吉祥寺JazzSyndicate

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【Disc Review】“Angelus” (1993) Milton Nascimento

“Angelus” (1993) Milton Nascimento

Milton Nascimento (Vocals, Guitar, Hurdy Gurdy, Piano)
Hugo Fattoruso (Piano, Accordion) Jeff Bova, Túlio Mourão (Keyboards) Flávio Venturini, Wilson Lopes (Guitar) Tony Cedras (Accordion) Anthony Jackson (Bass) Robertinho Silva (Drums, Percussion) Naná Vasconcelos, Vanderlei Silva (Percussion)
Wayne Shorter (Tenor Sax) Jon Anderson, Peter Gabriel (Vocals) James Taylor (Vocals, Guitar)
Pat Metheny (Guitar) Herbie Hancock (Piano) Ron Carter (Bass) Jack DeJohnette (Drums) 

ANGELUS
MILTON NASCIMENTO
WEA
2016-09-16


 Milton Nascimento、1990年代の作品。
 凄いゲスト陣のブラジリアンMPB集大成的なアルバム。
 Pat MethenyHerbie Hancockはじめとしたジャズ勢、Nana Vasconcelos、フォーキーなJames Taylorあたりまではまあいいとして、加えてYes(!)のJon Anderson, Peter Gabrielのプログレ勢。
 特にプログレッシブロックな色は感じないのですが、1970年代のBeatles的なフォークロックな色合い、フォルクローレな感じ、1980年代フュージョンの色合い、ストリングスを交えた優雅な音、さらにはブラジル山奥エスニックな音など、いろんな要素てんこ盛りのここまでのキャリアの集大成的な内容。
 過去の作品の時代感やざらついた感じがすっかり無くなり、それらが1990年代らしく洗練され、スムースな音。
 いずれも名演ですが、ジャズの耳からすればPat MethenyHerbie Hancock、Ron Carter、Jack DeJohnetteのスーパージャズバンドを従えた “Vera Cruz”以下、たっぷり4曲が嬉しい限り。
 奇をてらわない予想通りの音、Pat Methenyのソロなどは彼の奏法の教科書に書いてありそうな音色と音の動きですが、それがピッタリはまっていてカッコいい。
 近いメンツの“Parallel Realities” (1990), あるいは転機”Secret Story” (1991-2)の頃ですねえ・・・
 他にも名曲“Clube da Esquina, No. 2”がメローなAORにリメイクされていたり、Anthony Jacksonのベースが多くの場面でブンブン唸りまっていたり・・・
 1990年代の音、洗練されたジャズフュージョン的ソウル的ブラジリアンAORな一作。




 posted by H.A.


【Disc Review】“Miltons” (1988) Milton Nascimento

“Miltons” (1988) Milton Nascimento

Milton Nascimento (Vocals, Guitar)
Herbie Hancock (Piano, Synthesizer) João Baptista (Bass) Robertinho Silva (Drums) Naná Vasconcelos (Percussion, Vocals) Rique Pantoja (Programing)
Artur Maia, João Baptista, Maria de Fátima*, Rique Pantoja, Túlio Mourão, Nana, Celso Fonseca (Chorus)

ミルトンス(期間生産限定盤)
ミルトン・ナシメント
SMJ
2016-07-06


 Milton Nascimentoの1988年作品。
 ロックな1970年代から、派手なフュージョンな1980年代も終盤。
 デジタルな、あるいはディスコなビートではない、ナチュラル系のエスニックフュージョンサウンドに衣替え。
 強くロックなビートは目立たず、ディストーションをかけたギターはもう聞こえません。
 全体的にスムースで洗練された感じ、楽曲によってはソフトなAORってな感じ。
 1980年代特有のデジタル臭は薄らぎ、1970年代のフォークロックな感じはない、もちろんジャズでもボサノバでもない、1990年型のスムースな音への入り口のMilton Nascimentoミュージック。
 Nana Vasconcelos のパーカッションが要所で妖しさを加え、多くにフィーチャーされるHerbie Hancockのジャズピアノが圧倒的。
 もちろんメロディはMilton Nascimentoのあのライン。
 歌はソウルなムードのファルセットを織り込みつつのスムースな声。
 とてもセンチメンタルなバラードも、スッキリしたアレンジなのでベトつきなし。
 などなど含めて、とても洗練されたブラジリアンエスニックポップスの一作。




 posted by H.A.


