吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2014年09月

【Disc Review】 “Celestial Circle” (2010) Marilyn Mazur

“Celestial Circle” (2010) Marilyn Mazur
Marilyn Mazur(percussion)
John Taylor (piano) Anders Jormin (bass) Josefine Cronholm (voice)

Celestial Circle
Marilyn Mazur
Ecm Records
2011-10-18
マリリン マズール

 かのマイルスバンドの女性パーカショニスト、いろんなメンバーといろんな音楽を演っているようですが、このアルバムでは意外にも、いかにもECM 的な怪しくも美しい静音ジャズを聞かせてくれます。
 基本は名手John Taylor (piano)、Anders Jormin (bass)とのピアノトリオですので、難解な方向にいかない限りは悪いはずがありません。
 その上に数曲で女性ボーカルが乗ってきます。
 全体のムードを支配するのはJohn Taylorでしょうか。
 冒頭曲、いかにもJohn Taylorのバラードらしい怪しく美しいピアノから始まり、乾いたボーカルが悲しいメロディを歌います。
 以降、全編このムードで、静かで、怪しく、美しいECMの3拍子が揃った演奏が続きます。
 何曲かは、メロディが薄い難しげな演奏、呪文のようなVoiceの展開もありますが、まあよしとしましょう。
 繊細な色合いのパーカッションを生かすためでしょうか、3者ともに少々抑え目の演奏ですが、逆に要所で聞かれる鋭さが光ります。
 クールなボーカリストもいい味を出しています。
 決して明るい感じの音ではありません。
 確かに廃墟っぽい音といえばその通り。
 でも、優しい音楽だと思います。
 ジャケットのポートレートは夜明け?
 音の雰囲気は少し肌寒い夕暮れかな?


ついでにライブも。こちらは元気。

posted by H.A.

【Live Report】 “Chihiro Yamanaka New York Quintet” at Blue Note Tokyo 2014/9/27

“Chihiro Yamanaka New York Quintet” at Blue Note Tokyo,MinamiAoyama, Tokyo
2014/9/27

Chihiro Yamanaka(p)
Jaleel Shaw(sax) Benny Benack(tp) Yoshi Waki(b) Kendrick Scott(ds)

 山中千尋さんのライブは久しぶり。実はデビュー時からの大ファンで、ライブには何度も参加していますが、お世辞抜きで今まで私が聞いたライブ中でも五指に入るステージがありました。この人、CDもいいのですが、ライブはもっといい。
 さて、思いつきの飛び込みで入った今回のライブはどうでしょう。

 いきなりデビュー作Living without Fridayで全力疾走。相変わらず強烈な体育会ジャズ。ピアノ壊れるんじゃないの、と心配になるぐらいの激しさ、疾走感。定番になった?左手での「ゴーン」「ガーン」を初っぱなから連発。続いて最新作からの曲を中心に、最後の八木節、アンコールのジャズロックナンバーまで突っ走ってくれました。

 管楽器が入ったので印象が変わるかなとも思っていましたが、質感は同じ。当たり前ですが主役はどう見ても山中さん。管楽器の二人にもたっぷりとソロスペースがあり、素晴らしい演奏なのですが、概ね後にソロを取る大盛り上がりのピアノに食われてしまう。ドラムがあの今を時めくKendrick Scottであることも忘れてしまうぐらい、ピアノが全体を引っ張る印象。

 管楽器が入ることで、変化に富んだ音になったととらえるか、ピアノソロのスペースが減って寂しいととらえるか、人それぞれなのかもしれませんが、いずれにしても二管が入ることで、堂々とした王道ジャズになっていることは間違いない。最新作、Blue Noteレーベルへのオマージュでしたかね。
 もともと彼女の書く曲、日本的な旋律とBlue Noteレーベル諸作のファンキーさ、両者の哀愁感が混ざっているように思っていましたので、相性も抜群。
 ピアノは相変わらずド派手なのだけど、ファンキーさ、スピード感、激しさに加えて、起承転結が明確なドラマチックさ、さらにそこはかとなく漂う日本的な哀愁感。
 いずれにしても日本のジャズファンにはたまらなく心地よい音楽でしょう。

 一昨日見たTygran Hamasyanのライブとは好対象。予測が難しい緊張感のTygranと、予定調和(悪い意味ではありません)の安心感の中で大きく盛り上がる山中さん。
 さてどちらが好みか?
 私は両方です。
 あえてどちらかと言えば・・・うーん、後者かな。
・・・after hours。

posted by H.A.

