吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

【index】 2020年・私的ベストアルバム

【index】 2020年・私的ベストアルバム

 2020年の私的ベストアルバム10。
 新譜、新発表に限ろうと思っていますが、1-2年ぐらい前までは対象ということでアバウトに。
 毎度ながら普通のジャズの新譜には縁遠く、ヨーロッパ、ECM、南米から抜けられません。
 純アメリカ系はPatさんだけだなあ・・・


Caoimhín Ó Raghallaigh & Thomas Bartlett” (2019) Caoimhín Ó Raghallaigh, Thomas Bartlett
 ピアノとフィドルのDuo。
 ジャズでもクラシックでもエスニックでもない、それらが入り混じる優しく懐かしい音。
 とてもさりげなくて、ジワジワ来る系。

Caoimhin O Raghallaigh..
Caoimhin O Raghallaigh &
Real World
2019-11-22



Searching The Continuum” (2019) Kurt Rosenwinkel, Bandit 65
 ギターとドラムとのDuoのライブ音源集。
 手探りのように始まる妖しさは気難しい系かと思いきや、各曲終盤に向けた疾走の爽快感、激情のカタルシス。

サーチング・ザ・コンティニュウム
KURT ROSENWINKEL BANDIT65
MOCLD
2019-10-09



Remember me, my dear” (2014) Jan Garbarek, The Hilliard Ensemble
 Jan GarbarekとThe Hilliard Ensembleのライブ録音、2019年発表。
 まあ一緒だろうから・・・とか油断していたらビックリ。
 凄まじいまでのリバーヴが効いた、凄まじいまでに美しい時間。

Remember Me, My Dear
Hilliard Ensemble
Ecm
2019-10-18



Here Be Dragons” (2019) Oded Tzur
 イスラエルのサックス奏者の静かなジャズカルテット。
 近年のECMレコードの定番的な淡くさりげないジャズ。
 繊細なピアノトリオと力の抜けた穏やかなサックス。
 ほのかに切なく懐かしい音。

Here Be Dragons
Oded Tzur
ECM
2020-02-14



Rivages” (2018) Jean-Louis Matinier
 アコーディオンとガットギターのDuo。
 静かで、穏やかで、メロディアスで、哀愁していて、疾走があって、さらに全体の空気感はフレンチな粋。
 音もジャケットも最高。

Rivages
Jean-Louis Matinier, Kevin Seddiki
ECM
2020-05-29



Arctic Riff” (2019) Marcin Wasilewski Trio with Joe Lovano
 ベテラン勢、メンバーの名前そのままの音のコンテンポラリージャズ。
 柔らかで軽快なピアノとハードボイルドなサックス。
 ECMな毒気を少々振り掛ければ、それでもう名作。

Arctic Riff
Marcin Wasilewski Trio with Joe Lovano
ECM
2020-05-29



Lost Ships” (2020) Elina Duni, Rob Luft
 地中海エスニックな色合い、過去と未来が交錯するような妖しい音、静かで美しいコンテンポラリー・エスニック・フォーキー・ジャズヴォーカル。
 ポップス寄りに感じるほどにメロディアス。
 淡いセンチメンタリズム、繊細さが醸し出す儚さが沁みます。

Lost Ships
Elina Duni
ECM
2020-11-13







Storytellers” (2017) Luciana Souza
 漂うスモーキーヴォイスと突っ走るジャズ。
 もはや定番でしょうか、ブラジリアンとドイツのビッグバンドとの共演。
 どれも名作、これも然り。

Storytellers
Souza, Luciana and the Wd
Delta
2020-03-27


Agora” (2020) Bebel Gilberto
 新しいようなノスタルジックなような、不思議感たっぷり、それでいてポップなMPB。
 エスニックと先端が交錯する抑制されたサウンドにウイスパーヴォイス。
 フワフワしていて心地よさ最高。

AGORA
BEBEL GILBERTO
[PIAS] RECORDINGS
2020-08-26



From This Place” (2019) Pat Metheny
 これは、もう、ね。
 ハイテンションでドラマチックな音絵巻。
 全編通して、座して聴くべし。

フロム・ディス・プレイス
パット・メセニー
ワーナーミュージック・ジャパン
2020-02-21



posted by H.A.


