吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

【Disc Review】“Playground” (2007) Manu Katché

“Playground” (2007) Manu Katché
Manu Katche (drum)
Mathias Eick (trumpet) Trygve Seim (tenor, soprano sax) Marcin Wasilewski (piano) Slawomir Kurkiewicz (bass) David Torn (guitar)

Playground (Ocrd)
Manu Katche
Ecm Records
2007-09-25
マヌ カッチェ

 若手ドラマー、Manu Katché、ECM第二作。
 前作のベテラン・オールスター・ホーン陣に代わって、同世代のメンバー。
 寂寥感が強めの音。
 あまり深刻にならないムードは前作同様、サラリとした寂寥感。
 決して熱くなることはなく淡々と進む演奏。強烈なビートもなければ、派手なインプロビゼーションも無い。
 淡々と刻まれる8ビート、乾いたスネアと静かに宙を舞うシンバルの音。静かに響くピアノ。力みのないホーンのアンサンブル。
 このクールさ、さり気なさがかえって凄みを感じさせる音。
 4曲目ぐらいから少し音量は上がり、ポップさも加わりますが、それでもクールな質感。
 それにしても寂寥感の漂ういい曲ばかり、奇をてらわない、個々の楽器の音が生きる上質なアレンジ。
 決して広くはないインプロビゼーションスペースでは、コンパクトながらツボを押さえた素晴らしい演奏。
 これまた、これ見よがしで派手な感じではないことが凄みに。
 これ、凄いアルバム、宝物を見つけたのかもしれない。




posted by H.A.

【Disc Review】“Neighbourhood” (2006) Manu Katche

“Neighbourhood” (2006) Manu Katche
Manu Katche (drum)
Marcin Wasilewski (piano) Slawomir Kurkiewicz (bass)
Jan Garbarek(saxophones) Tomasz Stanko(trumpet) 

ネイバーフッド
マヌ カッチェ






 近年のECMで登場回数が多いドラマー、Manu Katcheのアルバム。
 ロック畑の人なのでしょうか、4beatやフリー的な展開は少なく、8や16beat、変拍子が中心、全体を通じてECM的な暗さや切迫感は希薄。
 明るくてポップな印象のコンテンポラリージャズ。
 メンバーはさしずめECMオールスターズ。
 曲者のベテラン陣、Jan Garbarekはいつもの切迫感が影を潜め、Tomasz Stankoは緊張感漂うフレーズを連発するものの、Manu Katcheの明るいビートに希釈される、といった展開。
 Marcin Wasilewskiのピアノも軽やか。
 軽快で明るい今風のグルーヴ感の若手リズム陣と、深刻で怪しいベテランフロント陣。
 いいバランスです。
 曲も軽快なものが多いけど、演奏のテンションが高いのでこれまたいいバランス。
 この明るさは、冷戦後、少し遅れて新しい時代への切り替わりの標し、というと大げさかな?
 21世紀の若手リズム隊の現代のグルーヴ、対、20世紀からのジャズの闘士。
 結果としては、前者の中にすっかり取り込まれた後者。
 軽快だけどほどほどしっとり、クールでポップなコンテンポラリージャズ。
 もちろんとても上質です。




posted by H.A.

【Disc Review】 “Vignettes” (2007) Marilyn Crispell

“Vignettes” (2007) Marilyn Crispell
Marilyn Crispell(Piano)

Vignettes
Marilyn Crispell
ECM
2008-04-22
マリリン クリスペル

 かつては激しい系のフリージャズを中心に演奏していた彼女。
 ところが近年、ECMレーベルに転身してから一転、バラード主体の美しいピアノを聴かせてくれます。
 このアルバムは彼女のピアノソロによるバラード集。
 タイトルVignettes(挿絵)、ジャケットのポートレートさながらに、モノクローム~淡い色合いの絵画的、映像的な音の流れ。
 漂うようなゆったりとしたテンポの中、もの悲しげなメロディが次々と現れては消え、現れては消えていきます。
 崩れそうで崩れない、危ういような、はかないような、しかし美しい音楽。
 ECMレーベル特有のエコーをたっぷり効かせた録音も手伝い、静謐で大きな空間の中にピアノの美しい音が漂います。
 全体の質感はフリージャズ的なのですが、メロディアスな曲が中心。
 数曲抽象的、散文的な曲もありますが、陰鬱さ、うるささはありません。
 Keith Jarrettなどのソロピアノが好きな人はもちろん、Bill Evansやヨーロッパ系ピアノあたりが好きな人にも是非。
 同時期のピアノトリオ版“Amaryllis”(2001)、“Storyteller”(2004)の同質で心地よいバラード演奏が詰まっています。
 気まぐれで入ったCaféで、もしもこんな音楽が流れていたら、一気にその店のファンになってしまうなあ。

 

posted by H.A.

