吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

【Disc Review】“Serpentina” (2017) André Mehmari, Juan Quintero, Carlos Aguirre

“Serpentina” (2017) André Mehmari, Juan Quintero, Carlos Aguirre
André Mehmari (Voice, Piano, Oberheim, Synth, Accordion, Harmonium, Koto, Viola de arco, Bandolim, Acoustic bass, Pandeiro, Pife) Juan Quintero (Voice, Guitar, Charango, Bombo, Percussion) Carlos Aguirre (Voice, Piano, Accordion, Fretless bass, Guitar, Percussion)



 ブラジルのAndré Mehmariと、アルゼンチン、現代フォルクローレのAca Seca TrioのJuan Quintero、現代フォルクローレのドン?Carlos Aguirreのトリオ作品。
 夢のなんとか・・・と書いてしまうのが憚られるような、あざといまでの組み合わせ。
 “Triz”(2012)André Mehmari, Chico Pinheiro, Sérgio Santosなんてブラジル人スーパーなトリオ作品もありましたが、それを上回るようなビッグネームなセッション。
 クラシックとジャズとMinasなAndré Mehmariと、元気系ポップスなフォルクローレなJuan Quinteroと、しっとり系フォルクローレのAndré Mehmari
 それらが交錯し混ざり合う音。
 穏やかな怒涛?のような全18曲。
 三人で概ね均等に楽曲を分け合い、他にブラジル曲、アルゼンチン曲を数曲。
 プロデューサーにAndré Mehmariのクレジット、また多くの楽曲でピアノを弾く彼の色が少々強いのかもしれません。
 が、さすがにつわものたち、いい感じでフュージョンし、André Mehmari諸作とは違う色合い。
 あの素晴らしくも強烈なピアノが続くと聞き疲れするかな・・・?と思っていたら、Carlos Aguirreの優しいピアノに変わってみたり、思い出したように水が滴るようなギターが聞こえたり、穏やかなだったり楽し気だったりのアコーディオンが聞こえたり・・・
 さらにはボーカリストが入れ替わりながらのさまざまなコーラスワーク。
 ・・・瑞々しい感性が有機的に絡み合いながら、自然に対するリスペクトとそこはかとない感傷、憂いを秘めた・・・とかなんとかの恥ずかしくなるような形容がそのまま当てはまってしまう音なのだから、困ってしまいます。
 André MehmariCarlos Aguirreがお互いに捧げ合っている曲もあり、まあ、そこまで演出しないでも・・・とも思ってしまいますが、それらがまた素晴らしい演奏なので、まあ、何と申しましょうか・・・
 全編、フワフワしていて、優しくて、センチメンタルで、でも前向きで・・・
 南米の郷愁感の極めつけ。
 ピアノを中心としたジャズ的インプロビゼーションのスペースもたっぷり。
 企画負けすると・・・?は全くの杞憂。
 大変失礼しました。
 期待以上の極上の出来。
 月並みな結論ですが、2017年の一番はこれでしょう。




posted by H.A.

【Disc Review】“Am60 Am40” (2017) Antonio Meneses, Andre Mehmari

“Am60 Am40” (2017) Antonio Meneses, Andre Mehmari
Antonio Meneses (cello) Andre Mehmari (piano)


Antonio Meneses 2017-09-01

 気がついたら新譜が出ている、多作の2017年のAndre Mehmari。
 サンバな“Três no Samba” (2016)、ブラジリアンジャズの“Guris” (2016)に、南米フォルクローレの“Serpentina” (2017)と来て、こちらはクラシック。
 チェリストとのDuo作品。
 Antonio Menesesについての情報はもっていませんが、タイトルからして60歳のベテラン、クラシックの人なのでしょう。
 巨匠な人なのかもしれませんが、そちらに疎くて・・・
 J.S.Bachで始まり、間にJ.S.Bachを何曲か、J.S.Bachで締め。
 その間にAndre Mehmariのオリジナル曲、さらにとても悲しいJobimナンバー、長尺、激情なAstor Piazzollaナンバーに、その他南米のクラシック曲?などなど、短めの演奏を中心にたっぷり15曲。
 前面に出るのはチェロ。
 丁寧に端正に紡がれる音。
 一歩後ろに引いた感じのピアノですが、いつものタメと疾走が交錯する例の音使い。
 ゆったりとしたチェロが奏でる旋律の後ろで漂い、舞い落ち、時に転げまわるピアノ。
 もちろん全体の空気感はクラシックですが、その合間合間にMinasのような、Jazzのような、郷愁感が漂うサンパウロ~Andre Mehmariの色合い。
 お得意のワルツを含めて、フワフワと漂うような強い浮遊感。
 さらに少々沈痛なタンゴの色も加わり、優雅で優しい音、センチメンタルな音、Egberto Gismontiなハイテンションな音、その他諸々、ブラジル~南米な空気感がてんこ盛り。
 ECMでも同フォーマットの作品が多数ありますが、それらほど妖しくなく、トゲもない端正な音。
 クラシック作品としてはどうなのかはわかりませんが、ジャズの耳からすれば、とてもわかりやすくて心地よい作品でしょう。
 中盤以降、少々重めで激しい演奏もありますが、上品で優し気なムードが勝ります。
 クラシックながら南米の香りがする音の流れと浮遊感。
 南米・コンテンポラリー・クラシックとでも呼ぶのでしょうかね。
 とても美しくて、とても優雅です。




posted by H.A.

