吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

【Disc Review】“East of the Night” (1985) Stephan Micus

“East of the Night” (1985) Stephan Micus
Stephan Micus (10-String, 14-String Guitar, Shakuhachi, 4 Shakuhachi)

East Of The Night
Universal Music LLC
1988-01-11


 ドイツのマルチインスツルメンタリストStephan Micus、とても静かで穏やかな無国籍ワールドミュージック。
 ECMからの配給ですが、制作はJapoレーベルのようです。
 全二曲のクレジットを見るとちょっと身構えてしまいますが、中身はとても穏やかで優しい音。
 LPレコードA面は、ギターと尺八が妖しく絡みあう、ゆったりとした幽玄な空気感。
 おそらく日本をイメージしているのでしょう、どこかしら東洋的な雰囲気。
 甘くも華やかでもなく、妖しげでもあるのですが、どことなく懐かしく、センチメンタルな音の流れ。
 LPレコードB面はギターのみでの演奏ですが、これまたとても優し気でセンチメンタル、あるいはロマンチック。
 A面比べると少々シャープな印象、メロディも明確ですが、淡くて穏やかな空気感は同じ。
 訥々としたアルペジオで爪弾かれる悲しげなような、懐かし気なようなコードとメロディ。
 全二曲、いずれも淡々とした音の流れがひたすら二十数分続きますが、退屈はありません。
 一日中このアルバムがループしていても、おそらく違和感はないでしょう。
 終始静かで優しい音だから。
 他の作品に比べると、使われる楽器の種類が少なくシンプルなこと、ボイスが入らないことも、よりナチュラルなムードにつながっているのかもしれません。
 具体に過ぎず、抽象に過ぎない、絶妙なバランスの音の流れと空気感。
 周囲の景色がゆったりと変わっていっているような、何とも微妙な音と時間の流れ。
 ジャケットのアートのそのままの、幽玄で広い空間の音。
 タイトルは「夜明け前」といったニュアンスでしょうか?
 正否はさておき、そんな夜の静寂のゆったりとした曖昧な時間の動きのような音。
 とても静かなトリップミュージック。
 名作です。




posted by H.A.


【Disc Review】“Serpentina” (2017) André Mehmari, Juan Quintero, Carlos Aguirre

“Serpentina” (2017) André Mehmari, Juan Quintero, Carlos Aguirre
André Mehmari (Voice, Piano, Oberheim, Synth, Accordion, Harmonium, Koto, Viola de arco, Bandolim, Acoustic bass, Pandeiro, Pife) Juan Quintero (Voice, Guitar, Charango, Bombo, Percussion) Carlos Aguirre (Voice, Piano, Accordion, Fretless bass, Guitar, Percussion)



 ブラジルのAndré Mehmariと、アルゼンチン、現代フォルクローレのAca Seca TrioのJuan Quintero、現代フォルクローレのドン?Carlos Aguirreのトリオ作品。
 夢のなんとか・・・と書いてしまうのが憚られるような、あざといまでの組み合わせ。
 “Triz”(2012)André Mehmari, Chico Pinheiro, Sérgio Santosなんてブラジル人スーパーなトリオ作品もありましたが、それを上回るようなビッグネームなセッション。
 クラシックとジャズとMinasなAndré Mehmariと、元気系ポップスなフォルクローレなJuan Quinteroと、しっとり系フォルクローレのAndré Mehmari
 それらが交錯し混ざり合う音。
 穏やかな怒涛?のような全18曲。
 三人で概ね均等に楽曲を分け合い、他にブラジル曲、アルゼンチン曲を数曲。
 プロデューサーにAndré Mehmariのクレジット、また多くの楽曲でピアノを弾く彼の色が少々強いのかもしれません。
 が、さすがにつわものたち、いい感じでフュージョンし、André Mehmari諸作とは違う色合い。
 あの素晴らしくも強烈なピアノが続くと聞き疲れするかな・・・?と思っていたら、Carlos Aguirreの優しいピアノに変わってみたり、思い出したように水が滴るようなギターが聞こえたり、穏やかなだったり楽し気だったりのアコーディオンが聞こえたり・・・
 さらにはボーカリストが入れ替わりながらのさまざまなコーラスワーク。
 ・・・瑞々しい感性が有機的に絡み合いながら、自然に対するリスペクトとそこはかとない感傷、憂いを秘めた・・・とかなんとかの恥ずかしくなるような形容がそのまま当てはまってしまう音なのだから、困ってしまいます。
 André MehmariCarlos Aguirreがお互いに捧げ合っている曲もあり、まあ、そこまで演出しないでも・・・とも思ってしまいますが、それらがまた素晴らしい演奏なので、まあ、何と申しましょうか・・・
 全編、フワフワしていて、優しくて、センチメンタルで、でも前向きで・・・
 南米の郷愁感の極めつけ。
 ピアノを中心としたジャズ的インプロビゼーションのスペースもたっぷり。
 企画負けすると・・・?は全くの杞憂。
 大変失礼しました。
 期待以上の極上の出来。
 月並みな結論ですが、2017年の一番はこれでしょう。




posted by H.A.