【Disc Review】“'Round About Midnight” (1955) Miles Davis

“'Round About Midnight” (1955) Miles Davis
Miles Davis (trumpet)
John Coltrane (tenor saxophone) Red Garland (piano) Paul Chambers (bass) Philly Joe Jones (drums)

マイルス デイビス

 この冒頭曲が流れると周囲の景色が変わるような気がします。
 さしずめ真冬のマンハッタン、真夜中。
 ハードバップの確立とか、歴史的名盤だとか、コルトレーンがうるさいとか、そんな野暮なことは忘れて1950年代マンハッタン、ハードボイルドな雰囲気に浸りましょう。
 カッコいいなあ。




posted by H.A.

【Disc Review】“January” (2008) Marcin Wasilewski

“January” (2008) Marcin Wasilewski
Marcin Wasilewski (piano)
Slawomir Kurkiewicz (bass) Michal Miskiewicz (drums)

January (Ocrd)
Marcin Wasilewski
Ecm Records
2008-05-06
マルチン・ボシレフスキ

 ポーランドの人気ピアニストMarcin Wasilewskiのピアノトリオ。
 シンプルアコースティックトリオ名義で人気を得た後でのECMレーベルへの移動。
 親分Tomasz Stankoのアルバム、直近では“Lontano”(2006)への参加でいい演奏を展開していましたので期待の一枚。
 なかなか期待通りに出来てくるアルバムは多くないのですが、これは大当たり。
 ECMレーベルの質感とこのトリオの現代的な質感が絶妙なバランスでマッチングした名盤だと思います。
 冒頭曲、親分StankoがECMでも何度か吹き込んだシンプルな哀愁曲。
 ECMによく聞かれるゆったりとしたルバートでのバラードですがこれが絶品。
 厳かに始まり、漂うようなリズム、何度か止まりそうなほどに減速したテンポを何度も立て直しながら、美しくももの悲しいメロディを綿々と奏でていきます。
 決して長い演奏ではではありませんが、ドラマチック。
 数分間の間にさまざまな映像が頭の中に浮かんでは消えていきます。
 没頭して聞いていると、悲しいメロディに胸が締めつけられ、リズムに合わせて心臓が止まるのではないかと思うほど。
 さまざまなルバートでのバラードを聞いてきましたがこれが一番。
 さらに2曲目。
 Gary Peacockの“Tales Of Another” (1977) でKeith Jarrettの名演がある"Vignette"。
 オリジナルは緊張が極めて高い、美しくも激しい演奏でしたが、このバージョンはむしろ軽やか。
 緊張感と美しさはそのままに、現代的な軽さが加わることで新しい質感に進化しているようにも思います。
 これだけでも満足なのですが、止まりません。
 3曲目はあのモリコーネのCinema Paradiso。
 元々オリジナルが漂うようなゆったりとした演奏でしたが、そのムードそのままに、思索的なイントロから、哀感あふれるメロディを奏でていきます。
 その後もPrince、親分StankoCarla Bleyなどのカバー曲にオリジナルを加えつつ、中だるみすることなく最後まで素晴らしい演奏が続きます。
 Marcin Wasilewskiのピアノ、さまざまな聞き方、評価があるのだと思いますが、私は「しなやかさ」「柔らかさ」、いい意味での「軽さ」に注目。
 Robert Glasperあたりとも質感は近く、現代的なジャズピアノの一つの特徴だと思っています。
 Keith JarrettSteve KuhnBobo StensonなどECM系のベテランスタイリストとも一線を画すポイント。
 ともすれば、彼らに比べて緊張感が足りない、シビアさ、アグレッシブさに欠ける、といった向きもあるのかもしれませんが、そんなクールネスが現代ジャズの一つの特徴。
 私的現代的ジャズピアノトリオの代表作の一つ。


 

posted by H.A.

【Disc Review】“Heavy soul” (1961) Ike Quebec

"Heavy soul” (1961) Ike Quebec
Ike Quebec(Tenor Sax)
Freddie Roach (organ) Milt Hinton (bass) Al Harewood (drums)

Heavy Soul
Ike Quebec
EMI Europe Generic
アイク ケベック

 名門ブルーノートからソウルフルテナーIke Quebec。
 このアルバムではオルガントリオをバックに、ちょっとひしゃげたような音色で、サブトーンを効果的に交えながら、メロディアスなフレーズを展開。
 スイング時代からのベテランらしく、少し古い雰囲気を醸し出しながらも、モダンジャズとして不自然でない演奏。
 Coleman HawkinsやBen Websterの場合、モダンジャズをやっても、何となくスイング時代を感じてしまいますが、この人の場合はモダンジャズ。
 いそうでなかなかいないタイプのミュージシャンのように思います。
 曲はオリジナル曲とスタンダードを半々。
 どの曲もカッコいいメロディとリフ、アレンジも決まっています。
 全編オルガンが入ったJazz独特のグルーブ感満載。
 聞いていると1960年代のハーレム辺りに連れて行ってくれそう。
 アップテンポの曲もいいですが、数曲入るバラードも絶品。
 スペーシーなオルガンの音が空間全体を包み込み、とろけるようなサブトーンたっぷりのテナーを聞いていると、全身の力がふにゃ~と抜けていきそう。
 渋いです。
 カッコいいです。




posted by H.A.