【Disc Review】“Agora” (2020) Bebel Gilberto

“Agora” (2020) Bebel Gilberto

Bebel Gilberto (Vocals)
Thomas Bartlett (Keyboads, Percussion, Piano, Programming)
Magrus Borges (Drums, Percussion) Mart'nália (Vocals)

AGORA
BEBEL GILBERTO
[PIAS] RECORDINGS
2020-08-26


 Bebel Gilberto、2020年作。
 御父上はお隠れになられてしまいましたが、娘さんの久々のアルバム。
 大ヒットしたのでしょう“Tanto Tempo” (2000)に近いテイスト、電子音混じりの現代~未来感漂うブラジリアンポップス。
 ボッサやフォークなアコースティックな感じはなく、全編通じて先端クリエーターが作ったのであろう、静かで妖しい今の音・・・
 ・・・だと思うのですが、なぜか漂うノスタルジー。
 遠くから聞こえてくるようなビートと周囲を包み込むような電子音、コーラス、その少し前に立つウイスパーなヴォイス。
 フワフワとした時間。
 テンポが上がっても、打楽器が強い音を出しても、妖しげな電子音が聞こえても、あくまでゆったりとした優雅で静かな音。
 一番明確に響いてくるのは、リバーヴに包まれたウイスパーヴォイス。
 哀愁漂う、でも暗くはないポップでキャッチ―なメロディたちも、そんな音に溶け込んで淡い乳濁色の靄の中。
 ノスタルジックな空気感の源泉は、そのメロディなのか、声と歌なのか、先端とエスニックが交錯する抑制されたサウンドなのか、何なのか、わかりません。
 これぞ21世紀型Saudade・・・かどうかもわかりません。
 とにもかくにも御父上、御母上はやらないであろう現代の音。
 が、同じく静かで優しくて、最高に心地よい音。


 

posted by H.A.


【Disc Review】"Merry Christmas" (1965) The Supremes

"Merry Christmas" (1965) The Supremes

The Supremes: Florence Ballard, Diana Ross, Mary Wilson (vocals)
and others

Merry Christmas
Supremes
Motown
1999-10-12


 ジャズな季節モノはネタ切れですが、ジャジーなこれ。
 カクテルなピアノの素敵なオブリガード、危なっかしいベルが奏でるメロディ、別位相から聞こえてくるようなストリングス、天使のコーラス、そしてサラリとした声のねっとりとした歌。
 ちょっとずつズレてるんだか、なんなんだか・・・
 全部含めて平和で幸せな音。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Albores” (2019) Dino Saluzzi

“Albores” (2019) Dino Saluzzi

Dino Saluzzi (Bandoneon)

Albores
ECM Records
2020-11-06


 アルゼンチンの重鎮Dino Saluzzi、バンドネオンソロ作品。
 コンボでの“El Valle de la Infancia” (2014)以来?、ソロ演奏では”Andina” (1988)以来でしょうか?
 そこから三十余年が経過していますが、変わらない優しく暖かい音、変わらない郷愁感。
 タイトルは「夜明け」の意。
 静かに漂うように始まり、ゆっくりと変わっていく景色。
 バンドネオン、さらに独奏ゆえの止まらない揺らぎ。
 ビートが定まりときおりスピードを上げ疾走つつも、気が付けば揺らぎの中。
 明確なメロディが見えそうで見えない、見えたと感じるのは束の間、また揺らぎの中。
 たびたび訪れるフォルクローレ的、あるいはタンゴ的なコードチェンジの瞬間に覚醒しつつ、また揺らぎの中。
 同じ空気感ながら同じフレーズは二度とはない、そんな音の動き。
 しばらくするとどこか別の世界へ転移したような、あるいは波に洗われ続けているような錯覚。
 ここまでの諸作には何らかの物語、起承転結が明示されているように感じましたが、本作は違う印象、さりげないイメージ。
 緩急、紆余曲折が交錯しながら、哀しいような懐かしいような、ゆったりとした音の流れが続きます。
 そして終盤に準備された長尺な二曲、アルバム全体を集約したような演奏。
 定まらないゆったりとしたビート、現れては消えていく断片的なメロディ。
 郷愁に包まれる時間。


