吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

【Disc Review】“Rubisa Patrol” (1976) Art Lande

“Rubisa Patrol” (1976) Art Lande

Art Lande (piano)
Bill Douglass (bass, flute, bamboo flute) Glenn Cronkhite (drums, percussion)
Mark Isham (trumpet, flugelhorn, soprano saxophone)

Rubisa Patrol
Art Lande
Ecm Import
2008-11-18


 アメリカ人ピアニストArt Lande、“Red Lanta” (1973)に続くECMでの第二作。
 ピアノトリオ+トランペットのカルテット編成。
 前作と同じく優しくてフォーキーですが、ビート感が強まり、シャープなトランペットが鳴る分、あるいはインプロビゼーションの時間が長い分だけ、クラシックよりもジャズ寄り、クールさ妖しさが増。
 要所々にちりばめられた疾走、ときおりのフリーな場面を交えつつも、あくまで穏やかでリリカル。
 静かにグルーヴし、スムースに疾走するピアノトリオ、端正なトランペット。
 淡いメロディ、漂うようなアンサンブル、インプロビゼーションが、穏やかな空気に包まれながら流れていきます。
 1970年代ECM作品では少数派であろう、キツくない優しい音。
 40年以上前の音ながら、全く古さなし。
 穏やかな今の時代感に合っているのかもしれません。
 前作が爽やかな朝なら、本作は穏やかな昼下がり。
 心地よい時間。




posted by H.A.


【Disc Review】“Red Lanta” (1973) Art Lande

“Red Lanta” (1973) Art Lande

Art Lande (piano) Jan Garbarek (soprano, bass sax, flutes)

Red Lanta -Reissue/Digi-
Art Lande
Ecm
2019-05-17


 アメリカ人ピアニストArt Landeのデビュー作、Jan GarbarekとのDuo。
 Jan Garbarek 視点では“Witchi-Tai-To” (Nov.1973) Jan Garbarek, Bobo Stensonと同時期、”Belonging” (1974)、”Arbour Zena” (Oct.1975) Keith Jarrettの間の録音。
 ECMでは、上記に加えて”ECSTASY” (1974) Steve Kuhn、”Underwear” (1971) Bobo Stenson、”Hubris” (1977) Richard Beirach、”Piano Improvisations Vol.1,2” (Apl.1971) Chick Coreaなどなど、強烈なピアニスト作品が並ぶ時期。
 ハイテンションなそれらに対して、本作は緩やかでクラシカル、さらにアメリカンでフォーキーなムード。
 ゆったりとしたビートと、淡い色合いの優しく穏やかなメロディ。
 要所でタメを効かせながら丁寧に置かれていく端正なピアノと、張りのある管の音の漂うような絡み合い。
 この期のJan Garbarekさんは血が噴き出すような激しいの音のはずなのに、なぜか穏やかに聞こえてきます。
 フルートなどは鳥のさえずりのように聞こえてしまうのは、優しいメロディとピアノゆえでしょうか。
 1970年代ECM、上掲のような狂気が漂うようなハイテンションな名作群がスゴイのですが、ノーブルでリラックスして聞ける本作、今聞くとかえって新鮮だったりして。
 さわやかな朝にピッタリな音。




posted by H.A.


【Disc Review】“Lost River” (2018) Michele Rabbia

“Lost River” (2018) Michele Rabbia

Michele Rabbia (drums, electronics)
Eivind Aarset (guitar, electronics) Gianluca Petrella (trombone, sounds)

Lost River
Michele Rabbia
Ecm
2019-05-31


 イタリア人パーカッショニストMichele RabbiaのECM作品。
 おそらくフリー系、ECMでは“Re: Pasolini” (2005) Stefano Battagliaなどへ参加していた人。
 Enrico Ravaとの共演が多いイタリアントロンボーン奏者と、ノルウェーのアンビエント~先端系ギターの変則トリオ。
 静かでスタイリッシュなアンビエント系ミュージック。
 どこまでが電子音で、どこからが人が出しているのか曖昧なビート。
 抑制された電子音が奏でる哀し気なコードの移り変わり、あるいはシンプルなリフの繰り返しの中を、静かに舞うシンバル、乾いた革の擦過音、鐘の音、ギターのシングルトーン、コード、遠くから響いてくるような、あるいはときおり前面に出てジャズを奏でるトロンボーン。
 電子音と生楽器、各々の楽器の音の境界が曖昧になり、浮遊、疾走、混沌、静謐、覚醒・・・グラデーションを描きながら次々と変わっていく景色。
 予想できない展開ながら、難解、意味不明ではなく、メロディアスでセンチメンタルな音の動き。
 終始流れているのは、どこか遠くを眺めるような柔らかな哀感。
 ビートと旋律、夢と現実、過去と未来、人間と機械・・・、それらの境界が曖昧になった、それでいて調整が取れた摩訶不思議な時間。
 とてもクールでセンチメンタル。




posted by H.A.


