吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2015年07月

【Disc Review】“Tudo Bem!” (1978) Joe Pass

“Tudo Bem!” (1978) Joe Pass

Joe Pass (guitar)
Paulinho da Costa (percussion) Octavio Bailly, Jr. (bass) Oscar Castro-Neves (guitar) Don Grusin (keyboards) Claudio Slon (drums)
 
Tudo Bem
Paulinho Da Costa
Ojc
1992-02-17


 Joe Pass、ブラジルのミュージシャンと録音したボサノバ。
 “Intercontinental” (1970)はクール目ですが、こちらは暖かめ。
 電気楽器が入りますが、フュージョン色はほどほど抑えられた、ナチュラルなブラジリアンビート。
 そんな暖かなボッサを背景にして、エレキギター弾きまくり。
 Jobimをはじめとする洒落たコードの流れに乗って、メロディアスでスムースなジャズギター。
 サックスとかが入ってもいいんだろうけども、ちょっとベタつきそうだし、フルートやボーカル、ガットギターが前面に出るとありきたりになりそう。
 でもクリーントーンのエレキギターが前面に出るとクールなジャズ&ボッサ。
 暖かなビートとクールなエレキギター。
 たっぷりの音数で弾きまくっても、とても爽やか。
 とても楽しげ。



posted by H.A.

【Disc Review】“Intercontinental” (1970) Joe Pass

“Intercontinental” (1970) Joe Pass

Joe Pass (guitar)
Eberhard Weber (bass) Kenny Clare (drums)

Intercontinental
Joe Pass
Mps-Jazz
2014-11-18


 とても暑いので涼しげな音を。
 私的Best of Jazz Guitar. なアルバム。
 Joe Pass、ソロギターの方が人気なのかもしれませんが、シングルトーンのインプロビゼーションをたっぷり聞けるのはバンドもの。
 ゆったりしたフレーズから早いフレーズまで、タメだったり加速感だったり抑揚だったり、微妙なニュアンスの変化がたっぷり。
 さらにリバーブが少々強め、艶やかかつ透明度の高いクリーントーン、美しい音。
 よくあるスタンダード&ボッサ&ブルースの、オーソドックスな演奏が特別なモノのように聞こえます。
 1970年初頭とは思えない美しい音、モダンな音の流れ。
 熱くはならない上品なギター、落ち着いたサポートに終始するベース(Eberhard Weber!)、ドラム。
 結果、クールな質感、夏場にはピッタリの音。
 小さめの音量でかけていると、まるで涼しい風がゆるく吹いてくるよう。
 手に汗を握らない、小難しくない、心地よさ最高なギターアルバム。
 この季節は激しいやつより、こんな音がイイですね。



posted by H.A.

【Disc Review】“Blackstone Legacy” (1970) Woody Shaw

“Blackstone Legacy” (1970) Woody Shaw 
Woody Shaw (trumpet) 
Gary Bartz (alto saxophone, soprano saxophone) Bennie Maupin (tenor saxophone, bass clarinet) George Cables (piano, electric piano) Ron Carter (bass) Clint Houston (electric bass) Lenny White (drums)

