吉祥寺JazzSyndicate

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【Disc Review】“Absinthe” (2018) Dominic Miller

“Absinthe” (2018) Dominic Miller

Dominic Miller (guitar)
Mike Lindup (keyboards, piano) Nicolas Fiszman (bass) Manu Katché (drums)
Santiago Arias (bandoneon)

Absinthe
Dominic Miller
Ecm
2019-02-28


 アルゼンチン出身~イギリス在住、Stingの盟友Dominic MillerのECM第二作。
 ソロ、デュオの前作”Silent Light” (2016)から、本作ではバンドネオンも迎えたコンボ編成。
 静かに淡々と爪弾かれるアコースティックギター、これまた静かながらロック寄りの現代的なビート、ときおりのピアノと電子音。
 フロントに立つのは、ギターのアルペジオに加えて漂うようなバンドネオン。
 クールで現代的な色合いに、強烈な浮遊感と懐かしさが混ざり合う音。
 全てオリジナル曲、淡く漂うような前作に対して、本作ではクールな質感はそのままに、寂寥感の強いメロディのバラード群。
 あのStingの”Shape of My Heart”に強い浮遊感を加えたムードがひたすら続く・・・、そんな感じ。
 さて、あの名曲はこの人の色合いだったのかあ?とか思ったり、思わなかったり・・・
 ジャズ度はなし、かといってとんがったアバンギャルド色はないし、フォークでもなく、南米色も少なくとも表面上は薄い感じ。
 が、寂しげで哀しげながら全編に漂う穏やかな空気感は、やはりSaudade、南米の空気感なのでしょうか。
 近年のECMの淡くて柔らかな色合いに、この人独特のクールな寂寥感が混ざり合う、とても素敵な音。




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【Disc Review】“Amanhã vai ser verão” (2018) Rosa Passos

“Amanhã vai ser verão” (2018) Rosa Passos

Rosa Passos (voice, guitar)
Lula Galvao (guitar) Fabio Torres, Helio Alves (piano) Paulo Paulelli, Jorge Helder (bass) Calso de Almeida (drums) Livia Mattos (accordion) Ivan Sacerdote (clarinette) Ze Luiz Mazziotti (voice)



 現代最高の女性ボサノバボーカリストRosa Passos、久々のアルバム。
 ピアノトリオと長年の相方のエレキギターを中心に、少々の彩りが加わる編成。
 シンプルでジャジーなサウンドは前作に当たるライブ録音“ao vivo” (2014)と同様。
 要所で聞こえるアコーディオンがフォルクローレな感じを醸し出すのが、ここまでの諸作とは少し違った感じでしょうか。
 全編通じてゆったりまったり。
 ジャジーなエレキギターの綺麗なクリーントーンがたっぷりフィーチャーされるジャズコンボを中心に、弾き語りを含めて、ほんの少し遅れ気味に刻まれる、Rosaさん自らのとてもカッコいいガットギターも終盤に数曲。
 もちろん主役は、今にも泣きだしそうにも微笑んでいるようにも聞こえる、何とも言えない絶妙なニュアンスの力の抜けたヴォイス。
 本作ではカバー曲はなく、全編オリジナル。
 これまた、泣きだしそうにも微笑んでいるようにも聞こえる、何とも言えない絶妙なニュアンス、おまけにいずれもキャッチーなメロディ。
 オリジナル曲中心のアルバムは“Morada do Samba”(1999)以来でしょうか?
 名曲のカバーもいいのですが、やはりこれが一番。
 優しくて穏やかで、どこか懐かしくて、ほんの少し悲し気な、Nothing but Saudadeな空気の流れ。
 ゆったりまったり、これまたパラダイス。




(1979) “Recriação” 
(1988) “Amorosa” 
(1991) “Curare” 
(1993) “Festa” 
(1996) “Pano Pra Manga” 
(1997) “Letra & Música - Ary Barroso” with Lula Galvao 
(1998) “Canta Antonio Carlos Jobim” 
(1999) “Morada do Samba” 
(2000) “Rosa Passos Canta Caymmi” 
(2001) “Me and My Heart”  
(2002) “Azul” 
(2003) “Entre Amigos” 
(2004) “Amorosa” 
(2006) “Rosa” 
(2008) “Romance” 
(2011) “É Luxo Só” 
(2013) “Samba dobrado” 
(2014) “ao vivo
(2018) “Amanhã vai ser verão

posted by H.A.

