吉祥寺JazzSyndicate

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【Disc Review】“Comme à la Radio” (1969) Brigitte Fontaine

“Comme à la Radio” (1969) Brigitte Fontaine

Brigitte Fontaine (voice)
Areski Belkacem (percussion, voice) 
Lester Bowie (trumpet) Joseph Jarman (saxophones, oboe) Roscoe Mitchell (flute) Malachi Favors Maghostut (bass)
Leo Smith (trumpet) Jacques Higelin (guitar) Jean-Charles Capon (cello) Albert Guez (Lute) Kakino De Paz (voice)



 シャンソン?フレンチポップス?女優?のBrigitte Fontaine、アヴァンギャルドシャンソン。
 半数ほどの楽曲でArt Ensemble of Chicagoが参加しています。
 ウイスパーというよりも溜め息たっぷりVoice。
 妖しい。
 夫君Areski Belkacemのものであろう楽曲は、フレンチな感じがちらほらするポップス風味と地中海~中近東あたりのエスニックなものが交錯。
 次にどうなるのか予測不可能、よじれ、明後日の方向に動いていく音。
 Art Ensemble of Chicagoの面々は大きな音は出しません。
 自諸作のように強烈にブラックミュージック色を前面に出すわけでもありません。
 静かなジャズ。
 静かに迫ってくるような緊張感。
 静かなアヴァンギャルド。
 摩訶不思議。
 とても妖しい。




posted by H.A.



【Disc Review】“The Third Decade” (1994) The Art Ensemble of Chicago

“The Third Decade” (1994) The Art Ensemble of Chicago

Lester Bowie (trumpet, fluegelhorn)
Joseph Jarman (saxophones, clarinets, percussion, synthesizer) Roscoe Mitchell (saxophones, clarinets, flute, percussion) Malachi Favors Maghostut (bass, percussion) Don Moye (drums, percussion)

Third Decade
Art Ensemble Of Chicago
Ecm Import
2000-09-12


 The Art Ensemble of Chicago、ライブ録音を挿んでECMでのスタジオ録音第三作。
 本作も摩訶不思議な音がてんこ盛り、でも穏やかな音が中心。
 冒頭はスペーシーなシンセサイザーの響きと穏やかな木管楽器のアンサンブル。
 続くは明るい色合いのファンクチューン。
 さらにはノスタルジック風味のジャズバラード。
 いろんな不思議な音が飛び交い、ぶっ飛んでいくような、ぶっ壊れていくようなムードを醸し出しつつも、落ち着いたところに納まっていくアンサンブル。
 後半に入ると、鐘の音を中心とした摩訶不思議なアンサンブルが入り、それらしくなりますが、続くはBlue Noteっぽささえも漂うようなバップチューン。
 キリッとしたウォーキングベースに整然としたソロ回し。
 それなりによじれた感じではあるのですが、その普通のジャズ感が逆に摩訶不思議。
 締めはようやく登場、アフリカンなパーカッション群に導かれた、怒涛のコレクティブフリーインプロビゼーション。
 激烈で沈痛な面持ち。
 そこに至るまでの明るさを想い出すと、これまた摩訶不思議。
 ファンタジックで明るくて穏やか・・・、って感じには落ち着かない、Art Ensemble of Chicagoワールド。
 摩訶不思議。




posted by H.A.


【Disc Review】“Avant Pop” (1986) Lester Bowie, Brass Fantasy

“Avant Pop” (1986) Lester Bowie, Brass Fantasy

Lester Bowie (trumpet)
Rasul Siddik, Malachi Thompson (trumpet) Stanton Davis (trumpet, flugelhorn) Frank Lacy, Steve Turre (trombone) Vincent Chancey (French horn) Bob Stewart (tuba) Phillip Wilson (drums)

Avant Pop
Lester Bowie
Ecm Records
2000-09-12


Lester Bowie、Brass FantasyでのECM制作。
ブラスセクションのアンサンブルを中心として、ソウル、ファンク、ポップスを演奏しよう、ってなスタイルのバンドだったのでしょう。
本作も半数はソウル、ポップス、オリジナル曲もソウル、ファンクな感じ。
演奏自体は、現代ジャズとニューオリンズな感じのオールドスタイルジャズとフリー混じりのコレクティブインプロビゼーションをフュージョンさせたようなサウンド。
混沌の時間はほとんどなく、また、ポップな楽曲が多く取り上げられ、わかりやすい音。
が、やはりどこかよじれています。
コミカルにも妖しくも聞こえるチューバのベースライン、ときおり素っ頓狂にも響くホーンアンサンブル、過剰なまでのドラマチックな感じな演出も織り込みつつのサウンド。
が、前面に出るのは端正なジャズのインプロビゼーション。
なんだか不思議なバランスです。
これはきっと何かあるぞ、と思わせつつ、オーソドックスにも聞こえてしまうビッグバンド風ジャズ。
素直にスウィンギーで楽しそうな演奏を楽しめばいいのかな、と思いつつも、それだけだともったいないような、裏の何かを見落としてしまうような不思議な感覚。
さておき、このジャストなジャズ、ソウルな感じはECMとはちょっとミスマッチだなあ。
 それも含めて、やはり摩訶不思議。