【Disc Review】"BLUES ette" (1959) Curtis Fuller

 さる物事を「これが私の趣向だよ」と自負しているもの程、語れることは実は少なかったりする。
 この度この場を借りてジャズについてのお話を書くことは僕の中でも実験的な試みになった。書き始めて思ったのはやはりジャズについて語ることは少し難しいということ。
 ジャスメンという人種はあまり自身のことについて多くを語ってはくれないものだし、ジャズには膨大な数の音源があるのに少しばかりの傾聴で他人とうなずきあうのは難しいだろう。
 しかし、ジャズを味わうことが自体が難しいと云いたいのではなく、むしろそんな屈折したエキセントリックな快感こそジャズを味わう上での大きな醍醐味の一つだと云えるだろう。


"BLUES ette" (1959)
Curtis Fuller (Trombone)
Jimmy Garrison (Bass) Al Harewood (Drums) Tommy Flanagan (Piano) Benny Golson (Tenor Saxophone)
 
Blues-ette
Curtis Fuller
Savoy Jazz
1992-10-06
カーティス フラー

 さて今回紹介させて頂くのはカーティス・フラーの『ブルース・エット』。
 ジャズの紹介本等でもレヴューは書きつくされている感は大いにあり、ここでもあまり目新しいことを書ける訳でもないのだが、聴く側の感受性によって甘々な表情を見せてくれる、パリッとした粋なフレージングを改めて感じて頂けたらと思った次第である。
 少し解説を加えると、このアルバムは1959年に<サヴォイ>から出ている。カーティス・フラーをリーダーにベニー・ゴルソン、トミー・フラナガンらと供に演奏されたものの録音である。
 全編を通じて洗練されたバップイディオムで調理されており、聴きどころは何といっても表題曲の「ブルース・エット」に代表されるように、深く、味わいのあるテンポで展開される切れ味のあるゴルソンのテナーと温かみのあるフラーのトロンボーン絶妙なハーモニーだろう。
 ジミー・ギャリソンのベースラインに、巧みな奏者の感覚でくさびのように打ち込まれてくるトミー・フラナガンの伴奏もまた精妙な美しさを演出している。
 恐らくは、曲のアレンジも勤めたであろうゴルソンのアレンジャーとしての手腕もこのアルバムの聴きどころの一つだ。
 A面一曲目に収録されている「Five spot after dark」は言わずと知れる知名度を持つ曲で、CMのテーマや、村上春樹さんの小説なんかにも登場した。12小節のマイナーブルースの形式にのせて繰り広げられるホーンセクションのユニゾンは優しい鈍器のごとき質量で僕らの耳をうつ。
 少々大げさな言い方かもしれないが、このアルバムにはフラーがこれまでのジャズ遍歴の中で心ゆくまで吸い込んできた、愛するものへの地合い、音に対する理解、あるいは理解されないための孤独等が、彼のトロンボーンを通して吹きこぼれてくるような印象がある。
 僕らはそれをあますところなく、彼のパートのソロから感じることは出来ないだろうか?




posted by S.E.



【Live Report】 “Tigran Hamasyan” at Cotton Club 2014/9/25

“Tigran Hamasyan Trio” at Cotton Club, Marunochi, Tokyo
2014/9/25

Tigran Hamasyan (piano), Sam Minaie (base), Arthur Hnatek (drums)

 今をときめく若手No.1?ピアニスト、Tigran Hamasyan、ベースとドラムを従えたトリオでの東京Live。

 当方、根はジャズファン、TigranについてはLars Danielsonの諸作などで、いいピアニスト、というより、もの凄いピアニストが出てきたなあ、と注目していたものの、リーダー作についてはロック色が強すぎてねえ・・・が本音。
 とはいえ、ライブはいいんだろうなあと期待し初参戦。
 やはり凄まじい演奏でした。

