吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

【Cinema Paradiso】『パラジャーノフ生誕90周年記念映画祭』

 2014年7月、『パラジャーノフ生誕90周年記念映画祭』
 これを逃すと次回またいつ観れるか分からないと思い、渋谷ユーロスペースで久し振りの映画三昧。
 監督のセルゲイ・パラジャーノフはソ連邦当時にグルジアで生まれたアルメニア人(1924~1990年)。
 映画自体が古いのためお世辞にも良い画質とは言えなかったけど、どの作品も美術と音楽が民俗色&宗教色全開でなんとも妖しい美しさ…
 初期の傑作『火の馬』は特に美しくて痺れるカットが多く、劇場の大画面で観ることが出来て良かった。
 また観たいけど、DVDは廃盤でプレミア価格状態…是非とも再販、もしくはBlu-ray化して欲しいです。
 代表作とされる『ざくろの色』は全編ほぼセリフなしで撮影方法も特殊(固定カメラで対象を静止画の様に撮影したり、登場人物が殆ど正面か横顔だったり)で、まるで夢を見ているかのような魔術的な映像。
 『ざくろの色』のオリジナル『サヤト・ノヴァ』は当時の検閲によりマスターが散逸してしまい、後に再編集されたものだそうです。
 遺作となった『アシク・ケリブ』は監督がようやく自由に創る事が出来た集大成の様な作品で、当時亡くなって間もないアンドレイ・タルコフスキー監督に捧げられています。
 劇場で観る機会はなかなか無いかもしれませんが、機会があれば是非ともハリウッド映画ともヨーロッパ映画とも違う世界にふれてみて下さい。
 おススメは上記3作(火の馬、ざくろの色、アシク・ケリブ)です。

 今映画祭での上映作品リストはこちら。
  『アンドリエーシ』1954-55年/62分
  『石の上の花』1962年/75分(未鑑賞)
  『火の馬』1964年/96分
  『ざくろの色』1971年/71分(『サヤト・ノヴァ』1968年の短縮版)
  『スラム砦の伝説』1984年/87分
  『ピロスマニのアラベスク』1985年/20分
  『アシク・ケリブ』1988年/77分

posted by R.Y.

【Disc Review】“Live In Berlin” (2007) David Murray

“Live In Berlin” (2007) David Murray
David Murray (tenor saxophone, bass clarinet)
Hamid Drake (drums) Jaribu Shahid (bass) Lafayette Gilchrist (piano)

Live In Berlin
David Murray Quartet
Jazzwerkstatt
2010-11-16
デヴィッド・マレイ

 一番好きなサックス奏者David Murray、ピアノトリオを従えたカルテットでの2010年ライブ盤。
 黒光りするような真っ黒けな音で過激なフレーズを連発するサックス奏者、フリージャズに分類されることも少なくないけども、多くのアルバムは難解ではありません。
 アップテンポではエネルギー爆発、また、バラードは絶品。
 グルーブ感、エネルギー感、昂揚感・興奮感、センチメンタリズム、ハードボイルドネス、加えてアバンギャルドさなど、ジャズのカッコよさを集約したようなミュージシャン。
 そしてこのアルバム、上記のような彼のカッコよさが集約されたような近年作。
 ライブなのですべての曲が長尺ですが、凄まじいまでの演奏が堪能できます。
 ハードボイルドで緊迫感あふれる冒頭曲からぶっ飛ばし、激しく感動的な演奏が続くのですが、特に3曲目が素晴らしい。
 基本的にはバラード、美しくもの悲しい美曲なのですが、前半のバラード演奏から次第にテンポが崩れ始め混沌の世界へ、そしてしばらくの彷徨の後にバラードに戻る、といった展開を繰り返します。
 その間のサックスソロの凄まじいこと。
 さらにフリーテンポでのピアノソロから激しいピアノトリオ、ブチ切れたテナーサックスソロが展開された後、テーマ、バラードに戻ります。
 とにかくドラマチック。
 一曲の中に様々なシーン、ストーリーが展開されていきます。
 曲が終わると一篇のヘビーな映画を見た気分。





posted by H.A.

