吉祥寺JazzSyndicate

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【Disc Review】“The Hudson Project” (Oct.1998) John Abercrombie/ Peter Erskine/ Bob Mintzer/ John Patitucci ‎

“The Hudson Project” (Oct.1998) John Abercrombie/ Peter Erskine/ Bob Mintzer/ John Patitucci
John Abercrombie (Guitar) Bob Mintzer (Saxophone) Peter Erskine (Drums) John Patitucci (Bass)

The Hudson Project Live in New York City
John Abercrombie
Stretch Records
ジョン アバクロンビー


 ECMでの客演録音の合間。アメリカンなスーパープロジェクト。
 ジャズ・フュージョンの手練れが自作曲を持ち寄ってドカーンと演奏する、いかにもなセッション、ライブ。
 一年後のCharles Lloydへの客演 “The Water is Wide” (Dec.1999)が煮え切らない演奏だったのが気になるところですが、ここでのAbercrombieは好調。
 もちろん1990年代前半の自身のリーダー作ような尖った演奏ではありませんが、十分にカッコいいジャズ~フュージョンギター。
 ま、いつも高テンションだと疲れちゃうもんね。
 これを、なんだ普通じゃん、と思ってしまうのはECMの病に侵されてるのかも。
 オーソドックスながら上質なジャズ・フュージョン。




posted by H.A.

【Disc Review】“Open Land” (Sep.1998) John Abercrombie

“Open Land” (Sep.1998) John Abercrombie
John Abercrombie (guitar)
Mark Feldman (violin) Kenny Wheeler (trumpet, flugelhorn) Joe Lovano (tenor saxophone) Dan Wall (Hammond organ) Adam Nussbaum (drums)

Open Land
Universal Music LLC
ジョン アバクロンビー 
マーク フェルドマン 



 オルガントリオに曲者揃いの大物メンバーが加わった豪華アルバム。
 クールでハードなオルガントリオから、抽象度の高いMark Feldmanとのコラボレーションへの転換点、結節点。
 クールでアーティスティックな音空間。
 オルガンが作る静かなグルーヴ、その上でハイテンションなギターとバイオリン、ジャズの香りの強いホーン陣が躍る。
 普通の静かなジャズ・・・、ではなく少々とんがった音楽。
 これからしばらく共演が続くMark Feldmanの過激なバイオリンの印象も強いのでしょう。
 この時期はジャズ色の強い演奏から、少し抽象度の高い演奏に移行していく過渡期。
 ジャズ色を強く漂わせながら、ほどほどの過激さが加わったバランス。
 大物ホーンの二人も、遠くに行ってしまいそうな弦の二人を何とか引き留めている感じ。
 オルガンもたまに熱くなるものの、あくまでクールで落ち着いた背景作り。
 Mark Feldmanが入る半数程度の曲では抽象的で過激な響き、以外はジャズ色。
 楽曲が複雑、メロディが少々抽象的で、周辺の諸作に比べるとわりやすさに欠けるのでしょう。
 その分、知的でクール。
 それがカッコいいんだけどなあ・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“Tactics” (1996) John Abercrombie / Dan Wall / Adam Nussbaum

“Tactics” (1996) John Abercrombie / Dan Wall / Adam Nussbaum
John Abercrombie (Guitar) Dan Wall (Organ) Adam Nussbaum (drums)

Tactics
John Abercrombie
Ecm Import
ジョン アバクロンビー


 John Abercrombie、オルガントリオでのライブ録音。
 ライブだけに、ひんやりとしながらも超高テンションのスタジオ録音アルバム“While We're Young” (1992)に比べれば、熱を帯びて展開される演奏。
 その意味ではとても聞きやすいし、妙に緊張せずとも気楽に聞けます。
 オルガンが薄く包み込む妖しい空間の中を自在に漂う浮遊感の強いギター。
 針のように尖った神経質な音から、強いディストーションのロックギター、はたまた少し丸いジャズ的な音まで多種多彩。
 オルガントリオらしく、ファンクナンバーがあったり、スタンダードナンバーもあったりしますが、そこは一筋縄ではいかないこのバンド。
 凡百な演奏ではありませんし、ニコニコしたりリラックスしたりして聞ける類ではありません。
 あくまでクール。なんだかんだでハイテンション。
 それがカッコいい。
 全編通じて難解さはわずか。ハイテンションに慣れてしまえば、さまざまな色合いのJohn Abercrombieのギターサウンド、フレーズ回し1990年度版を堪能するにはちょうどいいアルバムだと思います。




posted by H.A.