【Disc Review】“Encontros e Despedidas” (1985) Milton Nascimento

“Encontros e Despedidas” (1985) Milton Nascimento

Milton Nascimento (voice, guitar)
Wagner Tiso (keyboards, piano) Túlio Mourão (keyboards) Ricardo Silveira, Tavinho Moura, Pat Metheny (guitar) Nico Assumpção, Luiz Alves (bass)
Robertinho Silva (drums, percussion) Espírito Santo, Samuka, Preto do Cavaco, Laércio Lino, Alberto de Oliveira, José Maria Flores (percussion) Jaques Morelenbaum (cello) Hubert Laws (flute)

Encontros E Despedidas
Milton Nascimento
Polygram Int'l
1990-10-25


 Milton Nascimento、1985年作。
 おりしもフュージョン、ディスコ(!)の華やかかりし頃。
 ブラジルの英雄もそんな影響を大きく受けつつのポップで華やかなMPB。
 シンセなドラムに跳ねるベース、シンセサイザーが彩りを付けるちょっと派手目のAORな感じ。
 とてもセンチメンタルなバラードも、Ivan Lins的でバタ臭くベタ付き気味。
 メンバーは1970年代からあまり変わっていないのだと思うのですが・・・
 エスニックな感じ、ブラジル山奥的な感じもあまりなく、そのあたりで好みが分かれるのかもしれません。
 が、哀愁のメロディと歌自体は変わっていません。
 時代とともに変わっていったのはバックのサウンドだけなのかもしれません。
 そんな中でPat Methenyが一曲に参加。
 Nana Vasconcelosと共演を重ね、“Toninho Horta” (1980)に参加、“First Circle” (1984)、“Still Life (Talking)” (1987)の間の時期。
 あの丸っこいエレキギターとスキャットの共演、さらに泣きのフレーズ弾きまくりのギターシンセサイザー。
 ビート感はさておき、この湿った感じはこの期のPat Metheny Groupサウンド、 
 多大な影響を受けたのであろうミナスサウンド、その代表たるこの人とはもっと共演したかったのかもしれませんが、次の機会は“Angelus” (1993)(?)。
 これまた時代の音、1980年代。
 ちょっと大仰で、とてもメローな空気は琴線をくすぐりまくり、全編ポップでわかりやすいあの時代の音。
 さておき、カッコいいジャケットだなあ・・・




 posted by H.A.


【Disc Review】“Milton” (1976) Milton Nascimento

“Milton” (1976) Milton Nascimento

Milton Nascimento (guitar, vocals)
Toninho Horta (electric guitar) Hugo Fattoruso (piano, electric organ) Novelli (double bass) Roberto Silva (drums, percussion) Laudir De Oliveira (percussion)
Herbie Hancock (piano) Wayne Shorter (soprano, tenor sax) Raul De Souza (trombone)

Milton
Milton Nascimento
Polygram Records
2000-04-04


 Milton Nascimento、1976年作。
 ブラジリアンのバンドにWayne ShorterHerbie Hancock、ブラジリアンジャズのRaul De Souza。
 そんなジャズなゲストを迎え、“Native Dancer” (1974)を経た時期ですが、まだロックな色合い。
 この期のレギュラーメンバーToninho Hortaもロックなギターを弾いています。
 全体のイメージはブラジル山奥エスニック色が混ざるBeatles的ロック~ポップスのフュージョン。
 そんな中で、たくさんの場面で吹きまくるWayne Shorterに、“Courage” (1968,1969)でも共演していたHerbie Hancockがカッコいい。
 ファンキーな“Man-Child” (1974-75)と同時期ですが、本作ではスーパージャズピアニスト。
 凄いのが、幻想的な名曲”Fransciso”。
 訥々としたギターとピアノを背景にしたスキャット、強烈な浮遊感とセンチメンタリズム。
 “Lachrimae” (2003) Andre Mehmariで素晴らしいカバーがありますが、こちらの方がカッコいいかも・・・?
 そんなブラジル山奥系エスニックで幻想的な演奏を間に置きながら、ロックな、あるいはBeatlesな元気いっぱいの演奏がたっぷり。
 これまた1970年代的MPBな音ですが、サイケでディストーションなギターもなくなり、スッキリした感じになってきているのかな?
 さてどうでしょう?




 posted by H.A.


