吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

【Disc Review】“Exit” (1976) Pat Martino

“Exit” (1976) Pat Martino

Pat Martino (guitar)
Gil Goldstein (piano) Richard Davis (bass) Jabali Billy Hart (drums)

イグジット
パット・マルティーノ
ポニーキャニオン
2001-08-10


 Pat Martino、1976年、カルテットでのアルバム、人気作、代表作なのでしょう。
 冒頭のタイトル曲“Exit”。
 伸び縮みするような漂うような複雑なビート繰り広げるベースとドラム。
 少しよじれたような不思議なメロディ、さらに複雑な構成。
 ギターは相変わらずジャズなフレーズを発しながら突っ走っていますが、ベース、ドラムとのインタープレーがそこかしこにちりばめられ、変幻自在。
 さらに遅ればせながら登場するピアノの激しいソロ。
 一時期のMiles DavisにOrnette Colemanをブレンドして、もっと現代的にしたような感じでしょうか。
 全部含めてジェットコースターのような演奏。
 攻めまくっています。
 一転、スタンダードのバラード”Come Sunday”。
 オーソドックスかと思いきや、崩れそうで崩れない複雑なビート感、これまた攻めた演奏。
 以降、Wes的なオリジナル曲に、スタンダード“Days of Wine and Roses”, ”Blue Bossa”, “I Remember Clifford”三連発。
 ほどほどオーソドックスにまとまっていますが、グングン前に進みつつときおり意外な方向に動くベース、攻めまくるドラム、ただ事ではないムードがちらほら。
 他で見たことがあるようなないような、Richard Davis, Billy Hartコンビがカッコいいなあ。
 新しい事が始まりそうな予感たっぷりながら、この後、重病で長期療養。
 好事魔多し。




posted by H.A.


【Disc Review】“We'll Be Together Again” (1976) Pat Martino

“We'll Be Together Again” (1976) Pat Martino

Pat Martino (guitar)
Gil Goldstein (electric piano)



 Pat Martino、エレピとのDuo。
 冒頭は15分を超える組曲風のオリジナル曲。
 悲し気な淡い色合いのメロディをモチーフに、浮遊と疾走が交錯する構成。
 インタープレー云々が中心ではなく、あらかじめ決められたのであろう構成、片方が背景を作り、あるいは独奏も挿みながら、さまざまな表情に変わっていきます。
 人数が少ない分、音量は絞られていますが、相変わらず音数はたくさん、疾走するギター。
 その複雑な音の流れは、何か新しいモノを求めて試行していたのでしょう。
 それが近作の“Exit” (1976)だったのか、あるいは、まさか大ヒットの“Concierto” (1975) Jim Hallだったのか、他の何かだったのか、わかりません。
 以降はジャズスタンダードが並びます。
 こちらは抑制された演奏。
 オルガンのように音を伸ばしつつ静かに背景を作るエレピの音に、いつものように疾走しながらも一定の空間を取った演奏。
 オーソドックなようで、エレピのフワフワした音が醸し出す妖しいムード、これまた不思議感たっぷり。
 静かなPat Martino。




posted by H.A.


【Disc Review】“Pat Martino/Live!” (1972) Pat Martino

“Pat Martino/Live!” (1972) Pat Martino

Pat Martino (guitar)
Ron Thomas (electric piano) Tyrone Brown (electric bass) Sherman Ferguson (drums)

ライブ!
パット・マルティーノ
ポニーキャニオン
2001-06-20


 Pat Martino、エレピのトリオを迎えたライブ録音。
 各曲10分を超える演奏、全三曲。
 LPレコードA面を締める”Special Door”、テーマを提示した後に方向を探るような妖しい動き。
 フリーな方向に行きそうな音の流れがちらほらしつつも、ビートが定まれば、うりゃーってな感じの怒涛のジャズ、弾きまくり。
 一段落つけば、妖しく混沌とした溜まりを経て、再び怒涛の4ビートジャズ。
 そんな混沌と超絶4ビートジャズが交錯する構成。
 二曲目は後のフュージョンを想わせるようなメカニカルなテーマ。
 が、その提示が終わると端正な4ビートジャズ。
 締めはジャズスタンダード。
 これまたたくさんの音符がこれでもかこれでもかと並べられていきます。
 怒涛のような演奏が続きますが、エレピの響きがクールな分、極端に熱くはなりません。
 そして弾むエレキベースが主導するグルーヴ。
 “Bitches Brew”(1969) Miles Davisを経て、“Return to Forever” (Feb.1972) Chick Coreaに近い時期。
 それらの空気感に近い場面もちらほらしますが、本作はやはりジャズ。
 それら含めて、普通の1970年代ジャズとはまた違った新感覚なジャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“East!” (1968) Pat Martino

