos Agguire
Quique Sinesi (guitar, piccolo guitar, 7strings guitar)
Carlos Agguire (piano, accordion, voice)



 タンゴ、フォルクローレのギタリストQuique Sinesi、同じくアルゼンチンのCarlos Agguireをゲストに迎えたライブアルバム、東京録音。
 この二人が、現代フォルクローレで最も注目を集めている人なのでしょう。 共演作も多数。

 時間は開いていますが、“Danza Sin Fin” (1998)のライブ版、といったところ。

 前半はギターのソロ演奏、後半からCarlos Agguireのピアノが加わります。
 前半は少しひんやりとした瑞々しいガットギターの響き。
 Egberto Gismontiを柔らかくし、優しくし、センチメンタルに繊細にしたような音使い。
 郷愁感が漂うメロディも合わせて、穏やかな空気感。
 周囲の空気が浄化されていくような爽やかさ。
 ピアノが入ると景色が変わります。
 “Danza Sin Fin” (1998)の世界、水の流れのように透明だった風景がカラフルに。
 典型的な現代フォルクローレの色合い、淡い水彩画のような景色。
 ソロゆえに自由だったビート感も落ち着き、穏やかな躍動感。
 自然で優しいグルーヴ、アップテンポでは強烈な疾走感。
 少しセンチメンタルだけども前向きなメロディ、音使い。
 Pat Metheny&Lyle Maysに似たムードなのかもしれませんが、そちらよりも穏やか。
 フォルクローレ特有のビート感もあって、とても優雅。
 この辺りが混じり気なしの彼らの音、現代フォルクローレの特徴なのでしょう。
 さらに最後のアップテンポ曲などはToninho HortaEgberto Gismontiを足し合わせたようなカッコよさ。
 前向きで明るくて、それでいて哀愁があって、上品なエネルギーがあって・・・
 たった二人の演奏ながら、とても豊かな時間。




posted by H.A.

【Disc Review】“Avantgarde Buenos Aires” (2012) Quique Sinesi, Mono Hurtado, Walther Castro, Facundo Barreyra

“Avantgarde Buenos Aires” (2012) Quique Sinesi, Mono Hurtado, Walther Castro, Facundo Barreyra
Quique Sinesi (guitar) Mono Hurtado (bass) Walther Castro (bandoneon) Facundo Barreyra (drums)

Avantgarde Buenos Aires
Avantgarde Buenos Aires
Acqua Records
2012-10-30
アヴァンギャルド・ブエノス・アイレス 
キケ シネシ
 




 アルゼンチンのバンドによる現代タンゴ。
 Quique Sinesi、Walther Castroは Pablo Zieglerのバンドの人。
 他のメンバーも一線級の人たちなのでしょう。
 現代のアルゼンチン音楽らしく、フォルクローレの香りも含めて、とても優しくて穏やか、美しい音楽。
 名前はAvantgarde、前衛的な演奏も何曲かあり、それを目指しているのかもしれませんが、美しいメロディの楽曲が多く、全体的には優し気で上品な演奏が印象に残ります。
 ジャズファンからしてうれしいのが、常にゆるーくスウィングしていること。
 タンゴの場合、ともすればリズムがきつかったり、全くバックビートが効いていなかったりすることがままあるのですが、このバンドは違います。
 ベース、ドラムがジャズの人のようなノリとグルーヴ、それもヒタヒタと迫ってくる系。
 フロントのギター、バンドネオンともにいい感じのビート感。
 繊細なアンサンブルはもとより、インプロビゼーションのスペース、インタープレーがたっぷり。
 “Cité de la Musique” (1996) Dino Saluzziあたりを想い起しますが、もっとサラリとした質感、素直でポップなイメージ。
 楽曲は各メンバーのオリジナルにAstor Piazzolla一曲。
 郷愁感の漂うメロディアスな曲が多く、何曲かのアバンギャルドもなぜか違和感なく流れの中に収まっています。不思議です。
 とても透明度が高くて瑞々しい音。
 ECM的ではなくて、もっと明度が高い音ですが、派手ではなく、いいバランスの心地よさ。
 タンゴはリズムがねえ・・・とお思いのジャズファンの人、あるいは、ECMは好きだけどもう少し明るいモノもお求めの人は、一度お試しを。




posted by H.A.