【Disc Review】“Minas” (1975) Milton Nascimento

“Minas” (1975) Milton Nascimento

Milton Nascimento (Vocals, Guitar, Piano, Percussion)
Wagner Tiso (piano, keyboards, organ) Tenório Júnior (órgãn, percussion) Beto Guedes (vocals, guitar, percussion) Toninho Horta (guitar, percussion, flute) Nelson Angelo (guitar, percussion) Novelli (bass, piano, percussion) Paulinho Braga (drums, percussion) Edison Machado (drums) Gegê (percussion) Chico Batera (marimba)
Fafá de Belém, Golden Boys, Nana Caymmi, Lizzie Bravo, Tavinho Moura, Fernando Leporace (vocals)
Nivaldo Ornelas (sopranos, tenor sax, flute)

ミナス
ミルトン・ナシメント
ユニバーサル ミュージック
2014-07-23


 Milton Nascimentoの1975年作。
 “Native Dancer” (1974) Wayne Shorterに近い時期ですが、本作はまだロック色が強い音。
 ロック、フォーク、Beatles的ポップスな感じがたっぷり、派手なアレンジもたっぷり。
 それにフォルクローレな空気感や南米山奥的な色が加わる1970年代ミナス的、Milton Nascimento的MPB。
 いろんな要素がごった煮、少しざらついた感じのあの時代の音。
 もう少し先の"Terra dos Pássaros" (1979) Toninho Hortaも似た感じでしたねえ・・・
 “Native Dancer” (1974)の冒頭を飾った”Ponta de Areia”に、Toninho Hortaの定番バラード“Beijo Partido”が取り上げられていることに頬が緩んでしまうのは、マニアな嗜好ですかね?
 思えばあの過激な “Academia de Danças” (1974) Egberto Gismontiと同時期。
 全く違う音楽ですが、あの時代のブラジルの過激さ、ごちゃごちゃ感が想像されて面白いなあ・・・




 posted by H.A.


【Disc Review】“Clube Da Esquina” (1972) Milton Nascimento & Lô Borges

“Clube Da Esquina” (1972) Milton Nascimento & Lô Borges

Milton Nascimento (Vocals, Piano, Guitar) Lô Borges (Vocals, Guitar, Surdo, Percussion)
Tavito (Guitar, Vocals) Toninho Horta (Guitar, Percussion, Bass) Nelson Angelo (Guitar, Piano, Surdo, Vocals) Wagner Tiso (Organ, Piano, Vocals) Luiz Alves (Bass, Shaker, Percussion) Beto Guedes (Bass, Guitar, Percussion, Vocals) Rubinho (Drums, Congas) Robertinho Silva (Drums, Percussion, Vocals) Paulinho Braga (Percussion) Alaide Costa (Vocals) and others

Clube Da Esquina
Milton Nascimento / Lo Borges
Blue Note Records
1995-02-07


 Milton Nascimento、初期のフォークロックなMPB作品、ブラジルのOdeonレーベルから。
 たくさんの名曲が収録された代表作、1970年代MPBの代表作でもあるのでしょう。
 ブラジルのフォークとエスニック、Beatles的なロック、サイケなロックがフュージョンする、ポップななようで不思議感もたっぷりな音。
 ロックなビートにフォークなギターと歌。
 兄弟のようなシンガーソングライターLô Borgesに、しばらく共演が続く同じくミナス出身のToninho Hortaに、ブラジリアンロック~ジャズの若手たち。
 凝ったアレンジで展開も複雑ですが、必要以上に分厚い音ではない自然な音。
 独特の緊張感と青臭い感じを醸し出しながら、どことなく浮世離れした感じはこの人の音ならでは。
 “Angelus” (1993)でAORな感じでセルフカバーされ、近作"Tamarear" (2015)の冒頭を飾った名曲 “Clube da Esquina, No. 2”は、この期ではエスニックな音とギター掻き鳴らし系の南米フォークロック調。
 若いというか、時代の音というか・・・いずれにしても名曲、名演です。
 不思議なエスニック感と不思議なノスタルジーに浸れる不思議なポップス。
 当時の欧米からの影響が強いポップスながら、この不思議な緊張感とやるせない感、それとは逆の和み感は、Brazilian Saudadeゆえなのでしょう。




 posted by H.A.