【Disc Review】 “Lovers” (1988) David Murray

“Lovers” (1988) David Murray
David Murray(tenor sax)
Dave Burrell (piano) Fred Hopkins (bass) Ralph Peterson Jr. (drums)

デビッド マレイ

 ちょっと過激だけど普通のジャズやってもものすごくカッコいいテナーサックスDavid Murray。
 カルテットでのバラード集。
 この人のテナーは黒い。
 真っ黒け。
 それもつやつやした黒。
 それでバラード集など演られるとたまりません。
 ゆったりとした美しいバラードではじまるこの盤、最初のテナーの一吹きで、おっとこれはすごいかもと思わせます。
 一曲目、美しい演奏が続くこと数分、気がつくとフリーっぽい激しい演奏に展開、あれれ、と思うのはつかの間、最後は元の落ち着いたテーマに戻ります。
 この人、どんな曲でも同様の展開が多いのですが、この盤のゆったりとしたバラード中心の楽曲でも、徹底的にそれをやってくれています。
 一味違う辛口なバラードはMurrayさんならでは。
 曲は”In a Sentimental Mood”を除いてオリジナルですが、どの曲もメロディアス。
 ピアノはDave Burrel、フリージャズが本分なのでしょうが、ここでは抑え目にしっかりとサポート。
 ベースのFred Hopkins、ドラムのEd Blackwellも同様。
 どの曲もいいのですが、特に冒頭の故Jimmy Garrisonに捧げたDave Burrelの”Teardrops For Jimmy”はホントに涙に出そうになる名曲・名演。
 穏やかなサックスと美しいことこの上ないピアノ、そして激情・・・
 さらに、最後の”Nalungo”は懐かしの火曜サスペンス劇場?の世界。
 沈痛なテーマ、アルコによる過激なベースソロの後に美しいピアノ、さらにテンポを上げてハードボイルドなサックスソロに繋がっていきます。
 過剰なまでにドラマチック。




posted by H.A.

Members Vol.2

Agent R.Y.
 30代。システムエンジニア。
 年間250本を超えるライブに参加するライブマニア。
 整い過ぎたもの、予定調和より、ハプニング、偶発性を好む。
 フリージャズでもノイズでもなんでもこい。

 My Favorites
 カフカ鼾、Nik Bartsch、Vassilis Tsabropoulos




Agent N.N.
  Blues、BluesyなRockを好むWebプランナー。
  映画、音楽、文学等々、大衆作からアバンギャルドまで全方位。
  近々、中央線沿線にBluesy漢方Barを開店予定。たぶん。

 My Favorites
 Bob Dylan、Niel Young、Rolling Stones





Agent M.A.
 ベテランリーマン兼ギタリスト。
 プログレッシブロックからケニー・バレル、おまけに、ブラジル音楽、さらにはデレク・ベイリーまで。
 ビンテージ・ギブソンを愛するオヤジギタリスト。





Members Vol.1

Agent S.I.
 Jazz歴?十年の5?歳。
 Bill Evans, Thelonious Monk, John Taylorを愛するピアニスト。
 かつては王道ジャズ、今はコンテンポラリージャズ。
 いかに優美にスケールアウトするフレーズを弾くか、試行錯誤は続く。
 Romanticなのだけど実は怪しい、また、もの悲しいのだけど実は優しい、Jazz的なものを探索中。

 My Favorites
 Bill Evans, Thelonious Monk, John Taylor


Agent H.A.
 Rock~Fusion~AOR、Pat Metheny、Keith Jarrettを経てJazzへ。
 4Beatも好きですが、ECMなどヨーロッパ系、さらにはブラジル系が大好き。

 My Favorites
 Keith Jarrett、Toninho Horta、David Murray、Miles Davis





Agent N.A.
 ミニマル、テクノ、ヨーロッパ系ピアノ、そしてゲームーミュージックを愛する音楽クリエーター。35歳。 現在、シンセを駆使した音作り、ミックスを主戦場として展開中。
 作曲家へのチャレンジは道半ば。

 My Favorites
 Esbjörn Svensson、Tigran Hamasyan、Steve Reich




Agent S.E.
 幼少期より祖父にジャズを教え込まれた23歳学生。
 小説家、翻訳家、はたまたジャズ喫茶のオヤジなどなど、進むべき方向に迷う悩み多き青年。

 My Favorites
 Thelonious Monk、Jamiroquai

“吉祥寺ジャズシンジケート” since 2014


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 Jazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カルチャー、カフェ、バー、オーディオ、面白グッズ、などなど、なんとなくJazzっぽい情報を、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

 コンセプトは”Something Strange, but Comfortable”

   「なんか変わってるけど、いいかも・・・」
   「気持ちいいんだけど、ちょっと変だよなあ・・・」
   「心地よい不快。」

 そんな感じです。

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