“East!” (1968) Pat Martino

Pat Martino (guitar)
Eddie Green (piano) Ben Tucker (bass, tambourine) Tyrone Brown (bass) Lenny McBrowne (drums)

East
Pat Martino
Ojc
1991-07-01


 Pat Martino、1968年、ギターカルテット編成でのアルバム。
 オーソドックスな編成ながら、冒頭、10分を超える”East”は、旋回するただ事ではない雰囲気のピアノのイントロからスタート。
 アジアンエスニックなムード。
 何か新しいことが始まりそうな空気が充満します。
 が、ビートが定まりギターのソロが始まるとやはりジャズ。
 ノリノリのグルーヴに音数たっぷり、突っ走るいつものジャズギター。
 ピアノソロになると妖し気なムードに変わり、攻めていますが、やはりモード~ファンクなジャズ。
 テーマに戻ると再びピアノのつむじ風が吹きますが、前段のジャズの残り香が付き纏い、ほどほどの“East”具合。
 続くオリジナル曲はBlue Noteっぽい哀愁漂うミディアムテンポのジャズ。
 ブルージーなコードに乗って、憑かれたように音符を並べていくギター。
 さらに続くはジャズスタンダードにBenny Golson、John Coltrane。
 ってな感じで、本作で東洋なのは冒頭一曲のみ。
 それがなかなか変わった感じでいいのですが、やはりPat Martinoはジャズの人です。




posted by H.A.


【Disc Review】“Strings!” (1968) Pat Martino

“Strings!” (1968) Pat Martino

Pat Martino (guitar)
Cedar Walton (piano) Ben Tucker (bass) Walter Perkins (drums) Ray Appleton, Dave Levin (percussion) Joe Farrell (tenor saxophone, flute)

Strings
Pat Martino
Ojc
1991-07-01


 Pat Martino、1968年作。
 ピアノトリオにパーカッション、管をサポートに迎えたジャズ~ジャズロック。
 あれよあれよ、これでもかこれでもかと続くギター。
 ジャズの塊のような演奏ですが、テクニカルでメカニカル、音符の洪水。
 サックス、ピアノもそれにつられるかのような怒涛のソロ。
 全編極めて端正なジャズながら、各曲とも全員が全力疾走、凄まじいスピード感。
 憑かれたようなハイテンションな演奏が続きます。
 リズム隊とフロントがキッチリ分けられ、絡み合う場面も少なく、オーダーに合わせて律儀にキッチリした印象の演奏が、かえって緊張感と凄みを醸し出しているようにも感じます。
 テンションを落とすこと許すまじ、さあイケーって、鞭打たれているような感じ。
 聞いている方もお口あんぐりというか、何と申しましょうか。
 1960年年代もそろそろ終わり頃。
 フリーにはいかず、電化もロック化もしない。
 でも1950年代ジャズとは何か違う、違ってしまう、モダンジャズ黄金期の次の世代のジャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“El Hombre” (1967) Pat Martino

“El Hombre” (1967) Pat Martino

Pat Martino (guitar)
Trudy Pitts (Hmmond organ) Mitch Fine (drums) Vance Anderson (bongos) Abdu Johnson (congas) Danny Turner (flute)



