吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2015年09月

【Disc Review】“Stride Right” (1966) Johnny Hodges

“Stride Right” (1966) Johnny Hodges
Johnny Hodges (alto sax)
Earl Hines (piano) Kenny Burrell (guitar) Richard Davis (bass) Joe Marshall (drum)
 
ジョニー ホッジス

 珍しくどジャズ。
 体の力が抜けていくような音楽、もちろんリラックスの意味。
 何のことは無い1950-60年代のノスタルジックなジャズなんだけども、なんとも素敵な音。特にバラード、スローブルースが絶品。
 Johnny Hodgesはむしろ抑え気味。Earl Hinesが主役なのかな?コロコロと転がるようなピアノ。Red Garlandの時代を少し巻き戻したような感じ。
 ちょっと長めの小粋なピアノソロが終わると、とろけるような音でさらに小粋なJohnny Hodgesのアルト。短いけどカッコいいソロ。思い出したようにKenny Burrellのこれまた短いけどもツボにはまったソロ。ソロのオーダーは様々ですが、ずっとそんな感じ。
 粋な音の塊。
 コテコテしたブルーノート系よりも薄味で、それがいい感じ。
 全体の音が薄いので逆に各人の音が生きる。
 強烈な音、緊張感の強い音、小難しい系の音もいいですが、たまにはこんなのがないとね。
 夏が終わって落ちついてきた昨今に合う音、かな?



posted by H.A.

【Disc Review】“Folies Douces” (1995) Ivan Paduar

“Folies Douces” (1995) Ivan Paduart
Ivan Paduart (piano)
Richard Galliano (bandoneon,accordion) Philippe Aerts (bass) Bruno Castellucci (drums) Chris Joris (percussions) Patrick Deltenre (guitar)
 
Folies Douces
Ivan Paduart
Igloo Records
2015-10-02
イヴァン パドゥア 





 ベルギーのピアニストIvan Paduart、Richard Gallianoをゲストに迎えた小洒落たジャズ。
 20年前の録音、近年の再発のようですが、決して古い音ではありません。もちろんヨーロッパテイストなのだけども、第一印象はフレンチ。明るくてオシャレ、ちょっとだけ哀愁感、そして郷愁感。
 冒頭曲の大御所Richard Gallianoの印象が強いのでしょうかね。
 彼が前面に出ると音楽が動き出すというか、加速度が増すというか。何やってもカッコいい人なのですが、私的な好みは、この手のノリのあるジャズの演奏。
 ノリのいいタイム感とちょっとタメたかと思えば、突然走り出す音の置き方、うねりがなんともいい感じ。バラード系だとそのうねりが何とも言えない郷愁感を醸し出し、またドラマチック。
 リーダーは正統派Bill Evans系。
 強烈さやこれ見よがしな派手さはないのだけども、微妙にタメが効いた音使いが繊細な感でいい感じ。しっとりとしているけども前向き系のヨーロッパジャズの王道の音。内省的、耽美的系だとは思いますが、南欧の人らしく暗くはならない。ジメッとするのではなくカラッとした質感。
 ピアノトリオでの演奏もありますが、ゲストが入っている曲に比べると、急に音楽が落ち着いて、安定的で美しいピアノミュージック。
 バラードでは後ろ髪を引かれるような音の置き方。ゆったりとしたワルツなどが一番合いそう。でも、単に美しいだけでなく、ミディアムテンポ~アップの曲では、ノリが良くて手数が多い系のドラムが攻撃的で、ぐんぐん前へ進む。
 数曲だけ参加しているギタリストPatrick Deltenreも今風のGeorge Bensonといった感じでもの凄くカッコいい。もっと入っていればよかったのですが惜しい・・・
 圧倒的な曲こそありませんが、佳曲揃い、美曲揃い。どの曲も演奏力が相まってドラマチックでカッコいい。
 という事で、一曲一曲、音の表情が変わり、諸々のテイストの音が楽しめる、明るくて前向き系ヨーロッパジャズ、そのショーケースのような素敵なアルバム。



posted by H.A.

