吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2016年01月

【Disc Review】”acacia” (2013) Mery Murua & Horacio Burgos Trio

“acacia” (2013) Mery Murua & Horacio Burgos Trio
Mery Murúa (vocal)
Horacio Burgos (guitar) Fernando Bobarini (bass) Diego Clark (percussion) Juan Arabel (huancara)

acacia
Mery Murua
有限会社 大洋レコード
2015-12-25
メリー ムルア & オラシオ ブルゴス トリオ

 アルゼンチンのボーカリスト、ギタートリオをバックしたネオ・フォルクローレ。
 いかにも南米な優しげな音楽。
 透き通った柔らかな声とこれまた柔らかいギタートリオ+α。
 アカシアの森の中で録音したそうですが、虫?鳥?牛?の声も背景に置きながら、ナチュラルで優しく、透明感の強い音。
 曲はオリジナルに加えてアルゼンチンの楽曲が中心なのでしょう。フォーキーでどれも優しげな曲。
 この種のフォルクローレ系音楽、リズムもメロディもジャズ的ではないし、ブラジル、リオ系とも違う。ミナス系には近いのかもしれないけども、いわゆるポップスに近い質感。
 それでも欧米系には感じられない、南米系特有の心地よい柔らかさ。
 そこはブラジル系と通じる部分だし、その境目が曖昧になりつつある感じなのでしょうかね。ギターはいかにもブラジルっぽい感じなのですが、ボリビア?の人のようですし・・・
 ナチュラル系、オーガニック系、それも計算し作られたものでなくて、あくまで自然体の音。
 自然な透明感。
 普段の生活の中ではなかなか聞けない素敵な音楽。
 これを流すとコンクリートジャングルがアカシアの森に・・・なればねえ・・・・・・




posted by H.A.

【Disc Review】”tipas y tipos – en vivo en café vinilo”(2012)Diego Schissi Quinteto

”tipas y tipos – en vivo en café vinilo”(2012)Diego Schissi Quinteto
Diego Shissi (piano)
Juan Pablo Navarro (bass) Santiago Segret (bandoneon) Ismael Grossman (guitar) Guillermo Rubino (violin) Juan Quinteto, Andrés Beeuwsaert, Mariano Cantero, Mora Martínez (voice) Paula Pomeraniec (cello) Ricardo Bugallo (viola) Tomás Barrionuevo (violin)

ディエゴ スキッシ

 アルゼンチンのピアニスト、自身のバンド+αでの現代的タンゴ。
 ジャズに食傷してブラジル系を探していると何故か引っかかるアルゼンチン音楽、これもそんな一枚。
 分類すればタンゴなのでしょうが、現代的フォルクローレの香りもそこそこ。
 明らかにそれらしい優しげな音・・・とか思っていると、ミナスっぽくなったり、Egberto Gismontiっぽかったり・・・やはりAstor Piazzollaピアソラっぽかったり・・・現代的南米フュージョン。
 ストリングスを交えた複雑な構成の楽曲群。でも難解ではないし、重々しくもない。それがいかにも現代的。
 寂寥感、さまざまな要素が絡み合う複雑さ。
 それでもそのすべてを包み込む優しさ、穏やかさ、大らかさ・・・。
 計算しつくされたアレンジ、穏やかなグルーヴ。
 ピアノ、バンドネオン、ギターの決して長くはないソロ演奏のドキッとするような美しさ。
 現代の若手による現代のタンゴは、いろんな色合いの音が混ざり合うとても優しい音。




posted by H.A.

【Disc Review】“Brazilian Duos” (2002) Luciana Souza

“Brazilian Duos” (2002) Luciana Souza
Luciana Souza (voice)
Romero Lubambo, Marco Pereira, Luis Gonzaga (guitar) 

Duos Brasileiros
Luciana Souza
Biscoito Fino Br
2002-01-12
ルシアーナ スーザ

 Luciana Souza、Duoシリーズの一作目。
 好みはさておき、前掲の“Duos 3” (2012)、“Duos 2” (2005)よりもこちらの方が人気なのでしょう。
 こちらも基本的には雑味なしのギターと声だけ。
 バラード中心なのだけども、シャキッした質感。
 なんだか緊張感が高くて、ギターも声も張りつめた感じ。
 さらに、とてもクリアな録音も手伝って、目の前に声とギターの音が見えるような生々しさ。
 このテンションの高さで好みは分かれるのでしょう。
 とかなんとか言いながら、どこを切り取っても郷愁あふれる素晴らしい音。
 Jobimの隠れ?大名曲”Eu Não Existo Sem Você”なども含めて渋めの選曲。
 たとえ著名でなくともいい曲揃、いい演奏揃い。
 そして優しい声。
 えっ?で、結局、これと、“Duos 2”,”Duos 3”のどれがいいの?って?
 全部いいに決まっているでしょ。
 



posted by H.A.