 Pat Martino、1967年作。
 オルガンと打楽器群をサポートに迎えたジャズ。
 まだまだWes Montgomery, Joe Pass, Jim Hall, Kenny Burrellといった人たち全盛期、その次の世代の初期作品。
 充分に正統派ジャズなのではありますが、あの時代の空気感たっぷり、ロックな感じが混ざりつつの、グチャラグチャラしたちょっとヤクザな感じ。
 そんな中を突っ走るギター。
 何の迷いもなくこれでもかこれでもかと繰り出されていく高速なフレーズ。
 あくまでジャズな雰囲気でジャズなフレーズを奏でるギター。
 上記の中ではWes Montgomeryな感じなようにも聞こえますが、ちょっと硬質な感じのフレージングの違いはもちろん、突っている時間が長いというか、奥ゆかしくないというか、元気いっぱいというか、Joe Passに負けないぐらいに音数多過ぎというか・・・
 ジャズ、ボサノバ、ブルース、なんでもござれ。
 テーマ一発、後は突っ走るのみ、ってな感じ。
 サポートの皆さんもノリノリ、イケイケ。
 クリーントーンのエレキギターの音も含めて、クールで醒めた感じがしないでもないのですが、内省的、あるいは沈んだ感じではなく、あくまで元気いっぱい。
 ジャズギターは少し沈んだムードがカッコいい、なんて思ってしまうのは古い時代の感覚なのでしょうかね。
 って、本作、まだ1967年だなあ。
 とかなんとか、気分爽快、突っ走る怒涛のジャズギターの一作。




posted by H.A.



【Disc Review】“Big Vicious” (2019) Avishai Cohen

“Big Vicious” (2019) Avishai Cohen

Avishai Cohen (Trumpet, Synthesizer Programming, Electro-acoustic Realization)
Uzi Ramirez Feinerman (Guitar) Yonatan Albalak (Bass Guitar, Guitar) Aviv Cohen (Drums) Ziv Ravitz (Drums, Synthesizer Programming)

Avishai Kohen Big Vicious
Avishai Cohen Big Vicious
ECM
2020-03-27


 イスラエルのトランペッターAvishai Cohenの新プロジェクト。
 ここまでのあくまでアコースティックなコンテンポラリージャズとがらりと変わって、エレキギターと電子音たっぷり、ポップな先端ロックテイスト。
 弾むエレキベースにツインドラムながらうるさくない軽めの8ビート。
 あくまでクリーントーンながらエフェクティングたっぷりエコーたっぷりのサイケなギター、Bill Frisell的なようなそうでもないような、ノスタルジック感と先端感が入り混じる不思議な音。
 気難しさなし、むしろポップにも聞こえながら、そこはかとない哀愁を湛えたようなメロディ、空気感。
 そんな音の上に乗ってくる、あくまでジャズジャズしたキリッとしたトランペット。
 一聴普通なようでポップなようで、とても不思議なテイスト、バランス。
 妖しく、あるいは軽く始まりつつジワジワと盛り上がり、気が付けばハイテンションな高揚の中。
 各曲ともにドラマチックな音の流れ。
 ジャズではない、ロックでもない、それらを経過した何か。
 但し、実験臭や気難しさを感じさせないポップネス。
 ポストロックなコンテンポラリージャズ、ってな感じでよろしいのでしょうか?
 なぜか間に挟まれたベートーベンもそんな空気の中に溶け込んで、これまた不思議。
 そのうえで微かに漂うエキゾチシズム。
 新しいんだか古いんだか、ジャズやらロックやらエスニックやら、そんなボーダーは今は昔、やはり新しい音。
 とても心地よくてよろしいのでは。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Here Be Dragons” (2019) Oded Tzur

“Here Be Dragons” (2019) Oded Tzur

Oded Tzur (tenor sax)
Nitai Hershkovits (piano) Petros Klampanis (double bass) Johnathan Blake (drums)