posted by H.A.


【Disc Review】“All the Magic” (1982) Lester Bowie

“All the Magic” (1982) Lester Bowie

Lester Bowie (trumpet)
Art Matthews (piano) Fred Williams (bass) Phillip Wilson (drums) Ari Brown (tenor, soprano saxophones)
Fontella Bass, David Peaston (vocals)



 Lester Bowie、ソロ名義リーダー作、1982年制作。
 前作“The Great Pretender” (1981)に同じ編成、ピアノとサックスはメンバー交代しています。
 前作と同じ感じの一枚と、トランペットその他のソロ演奏が一枚の二枚組。
 一枚目はブラックミュージックの巨人たちへのトリビュートなのであろう演奏集。
 冒頭は漂うような音の流れ、ゴスペルチックなバラードからスタート。
 タイトルの”Luis”はArmstrongさんのことでしょうか。
 ボーカルも交えつつのたっぷり十数分。
 いつ激烈フリーに変わるのかと身構えていても、最後までゆったりとした演奏は変わりません。
 続いて少々陰鬱なフリージャズ、カリプソ仕立てのAlbert Ayler。
 もう一曲の長尺な演奏は、静かで沈痛なフリーな演奏でスタート。
 その中から突然現れ、キッチリ歌われるバラード”Everything Must Change”。
 そして絶叫とともに再び始まるフリーな演奏、激しい集団即興的フリージャズ。
 そして締めはLouis Jordan、あるいはRay Charlesに捧げたのであろう、ジャンピーでハッピーな演奏。
 フリージャズの時間もたっぷり、インプロビゼーションたっぷり、ブルース、ゴスペルなボーカルも散りばめた、さまざまなブラックミュージックのイントロダクション・・・
 ・・・にしては、いろんなところでひねくれているというか、それがカッコいいというか、何と申しましょうか。
 やはり摩訶不思議。
 もう一枚のソロ演奏は・・・さてこれはどうなんでしょう?
 短く刻まれた各曲は、オーバーダビングを交えつつ、例の強烈な表現力でたっぷり吹いている場面もたくさんありますが、水の中に突っ込んでブクブクブク・・・
 これまた摩訶不思議。

※Brass Fantasyでの演奏から。


posted by H.A.


【Disc Review】“The Great Pretender” (1981) Lester Bowie

“The Great Pretender” (1981) Lester Bowie

Lester Bowie (trumpet)
Donald Smith (piano, organ) Fred Williams (bass, electric bass) Phillip Wilson (drums) Hamiet Bluiett (baritone saxophone)
Fontella Bass, David Peaston (vocals)

Great Pretender
Lester Bowie
Ecm Records
2000-09-12


 Lester Bowie、ECMでのソロ名義リーダー作。
 ピアノトリオに二管のオーソドックスな編成、ときおりのコーラス隊。
 これまた不思議感たっぷりのジャズ。
 タイトル曲は16分を超える長尺な演奏。
 ゴスペルチックなバラードから、徐々に激しい系へ遷移していく音。
 かといって長い混沌フリーに突入するわけでも、激しいインタープレーに突っ込むわけではありません。
 壊れそうで壊れない、常に美しくポップなメロディが流れている不思議なバランス。
 端正なトランペットがぶっ飛んでいきそうなバンドを抑えているようにも聞こえます。
 他にはニューオリンズ風のぶっ飛んだアンサンブルやら、超高速フリージャズだと思ったら実は古いポップス・・・やら、ラテンやら、静かに漂う淡いバラードやら、ゴーストの歌声サウンドやら・・・
 摩訶不思議な感じを含めて、Art Ensemble of Chicagoに近い印象ではあるのですが、ピアノが入っていることで少し違う表情になっているかもしれません。
 そのピアノがぶっ飛んでいて、とてもカッコいいのですが。
 あの手この手の表現力たっぷり、キリッとしたトランペットが、最初から最後まで鳴りっぱなし。
 Lester Bowieを最初に聞くならこれ、って感じでよろしいのでしょうかね。




posted by H.A.