 開始前、ステージにはスタインウエイと新型ローズ、その上には何やら怪しげなエフェクターがズラリ。ローズだけでなく、スタインウエイの上にも。さてどうなることやら。

 予想通りヘビーなロックビートで演奏はスタート。
 ピアノはガンガン弾かれるものの、ジャズ的なインプロビゼーションではありません。さまざまなフレーズを試しながら、その断片をその場で録音しループさせる、さらに本人のボイスも同様に録音〜ループさせながら音を積み重ね、厚みのある幻想的な音場を作り上げていく、といったスタイルが中心。Tigranさん、今はこれが一番やりたいんだろうなあ。

 曲はロック的ビートが半数ぐらい、全体の雰囲気はプログレッシブロックなのだけど、ドラムがジャズの人なのかな?そこそこジャズの香りも。
 最近の若手で流行っている、変拍子で複雑っぽいのだけども強烈なグルーブ感のリズム、アルメニアっぽい?不思議な旋律や、ボイスの使い方など含めて新しいテイストの音楽であることは間違いない。

 各人にソロスペースを割り当て、盛り上がったりまとまりが良かったりすればソロの終わりに拍手が・・・といった典型的なジャズのライブでの展開はわずか。テクニックは言わずもがな、もの凄くエキサイティングな演奏なのですが、ソロの終わりで拍手が起こったのはおそらく一度のみ。もちろんフリーではなく、明確な「曲」があるのだけれども、通常のジャズやロックとは異なる構成。予定調和を意図的に避けているのかどうかはわからないけども、常に緊張感が続く展開。この辺りも好みが分かれるところかも。

 もちろんローズ、シンセ、さらにはスタインウエイまでにもエフェクターをかけながらゴリゴリと弾き倒す局面も。
 ジャズファンとしては、普通っぽい曲でも、とてつもなくカッコいいインプロビゼーションができることを知っているだけに、もっと素直にピアノを弾いて欲しい、と思いつつも、新しい音楽が出来てくることを喜びましょう。

 さて、最新作(避けてた・・・)でも買って慣れるまで聞いてみるかな・・・
 ホントに慣れるかどうか、自信はありませんが。



posted by H.A.

【Disc Review】“Joy In Spite Of Everything” (2013) Stefano Bollani

“Joy In Spite Of Everything” (2013) Stefano Bollani
Stefano Bollani(piano)
Mark Turner(tenor saxophone)Bill Frisell(guitar)Jesper Bodilsen(double bass)Morten Lund (drums)

Joy in Spite of Everything
Bollani
Ecm Records
2014-08-25
ステファノ ボラーニ

 イタリアのピアニストStefano Bollaniの新録音。
 もともと大御所トラペッターEnrico Ravaのバンドの繋がりでECMレーベルに移籍したのだと思うのだけど、そもそもECMカラーの人ではないような気がする。
 ECM的な冷たさ神経質さは薄く、明るく温かい印象のピアノ。
 Ravaのバンドでは怪しげな雰囲気を醸し出していたものの、リーダー作ではどちらかと言えば健全な印象の音楽。
 さて、本作は?
 いきなりカリプソ風?の明るい曲。
 Bollaniさん、やはりこの手の音楽をやりたいのかな?
 何でもできそうなBill Frisellは雰囲気にピッタリな演奏だけども、Mark Turnerはどうだろう、クールなこの人が明るい曲を吹くイメージはないなあ・・・
 2曲目は普通にジャズ、3、4曲目、少々怪しいムードが漂う曲で、いよいよECMっぽさが来るかなと思いきや、いずれも曲の後半では明るくて穏やかな感じ。
 以降も概ねそのような質感。最後のタイトル曲も見事なまでに軽快なジャズ。
 Mark Turnerの音を除けばECMとは思えないような明るく健全、さわやかで温かい質感の音楽。
 Stefano Bollaniがプロデューサーを抑え込んだのか、やはり南欧の陽気な血のなせる業かな?
 最近のECM、このアルバムのように妙に軽快で明るいアルバムがちらほら。
 予想したイメージとは違うけど、これはこれで悪くない。
 ジャケットも、何やらカッコよくも不思議で怪しげなムードだけど、珍しくカラー。
 であればイメージはズレていないか。 



posted by H.A.
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