吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2016年05月

【Disc Review】“It's Clear” (2008) Helio Alves

“It's Clear” (2008) Helio Alves 
Helio Alves (piano)
Romero Lubambo (guitar) Scott Colley (bass) Ernesto Simpson (drums)

It's Clear
Helio Alves
Reservoir
エリオ アルヴェス


 ブラジリアン・ピアニスト。トリオを中心としたジャズ作品。
 ブラジル系のミュージシャンがジャズを演奏するときよく見る名前。
 近年のMPB大御所Joyceの“Slow Music” (2010)などは、このピアニストでなければ別の音楽になってしまったように思えるとても素晴らしい演奏。それ前後のJoyceのアルバムがカッコいいのはこの人のピアノに拠るところも大きいと思います。
 本作、Romero Lubamboの数曲でのゲスト参加はありますが、レーベルがReservoirでもあり、ブラジル色は薄目、現代的なモダンジャズに仕上がっています。
 サポートも「今」のジャズを演奏する生きのいい人たち。
 全体の質感はオーソドックスなジャズながら、ドラムは今風のビート感、スネアの入り方がカッコよく、シンバルが強烈なスタイル。
 ベースもよく動く推進力強い系のジャズベース。
 ピアノはオーソドックスでまとまりのいい演奏。
 曲はオリジナルとブラジル曲が半々。
 さて、ブラジルっぽい新しい質感のジャズ、あるいは“Slow Music” Joyceのこぼれ落ちるようなリリシズム・・・・・を期待すると少し違ったもの。
 スッキリとまとまった現代的モダンジャズ、ピアノトリオ+αの佳作。
 他にもいい作品がたくさんあるんだろうなあ、きっと。

※別のユニットから。 



posted by H.A.

【Disc Review】“Slow Music” (2010) Joyce

“Slow Music” (2010) Joyce
Joyce (vocal, guitar)
Hélio Alves (piano) Jorge Helder (bass) Tutty Moreno (drums)

Slow Music
Joyce Moreno
Wrasse Records
2010-06-21
ジョイス

 タイトル通り、少しスローなバラードのJoyce。
 ピアノが目立つ編成だからでしょう、いつになくジャジー。
 近年はジャズスタンダード集なども作っていますが、ジャズ度高めなのはこの辺りから。
 本作ではジャズスタンダードが一曲だけ、後はいつものオリジナル曲、ブラジル曲。
 もちろんいつも通り、郷愁感あふれる素敵なメロディ揃い。
 しっとりとしたバラードの連続。
 何曲か聞いていると誰の音楽だったか忘れてしまいそう。
 ギターのビート感を意識して思い出す・・・
 そのくらいいつもの様子とは違うのですが、これが最高。
 Hélio Alvesのピアノは、静かに零れ落ちるような素晴らしい音使い。
 この人が参画してからジャズ度が強くなってきているのでしょう。
 控えめながらもこのピアノでなければ全く違うものができたのでしょう。そんな支配力。
 ギターも抑え目、静かに低く響くリズム。
 もちろん主役はボーカル。
 少し沈みながら、しっとりとしながらも、決してベタ付かないバラード。
 これ、ボサノバ混じりのジャズボーカルとして聞いても絶対いいと思うのだけども。
 とても素敵なジャズ・ボッサ・バラードアルバム。
 名アルバムだと思います。 




posted by H.A.

【Disc Review】“Samba-Jazz & Outras Bossas” (2007) Joyce & Tutty Moreno

“Samba-Jazz & Outras Bossas” (2007) Joyce & Tutty Moreno
Joyce (Vocal, Guitar) Tutty Moreno (Drums, Sax)
Hélio Alves (Piano) Teco Cardoso (Flute, Sax) Luis Galvão (Guitars) Jorge Helder (Bass) Henrique Band (Sax) Nailor Proveta (Clarinet, Sax) Jessé Sadoc (Trumpet) Vittor Santos (Trombone)