【Disc Review】“Full Force” (1980) The Art Ensemble of Chicago

“Full Force” (1980) The Art Ensemble of Chicago

Lester Bowie (trumpet, celeste, bass drum)
Joseph Jarman (saxophone, clarinet, percussion, vocal) Roscoe Mitchell (saxophone, clarinet, flute, percussion) Malachi Favors (double bass, percussion, melodica) Don Moye (drums, percussion, vocal)

Full Force: Touchstones Series (Dig)
Art Ensemble Of Chicago
Ecm Records
2008-10-28


 The Art Ensemble of Chicago、ECMでの第二作。
 “Nice Guys” (1978)のイメージを踏襲、フリージャズ・・・では括れない、不思議感たっぷりのブラックミュージック・・・でも括れそうにはない、摩訶不思議なジャズ。
 冒頭は漂うようにさまざまな音が絡み合うフリーインプロビゼーションが続く事10分、強いビートが入るとアフリカなエスニック色たっぷりの怒涛のジャズ。
 “Live Evil”(1970)あたりのMiles Davisと“Live at the Village Vanguard Again!” (May.1966) あたりのJohn Coltraneが共演しているように錯覚してしまいそうになる場面もちらほら、そんな激しい系。
 続いてCharlie Mingus風ジャズに、Ornette Coleman風疾走ジャズ・・・いや、もっと激しく複雑。
 怒涛のビートと沈痛なサックス、触ると血しぶきが飛びそうな切れ味のトランペットがかっ飛んでいく凄まじい演奏。
 そして最後に収められたタイトル曲は、フリーなコレクティブインプロビゼーション、クールなミディアムテンポの4ビート、アフリカンエスニックなフリージャズが交錯します。
 自由な即興演奏なようで、おそらくは計算し尽くされたアンサンブルが中心なのでしょう。
 いろんな時代のジャズ、アフリカまでも含めたブラックミュージックのショーケースのようでもあるし、激情と不満をエネルギーと面に放出しているようでもあるし、どこか醒めたクールネスが漂っているようでもあるし・・・
 クールな感じがするのは、このバンドにもECMマジックがかかっているのでしょうね。
 難解さはなし、でも複雑怪奇で摩訶不思議、それでいてクールな感じがカッコいいジャズ。




posted by H.A.

【Disc Review】“Nice Guys” (1978) The Art Ensemble of Chicago

“Nice Guys” (1978) The Art Ensemble of Chicago

Lester Bowie (trumpet, celeste, bass drum)
Malachi Favors Maghostut (bass, percussion, melodica) Joseph Jarman (saxophones, clarinets, percussion, vocal) Roscoe Mitchell (saxophones, clarinets, flute, percussion) Don Moye (drums, percussion, vocal)

Nice Guys
Art Ensemble of Chicago
Ecm Records
1994-06-14


 The Art Ensemble of Chicago、ECMでの第一作。
 フリー、トラディショナル、ブルース、ゴスペル、スピリチュアル、アフリカン、演劇?、その他諸々が混ざり合い、交錯するジャズ。
 Lester BowieとしてもECMへの参画を始めた時期、“Divine Love” (1978) Leo Wadada Smith、“New Directions” (1978) Jack DeJohnetteに近い時期の制作のようですが、それらとは全く違うテイスト。
 複雑で摩訶不思議なThe Art Ensemble of Chicagoの世界。
 冒頭はゆったりとしたフリービート、沈痛なジャズがスピリチュアルでユーモラスな歌モノに突然変異し交錯する、不思議感たっぷりな演奏。
 続いてプリミティブな笛系とパーカッション、Voiceが絡み合う、静かでアフリカンなコレクティブインプロビゼーション風からお祭りビートへの11分超。
 さらに疾走する4ビートのフリージャズ、摩訶不思議なフリージャズ、締めはミュートからオープン、クールなトランペットが鳴り続けるミディアム4ビートから、ハイテンションな高速ジャズの怒涛のエンディング。
 全く色合いの違う演奏が並びますが、個々の楽曲にそれぞれ意味があって、さらに全体が構成されているのだろうと思います。
 ブラックミュージックを俯瞰して云々、なのだろうと思いますが、何ともいえない複雑で屈折した感じがします。
 その得体の知れない不思議なムードに浸るか、メッセージを解きほぐしにかかるか、怒涛のインプロビゼーションを楽しむか。
 いずれにしても、過激で凄い演奏が揃った不思議なジャズ。
 さらにECMの透明度が高く冷たい色合いが混ざり合って、スッキリとした感じのフリー系ジャズ、そんな感じがよろしいのでは。




posted by H.A.