【Disc Review】 “The Sign” (2002) Carsten Dahl

“The Sign”(2002)Carsten Dahl
Carsten Dahl (Piano)
Arild Andersen (Bass) Patrice Heral (Drums)

The Sign
Carsten Dahl
Stunt
2002-10-15
カーステン ダール 
アリルド アンデルセン 


 デンマークのピアニストCarsten Dahlを中心としたピアノトリオ
 スタンダードを演奏したアルバムは人気だったと思いますが、これは全てオリジナル曲を収録したアルバム。
 Carsten Dahl は、Keith Jarrettの影響を端々に感じさせつつも、ヨーロピアンならではの奥深さ、上品さ、さらに怪しさ兼ね備えた名人。
 ベースはド派手な音を展開するヨーロピアンArild Andersen。
 この二人が揃うとどんな音楽でもカッコよくなりそうですが、このアルバムでは、美しく、もの悲しく、怪しいオリジナル曲を、時にアグレッシブに、時に深く美しく奏でていきます。
 フリージャズ的と言えばそうですが、決して難解ではなく、とにかく美しい、そしてエキサイティング。
 冒頭曲にそのエッセンスが詰め込まれています。
 ゆったりとしたテンポ、深い音のベースと、エコーがたっぷりと効いた録音の美しいピアノが絡み合う深遠なイントロから始まり、次第にテンポを上げるベースに牽引されながらペースアップ、気がつけばドラムにも煽られながら、アグレッシブなフレーズを連発するエキサイティングな演奏に変化していきます。
 テンポが上がった後は、強烈なグルーブ感に乗って、凄まじいまでのピアノとベースのインプロビゼーション。
 かといってうるさい訳では無く、あくまで上品な演奏。
 以降も全体の質感はぶれないのですが、バラードあり、激甘の美曲あり、ワールドミュージック系あり、フリーあり、シンセサイザーが加わったスペーシーで近未来的なサウンドなど、変化に富んだ演奏が続き、最後まで飽きさせません。
 Keith Jarrettの音楽をさらに美しく、さらにアグレッシブにし、怪しさを加えたうえで現代的にした感じ、と言えば大袈裟でしょうか。
 スタンダード曲を題材にした場合、ここまで凄い演奏にはならないだろうと思います。
 安心して聞ける反面、制約が多すぎて、ここまで美しくもエキサイティングにも深遠にもならないでしょう。
 実際、同じようなメンバーで演奏したスタンダード集とは全く質感の異なる音楽になっています。
 激しく美しいピアノトリオ、その近年の代表盤、だと思います。




 
posted by H.A.

【Disc Review】“Komeda” (2011) Leszek Mozdzer

“Komeda”(2011)Leszek Mozdzer
Leszek Mozdzer(Piano)

Komeda
ACT Music
2011-06-24
レシェック モジジェル





 今最も最も凄いと思われるピアニストの一人、ポーランドのLeszek Mozdzer(レシェック_モジジェル、たぶん)のピアノソロ。
 ベースのLars Danielssonとの共演は多く、ドイツのACTレーベルなどからたくさんのアルバムが発表されています。
 が、日本では取り上げられる機会も少なく、知名度はいま一つ?
 だけども、この人のピアノ、恐ろしいぐらいにうまく、たぶんの過去から現在までのトップレベル、しかも個性的。
 まずはピアノのタッチと音色。これほどまでに鋭いタッチ、キレイな音色は稀有でしょう。
 粒立ちがよく、個々の音が明確で硬質、きらめくようなクールな音。
 まさに氷のナイフのような音。それでいて抑揚感もしっかり。
 次にリズム。
 クラシックっぽさも強いのだけども、アップテンポでは凄まじい疾走感、スローテンポではタメが効果的で、ベタつかない哀感が漂う。
 さらにフレージング。
 これもクラシックの色合いが強く、硬質な音で美しいフレーズをグルーブ感、スピード感、抑揚のあるリズムで紡いでいきます。
 時折出てくる高音での超高速フレーズ、消え入るような音使いも特徴的。
 この盤でも、全体の質感はいかにも東欧的で、ほの暗く、ちょっぴり怪しげ、あくまでクール。
 アップテンポでもスローテンポでも常にスリリングだけども、決して汗は出てこない。
 クラシックの色が強そうだけど質感はJazz、でも、昔ながらのJazzの香りは無く、Keith JarrettやChick Coreaなどのベテランスタイリスト達とも全く異なる、新しい感覚の音楽が出来上がっているように思います。
 このアルバム、全編ピアノソロでもあり、彼の凄まじいピアノを堪能できますが、客演している多くのアルバムもグッド。
 どんな曲でもこの人が入るとピリッとした緊張感とスピード感があふれ、かつクールな名演になってしまう、かな?