【Disc Review】“Agora” (1977) Paulinho Da Costa

“Agora” (1977) Paulinho Da Costa
Paulinho Da Costa (Percussion)
Octavio Bailly Jr (Bass) Lee Ritenour (Guitar) Greg Phillinganes (Piano) Claudio Slon (Drums, Synthesizer) Larry Williams (Saxophone, Flute) Frank Rosolino, Mike Julian (Trombone) Gene Goe, Steve Huffsteter (Trumpet, Flugelhorn)

Agora
Paulinho Da Costa
Ojc
1991-07-01
パウリーニョ ダ コスタ


 やっと涼しげになってきたので、それに合いそうな音はないかと引っ張り出してきたブラジル?のパーカッショニストのラテンフュージョン。
 さすがに時代を感じる音ではあるのですが、素朴でのどか、いい感じ。
 フュージョンといってもロックテイストは薄く、あくまでブラジル的で柔らかい感じ。
 この時代のフュージョン、一歩間違うとダサく聞こえてしまうことなきしも非ず、ですが、このアルバムはカッコいい。
 たぶんリーダー含めたリズム隊がいいんだろうなあ。
 アメリカ的になり過ぎずあくまでブラジル的。サンバも都会的では無くあくまで土着的、アコースティックな感じ。ブラジル人でなければ出せない味なのかな?
 ベースの強烈なグルーブがカッコいいし、パーカッションも当然ながらいい感じ。時折り入る各人のソロもカッコいい。ものすごく上手い人たち。あのLee Ritenourのギターもいかにもな音使いですが、ここではあくまでクリーントーン。ホーンはそこそこゴージャスですが過剰な感じはしないし、いい感じのバランス。
 この手のアルバム、たくさんありそうで、ジャズっぽ過ぎたり、アメリカンフュージョンっぽ過ぎたり、ちょっとリズムやアレンジがキツかったり・・・これはいいパランスの「ブラジリアン」フュージョン。
 こりゃ気持ちいいや。
 涼しくなりかけたこの季節にピッタリ・・・かな・・・



posted by H.A.

【Disc Review】“Copacabana” (1979) Sarah Vaughan

“Copacabana” (1979) Sarah Vaughan
Sarah Vaughan (vocals)
Hélio Delmiro (guitar) Andy Simpkins (bass) Wilson DasNeves (drums) Grady Tate (drums) and others
 
Copacabana
Sarah Vaughan
Complete Records
1995-06-05
サラ・ヴォーン





 サラ・ヴォーンのブラジル音楽。
 何枚か出ており、どれもいいのですが、これが一番お気に入り。
 ン十年前、ロック、ソウルファンだった若い時、何の気に無しに初めて聞いて、これは凄いと思ったアルバム。考えてみれば、なんでこれを買ったんだろう?それすら覚えてませんが、特にA面は頭にこびりついています。
 まあ歌がとにかく凄い。
 抑揚というか表現力というか、ドスの利いた低音から、微妙に裏返ったような高音まで、大きな変化がスムースに繋がっているというか。さらに強烈なビブラートの安定感とその微妙な抑揚のカッコよさとか。大きな波やら優しい波やらが次々と押し寄せては弾いていくというか・・・
 まあここまで来ると間違いなく芸術です。神々しいという形容詞が決して大げさではないボーカル。
 選曲、アレンジ、演奏ともにこれまた絶品。
 どこまで作り込んだのかはよくわかりませんが、音が厚くなったり、薄くなったり、大きくなったり、小さくなったり、早くなったり、遅くなったり、変幻自在。一歩間違うとポップス色が強くなり過ぎるコーラスがいいバランスで配置され、小さめ音のパーカッションがいい隠し味だったり、少々音量大きめのエレキギターがジャズ風味を含めてものすごくカッコよくて、いい感じの清涼剤になっていたり。さらに全編に常にゆったりとしたグルーブが流れ・・・
 こんなカッコいい音は滅多にないなあ。
 普通のボッサやブラジル音楽と比べると、少し重いというか暑苦しいというか、ちょっと癖のある音なのかもしれません。
 ボッサのボーカルはウイスパー系でなきゃね、と思っているタチですが、ここまでくれば文句なし、というか、好みのブラジル音楽、最右翼の一枚。
 歌の重さとギターの清涼感、初夏や盛夏というより、晩夏の夕暮れ時にピッタリの音。



posted by H.A.
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