Blackstone Legacy
Woody Shaw
Contemporary
ウッディ ショー







 通好み?のトランぺッターWoody Shaw。
 本作はモダンジャズではなくエレクトリック・マイルスの進化版。
 最初から最後までぶっ飛びまくりのエネルギー放出型のハイテンションジャズ。
 メンバーはMiles系、Herbie Hancock系のつわもの達。
 Ron Carterを除けばまだ若手で売出し中の頃でしょうか?
 冒頭からドラムがドカドカバコバコ、ベースがブンブンドコドコ、怒涛のような音の波。
 そこに上品なエレピ入ってバランスを保ちつつ、管の皆様がブチ切れたソロを展開。
 あの"Bitch’s Brew" (1969) Miles Davisをさらに激しくしたというか、そんな感じ。
 リーダーのトランペットは全くMilesっぽくは無いので逆に新鮮な感じだし、サックスが入るとColtraneが若返って吹きまくっているようでもあるし、ピアノがHerbieっぽいのはご愛嬌。
 全体を通じては4ビートも多く、エレクトリックマイルスよりもジャズっぽい。
 ”Bitch’s Brew”が世に出たばかりのあの時代、Miles帝王や神様Coltraneを崇めつつも、新しい音を模索していたんだろうなあ、と思わせる音作り。
 よりジャズっぽい"Bitch’s Brew"というか、ポップでは無い"Head Hunters"というか。
 ちょっと時代を感じさせつつも、カッコいい音楽。
 大音量で聞くとストレスが吹っ飛びそうな心地よさ。
 この季節には暑苦しいけども・・・ 




posted by H.A.

【Disc Review】“Tango: Zero Hour” (1986)  Astor Piazzolla

“Tango: Zero Hour” (1986)  Astor Piazzolla
Astor Piazzolla (bandneon)
Fernando Suarez Paz(Violin) Hector Console(Bass) Horacio Malvicino(Guitar) Pablo Ziegler(Piano)
 
Tango: Zero Hour
Astor Piazzolla
Nonesuch
1998-09-08
アストル ピアソラ





 モダンタンゴの雄、Astor Piazzolla。
 当方、基本的にはジャズ~ボッサファン。
 タンゴやフラメンコなどもいくらかは聞いてみましたが、愛聴盤はあまりありません。
 固い質感のリズム、大仰でエキセントリックに聞こえる曲調に抵抗感が無きしもあらず。
 が、さすがにピアソラさんの素晴らしさについては他言ありません。
 このアルバムはアメリカのレーベルAmerican Clave(Kip Hanrahanプロデュース)から。
 だからかどうかはわからないけど、私が知る限り、他のアルバムと比べて全体の質感はクール。
 録音の質感も含めて、ひんやりとした感じ。
 あのECMに近い感じもするけども、あそこまでは温度感は低くはない。
 結果、ジメッとしたこの季節の夜に聞くと心地よい。
 北風が吹く感じの冷たさではなく、エアコンがキリッと効いた感じ、あるいはひんやりした地下室の感じ、ですかね・・・
 クールで透明感が高い分、背筋に冷たい物が走るというか、ながら聞きを許さない緊張感があるというか。
 それも何とも言えず心地よい。
 曲と演奏は言わずもがなの名曲、名演揃い。
 ドラマチックな哀愁曲がてんこ盛り。
 このアルバムではMilonga del Angel、Mumuki辺りが白眉でしょうか?
 哀愁の塊のようなメロディをバンドネオン、バイオリンといったこれも哀愁の塊のような音色で演奏されるとこれはもう・・・
 さらにグルーブは強いし、さらりとした哀愁~ベタベタのタメ~超弩級の疾走感、あざといまでの昂揚感・・・
 等々、変幻自在。
 ピアノ、ギター、ベースといった馴染みが深い楽器もいい感じでフィーチャーされ、ジャズファンからしてもありがたい限り。
 この盤がジャズファンには一番馴染むのでしょうかね。
 哀愁の塊のようなメロディ、哀愁~絶望と激情~狂気が錯綜するような演奏、完璧なアンサンブル。
 言わずもがなの凄い音楽、凄いバンド、凄いアルバムだなあ。

 

posted by H.A.