posted by H.A.

【Disc Review】 “Mare Nostrum” (2007) Paolo Fresu、Richard Galliano、Jan Lundgren

“Mare Nostrum” (2007) Paolo Fresu、Richard Galliano、Jan Lundgren
Paolo Fresu(tp.flh.)Richard Galliano(accordion,bandneon)Jan Lundgren(p.)

リシャール ガリアーノ
ヤン ラングレン
パオロ フレス


 トランペット、アコーディオン、ピアノの編成でのトリオ。
 さしづめヨーロピアンオールスターといったメンバー。
 メンバーの出自と違わず、イタリアのようなフランスのような北欧のような、オシャレで優しい音。
 Paolo Fresuのトラペット、フリューゲルホーンはいつになくマイルド。
 Richard Gallianoのアコーディオンはタンゴ系を演る時の激しさとは異なり、フランス映画のサントラのよう。
 とてもお洒落。
 それらを美しいピアノがつつましやかに上品にサポートします。
 ゆったりとしたテンポ。
 JobimやらシャンソンI wish you loveやらを交えつつの美しく哀愁漂うメロディ揃い。
 ジャズらしく各人のインプロビゼーションもふんだんに盛り込まれていますが、美しい曲の中に溶け込みうるさくありません。
 ジャケットはクールですが、音楽のムードは暖か。
 穏やかで優しい流れ。
 都会の喧騒やデジタルな21世紀であることを忘れそうなノスタルジー。
 そんな音。



posted by H.A.

【Disc Review】“Chiaroscuro” (2010) Ralph Towner、Paolo Fresu

“Chiaroscuro” (2010)  Ralph Towner、Paolo Fresu
Ralph Towner(guitar) Paolo Fresu(trumpet)

Chiaroscuro
Universal Music LLC
2010-01-27
ラルフ タウナー
パオロ フレス




 ECMレーベルの看板ギタリストRalph TownerとイタリアのマイルスっぽいトランペッターPaolo Fresuのデュオアルバム。
 基本的には上品系なお二人ですが、一歩間違えば激しい系フリージャズまでいってしまうこともあり、若干不安を抱きながら聞いてみると、全編美しい静音ジャズで一安心。
 このレーベルにありがちな難解な展開や陰鬱な曲はなく、美しく牧歌的な世界が展開されます。
 演奏は当然高レベル。
 相当難しいことをやっているのでしょうし、また、緊張感溢れる演奏なのですが、さらりと聞けてしまうのが凄いところ。
 曲はオリジナル中心、Ralph Towner色が強く、さわやかな曲が続きます。
 オシャレなカフェで流れていても違和感なく、家でも朝の目覚め、ナイトキャップ両方に使えそう。
 周囲の空気が柔らかく、ほの暖かくなるような気がします。



posted by H.A.