【Cinema Paradiso】『アベンジャーズ/エンドゲーム』 (2019)

『アベンジャーズ/エンドゲーム』  (2019) 



 監督アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ、出演ロバート・ダウニー・Jr、クリス・エヴァンス、マーク・ラファロ、クリス・ヘムズワース、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナー、ドン・チードル、ポール・ラッド、ベネディクト・カンバーバッチ、チャドウィック・ボーズマン、ブリー・ラーソン、トム・ホランド、カレン・ギラン、ゾーイ・サルダナ、エヴァンジェリン・リリー、テッサ・トンプソン、レネ・ルッソ、エリザベス・オルセン、アンソニー・マッキー、セバスチャン・スタン、トム・ヒドルストン、ダナイ・グリラ、ベネディクト・ウォン、ポム・クレメンティエフ、デイヴ・バウティスタ、レティーシャ・ライト、ジョン・スラッテリー、ティルダ・スウィントン、ジョン・ファヴロー、ヘイリー・アトウェル、ナタリー・ポートマン、マリサ・トメイ、タイカ・ワイティティ、アンジェラ・バセット、マイケル・ダグラス、ミシェル・ファイファー、ウィリアム・ハート、コビー・スマルダーズ、ヴィン・ディーゼル、ブラッドリー・クーパー、グウィネス・パルトロー、ロバート・レッドフォード、ジョシュ・ブローリン、クリス・プラット、サミュエル・L・ジャクソン、真田広之、他。
 言わずと知れた『アイアンマン』 (2008)~『アベンジャーズ』 (2012)シリーズの最終話。
 たっぷり三時間、有名どころの出演者の名前を見るだけでもごちそうさまな、超超超豪華スペクタクル。
  前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』 (2018)で戦いに敗れ、半数が消滅してしまった人類、アベンジャーズ。
 さて、それをどのように回復するのか、そして長大なシリーズをどのように結ぶのか。
 結論からすれば、見事な決着、想像をはるかに超えるカッコよさ。
 この脚本、演出には、ただただ感服するのみ。
 それぞれのヒーローにそれぞれの見せ場を設定しつつの超弩級の大活劇、凄まじいまでのアクション、スピード感、それを支えるビックリ仰天なまでのCG、さらに今回のギャグ担当はソーとハルクでしょうか・・・
 ま、そのあたりまではお約束として、それだけにはとどまらない展開。
 何とも言えないハードボイルドネス。
 本作での登場時間は長くない”ドクター・ストレンジ”が前作で何をして、本作でトニー・スターク(アイアンマン)とどんな会話をしていたのかを考えると、後から深い感慨が・・・
 それがあまり強調されていないのも奥ゆかしくて、これまたハードボイルド。
 あのいつものド派手なスーパーヒーローものね・・・ってな感じで侮ってはいけません。
 『アイアンマン』~『アベンジャーズ』しか観ていない立場からも、予想の何倍も楽しめましたが、観ていなかったシリーズ作品を含め、順を追って観てみましょうかね。
 半年ぐらいは十分楽しめそうだし、さらに本作も何倍も面白くなるのでしょう。




posted by H.A.


【Disc Review】“Bloom” (2016) Areni Agbabian

“Bloom” (2016) Areni Agbabian
Areni Agbabian (Voice, Piano) Nicolas Stocker (Drums, Percussion)