【Disc Review】“Duos 2” (2005) Luciana Souza

“Duos 2” (2005) Luciana Souza
Luciana Souza (voice)
Romero Lubambo, Marco Pereira, Guilhrme Monteiro (guitar)

Duos II
Luciana Souza
Sunny Side
2005-05-24
ルシアーナ スーザ

 Luciana Souza、ギターとのDuo作、二作目。
 Duoの初作“Brazilian Duos” (2002) から3年後、“Duos 3” (2012)より7年前。
 ちょうどよくできていて、いい具合で両作品の中間の質感。テンションも瑞々しさも中くらい。
 キリッとした“Brazilian Duos”よりも少し緩やかなテンション。 
 のほほんとした“Duos 3”よりも少し強めの声とギター。
 いくら強めと言っても、基本的にはブラジルの柔らかなメロディ、リズム。
 そしてちょっとだけスモーキーな柔らかな声。
 たった二人での演奏ながら、アップテンポではめくるめくような目まぐるしい展開、スローではこの上もなくしっとりと。
 曲はブラジルの名曲からの選りすぐり。ギターは手練れた名手たち。
 悪いわけがありません。
 こちらはBGMにはちとテンションが高いかな?そうでもないか・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“Duos 3” (2012) Luciana Souza

“Duos 3” (2012) Luciana Souza
Luciana Souza (voice)
Toninho Horta, Romero Lubambo, Marco Pereira (guitar)

Duos III [輸入盤]
Luciana Souza
Sunnyside
2012-10-12
ルシアーナ スーザ


 ブラジル人ボーカリストLuciana Souza、とても素敵なギターとのDuo。
 声はブラジル定番、優しげで柔らかなハスキーボイス。
 ウイスパー系ではないけども、押し込んでくるタイプではないので、安心して聞けるいい頃合いの力の加減。
 ちょっと聞こえるだけで不思議な浮遊感?躍動感?が出る素敵なボイス。リズムへの乗り方が普通の人とは違う感じなのかな?
 基本的にはギターとボーカルのみのシンプルな音。
 私が知る限りこの編成で三作あるはずですが、生々しさでは一作目“Brazilian Duos”(2002)が一番。
 この三作目はちょっとゆるめで落ち着いた感じ。
 曲はJobimはもちろん、Dorival Caymmi、Toninho Hortaナンバー等々ブラジルの名曲群。
 但し、いわゆる著名曲ではなくて、知る人ぞ知る?ような渋い選曲。それでも全てが名曲。
 柔らかくて哀愁があって優しくて・・・・。このシリーズ、Brazilian Song Bookとしても、いいんでしょね。
 いい感じでゆるくてのんびりしていて、緊張感なく聞ける平和な音。
 お昼寝のBGMにもピッタリ、かな?




posted by H.A.

【Disc Review】“The Space Between” (2015) Medbøe/ Eriksen/Halle

“The Space Between” (2015) Medbøe/ Eriksen/Halle
Espen Eriksen (paino, harmonium) Haftor Medbøe (guitar) Gunnar Halle (trumpet, voice)



 ノルウェーのトリオによる静かでドラマチックなコンテンポラリージャズ。
 透明度の高い美しいピアノ、サブトーンが強いトランペット、妖しげなギター、メランコリックなメロディ。
 ほら、あのECMにありそうな音が聞こえてきましたね。その通りの音です。
 メンバーのプロフィールはわかりませんが、音のイメージはあまり厳しくないECM。
 北欧らしい抒情性の強い、どこか懐かしいようなメロディ、コードを奏でる美しいピアノが響く空間。
 寂寥を湛えながら時折の激情を交えたトランペット、彩りをつけるギター、ボイス。
 ほぼ全編漂うようなバラード。
 北欧の哀愁、郷愁。

※音源は異なりますが、質感は同じ。


posted by H.A.

【Disc Review】“Re: Pasolini” (2005) Stefano Battaglia

“Re: Pasolini” (2005) Stefano Battaglia
Disc One:
Stefano Battaglia (piano)
Salvatore Maiore (bass) Roberto Dani (drums) Aya Shimura (cello) Mirco Mariottini (clarinet) Michael Gassmann (trumpet)
Disc Two:
Stefano Battaglia (piano)
Bruno Chevillon (bass) Michele Rabbia (percussion) Dominique Pifarély (violin) Vincent Courtois (cello)

Re: Pasolini (Ocrd)
Stefano Battaglia
Ecm Records
2007-05-15
ステファノ バターリア



 
 イタリアのピアニストStefano Battaglia、イタリアの映画監督へのオマージュ?作品。
 編成を変えての二枚セット、一枚目は静音ジャズ、二枚目はクラシック、現代音楽系。
 二枚目は少々難解ですが、一枚目は哀愁系イタリア映画のサントラのような、メロディアスで悲しげなバラード集。
 これがカッコいい。
 哀感を湛えているのだけども、どことなくほの明るいというか、悲しいけども明日を前向きに生きていこう、というか・・・そんな感じ。
 この人の近年の作品にはそんな音が少なくありません。
 悲しくて、不思議系で、なぜかほの明るい。
 センチメンタルでメロディアスな楽曲、要所で効果的に彩りを加えるcello, violin, trumpet, clarinet。
 どれも寂寥感の強い音。
 遠い目をしたトランペット、乾いたクラリネット、悲しみを助長する弦楽器。
 もちろん主役はピアノ。
 繊細で美しい音色、耽美的な音使い。Keith Jarrettを少し丸く、優しくしたようなピアノ。
 全体を通じて静謐で上品、メランコリックなヨーロピアン・ジャズ。
 感傷的なんだけども、優しい曲も多く、全体のムードは夜ではなくて昼。
 マニアックなようで、妖しさはほどほど、とてもキレイで聞きやすい素敵な音楽。




 posted by H.A.