【Disc Review】“Courage” (1968,1969) Milton Nascimento

“Courage” (1968,1969) Milton Nascimento

Milton Nascimento (vocals)
Eumir Deodato (organ, arranger, conductor) Herbie Hancock (piano) Jose Marino (bass) João Palma (drums) Airto Moreira (percussion) Anamaria Valle (vocal)
and Horns, Strings

Courage (Dig)
Milton Nascimento
Verve
2005-07-12


 ミナス系・・・、というよりもブラジリアンミュージック界のカリスマ、MPBの重鎮、Milton Nascimentoの初期、アメリカCTI制作のアルバム。
 CTIらしく第一線のジャズバンドに加えて、オーケストラが加わるゴージャスなアレンジの、優雅と勇壮が交錯するあの時代のラテンジャズフュージョンポップス。
 ジャズレーベルの制作ゆえ、ロック~フォークなMilton Nascimentoとは少し違った質感なのですが、本人はいたってマイペース。
 流行りのボサノバとも異質な、土の香りがするような、あるいは幻想的でそれでいてキャッチーなMilton Nascimentoなメロディに、近年まで変わらない声と少し青臭い感じの歌い方。
 いかにもこの時代のオーケストラに、ときおりのボサノバビートやフルートがこの時代の優雅な響き。
 さらに一歩後ろに引いたところから聞こえてくるHerbie Hancockのジャズピアノがカッコいい。
 ブラジルの山奥的幻想とBeatle的ロックと優雅なポップスとジャズの交錯。
 洗練されているようで、その実、猥雑な感じ、このごった煮感。
 1960年代の終わりの空気感。
 そして、そこはかとない哀感は、Brazilian ”元祖” Saudade。




 posted by H.A.


【Disc Review】“For Gyumri” (2018) Tigran Hamasyan

“For Gyumri” (2018) Tigran Hamasyan

Tigran Hamasyan (piano, voice)

 Tigran Hamasyan、“An Ancient Observer”(2017)に続く、Nonesuchレーベルからのピアノソロ作品。
 "Gyumri"は故郷アルメニアの街の名前、そのイメージをモチーフに演奏しているのだと思います。
 どこか哀し気で淡々とした音の流れ。
 不思議なビート感と、東欧なのか中東なのかアジアなのか判然としない、エスニックで哀し気なメロディ。
 敬虔で重い空気感の“Aragatz”から始まり、哀し気な“Rays of Light”、ジャズピアノな疾走を見せつつも不思議感たっぷりの“American”、“Self-Portrait”と題された激しくもがくような短い演奏と続き、締めはジャズとロックとエスニックが交錯しつつ疾走する長尺な“Revolving – Prayer”。
 ジャズでもクラシックでもロックでもない、どの時代なのか、どこなのかもわからない、Tigran Hamasyanワールド。
 楽曲、音楽の構成は明確なのですが、複雑で先が読めない展開。
 時空が折れ曲がっているような、一度通ったところに戻ることを繰り返しているような・・・・そうでもないような・・・不思議感たっぷりの迷宮ミュージック。
 まとまっているようでなんとなく理不尽で、静かで敬虔なようで隠しきれない激情・・・
 この人の近作の表情はいずれもそんな感じ。
 それがこの人の心象風景、“New Era” (2007)などの初期の作品も、激しいビートに隠れされていただけで、実は同じだったのかもしれません。
 さながらArmenian Saudade、非日常へのトリップミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“Ravensburg” (2017) Mathias Eick

