吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

【Disc Review】”Suspended Night” (2003) Tomasz Stanko

“Suspended Night” (2003) Tomasz Stanko
Tomasz Stanko (trumpet)
Marcin Wasilewski (piano) Slawomir Kurkiewicz (double-bass) Michal Miskiewicz (drums)

Suspended Night
Tomasz Quartet Stanko
Ecm Records
2004-05-11
トーマス スタンコ

 前作“Soul of Things”(2001)と同メンバーでの二作目。
 タイトル通りほの暗く妖しく、しかし美しい作品。  Stankoさん、私的にはこのアルバムが一番お気に入りかな?
 同じメンバーでの二作目で慣れたかな、といったことかもしれませんが、前作よりもさらにリラックスした感じ。
 今回もバラード集ですが、メロディアスでメランコリック、かつ、わりやすい曲がほとんどで、さらに聞き易くなったように思います。
 また、前作ではまだ強かった「鎮痛さ」が少し薄らいできたかな?
 お得意の漂うような全編ルバートでの浮遊感の塊のような展開もちりばめられ、全体を通じた抑制と、ときおりの激情。
 それでも、あくまでクール、静かなグルーブを作るサポートメンバーとの絶妙なバランスは前後作と同様。
 ここまで来ると、ちょっとオシャレなジャズってな感じもしてきますが、決して軟派ではなく、あくまで硬派、ハードボイルド。
 ジェームスボンドでもルパン三世でもなく、ゴルゴ13。
 見えてくる景色はもちろん夜。でも真っ暗ではなく、寒くはなく、寂寥感はあるけど絶望感はなし。  クールで穏やか。
 私にとっては、かっこいいヨーロピアンジャズの代表アルバムの一つ。



posted by H.A.

【Disc Review】“Soul of Things” (2001) Tomasz Stanko

“Soul of Things”(2001)Tomasz Stanko
Tomasz Stanko(trumpet)
Marcin Wasilewski (piano) Slawomir Kurkiewicz (bass) Michal Miskiewicz (drums)

Soul of Things
Tomasz Stanko
Ecm Records
2002-03-26
トーマス スタンコ

 2001年作。
 サポートメンバーを一新、ポーランドの若手Marcin Wasilewskiを中心としたピアノトリオに変更。
 おそらくその結果、わかりやすく聞き易い内容に。
 かつての長髪、ベルボトムジーンズの革命野郎が、渋さ満点、危うい感じのチョイ悪オヤジに変身。
 先のBobo Stensonのピアノを中心としたサポートメンバーも素晴らしかったのですが、少し尖がっていてハードな印象。
 一方、ここでは柔らかなピアノに徹したMarcin Wasilewskiの起用がチェンジオブペースに。
 優しく、また現代的な音使いにうまく変化しているように思います。
 もともと厳しい質感の音楽~トランペットの人でしたので、このくらい柔らかで、いい意味で軽いメンバーとのバランスが適当なのでしょうね。
 心なしかStankoさんのトランペットも肩の力が抜けているようにも感じます。
 曲も珍しくロマンチック系がいくつか。
 とはいえ、そこはStankoさん、なんだかんだで辛口で硬派な空気感は変わりません。
 甘辛の微妙なバランスが何とも言えずクール。
 演奏は漂うようなスローバラードが中心。
 ほの暗く、妖しいムードはECMでの諸作そのままですが、トランペットが抜けてピアノトリオになると急に視界が開け、周囲が明るくなり、温度もわずかに上昇、といったイメージ。
 気難しい感、難解さが薄らぎ、美しく優しい、でも妖しい、いい感じのバランス。
 アメリカンなジャズとはまだまだ距離のある音ですが、だんだん近くなっていく端緒の時期かな?
 普通のジャズとして聞いても違和感ないかも。どうだろ?
 同メンバーでの二作品、”Suspended Night”(2003)、”Lontano”(2005)も同質のいいアルバムです。



posted by H.A.