【Disc Review】“Homecoming” (1994) 、“In The Moment” (1995) Gateway

“Homecoming” (1994) 、“In The Moment” (1995) Gateway
John Abercrombie (guitar) Dave Holland (bass) Jack DeJohnette (drums)

Homecoming
GATEWAY
CNL
ジョン アバクロンビー
ゲートウエイ



In the Moment
Gateway Jazz Band
Ecm Import



 John Abercrombie、”Gateway 2” (July, 1977)から約二十年ぶりの作品。
 相変わらずのハイテンションなギタートリオ。
 が、少々サイケでロックな感じがあった前二作に比べれば落ち着いた印象。
 時代感や音質もありますが、さすがに皆大人になった感じでしょうね。
 “Homecoming” はテーマが明確で聞きやすい演奏中心、“In The Moment”が抽象的な演奏中心に編集。
 前者ではハードなジャズからファンク、ロック、あるいは楽しげなカリプソまで。
 楽曲に愛想がないのは昔ながらなので、まあよしとして、強烈なリズムと変幻自在のギターがいい感じ。
 後者はインド~中近東の音階あり、フリージャズあり、ギュインギュインあり、少々難解。
 それでもリズムが乗ってくるとエキサイティングであり、全く先の読めない演奏はスリリングではあります。
 何をやってもカッコいい、まだまだクリエイティブなお三方の名人芸。




posted by H.A.

【Disc Review】“Speak of the Devil” (Jul.1993) John Abercrombie

“Speak of the Devil” (Jul.1993) John Abercrombie
John Abercrombie (Guitar)
Dan Wall (Organ) Adam Nussbaum (Drums)

Speak of the Devil
John Abercrombie
Ecm Records
ジョン アバクロンビー


 “Afro Blue” (Jun.1993)からわずか一か月後、同じ楽器編成、当時のレギュラーメンバーでのオルガントリオ第二作。
 異なるリーダーの作品を比べても仕方ないのですが、面白いのが日本制作の“Afro Blue”とドイツECM制作の本作の対比。
 わかりやすそうなテーマを決めてホットな音の日本制作に対して、あくまでアーティスティックでクールな音のドイツECM。
 良し悪しは好みでしかないと思うけども、果たしてどちらが売れたのかは気になるなあ・・・
 んな野暮な話はさておいて、本作もクールなオルガントリオ。
 曲名含めてタイトルからして怖い。
 音からはあまりオカルト臭はしませんが・・・
 が、逆に、ただ事ではないムードだった“While We're Young” (Jun.1992)に比べればテンションは緩めに感じます。
 地の底から這い出てくるような、あるいはヒタヒタと迫ってくるような“While We're Young”に対して、音の輪郭が明確な本作。
 沈み込むような前者と躍動感のある本作。
 ギターは彼の1990年代テイスト。
 鋭い音、ディストーションが多め、強めの激しいギター。
 が、テンションの高さ、凄みは“While We're Young” あるいは“November” (Nov.1992)方が上。
 結果的に、意外にも楽に聞けるオルガントリオ。
 そうでもないかな・・・?
 やはりメンバー全員切れまくりの凄まじいオルガンジャズ。




posted by H.A.