【Disc Review】“Songways” (2012) Stefano Battaglia

“Songways” (2012) Stefano Battaglia
Stefano Battaglia (piano)
Salvatore Maiore (bass) Roberto Dani (drums)

Songways
Universal Music LLC
2014-01-06
ステファノ バターリア

 Stefano Battaglia、同トリオでの最新作“In the Morning” (2014)の前作。
 冒頭曲”Euphonia Elegy”、10分を超えるルバートでのバラード。
 フワフワと漂う音。
 とらえどころなないのだけども何故か優しいメロディ。
 いい感じでどこか遠いところへトリップさせてくれるような音。
 至福の時間・・・
 Marilyn CrispellのECMレコード諸作に近い雰囲気もありますが、硬質なMarilyn Crispellに対して、柔らかいStefano Battaglia。
 後続は定常なリズムが入ってきますが、浮遊感はそのまま。
 曲は全てオリジナル。不思議系のメロディ、コード。
 直接的な哀愁感や郷愁感とは違う質感、少し屈折した感じの哀感。
 基本的にはバラード集、全編妖しいムード、不思議系ながら、全体の雰囲気はとても優しくて、なぜかほの明るい。
 これまた不思議。

※こちらはタイトル曲


posted by H.A.

【Disc Review】“In the Morning” (2014) Stefano Battaglia

“In the Morning” (2014) Stefano Battaglia
Stefano Battaglia (piano)
Salvatore Maiore (bass) Roberto Dani (drums)

In the Morning
Stefano Battaglia
Ecm Records
2015-08-28
ステファノ バターリア

 イタリアのピアニスト、ECMレコードからの最新作。
 Keith Jarrettがアイドルなのでしょう。それらしいムードがよく出てきます。
 かつては過激で難解な演奏もあった人。
 ジャケットの雰囲気からは深刻系かも?とも思っていましたが、基本的には美しいピアノ、緊張感も低め。
 最近のこの人の作品と同様、内省的耽美的でありつつも明るい質感。
 本作はAlec Wilderの楽曲を取り上げたコンサートのライブ録音。
 楽曲が不思議系ではない分、また、リズムが定常な分、完全に地に足が着いた感じ。
 普通にピアノトリオとしてのカッコよさが全面に出て、取っつきやすい内容。
 その分、これまでの作品で強かった浮遊感、妖しさが薄め。
 さらにライブ録音だからでしょうか、ドラム、ベースがいつになく元気だし、ピアノもいつもよりもエネルギーを外に発しているような感じ。
 うーん・・・予想とはちょっと違うけど、この方が一般受けはよいのでしょうね。
 現代的でちょっと軽快、あっさりしたKeith Jarrett Standards、と書くと褒めすぎですかね。
 そんな感じのサラリと聞けるいい感じのピアノトリオ。




posted by H.A.

【Disc Review】“Bitches Brew Live” (1969,1970) Miles Davis

“Bitches Brew Live” (1969,1970) Miles Davis  
July 5, 1969, at the Newport Jazz Festival
 Miles Davis (trumpet)
 Chick Corea (electric piano) Dave Holland (bass) Jack DeJohnette ( drums) 
August 29, 1970, at the Isle of Wight Festival 
 Miles Davis (trumpet)
 Gary Bartz (alto saxophone, soprano saxophone) Chick Corea (electric piano) Keith Jarrett (electronic organ) Dave Holland (electric bass) Jack DeJohnette (drums) Airto Moreira (percussion, cuica)

Bitches Brew Live
Miles Davis
Sony Legacy
2011-02-08
マイルス デイビス

 エネルギー放出型ジャズの極め付け。
 未発表録音を積極的に聞く嗜好はないけども、この頃のMilesは別。
 前半は、あの“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969)録音の一か月前、あの"1969Miles"(Jul.25,1969)の2週間前、後半はその一年後the Isle of Wight Festivalでのライブ音源。
 まあなんとも鬼気迫る演奏。
 このJack DeJohnetteのドラムはいったい何だろう。こんなのは聞いたことがない。
 さらにChick Coreaのピアノの凄まじいこと。 
 激しい混沌、ではなくて、バンドを一定のビート、グルーヴが支配する中での爆発的な演奏。
 だから意味不明ではないし、大音量が心地いい。
 いったい何なのだろう、この人たちは・・・
 ・・・・・・Call It Anything!、か?!。




posted by H.A.
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