【Disc Review】“The Montreal Tapes” (Jul.3.1989) Charlie Haden, Gonzalo Rubalcaba, Paul Motian

“The Montreal Tapes” (Jul.3.1989) Charlie Haden, Gonzalo Rubalcaba, Paul Motian
Charlie Haden (bass) Gonzalo Rubalcaba (piano) Paul Motian (drums)

Montreal Tapes
Charlie Haden
Polygram Records
1998-01-27


 Charlie Haden、Gonzalo Rubalcabaを迎えてのトリオ、美しくも凄まじい演奏。
 前掲“Tokyo Adagio” (2005) の16年前、そちらは「静」ですが、こちらは激しく「動」。
 一曲目、Keith Jarrettの名演がある名曲Vignetteから。
 冒頭は思索的な感じですが、だんだんとぶっ飛びだすピアノ。
 どれだけ手が早く動くの・・・な超高速フレーズの連発。
 さらに二曲目、ブルーノートチックなカッコいいジャズ曲、クールで落ち着いたジャズかと思いきや、これまた凄まじい演奏。
 これでもかこれでもかと叩き込むような演奏が最後まで続きます。
 体育会的というか、サディスティックというか、人間業とは思えないというか。
 ピアノの音が無くなるとホッとするぐらい、あの曲者Paul Motianの音が印象に残らないぐらい。
 近年は抑制的?とも思えるGonzaloさん。
 この手の激しい系のピアノ、近年は流行らないのでしょうかね?
 さておき、壮絶なエネルギー放出形ジャズ。
 やはり凄いピアニスト、凄まじいステージ。
 上品な“Tokyo Adagio” (2005) と 壮絶な本作、どちらが良いかはお好み次第。



posted by H.A.

【Disc Review】“Tokyo Adagio” (2005) Charlie Haden / Gonzalo Rubalcaba

“Tokyo Adagio” (2005) Charlie Haden / Gonzalo Rubalcaba
Charlie Haden (bass) Gonzalo Rubalcaba (piano)
 
Tokyo Adagio
Charlie Haden
Impulse Records
2015-06-16
チャーリー ヘイデン
コゴンザロ ルバルカバ


 名手二人のBlueNote東京ライブ録音。10年前のライブですが、2015年リリース。
 10年間お蔵入りしていた音源とは思えない美しいピアノジャズ。
 Gonzalo Rubalcabaのピアノは好みが分かれるところなのかもしれませんが、このアルバムではノーブルなジャズ。
 この人のピアノ、音は綺麗だし、もの凄く上手いし、グルーブ感、疾走感は抜群だし、程よい緊張感、クラシックっぽさや出自のラテン風味も私は大好き。でも、フレーズが抽象的だったり、何となく落ち着かないというか、行く先が見えないというか、小難しげなことやり過ぎというか・・・。好みのストライクゾーンから微妙にずれる感じ。
 で、全部追っかけていたわけではありませんが、本アルバムでは、デビュー当時?の音数が多くて音圧が高い感じではないし、複雑な感じのフュージョンでもない、美しく淡々としたシンプルなジャズ。でも時折り出てくる超高速フレーズがいかにもゴンザロっぽい。やっぱりいいピアニストだなあ。
 Charlieさんはいわずもがな、相変わらずの安定感と深い音。
 二人とも肩に力が入らない自然な演奏。
 曲はCharlieさんのとてもセンチメンタルなバラードやブルースが中心。
 結果、淡々として地味だし、この二人本来の凄味は表には出ていないかもしれないけども、美しくて落ち着いた上質なジャズ。
 BGMにしても邪魔にならないし、妙な緊張感もないし、でも、きちんと聞けば深い演奏だし、安っぽさは皆無。
 名盤かどうかはさておき、この感じのバランスの音が長く聞ける愛聴盤になるのでしょう。たぶん。



posted by H.A.