【Disc Review】“Unforgettable” (Aug.1992) Joe Pass

“Unforgettable” (Aug.1992) Joe Pass

Joe Pass (guitar)

Unforgettable
Joe Pass
Pablo
1999-02-02


 Joe Pass、アコースティックギターでの独奏。
 “Song for Ellen” (Aug.1992)と同じく、亡くなる二年前の演奏、そちらに遅れて1998年発表。
 少し違う、沈んだ空気感。
 アップテンポでスウィンギーな演奏も少なくない“Song for Ellen”に対して、概ね全般バラードの本作。
 静かに漂うような音の流れ、ゆっくりと爪弾かれるジャズスタンダードたち。
 タメを効かせて揺れながら置かれていく音。
 ソロ演奏ゆえ、自在に伸び縮みするタイム感も含めて、強い浮遊感、情緒的でとても繊細。
 前作ともにどこか遠い所、静かで懐かしい場所、時間へと誘うトリップミュージックですが、トリップ度はこちらが上。
 ゆっくりと所々で淀みつつも、穏やかに変わっていく周囲の景色。
 夢と現、前者の勝ち。
 より流麗で端正なのは“Song for Ellen”かもしれません。
 が、淀みも含めて、本作の方がより優しい感じ。
 2019年時点、本作の方がたくさん流通している感じがするのは、そんな理由からなのかもしれません。
 いずれにしても、いずれ劣らぬAmerican Saudadeな名演集。




posted by H.A.


【Disc Review】“Song for Ellen” (Aug.1992) Joe Pass

“Song for Ellen” (Aug.1992) Joe Pass

Joe Pass (guitar)

Songs for Ellen
Joe Pass
Pablo
1994-11-04


 Joe Pass、アコースティックギターでの独奏。
 亡くなる二年前の演奏、1994年発表。
 後に発表される“Unforgettable” (Aug.1992)と同じセッションでの録音。
 同じくソロの名作“Virtuoso” (1973)の熱気ではなく、近年の“Finally” (Feb.1992)に近いムードの抑制された演奏。
 ここでもメロディ、インプロビゼーションはコードとアルペジオ、オブリガードで装飾され、たくさんの音が弾かれています。
 バラードばかりではなく、半数ほどはテンポを上げたスウィンギーな演奏。
 が、それら含めて、とても静かです。
 耳に馴染んだ有名曲のオンパレード、端正な演奏ながら、どこか非日常的。
 流れていると徐々に周囲の景色が変わっていくように感じます。
 ノスタルジックとは語感が違う、哀しそうでも暗くはない、どこか懐かしい空気感。
 南米系とは一味、二味違う、American Saudadeな音。
 遠い所に連れて行ってくれるトリップミュージック。
 続く“Unforgettable” (Aug.1992)は、漂うようなバラード演奏が集められ、よりSaudade。
 どちらがいいかはお好み次第。




posted by H.A.


【Disc Review】“Finally” (Feb.1992) Joe Pass, Red Mitchell

“Finally” (Feb.1992) Joe Pass, Red Mitchell

Joe Pass (guitar) Red Mitchell (bass, vocal)

Live in Stockholm
Joe Pass
Polygram Records
1993-03-23


 巨匠お二人のライブ録音、ストックホルムでのステージ。
 かつての激しいジャズ、フュージョンブームの熱は落ち、落ち着いたムードで奏でられていくジャズスタンダードの数々。
 ギターの音も飾り気のないジャズの音に戻りました。
 少し沈んだムード。
 ベースも饒舌ながら落ち着いた演奏。
 ベースがいる分、“Virtuoso” (1973)のようにガシガシとコードやオブリガードを自身で挿む必要もなく、シングルトーンでのテーマ~インプロビゼーション、コードでのバッキング。
 オーソドックスです。
 指は速く動きます。
 が、テーマのメロディはむしろタメを効かせて遅れ気味に置かれていき、要所々のフレーズ、オブリガードでときおり、いや、しばしば聞かれる例の神技高速フレーズ。
 それら含めてとても繊細。
 このくらいの感じがちょうどいいなあ。
 あの激しい演奏を経てはじめて到達する境地・・・かどうかはさておき・・・、それはとても穏やかで優しく、そしてオーソドックス。
 やはり名人芸、あるいは神技。




posted by H.A.

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