【Disc Review】“Piano Solito” (2016) Sebastian Macchi

“Piano Solito” (2016) Sebastian Macchi
Sebastian Macchi (piano)

Piano solito
Sebastian Macchi
Shagrada Medra / bar buenos aires
2016-11-30

 
 アルゼンチンのピアニストSebastian Macchiのソロピアノ作品。
 ここまでのバンド作品“Luz de agua: Poemas de Juan L.Ortiz- Canciones” (2005), “Luz de agua: Otras canciones” (2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva、それらの名作とは少し印象が異なります。
 とても静かな音ですが、ビートが整ったキリっとした音。
 揺らぐ時間というよりも、静かで端正、淡い色合いのピアノミュージック
 やはり師匠Carlos Aguirreのピアノソロ作品“Caminos” (2006) に近いものを感じます。
 ジャズともクラシックともフォルクローレとも違う質感、それらの断片が交錯しながら積み上げられていく音。
 その意味では“Tokyo Solo” (2013) Andre Mehmariあたりにも近いのですが、もっと静かで淡々とした音。
 しばしばタメの入るCarlos AguirreAndre Mehmariのピアノに対して、スッキリとまとまった端正でクールなピアノ。
 過度に感情を表出するのではなく、静かに淡々と音を紡いでいくイメージ。
 もちろん楽曲はあの美しいSebastian Macchiのメロディ、センチメンタルな音の流れ。
 どこか懐かし気な南米アーティスト特有の空気感。
 派手さ、刺激がない分、穏やかな時間。
 静かで穏やかで優しい人なのでしょう。
 最初から最後まで、そんなピアノミュージック。




posted by H.A.



【Disc Review】“Luz de agua: Otras canciones” (2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva

“Luz de agua: Otras canciones” (2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva
Sebastian Macchi (piano, voice) Claudio Bolzani (guitar, voice) Fernando Silva (bass)
Negro Aguirre (percusión)

Luz de agua : Otras canciones
Sebastián Macchi
bar buenos aires
2015-06-28



 アルゼンチン、現代フォルクローレのトリオ、名作“Luz de agua: Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones” (2005)の続編。
 本作のテーマも「光と水」、アルゼンチンの詩人Juan L. Ortizの作品の楽曲化。
 前作と同様にSebastian Macchiのメロディが中心ですが、他のメンバーのメロディも何曲か。
 前作と比べると、テンポが上がって、明るくポップ度が高い、Aca Seca Trioっぽい演奏も目立ちます。
 ・・・と思っていたらそのメンバーも参加していましたね。
 ともあれ、鳥のさえずり、子どもの声などがコラージュされる全体の空気感は10年前の前作と同様。
 全体を支配するのはSebastian Macchiの繊細なメロディとピアノ、Claudio Bolzaniの儚げな声。
 より儚く繊細なのは前作かもしれませんが、全編スローだった前作と比べると、アップテンポなビート、わずかながらに使われる電子音を含めて、音のイメージのバリエーションが増え、次々と周囲の景色が変わっていくような展開。
 凝ったアレンジ、コーラスワークの場面も増え、より洗練された感じがします。
 完璧なアンサンブルと、端々に聞こえるピアノ、ギターのオブリガードの美しい事。
 前作が早朝のような音だったとすれば、本作は午前。
 ちょっと温度感が上がって、諸々の営みが動き出したイメージの空気感。
 静謐な揺らぎの前作、躍動感が加わった本作、どちらがいいかはお好み次第。




posted by H.A.


【Disc Review】“Luz de agua: Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones” (2005) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva

“Luz de agua: Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones” (2005) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva 
Sebastian Macchi (piano, voice) Claudio Bolzani (guitar, voice) Fernando Silva (bass, cello, berimbau)
Carlos Aguirre (guitar, percussion) Leandro Drago (keyboard) Jose Luiz Viggiano (percussion)

Luz de agua : Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones
Sebastián Macchi - Claudio Bolzani - Fernando Silva
bar buenos aires
2016-01-31


 アルゼンチン、現代フォルクローレのトリオのとても優しい音楽。
 ゲストで参加もしているCarlos Aguirreのレーベルから。
 名作“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004)、“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)の間の制作。
 楽曲、ピアノ、ボイス、コーラスの使い方、その他諸々、Carlos Aguirreの世界。
 本作のテーマは「光と水」。
 アルゼンチンの詩人Juan L. Ortizの作品にSebastian Macchiがメロディを付けた楽曲集。
 いかにもな企画といえばその通りなのですが、企画負け一切なしの素晴らしい音。
 とてもとても繊細な「光と水」の印象そのまま。
 全編漂うようなゆったりとしたテンポと、瑞々しく静謐な空気感。
 Sebastian Macchiの零れ落ちるようなピアノを中心としたサウンドに、Claudio Bolzaniの儚げなボイス。
 Sebastian Macchiのメロディ、ピアノはCarlos Aguirreに近しい感じですが、ボイスはもっと線が細くて儚げ。
 端々の細かなメロディ、音の動きがさり気なく悲し気で美しくて・・・
 静かに穏やかに流れるサウンドは、柔らかに注ぐ光、穏やかに流れる水、柔らかに吹く風・・・って書いてしまうと少女趣味(死語?)のように思えて恥ずかしいのだけども、本当にそうなのだから仕方ありません。
 内省的、耽美的なんて言葉を聞くと、いまだにBill Evansかヨーロッパ系のジャズを想い起こしてしまうのですが、21世紀型の内省的、耽美的な音は、南米発のこの系の音かもなあ・・・と思ったりします。
 悲痛だったり陰鬱だったりする感じではなく、あくまで淡々とした感じ、爽やかでクールな、さり気ない美しさと哀感。
 そんなとても繊細な音です。




posted by H.A.


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