 


Kultrum” (1982) 
Theatre” (1983) George Gruntz
Once Upon a Time - Far Away in the South” (1985) 
Volver” (1986) Enrico Rava 
Andina” (1988) 
“World Sinfonia” (1990) Al Di Meola 
Mojotoro” (1991) 
“World Sinfonia II - Heart of The Immigrants” (1993) Al Di Meola 
Rios” (1995) Dino Salussi, Anthony Cox, David Friedman 
Cité de la Musique” (1996) 
Fábula” (1996) Maria João 
Di Meola Plays Piazzolla” (1990-1996) Al di Meola
From the Green Hill” (Aug.1998) Tomasz Stańko 
Kultrum” (Oct.1998) Dino Saluzzi, Rosamunde Quartett 
If” (Jun.2001) Myriam Alter
Responsorium” (Nov.2001)  
Trio Tage” (Oct.Nov.2002) George Gruntz, Thierry Lang, Dino Saluzzi 
Senderos” (Nov.2002) 
Juan Condori” (2005) 
Ojos Negros” (2006) 
El Encuentro” (2009) 
Giya Kancheli, Themes From The Songbook” (2010) Dino Saluzzi / Gidon Kremer / Andrei Pushkarev
Navidad de Los Andes” (2011) 
El Valle De La Infancia” (2014) 
Albores” (2019) 

posted by H.A.


【Disc Review】“Lost Ships” (2020) Elina Duni, Rob Luft

“Lost Ships” (2020) Elina Duni, Rob Luft

Elina Duni (Voice) Rob Luft (Guitar)
Fred Thomas (Piano, Drums) Matthieu Michel (Flugelhorn)

Lost Ships
Elina Duni
ECM
2020-11-13


 アルバニアルーツの女性ボーカリストElina Duni、2020年作。
 本作はイギリスのギタリストRob Luftとの共作名義。
 サポートにピアノ、“The Gift” (2012) Susanne AbbuehlなどECM諸名作に参加する名フュリューゲルホーンが加わる静かな音。
 ECMではコンテンポラリージャズなColin Vallonトリオとの共演諸作、ナチュラルでフォーキー、懐かしい感じのソロ演奏“Partir” (2018)でしたが、本作は別な印象。
 地中海エスニックな色合いも残しつつ、センチメンタルでキャッチー、フォーキーなポップス色が濃厚。
 トラディショナルと二人のオリジナル曲が半々にその他を少々。
 スタンダード”I’m A Fool To Want You”を挟みつつ、締めになぜかシャルル・アズナヴールが待ち受ける、そんな構成。
 但し、全編静かで強い浮遊感、いかにもECMな色合い。
 ギターはアコースティックだけでなく、ジャズともロックともつかないクリーントーンなエレキギターがたっぷり。
 さらに零れ落ちてくるような美しいピアノとさりげない寂寥感を醸し出すフリューゲルホーンがフィーチャーされる場面も多く、それらはコンテンポラリージャズな音。
 入れ替わり立ち替わり入ってくる全ての楽器が音数を絞った静かな名演。
 そして全編を流れるほのかな哀しみ、懐かしさ。
 過去~現代、エスニック、ジャズ、ポップス、クラシックが交錯する音。
 そんな色合いの空間を泳ぐシルキーヴォイス。
 全部合わせて優しく美しく儚い音。
 センチメンタルなメロディたちとともにジワジワきます。
 鎮静剤、清涼剤としても、とてもよろしいかと。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Lontano” (2019) Anja Lechner, François Couturier