【Cinema Paradiso】『マリアンヌ』(2016)

『マリアンヌ』(2016)

マリアンヌ(字幕版)
ブラッド ピット
2017-05-24


 2016年、監督ロバート・ゼメキス、出演ブラッド・ピット、マリオン・コティヤール、他。
 第二次世界大戦下のサスペンス、あるいはラブストーリー。
 主人公はカナダの工作員。
 モロッコでの作戦で出会ったフランスの女性工作員と結婚。
 ロンドンに移住、子どもも生まれ普通に暮らす中、妻に二重スパイの疑いが掛かります。
 トラップを掛ける当局と、独自に調査する主人公。
 さて、はたして妻は二重スパイだったのか、この家族の行く先はハッピーエンドなのか、バッドエンドなのか・・・?
・・・
 シンプルでわかりやすいストーリーにも関わらず、最後まで先が読めない展開。
 いくつかのパターンは想定できるものの、どこに行き着くのかわからない脚本と演出の妙。
 工作員カップルのハードでクールな仕事での立ち振る舞いと、ほのぼのとした普通の家庭生活のギャップ。
 その明暗を演じ切ったクールなブラッド・ピット、美しく妖しいマリオン・コティヤールのの強烈な存在感。
 さらに『カサブランカ』(1942)を想い起こすモロッコの街、砂漠、当時を再現したセット、などなどの美しい映像。
 時代と国際情勢に翻弄される人生の哀しさ、そのシリアスなサスペンス。
 本作の設定に遠くない実話もあるようで、実は今もある話なのかもしれません。
 が、本作、陰湿でも暗くもなく、どこかほのぼのした空気感。
 しんみりとした温かさ・・・ってなのも妙ですが、そんな複雑な思いの残る映画。




posted by H.A.



【Disc Review】“Elis (Vento de Maio)” (1980) Elis Regina

“Elis (Vento de Maio)” (1980) Elis Regina

Elis Regina (vocal)
Lô Borges, Adoniran Barbosa, Milton Nascimento, Os Borges (vocal, etc.) and others

エリス(1980)
エリス・レジーナ
ユニバーサル ミュージック
2014-06-11



 Elis Regina、1980年、遺作。
 今流通しているのは、曲が追加された“Vento de Maio” (1980)がメインなのかもしれません。
 “Elis, Essa Mulher” (1979)で完成をみたと思われるサウンド、洗練されたブラジリアンポップス。
ゲストを交えつつの多彩な余裕のサウンド。
 鳴り響くパーカッションに弾むバンド、激しいブレークとキメのファンクな音、そんなかつてな感じのサウンドも含めつつの落ち着いた音。
 もうかつてのような目立ったシャウトはありません。
 かといって落ち着いてばかりいるわけではなく、ときおりの強い熱を発散しながらも、自然にサラサラと流れていくような音。
 自然に体が揺れるグルーヴに多彩な表情の声。
 ネイティブなサンバな色合いも含めたボーナストラックも素晴らしいのだけども、オリジナルアルバムの曲をピックアップし並び変えると、これまた別の表情。
 キャッチーな楽曲が揃い、カッコいいギターのカッティングから始まるA面に、ファンクなベースで始まるB面、各面共に起承転結をつけながら後半に向けて盛り上がっていく構成。
 完成度の高いブラジリアンポップスアルバム。
 稀代のカリスマ、最後までたくさんのエバーグリーンを残しつつ、1982年、逝去。




posted by H.A.

【Disc Review】“Saudade Do Brasil” (1980) Elis Regina

“Saudade Do Brasil” (1980) Elis Regina

Elis Regina (vocal)
César Camargo Mariano, Sergio Henriques (Keyboards) Natan Marques (Guitar, Acoustic Guitar) Kzam (Bass, Acoustic Guitar) Sagica (Drums) Chacal (Percussion)
Chiquinho Brandão (Flute) Paulo Garfunkel (Flute, Clarinet, Saxophone) Lino Simão (Tenor Sax) Octavio Bangla (Tenor Sax, Clarinet) Bocato (Trombone) Claudio Faria, Nonô Carvalho (Trumpet)