【Live Report】 “Anders Jormin” at Shibuya, Tokyo 2014/5/22 

“Anders Jormin” at Shibuya, Tokyo
2014/5/22

Anders Jormin(bass)
Mariam Wallentin(voice)、Erika Angell(voice)、Fredrik Ljungkvist(clarinet, saxophone)、Jon Fält(drums)

 ヨーロッパジャズファンならばどこかで聞いたことがあるはずの、さながらヨーロッパのPaul Chambers、Anders Jormin。この度は自身のバンドでの来日。
 Jorminさん、バックに回ると堅実さに加えて何とも言えない上品なグルーブ感を醸し出す名ベーシスト、自身のバンドではこれも何とも言えない怪しい音楽を展開する。どんな音楽をやるにしてもライブでは凄いに違いない、と思い参戦。

 さて、やはり不思議な感覚の旋律やラテン語?で歌われる宗教っぽい曲は怪しさ満点なのですが、CDで聞くのとは何か違う。
 おそらくボーカルのお二人が気持ち良さげに体を揺らしていたこと(これが実にカッコいい)に象徴されるグルーブ感。そしてその根源はAnders Jorminのベースだと思います。
 ドラマーがかなり自由に動くタイプだっただけに、Jorminさんが終始さりげなくベーシックなリズムを決めていたように思います。これが超一流の人のなせる技なのかな。

 Arild Andersen、Lars Danielson、Palle Danielsonなど、ヨーロッパのベースの名手はたくさん、それぞれ特徴がありますが、Jorminさんが一番上品なグルーブを醸し出してくれる。私の好みはド派手なArild Andersenと堅実なAnders Jormin。

 なお、ボーカルの女性お二人、只者では無い感が漂っていましたので、これからメジャーになってくるかも。

 家に帰ってCDを聞いてみましたが、やはりライブの方が圧倒的にいいなあ。
 でも少々難解で取っ付きにくかったCDがいい感じで聞こえてくるようになりました。
 やはりジャズ、特にこの種の怪しい系の音楽はライブに参加すべきですね。
 
Ad Lucem
Anders Jormin
Ecm Records
2012-03-06





posted by H.A.

【Disc Review】 “Spain Again” (2006) Michel Camilo,Tomatito

“Spain Again”(2006)Michel Camilo,Tomatito
Michel Camilo(Piano)/Tomatito(Guitar)

Spain Again
Universal Music LLC
2006-05-17
ミッシェル カミロ
トマティート


 ラテン系ピアニストMichel CamiloとフラメンコギタリストTomatitoのデュオ。
 “Spain”(2000)の続編。
 濃そうなメンツでド派手かなと思いきや、意外に落ち着いた演奏。
 フラメンコ、タンゴ、Jazzのちょうど中間ぐらいの質感、フラメンコ、タンゴの激しさは少し抑え目で私にとってはちょうどいいぐらい。
 とはいえ、このお二人ですので、テクニックは抜群、アンサンブルもソロも十二分にエキサイティング。
 白眉は一曲目"El Día Que Me Quieras"。
 スタートは恐ろしいほどに美しいギターのソロ。
 ゆっくりしたルバート的リズムで静謐ながらフラメンコ特有の高速フレーズがちりばめられ続くこと2分、一区切りついたところで、これまた美しいピアノが天から降りてくるように加わります。
 その後、ピアノを中心としたデュオでゆっくりと美しいテーマ~インプロビゼーションへ展開。
 Michel Camilo、ラテン系のノリノリガンガンのイメージが強いのですが、この曲では限りなくロマンチック。
 ゆったりと漂うように、また、時に高速なロングフレーズを交えながら起承転結が明確でドラマチックなインプロビゼーションを展開します。
 ここまで美しく、ロマンチックでドラマチックな演奏はなかなか無いでしょう。
 この一曲だけでもこのアルバムは買い。
 2曲目はあの"Libertango"。3曲ほどAstor Piazzollaの曲が続くこともあり、アルバム全体の印象はタンゴの雰囲気が強いかな。
 情熱的に来るかなと思いきや、意外とあっさり系で上品にまとめています。
 世評的には前作“Spain”の方が評価は高いのかもしれませんが、私的には前掲の一曲目だけでこのアルバム推し。

 


posted by H.A.