Bloom
Areni Agbabian / Nicolas Stocker
Ecm
2019-04-26


 アルメニアルーツのアメリカンAreni Agbabian、DuoでのECM作品。
 静謐な無国籍ミュージック。
 Tigran Hamasyanバンドにボーカルとして参加していた人。
 サポートはNik Bartsch’s Mobileの人。
 少し重めのピアノと繊細なパーカッションの漂うような音を背景にした、ウィスパーな声。
 全編に哀しさを湛えた、ヨーロッパでも中近東でもない、それらが入り混じるエキゾチックなメロディ、そして敬虔なムード。
 全編スローテンポ、抑えられた音数、場面によっては残響音のみの時間の方が長く感じられるような、余白たっぷりの音の流れ。
 そんな時間の中を漂うとてつもなく美しい声。
 シルキーなようなハスキーなような微妙なバランスの声と、ジャズでもロックでもない、おそらくはクラシックがベースなのであろう歌。
 メロディアスな楽曲と断片的なインプロビゼーション、短い楽曲が錯綜しながら進む時間。
 美しい声とときおりのカリンバの音、朗読に覚醒を促されつつも、まどろむような、あるいは迷宮のような時間が続きます。
 現代アメリカンが感じるアルメニアンSaudadeはこんな空気感なのでしょうか。
 とても哀し気で敬虔、そして幻想的。
 いつなのか、どこなのかわからない、静かで清廉な場所へのトリップミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“Ochumare” (2012) Yilian Cañizares

“Ochumare” (2012) Yilian Cañizares

Yilian Cañizares (Violin, Vocals)
Abel Marcel Calderón Arias (Piano) David Brito (Double Bass) Cyril Regamey (Drums, Percussion)

Ochumare
Canizares
Naive Jazz
2013-08-27


 キューバ出身の女性バイオリニスト&ボーカリストのキューバンコンテンポラリージャズ、ボーカル入り。
 “Aguas” (2017) でOmar Sosaと共演していた人。
 スイス在住のようで、メンバーは南米、ヨーロッパの混成チーム、コンテンポラリージャズなピアノトリオ。
 ラテンなビートに上品で美しいピアノ。
 グルーヴィーに突っ走るピアノトリオに、旧上昇、急降下を繰り返す、ときおり激情が混ざるバイオリン。
 ちょっと不思議系、エスニックなメロディを口ずさむ、妖しくハイテンションなヴォイス。
 といっても、怒涛のキューバンジャズには、なりそうでなりません。
 ラテンなムードたっぷりながら、上品で抑制されたヨーロピアンジャズが不思議に混ざり合う空気感。
 そんな中を自在に駆け巡るバイオリンとヴォイス。
 暑すぎず寒すぎず、激しすぎずおとなしすぎない、ほどほどのバランス。
 ビジュアルの華やかさも含めて、そろそろブレイクしそうな予感がするのだけど、さて?




posted by H.A.


【Disc Review】“The Gabby Pahinui Hawaiian Band Volume 1” (1975) The Gabby Pahinui Hawaiian Band

“The Gabby Pahinui Hawaiian Band Volume 1” (1975) The Gabby Pahinui Hawaiian Band

Gabby Pahinui (Steel Guitar, 12string Guitar, Bass)
Leland "Atta" Isaacs, Bla Pahinui, Sonny Chillingworth (Guitar, Vocals) Ry Cooder (Mandolin, Tiple) Cyril Pahinui, Randy Lorenzo (Bass, Guitar, Vocals) Manuel "Joe Gang" Kapahu (Bass) Milt Holland (Drums) Gabby Pahinui (Percussion) Nick DeCaro (Accordion) Keli‘i Tau‘a (Chanter)

Gabby Pahinui Hawaiian Band Vol.1
Gabby Pahinui ギャビーハピヌイ
Panini
1996-10-27


 ハワイのスチールギターを中心としたアーティストGabby Pahinui、ハワイアン・アコースティック・フォークなんて言葉が似合いそうな音。
 あのRy Cooderの名作 “Chicken Skin Music” (1976)に参加していた人。
 それに漂うハワイなムードはもちろんこの人の色合い。
 ギター中心とした弦楽器の絡み合い、さらにいかにもハワイな余裕たっぷり、裏声たっぷりなテノールヴォイスがフューチャーされます。
 ホテルのラウンジで流れていそうな洗練されたイージーリスニング系ではなく、ネイティブな感じもたっぷり。
 もちろん全編楽園ムード。
 のほほんとしたメロディに、ゆるーくてワイワイとした賑わい。
 そんな音の流れの中にテローンと響くスチールギターが心地よいこと、この上なし。
 Ryさんも数曲に参加、“Chicken Skin Music” (1976)っぽい感じもそこかしこ、というか、ここからの流れだったのでしょうね。
 あるいは後の“Buena Vista Social Club” (1996) のハワイ版ってな感じもしますかね。
 とてもエレガント。




posted by H.A.