“Lontano” (2019) Anja Lechner, François Couturier

Anja Lechner (Cello) François Couturier (Piano)

Lontano
ECM Records
2020-10-16


 ドイツのチェロ奏者Anja LechnerとフランスのピアニストFrançois CouturierのDuo。
 “Nostalghia” (2005)などTarkovsky Quartetでの共演が続くコンビ。
 Duoでは“Moderato Cantablie” (2013)以来でしょうか。
 そちら、Anja Lechner の前作にあたるギターとのDuo“Franz Schubert: Die Nacht” (2018)はクラシックのECM New Seriesからでしたが、本作はECM Recordsから。
 クラシカルな色合いで静かに高音を敷き詰めていく美しいピアノ、それと絡み合うクールながらまろやかなチェロ。
 二人のオリジナル曲を中心にフランス、アルゼンチン、グルジア、さらにチュニジアのAnouar Brahem曲の再演など、多国籍、無国籍な楽曲群。
 いずれもセンチメンタルな表情。
 特に印象に残るのは序盤に収められたフォルクローレ?曲。
 二人の美しい音で奏でられていく南米的な哀愁、それも、穏やかでほのかに哀しいSaudade系ではなく、図らずとも涙腺が緩む胸締め付けられる系。
 哀感の強弱は付きつつも、それをピークとして、全編を包み込む哀し気な表情。
 とてもメロディアス。
 派手なインプロビゼーションはなく、深層を覗き込むような怖さ、現代音楽的な気難しさもありません。
 クールで淡々とした印象。
 が、とても哀しく美しいメロディと静かな抑揚、ジワジワくる系。
 François Couturier, Tarkovskyな不思議感、迷宮感よりも、ストレートな哀感が勝る本作。
 とてもセンチメンタル。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“La traverse” (2019) Matthieu Bordenave

“La traverse” (2019) Matthieu Bordenave

Matthieu Bordenave (Tenor Saxophone)
Florian Weber (Piano) Patrice Moret (Double Bass)

La traversée
Matthieu Bordenave
ECM
2020-09-25


 フランスのサックス奏者Matthieu Bordenave、ドラムレストリオ。
 日本人ドラマーのECMでのアルバム“For 2 Akis” (2017) Shinya Fukumoriに参加していた人。
 そちらと同様、とても繊細な音。
 サポートはドイツの名ピアニストFlorian Weberに、ベースはスイスのColin Vallon Trioの人。
 近年のECMの管楽器入りアルバム、オーソドックスなジャズな感じのモノも多い印象がありますが、本作は違うテイスト。
 静かでほどほど抽象的、フリー混じりのコンテンポラリージャズ。
 終始ゆったりした漂うようなビート。
 ドラムレスゆえの浮遊感と余白。
 ほどよいサブトーンを含んだ力みのないサックス、零れ落ちてくるピアノ、穏やかなベースの絡み合い。
 サックスはECMのCharles Lloydをさらに繊細に淡くした感じでしょうか。
 不思議感たっぷり、普通にメロディスな感じとは少しズレた感じの音の流れ。
 但し、極めて美しい音。
 最初から最後までゆったりと、美しい音が漂い、ときに軽やかに疾走しながら、サラサラと流れていきます。
 普通ではないながら気難しく聞こえないのは、美しい音と、個々のフレーズがメロディアスだからでしょうか。
 さわると壊れてしまいそうな繊細さ。
 集中して聴けば緊張感たっぷり。
 が、暗くなくない優しい音、サラサラした質感ゆえ、BGMとしてもいい感じ。
 白い壁の現代美術館で流れていそうな感じもしますが、それよりも温度、湿度高め、少々脂がのった人臭い音、そんなバランス。
 ジャケットもそんな感じですね。
 いずれにしても淡くて美しい時間。
 どう使うかはその時の気分次第。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Rivages” (2018) Jean-Louis Matinier