【Disc Review】“Afro Blue” (Jun.1993) The Lonnie Smith Trio

“Afro Blue” (Jun.1993) The Lonnie Smith Trio
Dr. Lonnie Smith (Organ)
John Abercrombie (Guitar) Marvin "Smitty" Smith (Drums)

アフロ・ブルー
ロニー・スミス=ジョン・アバークロンビー・トリオ




 John Abercrombie、こちらはホットなオルガントリオ。これも日本制作。
 Dr. Lonnie Smithのリーダー作でもあり、同時期のECMのオルガントリオ“While We're Young” (1992)、 “Speak of the Devil” (Jul.1993)とは全く別の質感。
 プロデューサー、レーベルが違えば同じ編成でも違うものができる見本。
 どちらもどう聞いてもJohn Abercrombieのギターなのですが、全く違う音楽。
 共通するのは強い緊張感。
 本作は熱くて激烈な緊張感。
 熱いといってもブルーノート的なファンキーさやハッピーなイメージではなく、過激な熱さ。
 John Coltraneをモチーフにギュインギュイン、極限まで暴れまくり。
 ロック的なギターは好みではありませんが、ここまでやれば、これしかないようなカッコよさ。
 一方、ECM作品はあくまで静謐さを維持するクールな緊張感。
 さらには、同時期でも全く異質、端正なジャズ“Farewell” (1993)。
 いずれも違ったカッコよさ。




posted by H.A.

【Disc Review】“Farewell” (Apl.1993) John Abercrombie

“Farewell” (Apl.1993) John Abercrombie
John Abercrombie (Guitar)
Andy LaVerne (Piano) George Mraz (Bass) Adam Nussbaum (Drums)

Farewell
Universal Music LLC
ジョン アバクロンビー


 ECMと並行して制作されるAndy LaVerneとのコラボーレンション諸作の一作。
 日本制作(NEC系列!懐かしいバブルの時代、1993年だと残り香かな?)。
 こちらはまずまず平和なジャズ。端正で美しいギターカルテット。
 どうでもハイテンションなECMに比べて柔らかなムードで、ジャズの王道にも近い。
 艶やかで浮遊感の強いギターはそのまま、オーソドックスなバンドがその隠れた狂気を包み隠す。
 それとも実は狂気なんてものはなくて、単にECMマジックなのかも・・・
 ま、あのBeautiful Loveでも、オーソドックスな4ビートでも、尖がった音のウネウネギターはそのままなので、やはり・・・
 全体のムードは平和ですが、ギターはちょっと変わっている系。
 尖った音、ウネウネ、グルグルなフレージング。
 “John Abercrombie / Marc Johnson / Peter Erskine” (1988) のスタンダード部分のような音を作ろうとしたけど、ハイテンションな“November” (Nov.1992)の流れがあってそうはならず・・・だったりして・・・。
 好みはさておき、このくらいまでの方が一般的には聞きやすいんだろうなあ。
 が、ECMのJohn Abercrombieに慣れてしまった耳には違和感があるのは、マニアならではの悲しい事象なのでしょうね・・・

※別のアルバムから。こちらはマイルドです。


posted by H.A.

【Disc Review】“November” (Nov.1992) John Abercrombie

“November” (Nov.1992) John Abercrombie
John Abercrombie (Guitar)
Marc Johnson (Bass) Peter Erskine (Drums) John Surman ‎(Sax)

November
Universal Music LLC
ジョン アバクロンビー


 John AbercrombieトリオとJohn Surmanとの共演アルバム。
 このトリオは、“While We're Young” (Jun.1992)のオルガントリオの前のバンド。
 基本的に少し甘めの明るい色合いだったと思うのに、えらい変わり様。
 何故ここでもう一度組み合わせたかは謎なのですが、これが凄い演奏。
 最高にカッコいい、ダークさ満点のハードなジャズ。
 John Surmanが触媒に・・・だったらわからないでもないけど、彼の参加は数曲のみ。
 サックスがMichael Breckerに代わると“Getting There” (1987)になるのだけども、この極端な差は何?
 謎は深まるばかり・・・
 さておき、超辛口なハイテンションジャズ。
 辛口ながらメロディアス。
 全編ハイテンションながらもまずまず落ち着いた質感。 
 もちろん平和なモダンジャズの香りはありませんが、難解さもありません。
 過激さもほどほどでしょう。
 それでも全編を漂うピリピリしたムード、その凄み。
 Marc Johnson、Peter Erskineが作るしっかりとした土台。
 バラードでは深く沈み込み、アップテンポでは凄まじいグルーヴと疾走感。
 その上で、John Abercrombieが暴れまくり。
 クリーントーンでも針のように冷たく鋭い音、あるいはディストーションも使いながら、いつない激しさ。
 この時期のJohn Abercrombie、激しいばかりでもないのですが、静かな場面を含めて、背景がオルガンであれ何であれ、触ると切れてしまいそうな怖いような音。
 John Surmanの出番は少なめですが、出てくればブルドーザーのような強力さ。
 正気と狂気が錯綜する音空間。
 1990年代以降のJohn Abercrombieの最高傑作・・・?
 どうだろ?終盤が平和すぎるかな?




posted by H.A.

