吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

【Disc Review】“Exotica” (1993) Kip Hanrahan

“Exotica” (1993) Kip Hanrahan
Kip Hanrahan (Producer)
Don Pullen (piano, organ) Jack Bruce (bass, voice) Robby Ameen (drums)
Leo Nocentelli (guitar) Alfredo Triff (violin) 
Guest :
Andy Gonzalez, Anthony Carillo, David Sanchez, JT Lewis, Mario Riviera, Milton Cardona, Lucy Penabaz, Ralph Peterson Jr., Richie Flores

EXOTICA
KIP HANRAHAN
ewe
2010-07-21


 Kip Hanrahanのファンクアルバム。
 本作のテーマがファンク、あるいはアップビートでシンプルにいこう、といった計画だったかどうかはわかりませんが、最初から最後まで、凄まじいグルーヴ、どカッコいいファンク、あるいは強烈で危ないダンスミュージック。
 前作“Tenderness” (1988-1990)の激しくカッコいい場面を抜き出して、ほんの少しだけマイルドにした感じでアルバム一枚作りました、ってな最高のバランス。
 冒頭からカッコいいビート。
 この曲ではパーカッションの参加は無く、オルガン、ベース、ドラム+ピアノのシンプルな編成での演奏ですが、とんでもないグルーヴ。
 ドスの効いたヘビーなエレキベースがブンブンうなりながら強烈な推進力。
 クレジットに詳細が無いのですが、このベースはJack Bruceなのでしょうか?
 縁のあるつわものたち、Bill Laswell, Jamaaladeen Tacuma, Steve Swallowも真っ青の凄まじいベースライン。
 さらに途中から加わるDon Pullenのとんでもないピアノ。
 こりゃスゲーや。
 オルガン含めて、最初から最後まで、これでもかこれでもかと弾き倒しまくり。
 生涯最高の名演・・・かどうかはさておき、前作“Tenderness” (1988-1990)と同様、情け容赦なし、ピアノが破壊されそうな凄まじい演奏。
 すっかりレギュラーに定着したRobby Ameenもドラムも、いいタイミングでスネアドラムが入り続けるKip Hanrahanのハードなサウンドに欠かせないカッコいいビート。
 基本的にはピアノトリオ+オルガン+パーカッションのシンプルな編成が中心なのだけども、そうとはとても思えないド迫力。
 さらに、いつものクラーヴェ、怒涛のパーカッションが鳴りはじめ、ホーンやバイオリンが乗ってくると、これはもう桃源郷・・・
 鳴り続けるパーカッションの連打、強烈な推進力とグルーヴ、シンプルなリフの繰り返しで引き起こされる陶酔感。
 クラクラしてくるような音の渦の裏で表で叩き回され、引っ搔き回されるピアノ・・・
 とても激しい音、強烈なグルーヴを背景にした囁くような激渋ボイスが何ともクール。
 もちろんメロディはいつものやるせない哀愁が漂うライン。
 いつものパターンではあるのですが、背景の激しさ、グルーヴが尋常ではないだけに、激渋ボイスがいつにも増してクールに妖しく響きます。
 激しくとも、どことなくオシャレ。
 やはりKip Hanrahanワールドです。
 この人の作品で、ここまでファンク、あるいはシンプルなアルバムはないと思いますが、これを最高傑作とするのは反則なのでしょうかね?
 Kip Hanrahanのファンクの大名作、いや、古今東西のジャズファンクの中での大名作。




 posted by H.A.

【Disc Review】“Tenderness” (1988-1990) Kip Hanrahan

“Tenderness” (1988-1990) Kip Hanrahan
Kip Hanrahan (Voice, Percussion)
Don Pullen (Piano) Leo Nocentelli (Electric, Acoustic Guitars) 
Sting, Fernando Saunders (Voice, Electric Bass) Andy González (Acoustic Bass) 
Ignacio Berroa, Robbie Ameen, Andrew Cyrille, Marvin Smith (Drums) 
Milton Cardona (Percussion, Congas) Giovanni Hidalgo (Percussion, Congas, Quinto) Cecilia Engelhardt (Percussion) Richie Flores (Percussion, Congas)
Chico Freeman (Tenor Sax) Alfredo "Chocolate" Armenteros (Trumpet) Alfredo Triff (Violin) 
Lucy Penebaz, Diahnne Abbott, Carmen Lundy (Voice)