“Ravensburg” (2017) Mathias Eick

Mathias Eick (trumpet, voice) 
Andreas Ulvo (piano) Audun Erlien (bass) Torstein Lofthus (drums) Helge Andreas Norbakken (drums, percussion) Håkon Aase (violin)

RAVENSBURG
MATHIAS EICK
ECM
2018-03-02


 ノルウェーのトランペッターMathias Eickのコンテンポラリージャズ。
 すっかり現代ECMの代表トランペッターになったようで、コンスタントに制作しています。
 前作”Midwest” (2014)と同様、オーソドックスなトランペットカルテットにバイオリンが加わる編成ですが、メンバーは大幅に変わっています。
 本作もこの人の色合い、寂寥感の強いジャズですが、少々明るいイメージだった前作に対して、本作はダークで哀感強め。
 しっとりしたジャズだけど、アコースティック4ビートな場面は少なく、現代的な複雑で乾いたビートを刻むドラムと、控え目に淡々と音を置くエレキベース。
 ピアノは前作に参加した大御所Jon Blakeではありませんが、“Skala” (2010)などに参加していたいかにも北欧系、繊細で美しい音の人。
 さらに狂気を秘めたようなバイオリンと、時にスキャット、そして主役のサブトーンたっぷり、寂寥感の塊のような音のトランペット。
 バイオリンはThomas Stronenの“Time Is A Blind Guide” (2015)、“Lucus” (2017)に参加していた人。
 派手に前面に出てくる場面は多くないのですが、トランペットとの揺らぐような絡み合いがとてもカッコいい。
 楽曲はもちろんこの人の描く、哀感、寂寥感の強いメロディ。
 ノルウェーのトラディショナルな空気感と、ロックやフォーク、その他諸々の要素が混ざり合う現代の音。
 静かに淡々と進みつつも、漂い揺らぎながらじわじわと迫ってくるような音の流れは、穏やかながらとてもドラマチック。
 近年のECMの定番、淡くて穏やかでエスニック、そして揺らぎのあるコンテンポラリージャズ。
 どことなく寂しげで懐かしげな空気感は、Nordic Saudade。
 ダークで沈んだ質感だけども、なぜか和みます。




posted by H.A.


【Disc Review】“For 2 Akis” (2017) Shinya Fukumori

“For 2 Akis” (2017) Shinya Fukumori

Shinya Fukumori (drums)
Walter Lang (piano) Matthieu Bordenave (tenor sax)

For 2 Akis
Shinya -Trio- Fukumori
Ecm Records
2018-02-16


 日本人ドラマーのデビュー作品、ECMレコードから。
 リーダーは30歳代、ピアノはベテランのドイツ人、テナーはリーダーと同世代のフランス人。
 ベースレスでの浮遊感の強い、静かなバラード集。
 といってもECMのお約束の全編ルバート・・・ってな感じではなく、ピアノが定常なビートを出して、サックスはそれに合わせ、ドラムが静かにフリー動いていく構成。
 キッチリとしたヨーロピアンピアノに、Charles Lloyd的な繊細なテナー。
 自由なドラムは、Paul MotianThomas StronenといったECMのフリー系の人たちとはイメージの異なる、静かで繊細な優しい音。
 “Silent Caos”といったとてもカッコいいタイトルのイメージそのままの演奏もありますが、ECM的な毒や難解さ、気難しさはありません。
 ドラムはフリーですが、その動きを含めて全編メロディアス。
 中心となるオリジナル曲はどこか懐かしい童謡を想い起すようなメロディ、音の動き。
 さらにスローでルバートっぽく演奏される美空ひばり/小椋佳の“愛燦燦”、あるいは”荒城の月”なんて、なかなか・・・
 演歌的ではなく、クールに聞こえるのはいかにも現代の音であり、ECMな音。
 それでも全編通じて日本っぽくて懐かしい音の流れは、Japanese Saudadeってな感じでしょうか。
 ヨーロッパで生活する日本人、あるいはドイツの人からしてもそんな感じに聞こえるのでしょうかね?
 とても静かで優しい、日本的な空気感が素敵なコンテンポラリージャズ。



posted by H.A.


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