Saudades Do Brasil
Elis Regina
Wea Brazil
2007-08-21


 Elis Regina、1980年、”Saudade do Brasil”と題されたショーのライブ録音。
 ソウル&サンバなバンドに分厚いホーン陣、大人数のダンサーも加わった一大エンターテインメント。
 音楽だけ聞くと、イントロ、インタールードなどの過剰に大仰な部分もあるのですが、ダンスを含めた演出絡みなのでしょう。
 演奏自体はハイテンションながらスッキリとした音。
 主役のElisさんは、とにもかくにもハイテンション。
 唸り、叫び、踊り、跳びはねるElisさん。
 エネルギー全開120%。
 映像をみると、これはちょっと危ない・・・というか怖いぐらいに気合の入った表情。
 テンポが落ちてバンドの音量が下がっても、何かに憑かれたように歌のテンションは下がりません。
 スタジオ録音でもこんな感じだったんだろうなあ、と思うと、聞く側の血管が切れそうになる気がしたのも納得。
 いまさらながらに、凄いアーティスト、稀代のカリスマだなあと思います。
 さておき、映像を見るとダンサー陣が何だか面白くて・・・
 いずれにしても皆さま、お疲れさまでした。


 

posted by H.A.

【Disc Review】“Elis, Essa Mulher” (1979) Elis Regina

“Elis, Essa Mulher” (1979) Elis Regina

Elis Regina (vocal)
Cesar Mariano (Keyboards) Hélio Delmiro (Guitar) Joyce (Acoustic Guitar) Luizão Maia (Bass) Paulinho Braga (Drums, Percussion) Chico Batera (Crotales) Cidinho (Percussion)
Zé Bodega (Saxophone) Edmundo Maciel (Trombone) Marcio Montarroyos (Trumpet)

Essa Mulher
Elis Regina
Wea International
2007-08-21


 Elis Regina、1979年作。
 とても洗練されたブラジリアンポップス。
 いまや“Elis Regina in London” (1969) の熱は落ち、“Elis” (1974)あたりで出てきたスッキリしたジャズ・ファンク・サウンドが磨かれ、完全に仕上がったような完成度。
 AORな時代のそんな音にも、ヴォーカル入りフュージョンにも聞こえますが、派手なブレークまでがナチュラルで柔らかなブラジリアンポップス。
 必殺の高速ブラジリアンファンクにアレンジされたBaden Powellから始まり、João Bosco, Joyce, Cartola, Guingaなど、粒揃いのキャッチーなブラジル曲たち。
 緩急織り交ぜた余裕たっぷりの歌は、あの超絶なスピードと変幻自在な表現に加えて、エレピが印象的なスッキリとしたサウンドと相まってとても優雅。
 現代の女王、娘Maria Ritaさんの音と同じくらい現代的な洗練。
 特殊な熱にうなされたような“Elis Regina in London” (1969)に対して、スッキリまとまった本作。
 こちらをイチオシにする人も多いのでしょう。
 納得の完成度の傑作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Elis” (1977) Elis Regina

“Elis” (1977) Elis Regina

Elis Regina (vocal)
Cesar Mariano (Piano, Electric Piano, Organ, Synthesizer)
Nathan Marques, Carlão, Renato Teixeira (Guitar) Crispin Dell Cistia (Guitar, Synthesizer) Wilson Gomes (Bass) Dudu Portes (Drums, Percussion)
Marcio Werneck, Sérgio Mineiro (Flute)
Carlão, Nathan Marques, Renato Teixeira, Sérgio Mineiro (Vocals) and others

Elis 1977
Elis Regina
Universal Brazil
1977-12-01


 Elis Regina、1977年の”Elis”。
 黒縁の物憂げな表情のジャケット。
 フォークロックなアルバム。
 プロデュースには夫君のCesar Marianoがクレジットされ、ブラジルの新しい所からの選曲も変わった感じはしないのですが、“Elis” (1974)あたりとは少し違った印象。
 ギターを中心としたフォークな感じの音作り。
 サンバ、ファンクなビートもあまり聞かれない、落ち着き方がまた違った抑制された音。
 二曲ずつが選曲されている当時のMilton Nascimento, Ivan Linsあたりのサウンドを狙ったのでしょうかね?
 結果的にはバックの強烈なサウンドではなく、Elisさんの歌が強調されたイメージ、ときおりのバラードが映える構成。
 傑作“Elis, Essa Mulher” (1979)に向かうステップとみるか、迷いの時期とみるか。
 好みは分かれるのかもしれませんが、鬼のようなアルバムが並ぶ中、時代が感じられていい感じかなあ、と思います。




posted by H.A.