Tenderness
Kip Hanrahan
Enja
2011-03-08


 アフロキューバンなジャズ~ポップスKip Hanrahan、本作あたりが一番の人気作なのでしょうか?
 それとも“A Thousand Nights And A Night: Red Nights”(1996)なのかな?
 この期のKip Hanrahanサウンドに強烈な色を付けるピアノのDon Pullenが定着。
 サックスのDavid Murrayは抜けてしまいましたが、代わりにChico Freemanの復帰という何ともマニアックな人選。
 Jack Bruceはクレジットされておらず、誰かはわからないものの、囁く激渋ボイスの男声はフィーチャーされています。
 妖しいボイスのCarmen Lundyが継続参加し、超大物Stingも参加しています。
 さらにAstor Piazzollaバンドを意識してか否か、前作辺りから大きくフィーチャーされる揺らぐようなバイオリンが妖し気なムードと緊張感を助長しています。
 CDのフォーマットでは穏やかなソウル~ポップス調のソフトなバラード、LPではブルージーなバラード(?)から始まりますが、助走はそこまで。
 以降は激しい演奏がてんこ盛り。
 延々と続くシンプルなリフと怒涛のように押し寄せるラテンパーカション、別の次元から聞こえてくるような妖し気なバイオリンの音が誘う陶酔感。
 さらに、そんな陶酔感の中、Don Pullenのとてつもなく激しいピアノが意識をグチャグチャにかき回します。
 ぶっ飛んでいます。
 特に2~4曲目、“When I Lose Myself in the Darkness and the Pain of Love, No, This Love”、 “She Turned So the Maybe a Third of Her Face Was in This Fuckin' ...”、“At the Same Time, as the Subway Train Was Pulling Out of the Station”(タイトル長すぎ!)あたりは、エレクトリックMilesハンドもビックリの激しさ。
 ラテンなビートとコード進行が類似しているRolling Stonesの”Sympathy for the Devil”を何倍も激しく妖しく混沌にした感じの、呪術的ですらある音の流れ。
 そんな超弩級に激しい音を背景にした、男声、女声が交錯する囁きボイス・・・
 これは超、妖しく危険。
 このサウンドが、ハードなアフロキューバンジャズのKip Hanrahanの完成形でしょうか。
 次作“Exotica” (1993)、千夜一夜シリーズ“A Thousand Nights And A Night: Red Nights” (1996) に繋がっていると思います。
 トリップミュージックと呼ぶには輪郭が明確に過ぎ、煽情的に過ぎる感じではありますが、どこか遠い非日常に連れて行ってくれるような素敵な音。
 行き着く先はキューバなのか、ニューヨークの薄暗い地下室なのか・・・
 どこが”Tenderness”やねん?ってな感じではあるのですが、もちろんいつもながらに、さり気なくオシャレ。
 しかもクールでハードボイルド。
 いつもながらにカッコいいKip Hanrahanワールド。
 これが代表作に異論なし。




 posted by H.A.

【Disc Review】“Days and Nights of Blue Luck Inverted” (1988-1989) Kip Hanrahan

“Days and Nights of Blue Luck Inverted” (1988-1989) Kip Hanrahan
Kip Hanrahan (Producer, Percussion, Guitar, Keyboards, Voice, Percussion)
Peter Scherer (Piano, Keyboards) Pablo Ziegler (Piano) Leo Nocentelli (Guitar)
Andy Gonzalez, Jack Bruce (Bass) Steve Swallow (Bass, Piano) Fernando Saunders (Voice, Bass)
Ignacio Berroa, Robbie Ameen, Willie Green (Drums)
Milton Cardona, Puntilla (Congas) Giovanni Hidalgo, Anton Fier (Percussion)
Charles Neville, Rolando Napolean Briceno (Alto Sax) Mario Rivera (Baritone Sax) David Murray, George Adams, John Stubblefield (Tenor Sax) Lew Soloff (Trumpet)
Jerry Gonzalez (Trumpet, Congas) Alfredo Triff (Violin) Carmen Lundy (Voice)



