“Trickster Orchestra” (2021) Cymin Samawatie, Ketan Bhatti
Cymin Samawatie (voice) Ketan Bhatti (drums)
Trickster Orchestra:
Mahan Mirarab (guitar, oud) Niko Meinhold (piano) Mohamad Fityan (nay, kawala) Sabrina Ma, Taiko Saito (marimba, vibraphone) Joss Turnbull (perc, electronics) Ralf Schwarz (bass) Susanne Fröhlich (recorders, paetzold recorder) Tilmann Dehnhard (flutes) Mona Matbou Riahi (clarinet) Wu Wei (sheng) Milian Vogel (bass clarinet, electronics) Florian Juncker (trombone) Naoko Kikuchi (koto) Bassem Alkhouri (kanun) Biliana Voutchkova (violin) Martin Stegner (viola) Anil Eraslan (cello) Rabih Lahoud, Sveta Kundish (voice)
中近東エスニックコンテンポラリージャズコンボCyminologyのボーカリストCymin Samawatie、インドルーツのドラマーKetan Bhattiの双頭リーダー作。
オーケストラと銘打った大編成ですが、管弦楽団でもビッグバンドでもない、世界各地の楽器が入り混じるノンジャンル・無国籍楽団。
オーケストラと銘打った大編成ですが、管弦楽団でもビッグバンドでもない、世界各地の楽器が入り混じるノンジャンル・無国籍楽団。
Cyminologyでは、歌は中近東エスニック、ボーカルが引くとジャズな感じでしたが、本作は全く質感が異なります。
ボーカル入りは数曲のみ、ジャズ度なしのクラシックベースな感じ、でもクラシックっぽくはない、エスニック感たっぷり、でも西欧色が強いような、不思議なバランス。
淡く、静かで、穏やかで・・・ってな近年のECMレコードな感じでもありません。 静かに妖しく始まり、徐々に強くなる音、次々と景色は変わっていきます。
西欧系、バイオリン系の楽器が目立つものの、それらとマリンバ、笙、箏などが交錯する展開。
メロディは中近東でもインドでもアジアでも、もちろんヨーロッパでもない、それらの色合いが現れては消えていく不思議系。
時代感の希薄さ、ダークで緊張感の高い空気感、妖しくときおり激しくなる展開は、レトロなサスペンス映画のサントラっぽい感じがしないでもない・・・そんな色合い。
混沌、プログレッシブロックな強いビート、敬虔で清廉なコーラスなども交えながら、目まぐるしく形を変えていく音の流れ。
変幻自在、予測不可能、摩訶不思議な迷宮サウンド。
前衛的で非日常的ですが、計算し尽くされたアンサンブルなのでしょう。
気難し気でも、実験色が強烈なわけでもない、これまた摩訶不思議なバランス。
気難し気でも、実験色が強烈なわけでもない、これまた摩訶不思議なバランス。
ジャズでもロックでもクラシックでも伝統音楽でもない、中近東なのかインドなのかアジアなのかアフリカなのか、やはりヨーロッパなのか、また、いつの時代かもわからない、それらが混然一体となったフュージョンミュージック。
終始緊張感に覆われた深刻な表情の物語が最後に行きつく先は、ハッピーエンドの大団円か、それとも・・・
さて、何が見えるか、どう感じるかは聞く人次第。
posted by H.A.