【Disc Review】“Am60 Am40” (2017) Antonio Meneses, Andre Mehmari

“Am60 Am40” (2017) Antonio Meneses, Andre Mehmari
Antonio Meneses (cello) Andre Mehmari (piano)


Antonio Meneses 2017-09-01

 気がついたら新譜が出ている、多作の2017年のAndre Mehmari。
 サンバな“Três no Samba” (2016)、ブラジリアンジャズの“Guris” (2016)に、南米フォルクローレの“Serpentina” (2017)と来て、こちらはクラシック。
 チェリストとのDuo作品。
 Antonio Menesesについての情報はもっていませんが、タイトルからして60歳のベテラン、クラシックの人なのでしょう。
 巨匠な人なのかもしれませんが、そちらに疎くて・・・
 J.S.Bachで始まり、間にJ.S.Bachを何曲か、J.S.Bachで締め。
 その間にAndre Mehmariのオリジナル曲、さらにとても悲しいJobimナンバー、長尺、激情なAstor Piazzollaナンバーに、その他南米のクラシック曲?などなど、短めの演奏を中心にたっぷり15曲。
 前面に出るのはチェロ。
 丁寧に端正に紡がれる音。
 一歩後ろに引いた感じのピアノですが、いつものタメと疾走が交錯する例の音使い。
 ゆったりとしたチェロが奏でる旋律の後ろで漂い、舞い落ち、時に転げまわるピアノ。
 もちろん全体の空気感はクラシックですが、その合間合間にMinasのような、Jazzのような、郷愁感が漂うサンパウロ~Andre Mehmariの色合い。
 お得意のワルツを含めて、フワフワと漂うような強い浮遊感。
 さらに少々沈痛なタンゴの色も加わり、優雅で優しい音、センチメンタルな音、Egberto Gismontiなハイテンションな音、その他諸々、ブラジル~南米な空気感がてんこ盛り。
 ECMでも同フォーマットの作品が多数ありますが、それらほど妖しくなく、トゲもない端正な音。
 クラシック作品としてはどうなのかはわかりませんが、ジャズの耳からすれば、とてもわかりやすくて心地よい作品でしょう。
 中盤以降、少々重めで激しい演奏もありますが、上品で優し気なムードが勝ります。
 クラシックながら南米の香りがする音の流れと浮遊感。
 南米・コンテンポラリー・クラシックとでも呼ぶのでしょうかね。
 とても美しくて、とても優雅です。




posted by H.A.

【Disc Review】“Piano Solito” (2016) Sebastian Macchi

“Piano Solito” (2016) Sebastian Macchi
Sebastian Macchi (piano)

Piano solito
Sebastian Macchi
Shagrada Medra / bar buenos aires
2016-11-30

 
 アルゼンチンのピアニストSebastian Macchiのソロピアノ作品。
 ここまでのバンド作品“Luz de agua: Poemas de Juan L.Ortiz- Canciones” (2005), “Luz de agua: Otras canciones” (2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva、それらの名作とは少し印象が異なります。
 とても静かな音ですが、ビートが整ったキリっとした音。
 揺らぐ時間というよりも、静かで端正、淡い色合いのピアノミュージック
 やはり師匠Carlos Aguirreのピアノソロ作品“Caminos” (2006) に近いものを感じます。
 ジャズともクラシックともフォルクローレとも違う質感、それらの断片が交錯しながら積み上げられていく音。
 その意味では“Tokyo Solo” (2013) Andre Mehmariあたりにも近いのですが、もっと静かで淡々とした音。
 しばしばタメの入るCarlos AguirreAndre Mehmariのピアノに対して、スッキリとまとまった端正でクールなピアノ。
 過度に感情を表出するのではなく、静かに淡々と音を紡いでいくイメージ。
 もちろん楽曲はあの美しいSebastian Macchiのメロディ、センチメンタルな音の流れ。
 どこか懐かし気な南米アーティスト特有の空気感。
 派手さ、刺激がない分、穏やかな時間。
 静かで穏やかで優しい人なのでしょう。
 最初から最後まで、そんなピアノミュージック。




posted by H.A.



【Disc Review】“Luz de agua: Otras canciones” (2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva

“Luz de agua: Otras canciones” (2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva
Sebastian Macchi (piano, voice) Claudio Bolzani (guitar, voice) Fernando Silva (bass)
Negro Aguirre (percusión)

Luz de agua : Otras canciones
Sebastián Macchi
bar buenos aires
2015-06-28



 アルゼンチン、現代フォルクローレのトリオ、名作“Luz de agua: Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones” (2005)の続編。
 本作のテーマも「光と水」、アルゼンチンの詩人Juan L. Ortizの作品の楽曲化。
 前作と同様にSebastian Macchiのメロディが中心ですが、他のメンバーのメロディも何曲か。
 前作と比べると、テンポが上がって、明るくポップ度が高い、Aca Seca Trioっぽい演奏も目立ちます。
 ・・・と思っていたらそのメンバーも参加していましたね。
 ともあれ、鳥のさえずり、子どもの声などがコラージュされる全体の空気感は10年前の前作と同様。
 全体を支配するのはSebastian Macchiの繊細なメロディとピアノ、Claudio Bolzaniの儚げな声。
 より儚く繊細なのは前作かもしれませんが、全編スローだった前作と比べると、アップテンポなビート、わずかながらに使われる電子音を含めて、音のイメージのバリエーションが増え、次々と周囲の景色が変わっていくような展開。
 凝ったアレンジ、コーラスワークの場面も増え、より洗練された感じがします。
 完璧なアンサンブルと、端々に聞こえるピアノ、ギターのオブリガードの美しい事。
 前作が早朝のような音だったとすれば、本作は午前。
 ちょっと温度感が上がって、諸々の営みが動き出したイメージの空気感。
 静謐な揺らぎの前作、躍動感が加わった本作、どちらがいいかはお好み次第。




posted by H.A.


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