 アフロキューバンなジャズ~ポップスのKip Hanrahan、リーダー作第4弾。
 いつもながらのジャズ、ファンク、ロック、ブルース、フォーク、アフロ、キューバン、その他諸々、てんこ盛りのフュージョンミュージック・・・、さらに本作ではタンゴなども交えつつのKip Hanrahanワールド。
 デビュー作“Coup de tête” (1979-1981)のとんがったポップスな音に、ソフトな“Vertical's Currency” (1984)の色合い、さらにジャズ成分が強くなって、このアルバムで後々まで続くスタイルが完成したイメージでしょうか。
 バラードから始めるのがこの人の流儀のようですが、本作の冒頭はEllington所縁のジャズバラード“Love Is Like a Cigarette”。
 オールドスタイル、穏やかで優雅なホーンアンサンブルを中心に、普通に平和にジャズかと思いきや、最後に隠された唐突なCarmen Lundyの妖し気なアカペラボイス。
 普通にメロディを歌っているだけなのですが、ちょっと怖いような、ゾクゾクっとくる、なんとも凄い空気感。
 それがこれまた唐突にプツンと終わると、コンガが鳴り響くアフロキューバンロックなKip Hanrahanワールド・・・
 そんな流れでスタートしますが、後続は前作“Vertical's Currency” (1984)と比べると、少々強めのビート感。
 ザラツキ、トゲが独特の色合いのデビュー作“Coup de tête” (1979-1981)の音が洗練され、スッキリと整理されてきたようにも感じます
 もちろん妖しさ危なさは満点。
 囁くボイスとパーカッションの絡み合い。
 高揚と陶酔にいざなう音の流れの中での醒めたクールネス。
 本作、American Clave制作の“Tango: Zero Hour”(1986)、”La Camorra” (1988) Astor Piazzollaの制作と同時期といったこともあるのでしょう、レーベルメイト?のAstor Piazzollaが一曲”Ah, Intruder!”を提供。
 ピアノはPiazzolla バンドのPablo Ziegler
 タンゴなKip Hanrahanは、後にも先にもこれだけかも?
 どうせなら御大も呼んで、バンドネオンとコンガ&囁きボイスの共演を聞きたいような、そうでもないような・・・
 いかにもPiazzollaな名曲ですが、アルバムの中に溶け込んでいるような、そうでもないような・・・
 さておき、終盤は再びジャジーなムード・
 が、そこにも唐突なアカペラが隠されています。今度は男声・・・
 そんなこんなで、もちろん本作も妖し気な名作、さらに激烈な大名作“Tenderness” (1988-1990)へと続きます。




 posted by H.A.


【Disc Review】“Cab Calloway Stands in for the Moon” (1988) Conjure

“Cab Calloway Stands in for the Moon” (1988) Conjure
Kip Hanrahan (Producer)
Allen Toussaint (Piano) Don Pullen (Organ, Vocals)
Elysee Pyronneau, Johnny Watkins, Leo Nocentelli (Electric Guitar)
Steve Swallow (Bass) Fernando Saunders (Vocals, Bass)
Ignacio Berroa, Robbie Ameen (Drums)
Frisner Augustin, Manenquito Giovanni Hidalgo, Milton Cardona (Congas)
Hamiet Bluiett (Baritone Sax) Lenny Pickett, David Murray, Eddie Harris (Tenor Sax, Vocals) Olu Dara (Trumpet, Vocals, Harmonica)
Bobby Womack, Clare Bathé, Diahnne Abbott, Grayson Hugh, Robert Jason, Shaunice Harris, Tennessee Reed, Carla Blank, Ishmael Reed (Vocals)