【Disc Review】“Cuchichiando” (2009) Quique Sinesi

“Cuchichiando” (2009) Quique Sinesi
Quique Sinesi (guitar, etc.)
Marcelo Moguilevsky (reeds) Matias Gonzalez (bass) Horacio Lopez (drums) Nora Sarmoria (piano, voice) Juan Flau (guitar) Franco Luciani (harmonica) Luciana Jury (vocal) Santiago Vazquez (Percussion)

Cuchichiando
Cuchi Leguizamon
Suramusic
キケ シネシ


 アルゼンチンのギタリストQuique Sinesi、フォルクローレの作曲家Gustavo "Cuchi" Leguizamónの作品集。
 フォルクローレ、タンゴ、ジャズの色合いがフュージョンするギタリスト。
 本作では一曲ごとにさまざまな楽器のゲストを迎え、Duo、Trio、あるいはSoloでの静謐で穏やかなフォルクローレ。
 この辺りが最もベースとなっている音なのでしょう。 
 どこかで聞いたことがあるような、懐かしい感じのメロディの連続。
 終始流れる哀愁、郷愁。
 フォルクローレ特有の優雅なビート。
 さらに少人数ゆえの自由度、浮遊感が加わって、伸び縮みするビート。
 ふわふわとした空間、ゆらゆらとした時間軸。
 瑞々しい透明度の高いガットギターの音。
 それに絡むピアノ、ボイス、ギター、ベース、クラリネット、笛、ハーモニカ・・・
 カウンターを当てる人、寄り添う人、背景にする人・・・
 人それぞれ、さまざまな関係性、さまざまなインタープレー。
 みんな穏やかなようで、一癖あって・・・
 一筋縄ではいかない音。
 それでも全曲、全員がとても優雅。




posted by H.A.

【Disc Review】“Bajo Cero” (2003) Pablo Ziegler, Quique Sinesi, Walter Castro

“Bajo Cero” (2003) Pablo Ziegler, Quique Sinesi, Walter Castro
Pablo Ziegler (Piano) Quique Sinesi (Guitar)
Walter Castro (Bandoneon)

Bajo Cero
Pablo Ziegler
Zoho Music
パブロ シーグレル
キケ シネシ


 Astor Piazzollaバンドのピアニスト、Duo、Trioでのタンゴ的ジャズ、ジャズ的タンゴ。
 おそらく元々ジャズの人なのでしょうから、ジャズファンとしてもいい感じで聞けるピアニスト。
 ブルージーなアメリカンともクラシック色の強いヨーロピアンとも違う独特の色合いのピアニスト。
 クラシック~ジャズ~タンゴを徹底的に弾いてきた事を感じさせる音使い。
 Piazzollaバンドでのカッコよさは言わずもがな、ジャズの経験を通じて自然なバックビートが効いているのでしょうね。
 ギターとバンドネオンは新世代の人たち。
 Quique Sinesiのフレージングはジャズっぽい感じもそこかしこに。
 ビート感もジャズ度が強いのかもしれません。
 さらにとても瑞々しい音色と音使い。
 バンドネオンはシャンソンの香りすらも漂う明るい色合いの音使い。
 全体を眺めればもちろんタンゴなのですが、ジャズ的な感じだったり、シャンソン風味が漂っていたり。
 とても優雅。
 オリジナル曲に加えてAstor Piazzolla曲、その他。
 求道的あるいは漆黒のイメージのAstor Piazzollaに対して、Pablo Zieglerの音楽はカラフルで明るいイメージ。
 深刻系で湿度の高いPiazzolla曲も、このバンドではあっけらかんとカラッとしたイメージ。
 Piazzollaのカッコよさは絶対的だと思いますが、明るいこのバンドもいい感じ。




posted by H.A.