【Disc Review】“Luiza” (1964) Luiza

“Luiza” (1964) Luiza

Luiza (vocal) 
Moacir Santos (Arranged, Conductor) and others

ルイーザ
ルイーザ
BMG JAPAN
2002-05-22


 ブラジルの女性ボーカリストLuizaの唯一のアルバム。
 ジャズサンバコンボとときおりストリングスを従えたジャジーなMPB。
 ジャケットの女優然とした可憐な写真があるだけで、経歴、フルネームすらよくわからない謎の美人さん。
 が、このアルバムは最高。
 洗練されたジャズサンバコンボを背景にした、しっとりしているようなサラリとしているような、微妙なシルキーヴォイスのクールな歌。
 演奏はタイトでかっこいいし、声は最高、もちろん歌唱力もバッチリ。
 楽曲はあまり知られていないブラジル曲が中心ですが、どれもメロディアスでキャッチー。
 掘り出し物というか、ブラジルにはどれだけ素晴らしいボーカリストがいるのか、知らないところにどれだけ素晴らしい音源があるのか、はかり知れないというか・・・
 1960年代、隠れた?名作ブラジリアンポップス。
 

 

posted by H.A.


【Disc Review】“Alaide Costa” (1965) Alaide Costa

“Alaide Costa” (1965) Alaide Costa

Alaide Costa (vocal)
and others

アライジ・コスタ BOM1136
アライジ・コスタ
ボンバ・レコード
2014-09-06


 ブラジルの女性ボーカリストAlaide Costa、ジャジーな1960年代MPB。
 元気なジャズサンババンドに、ハスキーヴォイス。
 現代の音楽でも聞こえてきそうなホーン陣のオブリガードがカッコいい
 さらにストリングスも交えながらのちょっと派手に過ぎませんかねえ・・・なんて変幻自在なアレンジ。
 それが時代感があっていい感じ、っちゃあその通り。
 Chico Buarqueの魅惑なメロディから始まって、知る人ぞ知るのであろうブラジルのメロディたち。
 少しねっとりした感じで遅れ気味に置かれていく声。
 ボサノバやフォーク調もあるのですが、派手なアレンジと混ざり合って“夜”な感じ。
 サラリとしたMPBをついつい好んで聞いてしまうのですが、時にはこんなテイストもいい感じ。
 ちょっと濃いめの1960年代ブラジリアンポップス。


 

posted by H.A.


【Cinema Paradiso】『ミスター・ガラス』(2019)

『ミスター・ガラス』(2019)

ミスター・ガラス (字幕版)
ジェームズ・マカヴォイ
2019-04-17


 監督・脚本M・ナイト・シャマラン、出演ジェームズ・マカヴォイ、ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン、アニャ・テイラー=ジョイ、サラ・ポールソン他。
 不死身のヒーローサスペンス『アンブレイカブル』(2000)と多重人格サイキックサスペンス『スプリット』(2016)のストーリーを合体させた続編。
 MarvelやらDC-Comicsやらの流行りに乗って・・・ではなくて、もともと『アンブレイカブル』(2000)制作の際に構想していた模様。
 『スプリット』の獣と化す多重人格者”ケヴィン”、『アンブレイカブル』の不死身のヒーロー”ダン”。
 諸々を経て二人は逮捕され、『アンブレイカブル』のサイコな”イライジャ”が収容されている精神病院に集結。
 なぜ三者はそこに集まったのか?
 裏表で動く秘密組織と思しき面々。
 さらに『スプリット』の訳ありヒロイン”ケイシー”、ダンの息子も絡みつつ、さて、どんなどんでん返しが待ち受けているのやら・・・
 M・ナイト・シャマランらしいダークな空気感はいつも通りですが、ホラー度はなし、その分珍しくアクション多めでしょうか。
 なるほど先の二作はそう繋がって、こんな感じで結ぶのかあ・・・に加えて、やはり彼なりのスーパーヒーローモノのやり方を世に問いたかったのかなあ・・・とか思ったり。
 諸々含めて、彼の作品としては異色なのかもしれません。
 が、やはり彼流、終盤に二転三転の急展開。
 一筋縄ではいかない、ひねったスーパーヒーローモノな一作。




posted by H.A.


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