Here Be Dragons
Oded Tzur
ECM
2020-02-14


 イスラエルのサックス奏者Oded Tzur、ECMレコードでの第一作。
 ピアノトリオにサポートされたシンプルなカルテット編成。
 全編静かなジャズ。
 “Fish Out of Water” (1989) Charles Lloyd、近年では“Three Crowns” (2019) Maciej Obaraあたりに通じるECMなジャズサックス作品、もっと穏やかで淡い音。
 ECMレコードでのお約束、全編ルバートでのスローバラード、とまではいかずとも、そんな感じのゆったりとしたテンポが中心。
 淡い色合いの空気感の中、静かに零れ落ちるピアノ、力が抜けた漂うようなテナーサックス。
 どこか懐かしいメロディは欧米とは違う流れ、日本の童謡的、あるいは子守唄的な感じ。
 イスラエルの人のジャズにしばしば感じる穏やかなエキゾチシズム。
 日本人アーティストのECMレコード作品“For 2 Akis” (2017) Shinya Fukumoriに近い空気を感じるのは気のせいでしょうか。
 多少テンポが上がっても、抽象度が上がっても、尖がらずベタつかない、さらりとした音。
 静かで穏やかなムードは変わりません。
 全編そんな音の流れの中、締めはなぜかElvis Presleyのバラード。
 全体の空気感にフィットしているといえばそうなのですが、これがECMで演奏されるとは・・・
 さておき、近年のECMレコード、棘がない甘くもない淡く穏やかな音、あるいはこのレーベルにしてはジャズに寄った音が少なくないのですが、本作はその真ん中、前者寄り。
 さらに加わるほのかなエキゾチシズム。
 Saudadeなジャズ。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Swallow Tales” (2019) John Scofield

“Swallow Tales” (2019) John Scofield

John Scofield (Guitar)
Steve Swallow (Bass) Bill Stewart (Drums)

Swallow Tales
John Scofield
ECM
2020-06-05


 大御所John Scofield、トリオでの最新作、ECMレコードから。
 ECMでは“Bass Desires” (1985) などのMarc Johnson諸作、“Saudades" (2004) Trio Beyond; Jack DeJohnetteなどで縁のある人との共演がありますが、初リーダー作。
 色合いがレーベルカラーに似合っているのかどうか?でありますが、例のブルージーでアメリカンな感じのコンテンポラリージャズ。
 楽曲は例のすっとぼけた感じのSteve Swallowの作品集。
 諸作とちょっと違うのが、ディストーション成分が少ないクリーントーンのギター。
 音が細く繊細な感じに聞こえるのはECMマジックでしょうか。
 ウネウネグニョグニョと動き、転げまわりつつあちこちに飛んでいくいつものフレージングながらも、温度感は低くクールな質感。
 淡々と4ビートを刻み続けるドラムに、これまたすっとぼけた感じのベース。
 ひたすらひたすら動き続けるギターとジャズなビート。
 それでもなんだかんだで近年のECMレコードのギタートリオっぽく仕上がっているのはレーベルの求心力なのか、名人のなせる技なのか。
 うーん、やっぱりジャズっぽいか・・・な。
 とても平和です。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Arctic Riff” (2019) Marcin Wasilewski Trio with Joe Lovano

“Arctic Riff” (2019) Marcin Wasilewski Trio with Joe Lovano

Marcin Wasilewski (Piano)
Slawomir Kurkiewicz (Double Bass) Michal Miskiewicz (Drums)
Joe Lovano (Tenor Saxophone)

Arctic Riff
Marcin Wasilewski Trio with Joe Lovano
ECM
2020-05-29


 ポーランドのピアニストMarcin Wasilewski、サックス入りカルテット。
 “Live” (2016)で区切りを付けてきっと変わるのだろう、と思いきや、同じく長年のSimple Acoustic Trioに、近年ECMレコードでの作品が続いている大御所Joe Lovanoのサックス。
 Marcin Wasilewskiの柔らかく穏やかな色合いに、ジャズ色たっぷりのテナーサックス。
 冒頭はECMレコードのお約束、ルバートでのスローバラード。
 柔らかなピアノの音の中を漂うサックス、リズムを縛らないベース、ドラム。
 強烈な浮遊感。
 そんな演奏が三曲ほど続いた後にようやくビートが定まりますが、浮遊感は消えません。
 フワフワとした時間の中をときおり軽快に疾走する美しいピアノのシングルトーン。
 丸みを帯びたこの人ならではの音。
 さらにほどよいサブトーンが効いたハードボイルドなテナーサックス。
 中盤を過ぎると静かなフリーやら、オーソドックスなコンテンポラリージャズな疾走チューンやら。
 音数が増えても高速に展開しても決して大きな音にはならず、たっぷりの余白。
 柔らかさ軽快さはそのまま。
 深刻には陥らない、明るいムードの音の流れ。
 オシャレって言ってしまうと違和感があるのかもしれませんが、ほどよい軽さの洗練。
 とても心地よい時間。
 名前のまま、奇を衒ったところのない、強い刺激もない、さりげない演奏です。
 が、名演、名作。


 

posted by H.A.


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