“Rivages” (2018) Jean-Louis Matinier

Jean-Louis Matinier (Accordion) Kevin Seddiki (Guitar)

Rivages
Jean-Louis Matinier, Kevin Seddiki
ECM
2020-05-29


 フランスのアコーディオン奏者Jean-Louis Matinier、同じくギタリストKevin SeddikiとのDuo。
 Jean-Louis Matinier、ECMレコードではAnouar BrahemFrançois Couturierの諸作に参加している人。
 それらの中近東~地中海エスニックでも、心の深層覗き込む系でもない、いわゆるミュゼットの雰囲気も混ざっているのでしょうか、いかにもフレンチな洒落たムード。
 但し、現代的で静かで哀しげ、落ち着いた音。
 ECMらしくひんやりとした感じも漂っていますが、気難しさはなく、わかりやすくメロディアス。
 オリジナル曲を中心に映画音楽、クラシック曲を加えたメロディは、穏やかで懐かしくて、少し哀しげ、そしてキャッチー。
 それらを奏でる揺らぐアコーディオン、キリッとしたガットギター。
 奇をてらったところのない、かつ過不足のないアンサンブル。
 控えめなインプロビゼーション、揺れ動くアコーディオンの音が消え入る瞬間に入ってくるオブリガードがいい感じ。
 ジャズとしては抑制的、ニューエイジ(死語?)としては揺らぎの多い音。
 これ見よがしではないそこはかとなく漂う懐かしい感じ、やるせないムード。
 ECMならではの美しい音、澄んだ空気感。
 全部含めて絶妙なバランス。
 何か懐かしいモノが見えてくるような心地よい音。
 ジャケットのポートレートもそんな感じ、近年出色のカッコよさ。
 これまたSaudade。
 ジワジワきます。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Looking At Sounds” (2019) Michel Benita

“Looking At Sounds” (2019) Michel Benita

Michel Benita (Double Bass, Samples)
Jozef Dumoulin (Rhodes) Philippe Garcia (Drums, Samples) Matthieu Michel (Flugelhorn)

Looking At Sounds
Michel Benita
ECM
2020-09-18


 フランスのベーシスト、大御所なのでしょうMichel Benita、フリューゲルホーンをフロントに立てたワンホーンカルテット作品。
 少し前、同じくECMレコードからの“River Silver” (2015)のバンドから先端ギターと箏が抜け、エレピが加わるオーソドックスなジャズの編成。
 が、ボリュームペタルを駆使するエレキギターのような音が鳴っていて、これはホントにエレピなのでしょうか?、オーソドックスなジャズではありません。
 心地いいフワフワとした電気な音。
 そんな音に包まれた柔らかなコンテンポラリージャズ。
 どこか哀しみを湛えたような、が、暗くはない空気感と、どこか懐かしさを感じるメロディ。
 上品なグルーヴを伴った強い推進力のビート。
 サラサラと流れていく力みなくクールなフリューゲルホーン。
 柔らかで心地よい音が揃い、メロディアスで気難しさ無し。
 “In a Silent Way” (Feb.1969) Miles Davisを徹底的にスムーズにして、現代的にして、わかりやすくした、そんな感じの洗練。
 そんな中で各曲終盤に向けての穏やかな高揚感、キツくない緊張感、ときおりの疾走、あるいは中盤に収められたルバートなスローバラード、穏やかな混沌、幻想がとてもカッコいい。
 脂っこくなく、気難しくなく、明るすぎず暗すぎず、軽すぎず重すぎず、冷たすぎず暖かすぎず、古すぎず新しすぎず・・・
 ありそうでない、絶妙なバランス。
 柔らかくて心地いい、スタイリッシュな現代ジャズ。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Budapest Concert” (2016) Keith Jarrett