【Disc Review】“Elis & Tom” (1974) Elis Regina, Antonio Carlos Jobim

“Elis & Tom” (1974) Elis Regina, Antonio Carlos Jobim

Elis Regina (Vocals) Antonio Carlos Jobim (Vocals, Piano, Guitar)
Cesar Camargo Mariano (Piano) Hélio Delmiro, Oscar Castro Nieves (Guitar) Luizao Maia (Bass) Paulo Braga (Drums) and others

Elis & Tom (Dig)
Antonio Carlos Jobim
Verve
2008-06-03


 ブラジルのカリスマElis Regina、Antonio Carlos Jobim両巨頭の共演作。
 大名曲”Águas de Março”から始まる不朽の名曲群。
 Elisさんの諸作の中では落ち着いた静かな音・・・
 とかなんとか、これをあーだこーだ書いてしまうことこそ、野暮の極み。
 座して聞くのみ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Elis” (1974) Elis Regina

“Elis” (1974) Elis Regina

Elis Regina (vocal)
Cezar Camargo Mariano (Piano, Electric Piano, Harpsichord, Clavinet, Organ) Helinho, Natan (Guitar) Luizão (Bass) Toninho (Drums) Paulinho (Bongos) Chico Batera (Percussion) Classic VIII (Vocal)

Elis
Elis Regina
Universal Portugal
1994-02-10


 Elis Regina、1974年の“Elis”。
 大きな文字のジャケット。
 静かなジャジーなピアノの音から始まる本作。
 落ち着いた表情で始まり、徐々に盛り上がり、ドカーンとくるバラードが目立ちます。
 冒頭曲に続くMilton Nascimento曲が三連発もそんな感じ。
 とてもドラマチック。
 前作と同様にJoão Bosco、Gilberto Gilも数曲ずつ。
 まだ1970年代初頭の香りが濃厚ですが、バンドは夫君のピアノ、エレピが先導するグルーヴィーながら落ち着いたサウンド。
 シャウトする爆発ヴォイスが戻り、しっとり系の歌と交錯するほどよいバランス。
 落ち着いたファンクなバンドを含めて、このあたりで今に至るMPBに続いていく音の原型ができたようにも聞こえます。
 現代の女王、娘Maria RitaさんやDani & Debora Gurgel閥のサウンド然り。
 そんな感じの現代MPBの入り口、まとまった感のある一作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Elis” (1973) Elis Regina

“Elis” (1973) Elis Regina

Elis Regina (vocal)
Cesar Camargo Mariano (Piano, Keyboards)
Luizão Maia (Bass) Paulinho Braga (Drums) Chico Batera (Percussion)
Toninho Horta, Ari, Roberto Menescal (Guitar)
Maurílio da Silva Santos (Trumpet) Ubirajara Silva (Bandoneon)

Elis 1973
Elis Regina
Universal
2007-08-21


 Elis Regina、1973年の“Elis”。
 白地にシルエットなジャケット。
 あのシャウトが戻ってきていますが、前作の“Elis” (1972)と同じく大人数のホーン陣のサポートはなく、落ち着いたムード。
 選曲はGilberto Gil、João Boscoを三曲ずつなど、いつものトレンドを取り入れつつのブラジリアンポップス。
 が、アレンジはいろんな色合い、ティンパニーが鳴り響く大仰で重いムード、バンドネオンをフィーチャーしたタンゴな演奏もあれば、後に繋がるソウルっぽいピアノトリオが先導するグルーヴィーでスッキリした演奏もあり。
 さらには、ボサノバを刻むガットギター、クリーントーンでジャズなエレキギター(Toninho Horta!)でクールダウンなどなど、さまざまな表情の楽曲が交錯します。
 ジャズな1960年代、ソウルな1970年の入り口から変わって、夫君のCesar Camargo Marianoと共にどんな音を作っていこうか、試行の時期のようにも感じます。
 そんな過渡期な感じの一作。




posted by H.A.


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