【Disc Review】“While We're Young” (Jun.1992) John Abercrombie

“While We're Young” (Jun.1992) John Abercrombie
John Abercrombie (Guitar)
Dan Wall (Organ) Adam Nussbaum (Drums)

While We're Young
John Abercrombie
Ecm Import
ジョン アバクロンビー


 1990年代以降のJohn Abercrombie。
 ハイテンションな1990年代から、2000年代、私にとって長らく謎の存在だったJohn AbercrombieとMark Feldmanの共演諸作。
 それに至る流れ、背景が見えるかどうか。
 まずはそれに先立つ、あるいは共演作の端緒であったオルガントリオの始まりから。


 John Abercrombie、“John Abercrombie / Marc Johnson / Peter Erskine”(1988)、さらにはソロ作品“Animato”(1989)に次ぐ新しいバンドはオルガントリオ。
 いかにもECMなひんやりとした、他では聞けない質感のオルガントリオ。
 オルガンだけに空間が埋まるような音なのだけども、その密度は低い、あるいは厚みは薄い。
 あまり強くは叩かないドラムも含めて静かに薄く空間を包み込む音。
 その凄み。
 その空間をギターが浮遊するように、時には空気を切り裂くように、かき回すように自在に動く。
 中心とする楽器をこのあたりで変えたのでしょうか?
 丸いジャズ的な音ではなく、鋭い尖った音が中心。ディストーションも強め。
 その音で1970年代後半諸作と同様の暴れっぷり。
 ドラマチックな楽曲。
 この上もなく激しいギターなのに、何故かひんやりとした空気感。
 ひたひたと何かが迫ってくるような緊張感。
 冷たくて静かなムードながら、ただ事ではない雰囲気。
 これはすごいアルバム。




posted by H.A.

【Disc Review】“Wild Dance” (2015) Enrico Rava

“Wild Dance” (2015) Enrico Rava
Enrico Rava (trumpet)
Gianluca Petrella (trombone) Francesco Diodati (guitar) Gabriele Evangelista (bass) Enrico Morello  (drums)

Wild Dance
Enrico Rava
Ecm Records
2015-08-28
エンリコ ラバ

 イタリアの大御所トランペッター、Enrico Rava最新作。
 近年のリズム隊はピアノトリオでしたが、本作はギタートリオ。
 その分、クールさが前面に出たアルバム。
 ギターは正統派ジャズギターではなく、少しやんちゃ系、クリエイティブ系。
 といっても激しい系ではなくて、あくまでクリーントーンを中心に妖しげな雰囲気を醸し出していくタイプ。
 今の若手らしくジャズジャズしていない現代的な音使い。
 でも基本的には上品でしっとりとした感じ。
 一曲目からRavaさんの真骨頂、漂うようなイタリアンバラード。
 ニヒルでハードボイルドな感じ全開。
 コードを出すのがピアノではなくギターの分、浮遊感と妖しさ倍増。
 トランペットはいつもながら、時折の激情を交えながらの素晴らしい表現力、グルーブ、安定感。
 他のメンバーも手練れた演奏。
 私にとってのRavaさんは、アバンギャルドとオーソドックスの中間点からかなりオーソドックス寄り。
 アバンギャルドが強いと聞いていてしんどいし、オーソドックスだけだと飽きてしまう。
 オーソドックス寄りのいいバランス、気軽に聞ける位置。
 本作も音楽的にはオーソドックス。
 でもギターの音がいい感じで穏やかな妖しさ、そして現代性をプラス。
 結果、やはり定位置に戻る。
 うまくできています。
 いつも通りに、美しく端正だけども、妖しいジャズ。
 とてもクール。

(※本投稿は2016/02/08から移動しました。)



posted by H.A.
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