“Budapest Concert” (2016) Keith Jarrett

Keith Jarrett (Piano)

Budapest Concert
Keith Jarett
ECM
2020-10-30


 Keith Jarrett、2016年のソロピアノ、ハンガリーでのステージ、2020年発表。
 昨年リリースされた“Munich 2016” (2016)と同時期、少し前の演奏。
 そちらと同様、重いムード、現代音楽的、あるいはCecil Taylor的な抽象的な衣を纏った疾走からスタートします。
 激しく長尺な導入の後は、音量とスピードを落としたバラードな展開。
 メロディが見えそうで見えない流れの中で終わり、戸惑うように間を空けた拍手。
 さらに静かで抽象的なPart3、重く激しいPart4と、暗闇の中を手探りで進むような、重苦しい音の動きが続きます。
 が、Part5、一転して静かなバラード、ここからメロディが明確になり、少し軽いムードに変わります。
 軽快に転げまわるPart6、フォーキーでメロディアスなPart7。
 湧き出てくる音、タメにタメて置かれていく哀しいメロディ、あの“La Scala” (1995)のピークを想い起こす、美しいPart8。
 この流れの中で大団円か、と思いきや、再び抽象的な音の流れに突入。
 Part9、10、軽快に始まりつつも次第に激しさを増し、重いビート、不穏な和音が鳴り響く中での疾走。
 そんな重苦しい時間を経て、本編の締め的なPart11、静かな祈り系・フォーク系・クラシック系が入り混じる美しいバラード。
 ようやく救われたようなムードでこの日のドラマは幕。
 そしてAfter Hours的にブルース、スタンダード二曲。
 “Rio” (Apl.2011)あたりからの2010年代型、同時期の“Munich 2016” (2016)も類似する展開。
 が、別のイメージのストーリー。
 “Munich 2016” のジャケットは青空でしたが、こちらは夜明け、あるいは黄昏。
 さて、夜明けなのか黄昏なのか、どうでしょう。
 聞く人それぞれで感じましょ。


 

〇:ソロ、除くクラシック ●:Standards

 “Life Between the Exit Signs" (May.1967)
〇“Restoration Ruin"(Mar.1968)
 “Somewhere Before" (Aug.1968)
 “Gary Burton & Keith Jarrett" (Jul.1970) 
 “Ruta and Daitya" (May.1971)
 “The Mourning of a Star" (Jul.Aug.1971)
 “Birth" (Jul.1971)
 “El Juicio (The Judgement)" (Jul.1971)

〇"Facing You" (Nov.1971)
 "Expectations" (Apl.1972)
 "Hamburg '72" (Jun.1972)
 “Conception Vessel” (Nov.1972) Paul Motian
 "Fort Yawuh" (Feb.1973)
 "In the Light" (Feb.1973)
〇”Solo Concerts:Bremen/Lausanne” (Mar.Jul.1973)
 “Treasure Island” (Feb.1974)
 “Belonging” (Apl.1974)
 “Luminessence” (Apl.1974) 
 “Death and the Flower” (Oct.1974)
 “Back Hand” (Oct.1974)  
〇“The Köln Concert” (Jan.1975)
 “Solo Performance, New York ‘75” (Feb.13.1975)
 "Gnu High" (Jun.1975) Kenny Wheeler
 “Arbour Zena” (Oct.1975)
 “Mysteries” (Dec.1975)  
 “Shades” (???.1975) 
 “Closeness” (Mar.1976) Charlie Haden
 “The Survivor's Suite” (Apl.1976)
〇“Staircase” (May.1976) 
 “Eyes of the Heart” (May.1976) 
 “Hymns/Spheres” (???.1976)
 “Byablue” (Oct.1976)
 “Bop-Be” (Oct.1976)
〇“Sun Bear Concerts” (Nov.1976)
 “Ritual” (Jun.1977)
 “Tales Of Another” (Feb.1977) Gary Peacock
 “My Song" (Oct.-Nov.1977)
 “Sleeper” (Apl,16-17.1979)
 “Personal Mountains” (Apl,16-17.1979)
 “Nude Ants:Live At The Village Vanguard” (May,1979)