【Disc Review】“Soltando Amarras” (1998) Quique Sinesi, Marcelo Moguilevsky

“Soltando Amarras” (1998) Quique Sinesi, Marcelo Moguilevsky
Quique Sinesi (guitar, etc.) Marcelo Moguilevsky (reeds, voice, etc.)
Calros Aruirre (paino)

Soltando Amarras
Quique Sinesi
Espa Music
キケ・シネシ、マルセロ・モギレブスキー


 現代フォルクローレのギタリスト、Quique Sinesi、リード奏者とのDuo作品。
 “Danza Sin Fin” (1998)と同時期の録音、質感も同じ。
 これまた優雅で郷愁感が滲み出る名曲、名演奏揃い。
 冒頭曲こそハイテンション、ハイスピード、聞き慣れない笛が前面に出ますが、以降は穏やかで優しいメロディ、優雅な演奏が続きます。
 Marcelo Moguilevskyはクラリネット、ソプラノサックスを中心に、フルート、ボイスまでまで様々な楽器を駆使した演奏。
 この人もジャズの経験がある人なのでしょうかね。
 いい感じのグルーヴ、どの楽器にしても素晴らしい表現力、抑揚感。 
 Quique Sinesiのギターはソロ作品と同様の瑞々しさ。
 ギターソロではなくMarcelo Moguilevsky が背景を作ってくれる分、Quique Sinesiのシングルトーンのギターソロもたっぷり。
 ジャズ、スパニッシュ、その他が混ざり合ったような質感。
 スローテンポのタメとアップテンポでの強烈な疾走感、そのバランス、組み合わせががなんとも優雅でカッコいい。
 グルーヴに乗ったカッコいいインタープレーの場面もしばしば。
 Calros Aruirreは一曲のみの提供、客演ですが、これまた素晴らしい内容。
 ジャズファン目線で見たフォルクローレ、違和感があるとすれば、ビートが弱いこと、インプロビゼーションのスペースが小さいことがその要因なのでしょう。
 本アルバムはインプロビゼーションたっぷり、全編通じて穏やかなスウィング。
 優雅なビート感に慣れてしまえば、こちらの方が心地よかったりします。
 純粋にギターを聞きたいならば、あるいは静謐を求めるのであれば“Danza Sin Fin” (1998)の方が良いかもしれません。
 こちらのアルバムには、同様の質感に加えて、上品な高揚感、興奮もあります。
 どちらが良いかはお好み次第、というか、その日の気分で決めればよいのでしょう。
 どちらも同じぐらいに上質、周囲の空気が浄化されるような素晴らしい音。




posted by H.A.

【Disc Review】“Danza Sin Fin” (1998) Quique Sinesi

“Danza Sin Fin” (1998) Quique Sinesi
Quique Sinesi (guitar, etc.)
Calros Aruirre (paino, voice) Juan Falu (guitar) Gustavo Paglia (bandoneon)

Danza Sin Fin
Quique Sinesi
Espa Music
キケ シネシ


 現代タンゴ~フォルクローレのギタリスト、Quique Sinesi、ソロ作品。
 とても繊細で優しげな音楽。
 数曲でサポートが入りますが、基本的にはソロ演奏。
 元Dino Saluzziバンドの人、近年はAstor PiazzollaバンドのピアニストPablo Zieglerとの共演も多数。
 エレキギターも使って、タンゴだけでなく、ジャズ、フュージョン的な演奏もしていたようです。
 透明度の高いガットギターの音は、Ralph TownerやEgbetro Gismontiを想い起こしますが、彼らとは違う質感。
 もっと柔らかく優しく、線が細くて繊細な音、音楽。
 ビート感も少し違う感じ。
 ベースにアルゼンチンフォルクローレの6/8拍子が流れているのでしょう。
 サポートが付いた際のシングルトーンの音使いには、ジャズ的なムードも濃厚。
 ECMから出ていてもおかしくない質感ですが、それにしては穏やかで優し気すぎるのかもしれません。
 楽曲はオリジナル曲中心。
 どれも郷愁が漂うメロディ。
 もちろん優雅なフォルクローレなムード。
 また、数曲ごとに入るサポートがとてもいい感じ。
 ギターだけだと飽きてしまうかもしれませんが、ピアノ、バンドネオンがいいタイミングで違った色付けをしてくれます。
 Calros Aruirreとのコンビネーションは後の作品で聞かれるように、両者の繊細な音使いが相まって完璧なコンビネーション。
 バンドネオン、ギターとの組み合わせも同様。
 静謐ですが、陰鬱でも沈痛でもありません。
 あくまで穏やかな音。
 周囲の空気を一気に換えてしまうような音。
 淀んでいた空気が浄化する涼し気な風、微かな湿り気。
 淀んだ気持ちも穏やかに緩やかになるような空気感。
 現代フォルクローレの代表的な音。




posted by H.A. 

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