トゥッティ モレーノ

 Joyce、夫君のドラマーと共同名義のアルバム。
 いつも通りと言えばいつも通りのJoyce。
 楽曲もJoyce作が半分ぐらい、残りがブラジルの巨匠の作品で、これまたいつも通り。
 たくさんのホーン陣が入って、しっかりしたアンサンブル、さらにはピアノ、ギターも含めてソロスペースもたっぷりあって、ジャズのムードが強いのがいつもとは違うところなのでしょう。
 あ、タイトルにそう書いてましたね。
 ピアノのブラジリアンHélio Alvesがものすごくカッコいいし、ホーン陣、ギターも手練れ。
 いつもよりももっと強いかもしれないグルーヴ、ビート感。 
 その辺のジャズバンドではこの雰囲気、躍動感は出せないだろうなあ。
 さすが一流ジャズドラマーのTutty Moreno。
 なお、この頃のJoyceのアルバム、どれも似たようなジャケットで区別がつきにくいのですが、少しづつ色合いが違います。
 さらにどれも名作。
 本作はジャンピーなジャズ色の強い、とても楽しそうなMPB。
 ジャズファンの方で彼女を聞いたことない人は、スタンダード集も良いですが、オリジナル曲中心ゆえに彼女の色が強いこの辺りからも是非お試しを。




posted by H.A.

【Disc Review】“Rio Bahia” (2005) Joyce, Dori Caymmi

“Rio Bahia” (2005) Joyce, Dori Caymmi
Joyce, Dori Caymmi (vocal, guitar)
Teco Cardoso (Flute) Toninho Ferragutti (Accordion) Tutty Moreno (Drums) Nailor Proveta (Clarinet, Sax) Ronaldo Silva (Percussion) Rodolfo Stroeter (Bass) Kenny Werner (Piano) and others

Rio-Bahia
ジョイス・ウィズ・ドリ・カイミ
ビクターエンタテインメント
2005-06-08


 Joyceと大御所Dori Caymmiの共演版。
 “Sem Voce” (1995) Joyce, Toninho Hortaなんていいアルバムがありますが、これまたスパッとした感じの女性と、優しげでモゴモゴした男性のいい感じの組み合わせ。
 ブラジルってこんな感じの所なのでしょうかね。
 こちらはボサノバ~アコースティックなフュージョン仕立て。
 いわゆるMPB(ブラジリアンポップス)。
 ガットギターとパーカッションのバッキングを中心に、ホーン、ピアノ、アコーディオン、ストリングス等々が彩りをつけ、ほどよくゴージャズ。
 ほどよく現代的で、ほどよくノスタルジック。
 ちょうど気持ちいいバランスです。
 楽曲はDori Caymmiの作品を中心に、Jobimとはまた違った、少し素朴な質感の名曲揃い。
 ちょっと湿っぽいDori Caymmiさんと、カラッとしたJoyceさん。
 タイトル通り、ちょっと湿っぽくてしっとりしたBahiaな感じと、カラッと元気なRioな感じのフュージョン。
 共通するのは郷愁感。
 いい組み合わせです。
 柔らかくて優しくて優雅、そして郷愁感が漂うブラジル音楽。




posted by H.A.

【Disc Review】“Live at Mojo Club” (1995) Joyce

“Live at Mojo Club” (1995) Joyce
Joyce (vocal, guitar)
Tutty Moreno (drums) Sizâo Machado (bass) Teco Cardoso (flute, sax)

ジョイス


 ブラジリアン・ポップスの大御所Joyce。
 ここまでの集大成なのでしょう。
 諸々のアルバムからの曲を集めたライブアルバム。
 自身のギター、ドラム、エレキベースに管楽器。
 ライブなのでざっくりとした質感。また管楽器が入っている分、ジャズっぽい雰囲気も強く、演奏も手練れ。
 歌がなくても一級のジャズサンバ・バンドとして聞けてしまいます。 
 もしこれにクリーントーンのエレキギターとピアノが入れば、向かうところ敵なしの完璧なブラジリアンバンドになりそうです。
 Toninho HortaとかAndre Mehmariとかね。
 ま、贅沢はいえません。この少人数のいつものバンドの方がグルーヴがでるのかもしれません。
 やはりブラジル系の人が出すリズムはしなやかで心地いい。
 何か間合いというか、リズムの取り方がジャズの人とは違うんでしょうかね。
 主役のボーカルも含めて、素朴でシンプルだけど、しなやかなグルーヴ感。
 ジャズとかボッサとかMPBとかの枠組みを超えて、どの目線から見ても、とてもカッコいい音楽。




posted by H.A.