【Disc Review】“Sirens” (2012) Chris Potter

“Sirens”(2012)Chris Potter
Chris Potter(sax)
Craig Taborn (piano) David Virelles(piano) Larry Grenadier(bass) Eric Harland(drums)

The Sirens
Universal Music LLC
2013-02-13
クリス ポッター

 Chris Potter 、ECM第一弾、最近作の前作。
 メンバーはECMオールスターとも、New Yorkオールスターともとれるメンバー。
 結果はヨーロッパ的ではなく、アメリカ的コンテンポラリージャズ。
 冒頭曲、8ビートなのか変拍子なのかよくわからない、今旬なリズムから始まり、相変わらず硬質な音でゴリゴリ、ブリブリ、高い音圧で吹きまくり。
 二曲目も近いテイスト。
 現代的なリズムにメカニカルなテーマ、エキサイティングなインプロビゼーション。
 そのまま最後まで行っちゃいます。
 一部ECMっぽかったり、バラードも入ったりしますが、全体的にはあくまでアメリカン。
 カラッとした感じのハイテンションなイケイケジャズ。
 この人の場合、ハイテンション、深刻系に聞こえても、あまり暗くはならないのが特徴だったように思いますが、それがそのまま。
 愛想がないのもそのままだったり・・・
 結果的には、メカニカルでアメリカンなコンテンポラリージャズで、ECMレーベルとしては少々異質。
 Eicherさんもあまり口出しはしていないのかな?
 やはりどこに行ってもChris PotterはChris Potter。




posted by H.A.

【Disc Review】“Imaginary Cities” (2014) Chris Potter Underground Orchestra

“Imaginary Cities” (2014) Chris Potter Underground Orchestra
Chris Potter (sax)
Adam Rogers (guitar) Craig Taborn (piano) Steve Nelson (vibraphone,marimba) Fima Ephron (bass) Scott Colley (bass) Nate Smith (drums) Mark Feldman (violin) Joyce Hammann (violin) Lois Martin (viola) David Egger (cello)
  
Imaginary Cities
Chris Potter
Ecm Records
2015-01-13
クリス ポッター

 あちこちで引っ張りダコの人気サックス奏者Chris Potterの最新作。
 オールスターのコンボ+ストリングスの豪華版。
 音圧の強い激烈系の音楽が得意な人のイメージが強かったのですが、本作はストリングス絡みのバラードからスタート。
 沈痛な面持ちのクラシック風なイントロからメロディアスなジャズバラードへ展開。
 意外にもこれがいい感じ。
 ストリングスにも過激系の人がいるだけに気難しい系かと思いきや、不思議なぐらいオーソドックス。
 もちろんサックスは相変わらずの音圧強い系で、これでもかこれでもかと畳みかけてくるようなドラマチックなバラード。
 なんだ、バラード集だったの?と安心するのも束の間、だんだん激しくなっていくのですが、ほどほどなハードさで、小難しい系ではありません。
 いろんなバンドで演奏して来た人だけに音のイメージも多彩。
 ビブラフォンやベースがフィーチャーされるとDave Hollandのバンドの様でもあるし、ギターが前面に出ると今風のロック、ファンク色の強い?自身のバンドの様でもあるし、Pat Methenyのバンドっぽくもあるし。
 コンボのメンバーも好演。
 が、いずれの名手にもあまりスペースが大きくないのが少々もったいない感じではあります。
 ストリングスも適度に緊張感を加えるアンサンブル中心。
 現代音楽的な複雑な感じでも、激甘なムードを醸し出すスタイルでもありません。
 悲しげな表情の曲、全体を通じて音圧が高く、緊張感も強いのですが、何故かあっけらかんと明るい感じ。
 リーダーのキャラクターがそうなのかもしれませんが、ドラマーが終始カラッとした今風のビートを繰り出しており、そのイメージが強いのでしょうか?
 結果、繊細で神経質な感じのECMらしさは薄く、ちょっと激しい系のアメリカ的コンテンポラリージャズ。
 リラックスしてダラりと聞ける感じの音ではありませんが、あまり行き過ぎない程度、ほどほどにハードな音を聞きたいときにはピッタリ。
 暑いこれからの季節には向かないかも、ですが・・・
 さておき、これを機にギターのAdam RogersがECMレーベルからJazz色が強いアルバムを出してくれると嬉しいな、と思うのはファンの無謀な望みかな?




posted by H.A.
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