【Disc Review】“From The Green Hill” (Aug.1998) Tomasz Stanko

“From The Green Hill” (Aug.1998) Tomasz Stanko
Tomasz Stanko (trumpet)
John Surman (baritone saxophone, bass clarinet) Dino Saluzzi (bandoneon) Michelle Makarski (violin) Anders Jormin (bass) Jon Christensen (drums)

From the Green Hill (Reis)
Tomasz Stanko
Ecm Records

トーマス スタンコ

 ポーランドのトランぺッターTomasz Stanko、大御所John Surman、Dino Saluzziとの共演。
 Bobo Stensonとのコラボレーション最終作“Litania - The Music of Krzysztof Komeda” (1997)の次の作品。
 新しい展開を模索していたところなのでしょうか。
 さしづめ妖しい音楽が得意なメンバーを集めたECMオールスター。
 美曲と幻想的な音、そしてフリージャズが交錯。 妖しさ全開。
 バンドネオン、バイオリンと美しく妖しいムードの絡み方がいい感じ。
 どう考えてもイメージできないのだけども、意外にもフィットするTomasz StankoとDino Saluzzi。
 さらにJohn Surmanの地の底から這い出てくるような低音の呟き、叫び。これはピッタリだなあ・・・。
 ちょっと怖い感じの数曲を避けて聞くと、バリエーションに富んだ素晴らしいアルバムだと思うのですが・・・。
 慣れれば大丈夫かな?やっぱり怖いなあ・・・ジャケットも・・・
 不安感を助長するような節回しを抑えて、メロディアスな曲が増えれば、また、その中でトランペット、バンドネオン、バイオリンの絡みが増えれば、結構な人気アルバムになるのかな。
 でもそんな安易な企画は認めないアートな人たち、なのでしょう。

(※この投稿は2016/04/17から移動しました。)



posted by H.A.

【Disc Review】“Litania - The Music of Krzysztof Komeda” (1997) Tomasz Stanko

“Litania - The Music of Krzysztof Komeda” (1997) Tomasz Stanko
Tomasz Stanko (trumpet)
Bernt Rosengren (tenor saxophone) Joakim Milder (tenor and soprano saxophones) Terje Rypdal (electric guitar) Bobo Stenson (piano) Palle Danielsson (bass) Jon Christensen (drums)

Litania
Tomasz Stanko
Ecm Records
トーマス スタンコ


 Tomasz Stanko、同胞の作曲家の作品集。
 オーソドックスな色合いのサックスの参加、また、曲とリズムがキッチリしているので、いつになくオーソドックスなジャズ色が強いTomasz Stanko。
 もちろん独特の緊張感はそのまま。
 この頃の相棒はBobo Stenson。前作は“Leosia”(1996)
 本作ではベースとドラムがKeith Jarrett ヨーロピアン・カルテットの二人のスウェーデントリオ。
 フリーにも激烈にも行かず、メロディアスながら沈痛な曲調にピッタリと合ったジャズの演奏。
 静かで妖しげ、とても悲しい空気感。
 時折の激情を交えつつ何かを語ろうとするホーン陣。
 なお、あのTerje Rypdalの活躍場面は少々のみ。
 ポーランドジャズの親分と目されるTomasz Stanko素直なKomeda集、これはポーランドの人にとっては聖典なのでしょうかね。
 ムードは沈痛ですが、抑制された素晴らしいジャズアルバムだと思います。

(※この投稿は2016/05/05から移動しました。)



posted by H.A.

【Disc Review】 “Leosia”(1996)Tomasz Stanko

“Leosia”(1996)Tomasz Stanko
Tomasz Stanko(trumpet)
Bobo Stenson (piano)、Anders Jormin (bass)、Tony Oxley (drums)
 
Leosia
Tomasz Stanko
Ecm Import
2000-05-23
トーマス スタンコ

 1996年作。
 “Bosonossa and other ballads”(1993)と同メンバーなのですが大転換。
 かつての闘魂一直線から、静謐なハードボイルドネス。
 ECMレーベルでの近作ではバラード集がほとんどですが、これもその一枚。
 但し、決して甘口のバラードではなく、あくまで硬派。
 かつての激しい演奏を血と硝煙の香りのする音楽と形容しましたが、このアルバムは、さながら引退した兵士の哀感。よく映画に出てくるあの感じ。
 もの静かで優しげなのだけども背後に漂う凄味とクールネス。
 冒頭曲から漂うようなバラード。止まりそうな緩やかなリズムの流れの上で、ハードボイルドなトラペットと美しいメロディ。少ししゃがれた音、ゆったりとしたタメの効いたフレージング、時折発する叫びのような音。
 文字にしてしまうとハードな音楽をやっていた時代のままなのですが、かつてのトゲが丸くなり、雰囲気は優しくなっているように感じます。
 サポートする美しいピアノ、Bobo Stensonも内に秘めた狂気を感じるミュージシャンで、Stankoさんとの相性はピッタリ。
 さらにAnders Jorminのベース。一見控えめですが、上品なグルーブ感、深い質感の音、フレージング。
 曲の多くは漂うような浮遊感のあるバラード。
 あくまで辛口、ロマンチックさには欠けるのかもしれませんが、凄味のある美しさ、妖しさはこの人、このバンドならでは。



posted by H.A.
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