【Disc Review】“Tardes Cariocas” (1983) Joyce

“Tardes Cariocas” (1983) Joyce
Joyce (Vocals, Guitar)
Fernando Leporace (Bass) Tuti Moreno (Drums) Bira Da Silva (Percussion) Alberto Rosenblit (Piano) Mauro Senise (Soprano Saxophone) Rodrigo Campello (Guitar) Mauro Senise (Flute) Egberto Gismonti (Guitar, Piano, Synthesizer) and others

Tardes Cariocas
Joyce
Far Out UK
ジョイス



 ブラジリアン・ポップスの大御所Joyce。
 “Feminina” (1980) “Agua e Luz” (1981) の延長線。
 三連発の傑作。
 本作にはあのEgberto Gismontiも参加。
 当然旧知の仲間なのでしょうが、“Magico:Carta de Amor” (Apl.1981) Magicoの後ですので、既に世界のスーパースター?になっていた頃なのでしょうね。
 白眉は”Barracumbarra”。
 柔らかなギターのアルペジオにスキャット、おまけに鳥のさえずり入った緩やかな楽園サウンド・・・
 と思っていると高速サンバに展開、テンション上げて盛り上がりつつ締め。
 さりげない哀愁の漂う、でも明るく前向きなメロディ。
 彼女の音楽のショーケース。
 これまた最高。




posted by H.A.

【Disc Review】“Feminina” (1980)、 “Agua e Luz” (1981) Joyce

“Feminina” (1980)、 “Agua e Luz” (1981) Joyce

“Feminina”
Joyce (Vocals, guitar)
Fernando Leporace (Bass, vocals) Tutti Moreno (Drums, percussion) Mauro Senise (Flute, saxophones) Lize Bravo (Vocals) Claudio Guimaraes, Helio Delmiro (Guitar) Paulo Guimaraes, Jorginho, Danilo Caymmi (Flute) Helvius Vilela (Piano) and strings

“Agua e Luz”
Joyce (Vocals, guitar)
Fernando Leporace (Bass, vocals) Tutti Moreno (Drums, percussion) Mauro Senise (Flute, saxophones) Paulo Guimaraes, Danilo Caymmi (Flute) Haroldo Mauro jr, Alfredo Cardim (Piano) Sivuca (Accordion) and others

フェミニーナ&水と光
ジョイス
EMIミュージック・ジャパン


水と光
ジョイス
ユニバーサル ミュージック



 ブラジル音楽好きならみんな大好きJoyce。
 アコースティックMPBの聖典・・・かどうかは知りませんが、ボサノバではない、ミナスでもない、ロックでもポップスでもサイケでも、まさかアバンギャルドでもない、1980年代~現在にいたるアコースティックMPBの完成形のひとつ。
 メンバーや楽器は変われど質感は同じ。
 緩急織り交ぜたサンバ、ボサノバベースの柔らかなリズム。
 ポップなテイスト、でもしなやかなでナチュラルな質感。
 クネクネと曲がりながらも最後は前向きに結ばれるメロディ。
 これ見よがしないやらしさがない自然なドラマチックさ。
 ガットギターの軽やかなリズムと瑞々しい爪弾き。
 わずかにスモーキーでカラッとした声と、ポルトガル語の柔らかな響き。
 リズムもメロディラインも歌い方も今と同じ。
 最高ですね。



posted by H.A.

【Disc Review】“Gimontipascoal” (2009,10) Hamilton de Holanda & André Mehmari

“Gimontipascoal” (2009,10) Hamilton de Holanda & André Mehmari
Hamilton de Holanda (10-string mandlin) André Mehmari (Piano)
Egberto Gismonti (guitar) Hermeto Pascoal (Fender Rhodes, percussion)

Gismontipascoal a Musica De Egberto & Hermeto
Hamilton De Holanda
Microservice Brazil
アミルトン ヂ オランダ 
アンドレ メマ


 ブラジルのマンドリン奏者、ピアニストのDuo。
 “Continuous Friendship (Continua Amizade)” (2007)次ぐ作品、本作はブラジルの大御所Egberto Gismonti, Hermeto Pascoalへのオマージュ。
 両者の楽曲中心の構成に加えて、本人達が一曲ずつに参加。
 もちろん名曲、代表曲のオンパレード。
 これだけの条件が揃えばブラジルの人たちにとってはもはや聖典なのでしょう(?)。
 Hamilton de Holanda、André MehmariのDuoならではの伸び縮みするビート。
 伸び縮みしながらもピタリと寄り添い、ズレないコンビネーション。
 スローテンポでは漂い、アップテンポでは強烈な疾走感。
 一曲の中でもテンポが上がったり下がったり、ビートが伸びたり縮んだり、変幻自在。 それでも決してズレない阿吽の呼吸。
 クラシックの香りを漂わせながらの疾走曲、哀愁が漂うメロディアスなバラード、止まりそうで止まらないスローテンポ・・・・
 いずれも揺れながら漂いながら、自然に落ち着くところに落ち着いてしまう不思議なビート感。
 Egberto Gismonti参加曲はスローテンポでの漂うようなバラード。
 とても穏やかで優しい表情。
 Hermeto Pascoal参加曲は15分に届く長尺な演奏。
 ユーモラスなようなアバンギャルドような、過激なような優しいような、目まぐるしく景色が変わっていく不思議な組曲風の演奏。
 全体通じて、単なる偉人へのオマージュ、懐古趣味チックな色合いは皆無。
 たった二人ながら、たった二人だからできる、とても豊かな音。
 とてもクリエイティブ、でもわかりやすい名作、名演。




posted by H.A.