【Disc Review】 “Tales of Cyparis” (2013) Grégory Privat

“Tales of Cyparis”  (2013) Grégory Privat
Grégory Privat (Piano, Fender Rhodes, Wurlitzer)
Manu Codjia (Guitar) Jiri Slavik (Double Bass) Arnaud Dolmen (Ka) Sonny Troupé (Drums, Ka) Adriano Tenorio (Percussions)

Tales of Cyparis
Privat
Plus Loin Music
2013-09-24





 フランス領マルティニーク出身の若手ピアニストの爽やかなコンテンポラリージャズ。
 何やらBill Evansっぽいpianoのイントロから始まるこのアルバム。
 DrumではなくCajón(箱型パーカッションですね)とBaseが加わり、なるほど、カリブっぽいムードが漂い始めます。
 編成はピアノトリオをベースに、ギターやボーカルなどが彩を添える今風なジャズ。
 アルバム出だしの質感はKeith Jarrettの“Treasure Island”から毒気を抜いて軽やかに、近代的にした感じかな?
 中にはStevie Wonder的なボーカル曲が何曲かあったり、少々ロックっぽいギターが入ったり。
 ジャズやらワールドやらソウルやら、もろもろのテイストが混ざった佳曲揃い。
 リーダーのピアノ、ヨーロッパの雰囲気が漂い上品かつしなやか、軽快でほどよい疾走感。
 要所で決まる早いパッセージがカッコいい。
 しかもヨーロッパ系にありがちな暗さ深刻さは皆無、明るい質感。
 少し前ならZsolt Kaltenecker、現代ならRobert Glasperあたりにも通じる感じでしょうか。
 純粋な4ビートはなく、またラテンっぽくも無いのですが、全編ジャズの香り、ときおりクラーベ(南米系特有のリズムパターン)が薄ーく鳴っているように感じられる(気のせい?)のも心地いい。
 全編のんびりしていて暖かそうだけど、ほどよく都会的、しかも気品あふれる音楽。
 カリブのマルティニークってこんな感じの所なのかな。だったら行ってみたいな。
 なお、ひとつ前のアルバム“Ki Koté”(2011)もベース、カフォンのトリオ+ボイスで同質、ものすごく心地よく、カッコいいです。



posted by H.A.

【Disc Review】 “Vaghissimo Ritratto” (2007) Gianluigi Trovesi

“Vaghissimo Ritratto” (2007) Gianluigi Trovesi
Gianluigi Trovesi (alto clarinet)
Umberto Petrin (Piano) Fulvio Maras, Fulvio Marras (Electronics, Percussion)

Vaghissimo Ritratto (Ocrd)
Gianluigi Trovesi
Ecm Records
2007-04-24
ジャンルイージ・トロヴェシ 



 知る人ぞ知る(そうでもない?)イタリアのサックス、クラリネット奏者。
 ピアノとパーカッションを従えたトリオで、ジャズともクラシックともポップスともつかない、静かで優しく、美しい音楽を奏でてくれます。
 冒頭曲、天から何かが下りてくるようなキラキラとしたピアノ、シムノペティNo.1的なコードの上を牧歌的なアルトクラリネットが漂います。
 全編この質感。
 ジャズ的なスイング感、躍動感は薄く、また、激甘な美曲があるわけではありませんが、ゆったりとした静謐さの中に突然少しだけ甘いメロディ、あるいはスピード感のあるフレーズが次々と現れる展開。
 いかにもヨーロッパ~ECM的ですが、全曲明確なメロディ、リズム。
 このレーベルにありがちな難解さや陰鬱さはありません。
 雰囲気はさながら予定を入れていない晴れた日曜日の朝。
 心地よい落ち着いた一日が過ごせそうです。
 また、全体を通じて好サポートのピアニストUmberto Petrin、さらりとした音、控えめな演奏ながら、只者ではない感が漂います。
 とても穏やかでさりげないようで、とても素敵な音楽。




posted by H.A.
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