 "Invocations/The Moth and the Flame" (1979,1980)
 "G.I. Gurdjieff: Sacred Hymns" (Mar.1980)
 "The Celestial Hawk" (Mar.1980)
Concerts:Bregenz” (May.1981)
〇”Concerts:Munchen” (Jun.1981)
●“Standards, Vol. 1” (Jan.1983)
●“Standards, Vol. 2” (Jan.1983)
●“Changes” (Jan.1983)
 "Arvo Part: Tabula Rasa" (Oct.1983,1984,1977) 
 "Spirits" (May-Jul.1985)
●"Standards Live" (Jul.1985)
 “Barber/Bartók” (1984-85)
●"Still Live" (Jul.1986)
 "Book of Ways" (Jul.1986)
 "No End" (Jul.1986)
 "Well-Tempered Clavier I" (Feb.1987)
〇"Dark Intervals" (Apl.1987)
●“Changeless” (Oct.1987)
 “J.S. Bach: Das Wohltemperierte Klavier, Buch I” (1987)
〇”Paris Concert” (Oct.1988)
 “Lou Harrison: Piano Concerto” (1988)
●”Standards in Norway” (Oct.1989)
●“Tribute” (Oct.1989)
 “Hovhaness, Alan: Piano Concerto:Lousadzek (Coming Of Light) ” (1989)
 “J.S. Bach: Goldberg Variations” (1989)
●“The Cure” (Apl.1990)
 “J.S. Bach: Das Wohltemperierte Klavier, Buch II” (1990)
 “G.F. Handel: Recorder Sonatas with Harpsichord Obbligato.” (1990)
〇“Vienna Concert” (Sep.1991)
●“Bye Bye Blackbird” (Oct.1991)
 “J.S. Bach: The French Suites” (1991)
 “J.S. Bach: 3 Sonaten für Viola da Gamba und Cembalo” (1991)
 “At the Deer Head Inn” (Sep.1992)
 “J. S. Bach: 3 Sonatas with Harpsichord Obbligato. 3 Sonatas with Basso Continuo” (1992)
 “Peggy Glanville Hicks: Etruscan Concerto” (1992)
 “Dmitri Shostakovich: 24 Preludes and Fugues op.87” (1992)
 “Bridge of Light" (Mar.1993)
 “G.F. Handel: Suites For Keyboard” (1993)
●“At the Blue Note” (Jun.1994)
 “W.A. Mozart: Piano Concertos, Masonic Funeral Music, Symphony In G Minor” (1994)
〇“La Scala” (Feb.1995)
●“Tokyo '96” (Mar.1996)
〇“A Multitude of Angels” (Oct.1996)
 “W.A. Mozart: Piano Concertos, Adagio And Fugue” (1996)

〇“The Melody At Night, With You” (1998)
●"After The Fall" (Nov.1998)
●“Whisper Not” (Jul.1999)
●“Inside Out” (Jul.2000)
●“Always Let Me Go” (Apl.2001)
●“Yesterdays” (Apl.30.24.2001)
●“My Foolish Heart” (Jul.22.2001)
●“The Out-of-Towners” (Jul.28.2001)
●“Up for It” (Jul.2002)
〇“Radiance” (Oct.2002)
〇“The Carnegie Hall Concert” (Sep.2005)
 ”Jasmine” (2007)
 “Last Dance” (2007)
〇“Testament” (Oct.2008)
●“Somewhere” (May.2009)
〇“Rio” (Apl.2011)
〇“Creation” (2014)
〇“Budapest Concert” (2016)
〇“Munich 2016” (2016)

posted by H.A.


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