【Disc Review】“Orillania” (2012) Carlos Aguirre

“Orillania” (2012) Carlos Aguirre
Carlos Aguirre (piano, guitar, voice, keyboard, etc.)
Hugo Fattoruso (voice, keyboard) Leandro Drago, Sabastian Macchi, Mono Fontana, José Olmos (keyboard, piano) Quique Sinesi, Yamil Issac, Alfonso Bekes, Luis Salinas (guitar) Luis Medina (guitar, piccolo guitar) Alfonso Bekes (Mandolin) Fernando Silva (bass) José Lui Viggiano (drums) Gonzalo Giaz, José Piccioni, Quique Oesch (percussion) Antonio Arnedo (sax) Luis Barbiero (flute) Gladstan Galliza, Jorge Fandermole, Juan Quintero, Monica Salmaso, Francesca Ancarola (voice) and others

Orillania
Carlos Aguirre
Rip Curl Recordings
2012-02-19
カルロス アギーレ

 現代フォルクローレのCarlos Aguirre。
 リーダー作としてはこれが2016年時点の最新アルバム(?)。
 基本線は“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)、“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004)と同じ世界、とても優雅で哀愁溢れる作品ですが、ちょっと趣の異なる作品。
 曲ごとにメンバーを変えて、さまざまな質感のアレンジ。
 電気楽器の使用、凝ったアンサンブル、多くの曲に入るコーラスワークなど、作り込み、磨き上げ、洗練された音。
 ここまでのセンチメンタルなアコースティックな曲に加えて、全体的に明るくポップな印象で素直にビートが効いた演奏が増えた感じでしょうか。 
 意外にも歪んだエレキギター、シンセサイザーを前面に出した懐かしのラテンフュージョンな演奏、懐かしいAORを想い起こす演奏も数曲。
 そんなサウンドを背景にしたCarlos Aguirre流の必殺コーラスが、あのMergio Mendesを想い起してしまう場面もちらほら。 
 フレットレスのエレキベースの柔らかい音がいい感じで効いていて、それに重なるメローなエレキギター・・・ 
 ここまで来るとフォルクローレと呼んでしまうのことに違和感のあるゴージャスさ。
 楽曲はもちろん全てオリジナル、哀愁が漂う素敵なメロディばかり。
 質感は変われど、さまざまなテイストの演奏があれど、全体を包み込む優しさ、優雅さ、郷愁感は同じ。
 これまた傑作でしょう。




posted by H.A.

【Disc Review】“Arrullos” (2008) Francesca Ancarola, Carlos Aguirre

“Arrullos” (2008) Francesca Ancarola, Carlos Aguirre
Francesca Ancarola (voice) Carlos Aguirre (piano) 

Arrullos [ Francesca Ancarola ]
 フランセスカ アンカローラ カルロス アギーレ
【輸入盤】Arrullos [ Francesca Ancarola ]

 チリのボーカリストFrancesca Ancarola、アルゼンチン、現代フォルクローレのCarlos Aguirre、Duo作品。
 チリ、アルゼンチン、ウルグアイ、キューバなど、中南米、スペイン語圏の楽曲集。
 タイトルは「子守歌」のようですので、各国の子守歌を集めてきたのだろうと思います。
 その通りの穏やかな音。
 ボーカルは素直で癖のない声、南米系定番のとても優しい歌い方。
 Carlos Aguirreはピアノのみでのサポート。
 伴奏に徹していますが、歌の後ろでの展開がやはり只者でない音使い。
 よく聞いてみると、定常な歌に対して、伴奏と同時に、カウンターというよりも自由なオブリガードが展開されているようにも。
 歌の旋律を伴奏にして、ピアノソロを弾いている・・・そんなイメージ・・・
 ・・・ってなこともないのかもしれませんが、そんなバランスが隠し味。
 最初から最後まで、穏やかで優しい、郷愁感漂う南米の音。




posted by H.A.
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