 Kip Hanrahan、Conjureプロジェクトでの第二作。
 “Conjure: Music for the Texts of Ishmael Reed” (1983)と同様に、Ishmael Reedの詩にみんなで曲を付けて集まって演奏しようぜ、ってな企画。
 いろんな畑から人が集まってきているので、いろんな色合いの曲が並びます。
 ソウル、ファンク、ロック、ジャズ、アフロキューバン何でもあり。
 オルガンが鳴り響くソフトソウルっぽいのもあれば、一つのリフを繰り返す正統派ソウルスタイル、ブルースギターが鳴り響く曲、ロック混じりのヘビーな演奏・・その他諸々。
 さりげなく収められたわずか1分30秒の女性ボーカルのアカペラがものすごくカッコよかったりもします。
 David Murrayその他、サックス奏者もバリバリと短からず長からずのカッコいいインプロビゼーション揃い。
 後のKip Hanrahanサウンドのキーマンの一人Don Pullenの参加もここからでしょうか。
 ともあれ、本作はAllen Toussaintのフィーチャーされる場面が最も多いのでしょう。
 柔らかくのほほんとしたニューオリンズファンクの寛げる空気感。
 詩のメッセージ自体はベビーなものかもしれませんが、Kip Hanrahan名義の作品ほど妖しさ危なさがないのもチェンジオブペース。
 いい楽曲、いい演奏が揃っています。
 とても素敵なフュージョンミュージック、ソウル寄り。




 posted by H.A.


【Disc Review】“Vertical's Currency” (1984) Kip Hanrahan

“Vertical's Currency” (1984) Kip Hanrahan
Kip Hanrahan (Percussion, Producer)
Peter Scherer (Organ, Synclavier, Synthesizer) Arto Lindsay, Elysee Pyronneau (Guitar)
Jack Bruce (Bass, Piano, Vocals) Steve Swallow (Bass) 
Ignacio Berroa, Anton Fier (Drums) 
Frisner Augustin (Tambou, Tamboura) Milton Cardona (Bongos, Congas) Olufemi Claudette Mitchell (Chekere) Orlando "Puntilla" Rios (Congas, Quinto)
David Murray, Andriau Jeremie, Ned Rothenberg, John Stubblefield (Tenor Sax) Mario Rivera (Baritone Sax) Lew Soloff, Richie Vitale (Trumpet)
Nancy Weiss, Nancy Hanrahan (Voices)

Vertical's Currency
Kip Hanrahan
Enja
2008-03-18


 ニューヨークアンダーグランド、アフロキューバンジャズ~ポップスのKip Hanrahan、第三作。
 本作、Smooky Robinsonを意識して云々、タイトルはお金が落ちてくるようにの意、売れ線を狙って云々・・・との情報もあります。
 確かにメロディ、アレンジがキャッチーになり、しっとりとしたソウルな曲、ポップス仕立てのソフトな曲も目立ちます。
 結果的には、しっとりとした感じがジャジーさに繋がり、ここではまだハードではないものの、後々まで続くアフロキューバンジャズの色合いが見えてくる作品のようにも思います。
 もちろん純粋なジャズはないのですが、このあたりからのジャジーな作品が私的には最も好み。
 哀愁のメロディに独特のグルーヴ、Jack Bruceのうらぶれたような男臭い囁きボイスに、David Murrayのこれまた男臭い真っ黒けのテナーサックス。
 ポップスっぽい作りの曲でも、David Murrayのサックスが一音鳴ると一気にハードコアなジャズモード・・・
 ってなところまではいきませんが、ポップス~ソウルの枠にとどまらない、ジャジーな香り、エスニックな香りがとてもいいバランス。
 が、本作でもパーカッションだけで一曲、クリエイティブ系の妙な音のギターが鳴って、なんてマニアックな色もあります。
 ちょっと聞きではポップにロマンチックにできていてとても馴染みやすい音の流れですが、妖しく危ない空気、仕掛けもたっぷり。
 いつも通りの、ジャズ、ファンク、ロック、ブルース、フォーク、アフロ、キューバン、その他諸々、てんこ盛りのフュージョンミュージック、但し、本作は少々ソフトなポップス寄り。
 うらぶれた男の哀愁、それでいてちょっとオシャレなKip Hanrahanワールドはそのまま。
 30年の歳月が経った今にしても、古くない素敵な世界。
 とてもクールです。
 なお、近年のCDに追加された?未発表曲?“Against the Light”も、静かなグルーヴと囁きボイスの組み合わせ。
 静かな哀愁が漂う素晴らしいメロディ、高揚感~陶酔感、ソフト&ハイテンションなKip Hanrahanのカッコよさが濃縮されたとても素敵な演奏です。




 posted by H.A.


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